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『刀語』放送開始記念 西尾維新氏インタビュー[後編]

大ヒットアニメ『化物語』に続く、『西尾維新アニメプロジェクト』第2弾の『刀語』が2010年1月から放送開始! 西尾維新さんインタビュー 後編

 小説家として活躍する、作家・西尾維新さん。西尾さんの描く独特の世界観は多くのファンを獲得しているが、西尾さんの作品性や精神性をアニメで表現していこうとする画期的な企画が『西尾維新アニメプロジェクト』。
 空前の大ヒットを記録した『化物語』に続く、プロジェクト第二弾作品の『刀語』が2010年1月から放送が始まる。『刀語』は西尾さん初の時代小説であり、毎月1巻ずつ発表され、全12巻に及ぶ作品だ。今回のアニメ化では毎月1話、全12回に渡り、1時間番組として放送される。先日、キャストも発表され、放送も秒読み段階になった。
 アニメ『化物語』の大ヒットと、『刀語』の放送開始を記念して、原作の西尾維新さんにインタビューを行った。その模様を2回に渡り、お届けしている。

 後編となる今回は、放送を控えたプロジェクト第二弾作品の『刀語』について、そして今後のプロジェクトへの希望などを語っていただいた。

前編はこちら!


●大河作品の『刀語』は『化物語』とは好対照なアニメに

――さて2010年1月より始まる『刀語』ですが、もうアニメはご覧になられましたか?

西尾さん:1話の本編は見せていただきました。でも1カ月に1本というのが惜しいですよね。毎週1時間ずつにすればいいのにと勝手に思ってしまうくらいです。しゃべり方やそれぞれの立ち位置もそうですが、『化物語』とは好対照なアニメになると思います。


――12カ月間毎月1本、1時間ものを放送するというのは近年にはない、画期的な試みです。それだけでも意気込みの大きさを感じます。

西尾さん:本当にありがたいお話ですね。1時間もの自体、珍しいようで。スタッフの方も、そもそもの作り方が30分作品とは違うとおっしゃっていました。ご覧になってくださる皆さんにとっても新鮮でしょうし、私もどんな反応があるのか、想像がつきません。まだ放送前なので不安半分、期待半分というところでしょうか。基本的にはいち視聴者として楽しく見られればいいなと思っています。


――先生が原作を毎月1本のペースで全12巻発表されていたように、現場もクオリティの維持と時間の勝負で大変でしょうね。

西尾さん:私も書いている時、1年間毎月続けて書くなんて無理だと思っていたし、最初から4月あたりで終わるつもりでいましたから(笑)。だから「頑張ってください」なんて軽々しく言えません。「つらくなったらいつでもやめていいんですよ」という感じです。


――キャストも豪華ですね。メインキャラを演じる皆さんに、ナレーションも池田昌子さんで。ちなみに収録現場には行かれましたか?

西尾さん:ドラマCDの収録時と、1話の収録の時にお邪魔させていただきました。


――キャストの方に先生から要望やアドバイスはされたんですか?

西尾さん:基本的にアニメには口を出さないようにしていますが、否定姫だけはあらかじめ、「こういうふうにしゃべってください」とお願いしました。他のキャラについては特に何か要望を出したという事はないですね。全て信じてお任せしています。


●『刀語』は無刀の剣士のアイデアから始まった

――『刀語』は西尾先生初の時代小説、大河作品になりましたが、どんなことを心がけて書かれたんでしょうか?

西尾さん:時代劇を書くと言っても、張り詰めたことは考えずに、ただおもしろい小説を書くことが第一にありました。唯一あったのは、カタカナを使わない事くらいでしたね。
内容に関しては、まず最初にあったのは、12本の刀を集める物語にしようというアイデアでした。そして、いろいろな刀を考える中で、いちバリエーションとして無刀の剣士が出てきて、彼を主役にしようというところから全体を構築していきました。だから七花が一番最初に生まれたキャラクターなんですよ。


――七花が一緒に刀集めに旅する奇策士・とがめ、七花の姉の七実、刀を持つ真庭忍軍など個性的なキャラクターが多い作品ですが、アニメで注目しているキャラクターは?

西尾さん:右衛門左衛門(えもんざえもん)ですね。描かれ方や戦い方のスタイリッシュさがどう表現されるのか楽しみです。近日発売されるドラマCDにも出てきますし、まずはそこで声に関して楽しんでいただければ嬉しいです。さてキャストは誰でしょう?


