VALSHE 9thシングル『君への嘘』ロングインタビュー

「ありのままの表情を見せた」VALSHE――『名探偵コナン』EDロングインタビュー “リアルであり、リアルタイム”がテーマになった理由とは?

 VALSHEさんが、2015年2月4日に9枚目となるシングル『君への嘘』をリリースする。『君への嘘』は、従来の作品と違い“限りなくノンフィクションに近い世界観”で構成されたミディアムバラード。『Butterfly Core』に続き、『名探偵コナン』のエンディングテーマに抜擢されている。

 大なり小なり、生きていくなかで誰もが経験する“別れ”をテーマに、感情いっぱいに歌い上げる『君への嘘』。昨年11月、舞浜アンフィシアターで開催されたワンマンライヴ『VALSHE LIVE THE TRIP 2014 ~Lost my IDENTITY~』で、「これまでにない辛い気持ち、葛藤だったりをタイムリーにいっぱい詰め込んだ楽曲になります」と時折言葉を詰まらせながら語り、歌っている最中には涙をこぼす場面もあった。なぜ涙が溢れたか直接訊いてはいるが、下記の本人の言葉を読めば、その理由がハッキリ伝わると思う。応えられる範囲のなかで、新曲に込めた想いを真摯に語ってくれた一万文字インタビュー。まずは、前述のライヴの話題から。

●ワンマンライヴの自己評価は「80点」

──まずは前回の昨年11月8日に舞浜アンフィシアターで開催されたライヴ『VALSHE LIVE THE TRIP 2014 ~Lost my IDENTITY~』(以下LTT)の感想を教えて下さい。本当に素晴らしいライヴでした。

VALSHEさん(以下VALSHE):観に来てくださってありがとうございました。来ていただけて嬉しかったです。その前には、VALSHE's TEA PARTY (10月に東京、大阪2公演を開催)やTIMMというショーケースもありましたが、自分にとっても、きっと待ってて下さるみなさんにとっても、LTTは一年に一度の大イベントで。

前回(2013年11月30日「OVER THE HORIZON FIRST CONTACT "LIVE THE JOKER 2013"」)とハッキリ違うなと思ったところは、LTTのときは“お客さんがいないかもしれない”みたいなことは思わなかったってところですね(笑)。LIVE THE JOKERのときは、幕が開くまで“実はドッキリだったらどうしよう”“誰もいなかったらどうしよう”って本気で思ってたんですけど、LTTのときは“会いにいこう”って気持ちだけで向かっていけました。そういう安心感もありましたし、LIVE THE JOKERと違って、コンセプトが“ライヴらしいライヴ”だったんですよね。

LIVE THE JOKERは作り込まれた世界観を意識していたというか、アルバムに沿った魅せ方をしたいというコンセプトのもとで行ったんですが、今回はライヴのいい部分を出していきたくて。より自分らしく望めました。本当のライヴの楽しさを……もしかしたら初めて味わったのかもしれないです。

──特に第二部の後半に顕著でしたよね。VALSHEさんが水を客席にばらまくシーンもあり(笑)。

VALSHE:アハハハ! そうなんです。ずっと躊躇してたんですけど、ついにやってしまいました(笑)。楽しかったんですけど、終わったあとに「11月だったし、寒いし、帰りみんな大丈夫だったかなぁ」って心配になって(苦笑)。

──客席はめちゃくちゃ盛り上がってましたよ(笑)。

VALSHE:それだったら嬉しいけど(笑)。すごく楽しかったです。

──ファンの皆さんも、前回とはライヴに臨む意識が違うように感じました。それこそ、VALSHEさんと同じように“純粋にライヴを楽しもう”としていたというか……。

VALSHE:やっぱり、違いましたよね。それは凄く感じました。LIVE THE JOKERの時は、自分もそうであれば、向こうも初めてなワケで、お互いドキドキしていたというか。本当に初めてのライヴだったので、お互い手探りの部分があったと思うんですけど、LTTのときはステージから見てても“あのあたりにいるファンのみんなが、引っ張って行ってくれているのかな”ってことも観てて分かりましたし、一日二部制ということもあって、“この曲きた!”って思ってくれていることも声で伝わってきたりして。一体感をすごく感じることができたライヴでした。

