
【ゲームクリエイターインタビュー】『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』&『スキップ・ビート!』制作者・5pb.須藤英男さん編 前編
リリース直前の話題のゲームソフトを制作するゲームクリエイターに、新作ゲームソフトの紹介や開発秘話をご紹介いただきつつ、仕事の内容やゲーム業界に携わったきっかけ、ゲーム業界を目指す皆さんへアドバイスをしていただく企画『ゲームクリエイターインタビュー』。
今シリーズでは『メモリーズオフ』シリーズや、昨年ゲーム界に衝撃を巻き起こした『カオスヘッド』などを手がける5pb.にクローズアップしていく。
第4回目は『モノクローム・ファクター cross road』や『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』など5pb.の女性向けタイトルを制作し、4月30日にPS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』、5月28日にはPS2用ソフト『スキップ・ビート!』など2カ月連続アニメ作品のゲームリリースを控えた、5pb.ゲーム事業部ディビジョン4のプロデューサー、須藤英男さんにお話をうかがった。
今章ではゲーム業界へ入ったきっかけと、初めて女性向けゲームを制作した時の感想、そして2月26日にPSP版がリリースされた『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』などについて語ってもらった。
PSP用ソフト『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』
2009年2月26日発売
初回限定版:8190円(税込)
通常版:5040円(税込)
発売:5pb.
●コンシューマーゲームをよくプレーしていた学生時代
――まず須藤さんのお仕事をご説明いただけますか?
須藤さん:すごく簡単に説明するとゲームを企画して、制作して、売る、の3つです(笑)。
――須藤さんが所属するDivision4の特徴は?
須藤さん:主に女性をターゲットにしたソフトが多いところが特徴ですね。
――ここまでDivision4が制作した作品を挙げていただけますか?
須藤さん:5pb.といえばおなじみの『Memories Off』を女性向けにした『ユア・メモリーズオフ~Girls Style~』、Production I.G20周年記念アニメをDS用ソフトにした『神霊狩/GHOST HOUND DS』、テレビアニメをゲーム化した『モノクローム・ファクター cross road』、です。
――ここで須藤さんのゲーム遍歴をお聞きしたいと思います。最初にゲームに興味を持ったのはいつ頃ですか?
須藤さん:僕はファミコン世代で、小学校ぐらいの頃にファミリーコンピューターが発売されてそこからハマっていきました。『ドラゴンクエスト』シリーズもやったし、『ペンギンくんウォーズ』とか『ボカスカウォーズ』とか、いろいろやりましたね。
――どんなタイプのゲームが好きなんですか?
須藤さん:誰でも解けるゲームが好きですね。シュミレーションゲーム系にある「限られた条件で解け」みたいなのはあまり好きではなく、RPGとか時間さえ費やせばとりあえずは誰でも解ける、そういったゲームをよくやりますね。
――RPGは要するプレー時間の長さを敬遠する人もいますが……
須藤さん:それは全然苦にならないですね。一番最初の所で4時間くらい遊んだりします。そうすると自分が強くなった状態からスタートできるので(笑)。
――先に進みたい衝動よりも敵に対しての優越感のほうが大きい?
須藤さん:ストレスなく進めるほうが大事ですね。『モンスターハンター』とかも最初は好きじゃなかったんです。一人でやってても「どこがおもしろいんだろう?」って。でも4人でやるとこちら側が強くなるのでそこでやっと面白さに気がつくとか。(笑)基本的に苦労はしたくないんです。ハード、ノーマル、イージーの中からレベルが選べたら迷わずイージーを選びます(笑)。
――そういう方もいるでしょうね。ファミコンの後はアーケードやPCゲームのほうに行ったりしなかったんですか?
須藤さん:少しはやりましたが、僕は基本コンシューマーでしたね。スーパーファミコン、メガドライブ、プレーステーション、セガサターン、Nintendo64、ドリームキャスト、ゲームキューブ、PS2など一通り買いましたね。最近では、うちの会社の人間に触発されてXbox 360を買いました。うちの会社の人間は360率が高いんですけど、いいですよ! あれは(笑)。
●知人が立ち上げたゲーム会社でアルバイト
――普通のゲームが好きな人という感じですね。そこからゲーム業界に入ろうと思ったきっかけは?
