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『さよならララ』独自の設定から“今後の展開”を考える【考察・レビュー】

『さよならララ』は何に別れを告げるのか? 人魚姫・滋賀・ボクシングから“今後の展開”を考える【考察・レビュー】

キネマシトラス15周年記念作品として放送中のオリジナルTVアニメ『さよならララ』。本作は人魚姫の童話をモチーフにしつつも、ただの現代風アレンジには留まらない特別な魅力を放っています。

何よりも目を引くのは人魚姫ララが滋賀県の琵琶湖に蘇り、ボクシングに熱中する少女・大津茉里と出会う導入です。そして、“本当の愛”を探すララの物語がどこへ向かっていくのかも気になるところ。もしかしたら、そのヒントはタイトルに隠れているのかもしれません。「さよなら」とは誰に向けられ、何との別れを意味するのか?

本稿では、作中の描写や設定を頼りに、異なる世界に触れた彼女が向かう先を考察します。

※幾つかのネタバレを含みます。未見の方はご注意ください

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さよならララ
昔々あるところに、ララという人魚のプリンセスがおりました。海の王である父と、姉たちに愛されて、すくすくと育ちました。ある日、ララは地上に生きる人間の王子に恋をしてしまいます。それは人魚たちの世界では許されぬ、禁じられた恋でした。それでもララは地上へ旅立ちます。魔女グレイスにもらった薬を飲み、人間の姿になったのです。しかしそれは、”本当の愛”を見つけなければ、泡となって消えてしまう禁忌の薬でした。人魚のプリンセスでありながら、人間との愛を望んだララ。けれど———その願いは叶わず、泡となって海へ消えてしまうのでした。それから200年。長い時を経て、人魚姫ララは琵琶湖に蘇る。今度こそ“本当の愛”を見つけるために———作品名さよならララ放送形態TVアニメスケジュール2026年7月5日(日)〜TOKYOMX・BS朝日ほかキャストララ:菱川花菜大津茉里:川石奈奈グレイス:深見梨加ルカ:村瀬歩大津祥弥:大野智敬大津誠:真殿光昭大津江万:住友七絵ローワン:てらそままさきリサ:津田美波コータ:山本和臣スタッフ原作:キネマシトラス監督:小出卓史シリーズ構成:川原杏奈キャラクターデザイン:谷紫織美術監督:藤野真里(studioPablo)色彩設計:山下宮緒 相澤里佳 ...

あくまでも地続きなふたつの世界

本作が見事なのは「海の世界=ファンタジー」「陸の世界=リアル」という単純な分断を超えて、あくまでも地続きな世界を描いている点です。海の世界(ララの過去)を描く第1話にはララが魚を頭からかじる、足を得る過程で舌を切られる(ララの舌に縫い目がある)など、生々しい描写が随所に差し込まれています。

一方、第2話以降の舞台となる滋賀のパートにおいては、現代社会に戸惑うララの心情を追いつつ、琵琶湖から巨大な物体が浮かび上がるという衝撃的な展開も描かれました。つまり、海の中にもリアルがあり、陸の上にもファンタジーがある。これは『メイドインアビス』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などを手掛けてきたキネマシトラスならではの現実と非現実を横断して繋げる演出手法です。

こうした架空と現実の“接地面”を丹念に描くことで、ふたつの世界は対極にありながらも絶え間なく繋がっていることが分かります。そして、この地続きな繋がりはふたつの世界の記憶を宿すララという主人公の在り方と見事に照応しているのです。「架空のキャラクターが現実世界へ転生した」という二元論にとどまらない独自の世界観。こういったディテールのこだわりによって、ララへのスムーズな感情移入が可能になっているのではないでしょうか。

“無限”の海から“有限”の滋賀へ

人魚姫をモチーフとした物語が、琵琶湖を擁する滋賀県を舞台にしていることも面白いポイントです。海という境目のない世界を離れ、異なる水辺に面した生活圏へ移ること。それは無限に広がる「童話の世界」から有限性に満ちた「現実世界」への移行と言い換えられるかもしれません。

思い悩むララとは対照的に、滋賀の人々はどこかカラッとした「生活者」として描かれています。しかし、ララもまた茉里たちの影響を受け、少しずつ生活者としての空気感を獲得しているようです。

スーパーや学校、ケーキ屋など、地域のコミュニティを訪れ、その度に新たな気づきを得ていくララ。かつての故郷を感じさせつつ、地に足の着いた生活空間である滋賀は、ララが向き合うべき現実をこれ以上なく浮き彫りにしています。

人魚姫がボクシングに出会う意味

滋賀と並行して、茉里が心血を注ぐ「ボクシング」も物語の大きな核となっています。なぜ他の競技ではなくボクシングが登場するのか、その必然性についても考えてみましょう。

ボクシングは拳で戦う競技ですが、相手との間合いを制し、パンチに体重を乗せるためには「足」の使い方が重要になります。足を持たなかった人魚姫が、「地面をしっかりと踏みしめる身体運動」に遭遇する。また、長い時間(ラウンド)をかけて一人の“他者”と向き合い、互いに“痛み”を伴うという意味でも、ララが直面する現実と深く重なり合っているように感じます。

目をそらさずに相手と向き合う茉里の姿を目にし、ララは自身の身体性(≒有限性)と向き合い始めるのかもしれません。つまり、本作におけるボクシングは「幻想を浮遊する日々」から「自らの足で現実を生きていく」過程に影響を与えるギミックとして機能しているのです。

おわりに

無限の海から有限の滋賀へ。童話の人魚から、大地を踏みしめるひとりの人間へ。これらの流れを踏まえると、『さよならララ』は「ララが自身の少女期に別れを告げる物語」として読み解くこともできそうです。

とはいえ、本作の物語はまだまだ序盤。自らの足で地上を歩き始めた彼女がどのように変化していくのか。金魚となった魔女・グレイスや茉里との関係性はどうなるのか。ララの姉・リサとコータの目的は何なのか。王子様の面影を持つ少年・ルカはどのような形で登場するのか。そして、ララは“本当の愛”に辿り着けるのか。今後の放送からも目が離せません。

[文/小川賢人]

『さよならララ』作品情報

さよならララ

あらすじ

昔々あるところに、ララという人魚のプリンセスがおりました。
海の王である父と、姉たちに愛されて、すくすくと育ちました。
ある日、ララは地上に生きる人間の王子に恋をしてしまいます。
それは人魚たちの世界では許されぬ、禁じられた恋でした。
それでもララは地上へ旅立ちます。
魔女グレイスにもらった薬を飲み、人間の姿になったのです。
しかしそれは、”本当の愛”を見つけなければ、
泡となって消えてしまう禁忌の薬でした。
人魚のプリンセスでありながら、人間との愛を望んだララ。
けれど———その願いは叶わず、泡となって海へ消えてしまうのでした。
それから200年。
長い時を経て、人魚姫ララは琵琶湖に蘇る。
今度こそ“本当の愛”を見つけるために———

キャスト

ララ:菱川花菜
大津茉里:川石奈奈
グレイス:深見梨加
ルカ:村瀬歩
大津祥弥:大野智敬
大津誠:真殿光昭
大津江万:住友七絵
ローワン:てらそままさき
リサ:津田美波
コータ:山本和臣

(C)キネマシトラス/「さよならララ」製作委員会
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