──可動式のステージでダンサーさんと一緒に踊ったり、ひとり4役にチャレンジした朗読や影絵があったり……。舞浜アンフィシアターならではの仕掛けをフルに使った、エンターテインメントなステージでしたね。

VALSHE:そうですね。あの会場を前日入りしてみたときに──前回の取材でもお話させてもらったんですが、『シルク・ドゥ・ソレイユ』を観客として観に行ったことがあったんで、場内のことは知ってはいるんですけど作ってもらったステージに立ったら“結構変わるな”って。そこは実際に立つまで分からない部分でもあったんですが、舞浜アンフィシアターという会場で歌うことができて良かったなと改めて思いました。あのステージを活かせた演出がお客様にも好評で、自分自身も“ここでまたやりたい”って。

──では、VALSHEさん自身があの日のVALSHEさんを評価するとしたら、100点満点ですか?

VALSHE:うーん……水掛けたからなぁ……80点かな(笑)。

──20点もマイナスですか(笑)。

VALSHE:10点は水で、残りの10点は“もっといいものを”というか。これからライヴ活動をもっと広げていきたいという気持ちが強いので、辞めるまで100点はあげないと思います。でも何より、自分がすごく楽しんでできて、お客様もすごくいい表情をしていたというところで、高得点をあげようかと。

──ところで、さきほども少しお話に上がりましたが、10月21日には世界各国からバイヤーが集まるイベントとしられる『TIMM SHOWCASE LIVE (Anison-Idol Night)』がありましたね。私もお邪魔させてもらったのですが、あの日は短い時間にも関わらず、ギュッと凝縮したステージで。

VALSHE:オムニバス形式のライヴ自体が初めてだったので、いろいろな意味で未知数だったんです。どういう空気なのかも分からないし、いざラインアップを見てみたらひとりなのは自分だけだし(笑)。サウンドプロデューサーのminatoと話し合った結果、“何をどう頑張ってもこれはアウェイだよね”って。それだったら“らしさを全面的に活かそうよ”って、朗読を入れて、一人で歌唱するところもあれば、ダンサーが突然現れたり。

全世界のかたが生放送で試聴してくれたので、いろいろな国の挨拶も覚えられるだけ覚えて、そして最後に(色々な国の言葉でお別れの挨拶をしたあと)“カルボナーラー♪”と言ったのですが、あとからツイッターで“あれはどこの国の言葉ですか?”って、マジメに聞かれたりもして(笑)。あれはあれで、非常に楽しいイベントでした。


●曲はコンペで決定!?

──タイトル曲は舞浜で初披露されましたが、その時に歌いながら涙を流されていて。その理由についても訊きたいんですが、まずはいつくらいに制作されていたのかを教えて下さい。

VALSHE:秋くらいに『名探偵コナン』のお話をいただいたんですよね。ライヴに向けて制作をしている渦中だったので、『君への嘘』の制作に本格的に取り掛かったのは、ライヴの2週間前とか。

──かなり短い期間だと思うんですが、前回のスピーディなスケジュールで鍛え上げられただけあって、そこは問題なく?(笑)

VALSHE:スケジュールに関してはなにも問題なかったです。むしろ“二週間もある”っていう (笑)。

──頼もしい。では、コンセプトについてはどうでしょうか。

VALSHE:こうやっていつも取材していただいて……非現実な世界観をコンセプトにあてがうのがスタンダードな作り方としてお話させてもらっていたんですけど、今回は新しい要素がいくつかあって。まずは、楽曲の決め方。『storyteller II 〜the Age Limits〜』のときにminato、doriko以外の人たちから曲を募ったことが、すごく実のある制作だったねって話を発売前後にしてて。

あと、前から「これから先、エンディングテーマを歌える機会がもしあったら、リードでバラード切りたいね」って言ってたんです。そんなときに『名探偵コナン』エンディングテーマを歌えることが決まって。それで今回はコンペにしようって話になって何十曲の間から選ぶことにしました。で、minatoもdorikoも、フラットな形でそのコンペに応募するという。

──へえ! いち応募者ということですか?