須藤さん:たまたま知り合いにゲーム業界の方がいて、僕が高校時代にゲーム会社を作って、そこにアルバイトとして雇ってもらえたんです。それがI'MAXで、スーパーファミコン用ソフトの『スーパー将棋』や『スーパー麻雀』などを作っていた会社で、高校卒業後、大学に進学しましたが引き続き、アルバイトは続けていて、大学卒業後、そのまま就職しました。そしてI'MAXにいた頃にKIDの方とお付き合いがあって、I'MAXを辞めた後はKIDに入って、……その後諸々あって今はこの会社にいつという感じです。
――アルバイトの時はどんな仕事をしていたんですか?
須藤さん:作っているゲームのデバッグですね。そこから始まって、段々と営業資料の作成手伝いやイベントでのビラ配りなど、様々なことを体験させて貰えました。
●いきなり2作目からプランナーへ
――最初に制作に関わったタイトルは?
須藤さん:KIDに入ってからのPS用ソフト『DX人生ゲームII』ですね。具体的な仕事はマスに止まるとイベントが起きるんですけど、そのイベントを考え、作成していました。でも次の作品では、トータルパッケージでプランニングすることになってびっくりしましたね(笑)。
――須藤さんはプログラムなどの知識はあったんですか?
須藤さん:ありませんでした。僕はスクリプトちょっと、というレベルでプログラマーが作った決まった命令を使って画面上の演出を作成できるというぐらいでした。
――それでプランナーの仕事を任された時の感想は?
須藤さん:今までに体験・経験してきた流れの一つみたいな感じで特に違和感はなかったですね。
――苦労されたことは?
須藤さん:作ること自体、好きだったから気になりませんでしたし、時間がかかることを苦労だと思う人もいるでしょうけど、僕はそこを苦にしないので……。強いてあげるとすれば人間関係ですかね。たくさんの人が1本のソフトに関わっているので……人それぞれのやり方がありますからね……。その辺は苦労した記憶がありますね。経験豊富というわけでもなかったので。
●増加したPCゲームからコンシューマーへの移植
――KIDに入ってから本格的なゲーム制作をされたとのことですが、当時の代表作や会心作は?
須藤さん:僕と言ったらこれ!みたいな代表作と呼べるようなものではあまりありませんが、『瑠璃色の雪』、『トレジャーストライク』、『すべてがFになる~THE PERFECT INSIDER~』、『Erde ~ネズの樹の下で~』など、いろいろなタイトルの制作に関わっていますね。タイトルを上げていますが、一時期はPCからコンシューマー移植や外部制作のタイトルなども関わるようになったので、本当にたくさんのタイトルに関わっています。
――コンシューマーに移植する際に苦労されたことは?
須藤さん:当時、サターン用やPC-FXに移植する際にはそれほど問題なかったんですけど、PS用にする時にはまずオリジナルのゲームとタイトル名を変えなくてはいけなくて。それは大きかったですね。○○からの移植と大々的に打ち出せなくて、ユーザーもわからないとか。それとゲームシステムの変更も必要な時期がありました。例えば元がアドベンチャーゲームだったらノベルゲームにするとか。規制もどんどん厳しくなっていきましたね。
――だからPSとサターンで同時に発売された時、タイトルや内容が違っていたんですね
須藤さん:そうですね。サターン版のほうがエッチだったり(笑)。そういうことも徐々になくなりましたけど。
●コンシューマーへの移植が難しい時代
――当時はコンシューマー化することは大きなメリットだと思っていたんでしょうね
須藤さん:一種のステイタスみたいなところもあったんでしょうか。今はPCゲームもコンテンツのひとつとして注目されていますからね。アニメ化などの展開も当たり前ですし。
――今はゲーム移植しやすいんでしょうか? しにくいんでしょうか?
須藤さん:個人的には今はPCの普及率も高いので移植する必要もないのかと思う部分もありますね。うちで取っているアンケートでもPCの方がケータイより所有率が高いなんて結果がでたりする場合もありますしね。
――ボリュームも求められますよね
須藤さん:そうですね。新要素などの部分も含めて、コストパフォーマンス的な部分も求められますね。
●ケータイからコンシューマー、PCまで幅広いハードを網羅
――移植以外にも様々な作品を手がけてらっしゃるんですよね
須藤さん:他にも僕が原案で、今、Division1の柴田が作った『KID MIXセレクション』というソフトもありますね。そういえばおもしろいソフトにも関わりました。『大阪ナニワ摩天楼』というゲームで、簡単に言えば『シムシティー』の大阪版です(笑)。
――それはぜひやってみたいです(笑)
須藤さん:本当にいろいろ作りました。そして2004年頃からは、DoCoMo公式のケイタイコンテンツ『恋愛ゲームセレクション』も担当していました。『Memories Off』などKIDが開発していたオリジナルゲームをケータイ用にして配信するという仕事を3年くらいしてましたね。
――オリジナルゲームをケータイ用にするというのはどんな作業なんですか?