――いや、想像もつかないです。

西尾さん:詳しくは言いませんが、これはもうピッタリだという方ですよ。


――非常に楽しみです。そして、小説で竹さんが描かれたキャラクター達がどんな風に動くのかも非常に期待しています。

西尾さん:まったく違和感なく、そのまま動画にしたように自然に動いていて驚きました。現代の技術ってすごいですね(笑)。原作を読んでくださった皆さんも期待していただいて何ら問題ないと思います。


――アニメの『刀語』へ望むことや見どころと思うところを挙げていただけますか?

西尾さん:『刀語』は、死ぬことを人生の一部、当たり前のことだと思っている人達のお話です。だから、どんなキャラにも死ぬ時は華やかに死んでいって欲しいと思いながら執筆していました。アニメにはある程度の制限があるため、死を真っ当に描くというテーマを掲げるのは難しいかもしれませんが、原作にある、そういう空気やテーマがどの様に表現されるのかは楽しみです。


●先生書き下ろしのドラマCDはセリフ数も収録分数も大ボリューム!

――ちなみにアニメのオンエアに合わせて、2010年1月には先生が書き下ろした『オリジナルドラマCD 不問語(トワズガタリ)』が発売されます。

西尾さん:脚本は約2日間くらいで書きましたが、70分くらいのボリュームになりました。


――それはすごいですね。噂に違わず速筆で。

西尾さん:でも構想期間は長かったですよ。今まで書いたシナリオのなかで一番苦労したかもしれません。キャラクターコメンタリーはなんとかコツをつかめましたが、ドラマCDはいつも苦労します。もう二度と書きません(笑)。


――このCDの聴きどころを教えていただけますか?

西尾さん:1話で出ていないキャラクターも登場してしゃべっています。そして、スタッフさんの話によると、1人のセリフであれだけしゃべるのは珍しいそうです。


――収録では声優さんも大変だったでしょうね。

西尾さん:そうですね。『化物語』もそうですけど、キャストの皆さんには本当に頭が上がりません。目を合わせることさえ難しいです。申し訳なさ過ぎて。皆さんのおかげでいい作品になったので、何か報いる方法はないかと今、考えています。


――では最後に『刀語』のアニメの放送を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

西尾さん:1年に渡る長いアニメですが、スタッフやキャストの皆さんが素晴らしい作品をきっと作ってくださると思います。原作を読んでない方も楽しめる作品になっていると思うので、よろしくご視聴ください。原作はまあ、気が向いたら読んでいただければ嬉しいです(笑)。


【第一話「絶刀・鉋」放送予定日】
フジテレビ:1月25日(月) 25時10分~
毎日放送 :1月27日(水) 26時30分~
BSフジ  :1月30日(土) 26時30分~

【第二話「斬刀・鈍」放送予定日】
フジテレビ:2月 8日(月) 深夜
毎日放送 :2月10日(水) 深夜
BSフジ  :2月27日(土) 深夜

【第三話「千刀・ツルギ(※機種依存文字のため仮名表記)」放送予定日】
フジテレビ:3月 8日(月) 深夜
毎日放送 :3月10日(水) 深夜
BSフジ  :3月27日(土) 深夜

<STAFF>
原作:西尾維新「刀語」全十二巻(講談社BOX)
キャラクター原案:竹

監督:元永慶太郎
シリーズ構成:上江洲誠
キャラクターデザイン・総作画監督:川田 剛
美術監督:工藤ただし
色彩設計:手嶋明美
特効監修:谷口久美子
撮影監督:中村圭介
編集:たぐまじゅん
音響監督:えびなやすのり
音楽:岩崎琢
アニメーション制作:WHITE FOX

<CAST>
鑢七花:細谷佳正
とがめ:田村ゆかり
鑢七実:中原麻衣
真庭蝙蝠:鈴木千尋
ナレーション:池田昌子



<あらすじ>
第一話 絶刀・鉋

刀を使わない剣術・虚刀流の七代目当主・鑢七花と、その姉・鑢七実は、地図にも載らない無人島・不承島で平和に暮らしていた。
そこへ、奇策士を自称する、とがめという女性が訪ねてくる。
幕府の役職者であるという彼女の目的は、伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が、その人生をかけて完成させたという十二本の完成形変体刀の蒐集を、虚刀流の当主に依頼する事だった。
長い間来訪者の無かった島への突然の来客と意外な依頼に戸惑う七花と七実。
そして、そんな彼らに、暗殺専門の忍者集団「真庭忍軍」十二頭領の一人・真庭蝙蝠の影が忍び寄る…。


>>『刀語』公式サイト


(C)西尾維新・講談社 /「刀語」製作委員会



鑢七花

鑢七花

とがめ

とがめ

鑢七実

鑢七実

真庭蝙蝠

真庭蝙蝠

(C)西尾維新・講談社 /「刀語」製作委員会
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