VALSHE:そうです。他のかたが何十人といらっしゃいました。全部で50~60曲くらいあったかな。選び方としては、minatoとVALSHEが選考するということは変えずに、誰の曲かを自分に見えないようにして、パソコンで曲だけを流していったんですね。で、自分が残したい番号を書いていって。最終的に絞ったのが二曲だったんですけど、それが、minatoとdorikoの曲だったんです(笑)。それで、今回はminato&dorikoの初の競作に。

──何十曲もの中から2人のサウンドを選んだのが凄い(笑)。

VALSHE:自分でもそう思いました(笑)。やっぱり好きなんだなって。minatoの意見と照らし合わせても、やっぱりこの2曲のどちらかだってなって。で、最終的に今回は“minatoの曲じゃないね”と。

──その理由は?

VALSHE:minatoとdorikoの曲を比べたときに、dorikoの曲のほうが単純に今回のコンセプトに合っているなって、minatoと二人で話して、dorikoの曲にしようと。で、minatoとdorikoの関係性を活かして、もっとVALSHEらしいサウンドにしようよってところで、minatoの思うVALSHEらしさをうまく掛け合わせて、共作という形をとるのはどう?と。それに対して、両者ノリ気で一緒に作ってくれて。その結果、完成したのが、みなさんが聴いてくださってるこの曲なんです。

──二人の音に惹かれた理由については、どう分析されてますか?

VALSHE:単純に、自分がいいと思った曲は1回聴いてメロディが残る曲なんですね。次の日にも歌えるような、キャッチーなもの。あとは自分がイメージしているものだったり、歌詞を作りたいなと触発されるものだったり……最初の選考の段階では、「このタイミングじゃなかったら、この曲もいいよね」って思う曲がたくさんあったんですよ。

minatoは、VALSHEに向けて曲を作ろうとする際の独特のクセみたいなものがあるというか……自分の好きなところを知っているというのもあるんですけど。dorikoは、すごくメロディラインにクセのある人で。このコード進行はdorikoっぽいなぁと思いつつも、すごくいいなって。2人とも曲に個性のある作家なんですけど、作り方はまったく違うんですよね。minatoは鼻歌からが多く、dorikoはコードからが多くて。自分やっぱり二人の曲が好きなんだなって。

──選んだときのお二人の反応というのは?

VALSHE:minatoに関しては「やっぱりね」って。で、dorikoは、連絡したらものすっごく喜んでました。ダメなときは“ボツ”ってハッキリ断ることがある関係性のなかで「ドリちゃんの曲がすごく良かった」と。『名探偵コナン』のエンディングテーマということに、彼もすごく喜んでくれていて。みんなの満足いく作品になったという意味でも、バラードに挑戦して良かったなと思ってますね。

●「リアルであり、リアルタイムである」がテーマ

──dorikoさんの楽曲がベースになったということでしたが、具体的にどのような共同作業が行われるんでしょうか。

VALSHE:どの部分に手を加えて、みたいなことは敢えて聞いていなくて。だけど基本的には変わっていませんね。最後は上がるんじゃなくて、下がるとか、そういう細かなレベルで。二人にしか分からない会話をしながら、作ったんだろうなっていうのは感じています。

──制作中のお二人のエピソードがあったら教えて下さい。

VALSHE:今回も生のストリングスアレンジを入れているんですけど、それを録ったのが自分のライヴの前々日前くらいだったんです。せっかくだからライヴで新曲を聴いてもらいたい気持ちが強かったので、そこまでに作り終えたくて。まったく同時進行で作っていったんですけど、時間がどうしても合わなくて収録には行けなかったんです。もちろん、収録そのものには何も心配してなかったんですけど、収録から帰ってきたminatoの顔を見たら、すごくいい表情をしていて。で「dorikoもすごく喜んでいた」と。ものすごく満足のいく演奏をみなさんがしてくださったであろう事はその時点で確信を持てました。

──歌詞はどのタイミングで完成したんですか?