須藤さん:最初はケータイのスペックもそれほど高くなかったし、パケホーダイとかまだなかったので、テキストメインでたまにイラストを差し込んでいくという簡単なものでした。1週間に20Kくらいのシナリオと5枚くらいの絵を見せるという感じですね。あとは段々とリッチコンテンツと呼ばれていくような着メロ、着ボイス、待受画像の配信などをしてました。なかなか好評でユーザー数も多かったんですよ。その後、ケータイとは思えないアドベンチャーゲームのエンジンを組んで、手放しでテキストが進むとか今、うちのアドベンチャーゲームやノベルゲームで使われているシステム周りをほとんど搭載したエンジンを作って、「さあ、これでこれから本格的にやろう!」と思っていたら、その矢先に会社が……。
――コンシューマーからPC、ケータイまで手広くやっているんですね
須藤さん:なぜか新しいことをやらされるんですよね。5pb.に入ってからも『神霊狩/GHOST HOUND DS』は5pb.初のDSソフトだったし。
――新しいことをするのは難しいと思うんですが……
須藤さん:まあ、完全に一から新しいことをしているわけではないのでなんとか既にあるやり方にあてはめて、あとはレールに乗せるだけという感じで。でもやっぱり新しいことなのでレールに乗せる大変さはありますけど……。
●5pb.初の女性向けタイトル『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』
――ちなみに須藤さんの所属するDivision4は5pb.に入社する前からあったんですか?
須藤さん:入社と共にできましたね。KID時代に『水の旋律』という女性向けソフトが受けて今後のゲーム市場を考えても女性層の獲得は必要だろうと、そこで準備されたのがDivision4です。僕自体、女性向けのソフトは作ったことがなかったんですけど……なぜか(笑)。
――女性向けのゲームを作るのも初だったんですね
須藤さん:そうですね(笑)。女性向けのタイトルを男の僕が作るという難しさはずっとあって「女性スタッフが欲しい」と話していましたけど。それで最初に手がけたのが『Memories Off』のスピンオフ『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』です。素晴らしいライター陣とキャラクターデザインの方のおかげでいい作品になったと思います。
――『Memories Off』の世界観自体がちょっとセンチメンタルなところもあって、女性向けにしても違和感なかったんでしょうね
須藤さん:そうかもしれません。ただ、感性の部分で僕だけではジャッジが難しかったの完全なる女性向けというよりは、男性でも女性でも楽しめるものを作ろうと思ってやっていました。結果的には女性も男性も楽しめる恋愛小説のような作品になったと思っています。アンケートでも女性だけでなく、男性からも回答いただけて「『メモオフ』らしい作品でした」という声もいただきましたね。
――そういえば『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』のPSP版が2月26日に発売されたんですね
須藤さん:これは社内のプログラマーが「PS2のソースをPSPで動くようにしよう!」と頑張ってくれたので忠実に移植されていると思います。でもそれだけでは既にプレイされた方には物足りないと思い、新しい要素として、「甘さが足りない」とユーザーさんに言われた部分もありましたので、その辺りの強化の意味も含めてハッピーエンド後のアフターストーリーを追加しました。アフターストーリーではよねやませつこさんご本人に描き下ろしていただいたイベントCGや、引き続き清水マリコさんにシナリオを書いていただきました。個人的には限定版のパッケージのイラストが特にお気に入りです。またキャラソンがフルに入ったパーフェクトボーカルコレクションもあるので限定版はお得です。まだ残っているか、わかりませんがお店で見つけたらすぐゲットしてください。
(続く)
●プロフィール
須藤英男さん……5pb.ゲーム事業部ディビジョン4プロデューサー。I'MAX、KIDを経て5pb.へ。KID時代、『瑠璃色の雪』、『6インチマイダーリン』、『トレジャーストライク』、『Erde ~ネズの樹の下で~』などを手がける。主な代表作は『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』、『神霊狩/GHOST HOUND DS』、『モノクローム・ファクター cross road』など。
PSP用ソフト『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』
2009年2月26日発売
初回限定版 8,190円(税込)
通常版 5,040円(税込)
発売:5pb.

















































