
春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』梅木葵監督×吉邉尚希監督補佐インタビュー|36人のクラスメイト全員のデザインを描き起こして名前や出席番号も決めました
物語上で必要なサイドキャラクターにも人生がある
──シナリオ構成のお話も聞かせてください。本作は中村と広瀬の物語が中心ではありますが、それ以外のキャラクターの物語も端々で描かれていると感じました。第7話以降に差し掛かってからは特に。
梅木:創作物だと、機能的になるキャラクターも必要だとは思うんです。でも、そういう役割がありつつも、そのキャラクターにも人生があると私は思っていて。だから、できるだけサイドキャラクターを掘り下げていけたらなという意向は最初からありました。構成を考えたときに、第6話で中村と広瀬の物語としては大きな進展があるので、サイドキャラクターを掘り下げていくなら、第7話以降がいいかなと思って。第10話で3人娘にフィーチャーした回を作れたのは、個人的にもすごく楽しかったです。
──そういうこだわりや想いがあったんですね。
梅木:はい、いまお話した3人娘や武内や向井などだけでなく、実は36人のクラスメイト全員分のデザインを描き起こしているんですよ。
──えぇ!?
吉邉:席順も作りましたし、名前も苗字については全員決めました。実は黒板に書かれた日直の名前も日々変わっています。
梅木:第3話で「今日は20日だから20番の広瀬くん」というセリフがあるのですが、じゃあ21番は「ひ」以降にしなきゃいけないなって。吉邉さんと出席番号と名前をずっと考えていました。声も兼ね役ではなく、基本的には一人ひとりキャスティングいただいています。
──こだわりがすごい!
梅木:アフレコ後に音響制作の方が次回話数の場面写真をプリントアウトして持って来て、「これはどういう子ですか?」と聞いてくれて、キャスティングもしてくださったんです。それぞれに人生があるという思いをくみ取って、キャスティングしてくださいました。
──言葉を選ばずに言うと、アニメならそういうところは嘘を付ける部分ではあると思いますが、そうはしなかったんですね。
吉邉:第1話をはじめ、中村の席から見た広瀬のアングルがすごくたくさん出てきます。そのときにクラスメイトがコロコロ変わったら、やっぱり気になる。それはノイズにもなってしまうし、作業するときにも混乱してしまうので、どうしても必要になるんです。あと、名前だけじゃなくて、身長やスカート丈とかも設定していましたね。
梅木:学ランの着崩し方とかもクラスメイトによって変えています。
──そこまでこだわっていたら、クラスメイトそれぞれの物語を想像しても面白そうです。
梅木:こことここは仲良さそうとか、そういう風に見てもらってもいいかもしれないです。
最終的にはお客さんに向かって作る
──ここまで色々とお話をうかがってきましたが、おふたりがアニメ制作において大切だと思うこと、大事にしていることを教えてください。
吉邉:「『もののけ姫』はこうして生まれた。」というドキュメンタリーに出てくる「創りたい作品へ、造る人たちが可能な限りの到達点へとにじりよっていく。その全過程が、作品を創るということなのだ。」っていう言葉が、ずっと僕の記憶にあって。この「にじりよる」っていうのが、なんかすごく好きなんです。あと、この言葉のポイントは“可能な限り”というところにもあると思っていて。それぞれの現場で、今時点の自分たちが持っている能力の可能な範囲で、できる限りの到達点へとにじり寄っていく。それが大事なんだろうなと。今回、監督はそれを体現していたと思います。
梅木:エンタメ作品は、お客さんが見てようやく完結するものだと私は思っていて。だからこそ、“最終的にはお客さんに向かって作る”というのが、一つひとつの工程の決断材料として重要だと感じています。例えば、自分はいいって思っているけど、それはお客さんにとって嬉しくないかもとか、作品の結末として良くないんじゃないかっていう時は、自分の想いよりも見てくださる方のことを優先した方がいいのかなと。そこを見失ってしまうと、ちぐはぐな判断になっちゃうと思っています。
──貴重なお話、ありがとうございました。最後に、放送を楽しみにしている視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
吉邉:監督をはじめとしたスタッフの原作愛が注ぎこまれたアニメです。原作にあるシーンや絵だったら原作を見る、立ち返ってヒントを得るということを、監督が常に言葉にしていました。作り手の自分もジャンルにとらわれることなく楽しく作れたし、楽しく視聴しています。開かれた作品だと思うので、ぜひ一人でも多くの方に届けばと思っています。
梅木:原作の持っているピュアな面白さや、ちょっと懐かしい雰囲気をアニメという媒体で最大限に引き出せるよう、スタッフ一丸となって作りました。アニメのオリジナルエピソードもあって、原作を読んでいた方も新鮮な気持ちで見られたのではないかと思っています。ぜひ、原作と見比べてもらいつつ、オリジナルエピソードも含めてアニメを楽しんでもらえたら嬉しいですね。
[文・M.TOKU]
作品情報
あらすじ
主人公・中村男久斗はどこにでもいる内気な男子高校生。
友人ゼロの彼の前に現れたのは、クラスメイトの広瀬愛貴。
何だこの気持ちは…!?
まだ会話もしたことがないのに、広瀬をみると毎日ドキドキがとまらない…!!
内気な男子高校生・中村くんの広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”をどこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現し、高い人気を博す、春泥による王道BLラブコメディ「ガンバレ!中村くん!!」のTVアニメーション化が決定!
キャスト
(C)Nakamura-kun!! Animation Project


