VALSHE:アレンジに出す前には出来てました。いつもだったらアレンジと平行したり、アレンジが出来上がってから歌詞を書くこともあるんですけど、そうならなかった理由としては、コンセプトがノンフィクションであるというところに繋がるんです。今回は“歌詞を持ち帰って考える”期間を設けなかったんです。いつもだったらデモが完成したら、一回家に持ち帰って時間の許す限り歌詞を書いていくんですけど、デモが決まって、アレンジに出す直前に「その曲、ちょうだい」って隣の自分がいつも居る部屋に行って、そのまま書いたんです。

──すぐに書けたとしたら、その理由が気になるところですね。

VALSHE:はい、もうすぐに。なんでかっていうと──どこまでノンフィクションなのかってところに話は繋がっていくんですけど、100パーセントノンフィクションで、リアルであり、リアルタイムであるというのが、今作のコンセプトなんです。過去の『V.D.』も実体験に基づいたリアリティのある楽曲はありましたけど、その場合は“過去にあったことを引き出して、今書く”という作り方が主だったんですよね。今の自分がそれを歌詞に残すとしたら……という書き方ではありましたけど、今回のように今まさにリアルタイムで起きたことを抽象的にせずに書くというのは初めてのことでした。例えば取材のなかで 「どういう風に歌詞を書いていきましたか?」「どういう風に言葉を選んでいったんですか?」って聞かれることが多いんですけど、今回は字数にハマるように思ってることを書いただけなので、今までで一番時間が掛かりませんでした。

──歌詞はすごくストレートで、デリケートな感情を描かれていますが……率直に何があったのか、聞いてもいいのでしょうか。

VALSHE:単純に別れの曲なんですけど……まぁ“そういうこと”があり。制作をしようと思ったときには、コトが起きていて。逆に言うと、それ以外のことを考えられない状況だったので、これしか書けなかったんだと思います。ただこれは、自分だけじゃなくて、minatoにとっても、dorikoにとっても、イラストレーターの白皙にとっても同じ別れだったので……。歌詞は自分の思っていることでもあり、その人たちの想いでもあるんです。

誰が倒れてもおかしくない状況のなか、“みんなもつらいから”ってみんなが思っていて。支えてくれる人たちがいて、ライヴもあって、だからこそ完成したのかなと。実は自分の心的な問題で、ライヴもできないかもって思うところもあって。そのなかでも作り上げられることができた、ライヴをやることができたっていうことが、別れの歌への自分なりの答えでもあるんです。

だから、ただただ別れの歌ではなくて、自分はこの曲は希望のある曲だと思っていて。こういう風に取材をしてもらっているのも、それを乗り越えたからこそだと思っているので……。この作品を作ることで、それにケジメをつけれたのかなと。人によって別れの形は違うから、いろいろな解釈で聴いてもらいたいなとは思ってます。

──この曲を作ったときって、きっと前向きにはなれない時期でしたよね。でも先ほど“ケジメをつけられた”とおっしゃっていた通り、今のVALSHEさんは、すごく前向きですよね。表情もすごく穏やかですし。

VALSHE:そうですね。前向きにさせてもらったんじゃないかなと思います。この楽曲を作れたこと、発表できたことで、ライヴをやりきることで、区切りをつけるんだって決めて臨んでいた部分があったので。でも……まだ嘘のままかなと思います。嘘を本当にさせようとしてくれている人たちが周りにいるので、自分はすごく救われていますし、きっと本当になります。

