
京都アニメーションの積み重ねを、その先へ――TVアニメ『二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-』太田稔監督が目指す、“つながる”ためのアニメーション【インタビュー】
シナリオに託した挑戦。視聴者が繋がる媒介として
──シナリオはどのように組み立てていったのでしょうか。
太田:先ほども少しお話ししましたけど、緊張しっぱなしの作品にはしたくなかったんです。なので、合間合間にコメディ調のエピソードを入れています。第壹話から最終話まで、シリアスとコメディをバランスよく配置できたらいいなと。特に前半はみんなで「ああでもない、こうでもない」と話しながら作っていましたね。
後半、折り返し地点くらいになると全体像が見えてきたので、僕の方から「こういう流れで、こういう決着にしたい」という話をシリーズ構成の浦畑達彦さんにして、それをもとに再構成してもらいました。
というのも、最終話がかなりぶっ飛んだ内容になっているんです(笑)。スタート地点はただ「電気を作る」という話から、最後にたどり着くまで、なんとか階段を作っていきました。
──キャラクターの成長や変化も、その階段を作る上で重要なポイントですよね。
太田:そうですね。喜八たちの発明にしても、どうしても実在するものしか出てこないんですよ。それを面白く見せようと思うと、それ相応の突飛さや意外性が必要になってくる。それに付随して全体的な意外性が必要になるので、少しずつ変化させていった感じですね。
──以前、AnimeJapan 2026で行われた作品のステージで、キャストの雨宮さんが「考察」について触れられていたのが印象的でした。予想を裏切る作品であると。
太田:色々な楽しみ方をしていただけると嬉しいですね。コンテンツが増えすぎている世の中で、ひとつの共通認識になるようなものを提供できたらいいなと思うんです。突飛な展開を増やしたいと思ったのも、そういうところがあるのかもしれません。
──感動や面白さだけではないものを届けたいというお考えもあるのでしょうか?
太田:もちろん感動や面白さも大事なことですが、プラスして具体的な何かを届けることができたらなと。新しい知見や体験はもちろん、作品の解釈を巡って誰かとぶつかったとしても、「コミュニケーションを取った」ということに違いはないですから。誰かの世界が多少なりとも広がるというか。作品ってそういうきっかけや、道具であってもいいのではないかと思うんです。
──視聴者が何かと繋がる媒介になるような作品というか。
太田:そんなに深く考えているわけではないですけどね(笑)。楽しく見ていただいて、どうせだったら視聴した後に、「見る」以外の経験にも繋がったら嬉しいと思います。
──監督にとっては、アニメーション自体がそのような存在なんですね。
太田:会社の同僚や友人たちと映画やアニメの感想を話すのは楽しいです。どれだけ慣れ親しんだ人たちでも、シーンの受け取り方が自分とまるで違うとか。そういう会話を通して、お互いの新しい面を知り、新しい考え方に触れることができる。作品について誰かと話すって、全然飽きがこないんです。すごく良い経験だと思うので、皆さんも本作でそういう体験をしていただければと思います。
エネルギッシュな〈再生〉の物語
──本作は、理不尽なことや苦しさを描きながら、「再生の物語」というキャッチコピーがつけられています。作品に込めた「再生」とは何でしょうか?
太田:メインキャラクターたちは、みんな何かしらの挫折を経験しているんです。ゼロからのスタートではなくて、一度何かを失って、諦めたところから始まっている。だからこそ、「もう一度やる」というのは余計にエネルギーが必要だと思うんですよね。断念したことに再び向き合うというのは簡単なことではありません。
でも、物語の中で彼らはもう一度立ち上がっていく。そういったエネルギッシュな部分に「再生」というテーマの本質があると思っています。
──最後に、放送を楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
太田:厳しいご意見も含めて、たくさん感想をいただきたいです。ビジュアル的にもストーリー的にも、新しいものを用意したつもりなので、皆さんそれぞれに感じることがたくさんあると思います。ぜひ、お友達やご家族、それからインターネットで作品について話していただけたら嬉しいです。
[インタビュー/タイラ]
作品情報
〈放送情報〉
2026年7月5日(日)よりABCテレビ、TOKYO MX、テレビ愛知、BS11にて放送開始
TOKYO MX 7月5日(日)スタート/毎週日曜 23:00〜放送
BS11 7月5日(日)スタート/毎週日曜 23:30〜放送
ABCテレビ 7月5日(日)スタート/毎週日曜 24:40〜放送
テレビ愛知 7月5日(日)スタート/毎週日曜 25:20~放送
※放送日時は、変更になる場合があります。
〈配信情報〉
Netflixにて世界独占配信
2026年7月5日より毎週日曜23:00最新エピソード配信
あらすじ
「二十世紀電氣目録」に、思い描く電氣の発明を書き込む主人公・坂本喜八。
憧れの兄・坂本清六と共に夢の実現を誓う喜八だったが、
清六は「二十世紀電氣目録」を持って戦争に行き、帰らぬ人となる。
月日は流れ、酒造の娘・百川稲子との出会いによって、
失われたはずの「二十世紀電氣目録」が喜八の前に現れる。
それを狙うのは、稲子との政略結婚を進める蒸気の財閥御曹司・三添洋輔。
洋輔に対抗する喜八と稲子の、夢をかけた電氣の挑戦が始まる―!!
なぜ洋輔は「二十世紀電氣目録」を追い求めるのか。
そして、洋輔と清六だけが知る「二十世紀電氣目録」の“秘密”とは。
「二十世紀電氣目録」を巡り、少年少女の夢が再び動き出す―
これは〈再生〉の物語。
キャスト
(C)結城弘・京都アニメーション/明滋電氣商工会







