──あの日の涙の理由が分かった気がします。ファンのことを心から信頼しているからこそ、素のVALSHEさんとして歌うことができたんでしょうね。

VALSHE:そうですね。ビジュアル面も今まではコンセプトに沿って作り込んできたんですけど、今回はありのままの表情で作らせてもらっていたので。信頼関係の形というか──「きっとこういう姿を見せても受け止めてくれるだろう」「こういう曲を出しても、きっと大丈夫だろう」って思ったからこその楽曲発表でもあったので。でも、実は泣くと歌えなくなるタイプなので、必死にこらえはしたんですけどね(苦笑)。

皆さんの懐の深さに甘えて、自分のことを歌っているものの、『名探偵コナン』を見ている人にも楽しんでほしいし、聴いて下さったにも残るような曲にしたいなとは、こういう状況下でも思っていました。

──素朴な疑問なのですが、『名探偵コナン』側からリクエストみたいなものはあるんですか?

VALSHE:ありませんでした。でも『名探偵コナン』のエンディングならバラードがいいなと思っていて。そこは本当に自由に作らせていただいたんですが、エンディングの映像を観たときにすごく感動して。監督さんがすごく歌詞を読んでくれているんだなということが分かる映像だったので嬉しかったです。


●『microSOLDIER』は「自分なりの意思表示」

──2曲目『microSOLDIER』はこれまでのVALSHEさんの持ち味が活きたエネルギシュな攻めの曲で、タイトル曲とは正反対ですよね。聴いていると気持ちがスカッとするような、デジタルロックサウンドです。

VALSHE:ライヴの前後に作っていたこともあって、ライヴを意識したサウンドメイクになってます。バラードをリードに持ってきたら「カップリングは対照的な曲でいきたいよね」って話を前からminatoとしていたんです。かなり高速なリズムを刻んでいる楽曲をあてがったんですけど、『君への嘘』と関連性がないかと言えば、実はすごくあって。

──と、いうのは?

VALSHE:『microSOLDIER』は『君への嘘』と、制作時期がまったく一緒なんです。ニュアンスは少し変わるんですけど、リアルタイムの心境という意味で、同じコンセプトで。『君への嘘』のようなことがあるなかでも、「ある場面ではこういう風にも思ってるんだよ」っていうのを詰め込んだのが『microSOLDIER』。おっしゃるとおり、対照的な言葉、対照的に見える気持ちなんですけど、『君への嘘』があったからこそ、こういう歌詞が書けたんだろうなと思います。今までの通り言葉遊びを楽しみつつ、抽象的な響きをどう残すか考えつつ、歌詞の作成をしました。

──ラップのコールアンドレスポンスもあり。あの部分は特に歌っていて楽しかったのでは?

VALSHE:楽しかったですね。ラップは自分の声とminatoの声が入ってるんですけど、二人ともすごく楽しみながら歌うことができて。ミックスにもこだわりました。ファーストシングル『REVOLT e.p.』振り、なので4年半ぶりくらいに、ラップを入れたんです。コールアンドレスポンスの部分は、自分なりの意思表示でもあります。

その意思表示とは何かというと、『君への嘘』のような楽曲に──全てではないにしても、こうやって取材でお話していくなかで──『microSOLDIER』という曲があることで、自分が今後どうしたいかは伝わるだろうと。今回のラップは歌詞表記を意図的につけているので、覚えて会場に来てほしいですね。

──ラスト3行の歌詞の<最小はZERO 最大CHAIN 最後の一瞬(とき)まで後悔しなくてもいいように戦っていく(いきていく)/たとえ朽ち果てようともこの戦場(ステージ)で>という部分は、VALSHEさんの決意表明と捉えてよろしいでしょうか?

VALSHE:そうですね。『microSOLDIER』って、自分も含め、周りのすべての人たちのことを歌っている曲なんですけど、周りのひとたちに心が救われることが多くて、特に今は救われたと感じることを肌で感じる時期でもあって。自分はこのひとたちと一緒であれば、こういう想いを持って次にいけるだろうと思ってるんです。……今でもひとりだったら何もできなかったと思いますと。

──戦場という言葉に、“ステージ”というルビがふってあるんですけど、ここでいうステージはライヴなのか、それとも人生そのものを指しているのでしょうか。

VALSHE:これに関してはライヴのステージに関しても、こういう職業のことともいえます。ステージは幸せを感じられる場所でもあり、戦場でもある場所ですね。

──VALSHEさんらしい考え方ですね。『microSOLDIER』のアレンジはHΛLの元メンバーでもあるMayuko Maruyamaさんが担当されていますね。Maruyamaさんは、これまでも『storyteller II~the Age Limits~』の『WISHLIST』なども手がけられています。

VALSHE:イメージした通りの、もしくはイメージ以上の楽曲で仕上げてきてくださったので、もうすごく嬉しかったですね。特に丸山さんのギターアレンジが好きなので、ギターソロにもぜひ注目して聴いていただきたいです。

●「夢」が基になったヴィジュアル面

──M-3には98年~99年に掛けて『名探偵コナン』のオープニング楽曲となっていたTWO-MIX『TRUTH〜A Great Detective of Love〜』(98年11月リリース)のカヴァーが収録されています。めちゃくちゃカッコいいカヴァーになりましたね。

VALSHE:過去にもカヴァー曲を歌わせてもらっていて、その時の動機とまったく同じなんですけど……『TRUTH〜A Great Detective of Love〜』が大好きなので、歌ってみたかったんです。VALSHEもminatoも、TWO-MIXさんが大好きで、そのなかでも『TRUTH〜A Great Detective of Love〜』はすごく印象深い大好きな楽曲だったんです。あと、対談の機会もいただけたこともあったので、ぜひ歌わせてもらいたいなと。

カヴァーをするにあたって“VALSHEらしさを出せるか”というところは第一に意識しました。あと、自分は出来るだけ原曲とキーを変えたくないので、原曲キーのままでリアレンジをしてどうなるかってところはある程度イメージした上で曲を選考していきました。

──これまでと違う趣のジャケットは、VALSHEさんのアイディアですか?

VALSHE:ジャケット、ミュージックビデオは従来通りの作り方ですね。自分の持つイメージを白皙と共有するところから始まって、そこから更にみんなで情報共有をしながら完成まで持っていくっていう。ただ白い背景、黒い衣装に関しては、自分の夢から作っていて。

──夢、ですか?

VALSHE:はい。『君への嘘』の出来事が起こってから、自分の気持ちにある程度段落がつくまで、同じ夢ばかり見る時期が2か月くらいあったんですけど、まったく色がなくて、自分が真っ黒でほかが全部白いというすごく気持ち悪い夢で。ミュージックビデオのほうが、そのコンセプトが濃く反映されています。構図に関しては周りのひとたちのアイディアも訊きつつですが、表情は素のままで……。

──ヴィジュアル面に関しても、こんなにも素の表情を見せることは初ですよね。

VALSHE:なかったです。初回限定盤、アー写ともに涙を流しているカットなんですけど、ラフの段階で涙を流している状態の絵だったので、あとから考えれば当然なんですけど、撮影のときに涙の用意があったんですね。それをつけて撮影に臨んだんですけど、終始泣いて撮影していたので、自分の涙で結局全部流されてしまったという(苦笑)。なんで、メイクさんにはご迷惑をおかけしましたが、誰も何も言いませんでした。

みんなも分かった上で一緒に作ってくれているので、誰も何も言わないのが優しさなのかなと思いながら、それに甘えて撮らせてもらって。結果的にイメージした以上のものができたと思います。


●今年は「直接聴きにきてもらう機会を作りたい」

──ところで、ジャケットの文字はVALSHEさんが書かれているんですよね。

VALSHE:はい。

──相変わらず達筆ですね。見習いたい。

VALSHE:いえいえ(笑)。そうそう、今回はリードで初めて英語を使ってないんです。こういうコンセプトだし、直筆が合うんじゃないかと思って、歌詞以外のコメントを直筆で書かせてもらいました。

──今回の特典がかなり豪華で、気になるのが、白皙さんと……VALSHEさんの2ショットイラストを……。

VALSHE:なんだそれはっ!?(笑) 

──「白皙がアナタとVALSHEの奇跡の2ショットチビキャライラストを制作! 10名様」という特典です(笑)。

VALSHE:ああ、これは応募してくださった方のお顔の写真を送っていただいて、自分のチビキャラと2ショットになったイラストを白皙さんが描くという。自分と白皙の2ショットイラストとか、誰もいらないですよね、きっと……でも想像したら、ちょっと面白くて笑える(笑)。

──自分の言葉足らずで失礼いたしました(汗)。こういう企画ができるのも、イラストから始まっていったVALSHEならではですよね。

VALSHE:すごく楽しい企画だと思います。4つの作品の裏面を並べると、ひとつの絵になったり、暗号が隠されていたりとかって企画もあって……。従来通りのやり方で、TEAM VALSHEのみんなが意見を言い合うという制作スタイルを取った結果、今までやったことのないような企画や特典ができました。なので、ぜひ皆さん応募して、2ショットでうつりましょう(笑)。

──では2015年はどうなりそうですか、というのを最後の質問にさせてもらえれば。

VALSHE:今年は5周年を迎えさせていただくのですが、一発目にこのシングルを出せてよかったと今思っています。せっかくこういうコンセプトの曲を作ったので、直接聴きにきてもらう機会を作りたいですね。前年、前々年と徐々にお会いする機会が増えたので、それをフルに活かした5周年にできればいいなと思ってます。

──それはつまり……期待しちゃっていいですか?

VALSHE:期待しちゃってください(笑)。

──楽しみにしています。ありがとうございました!

[取材&文・逆井マリ]


■VALSHE 9th Single『君への嘘』
2015.2.4 Release


【初回限定盤】CD+DVD 1,800円+税
[CD収録内容]
・君への嘘
 lyrics by VALSHE
 music by doriko & minato
 arrangement by G’n-
 strings arrangement by Daisuke Ikeda

・microSOLDIER
 lyrics by VALSHE
 music by minato
 arrangement by Mayuko Maruyama

・君への嘘(Instrumental)
・microSOLDIER(Instrumental)

[特典DVD収録内容]
・「君への嘘」MUSIC VIDEO
・メイキング映像

[封入特典]
・直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットA


【名探偵コナン盤】2CD 1,500円+税
[CD収録内容]
・君への嘘
 lyrics by VALSHE
 music by doriko & minato
 arrangement by G’n-
 strings arrangement by Daisuke Ikeda

・microSOLDIER
 lyrics by VALSHE
 music by minato
 arrangement by Mayuko Maruyama

・君への嘘(Instrumental)
・microSOLDIER(Instrumental)

[特典CD収録内容]
・VALSHE×江戸川コナン×毛利小五郎 夢のスペシャル対談

[封入特典]
・直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットB


【通常盤】CD 1,200円+税
[CD収録内容]
・君への嘘
 lyrics by VALSHE
 music by doriko & minato
 arrangement by G’n-
 strings arrangement by Daisuke Ikeda

・microSOLDIER
 lyrics by VALSHE
 music by minato
 arrangement by Mayuko Maruyama

・Bonus Track TRUTH ~A Great Detective of Love~(TWO-MIX cover)
 lyrics by Shiina Nagano
 music by Minami Takayama
 arrangement by G’n-

・君への嘘(Instrumental)
・microSOLDIER(Instrumental)

[封入特典]
・直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットC


【Musing盤】CD 4,000円+税
[CD収録内容]
・君への嘘
 lyrics by VALSHE
 music by doriko & minato
 arrangement by G’n-
 strings arrangement by Daisuke Ikeda

・microSOLDIER
 lyrics by VALSHE
 music by minato
 arrangement by Mayuko Maruyama

・君への嘘(Instrumental)
・microSOLDIER(Instrumental)

[特典GOODS]
・タペストリー(※A3サイズ)

[封入特典]
・直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットD


>>VALSHE OFFICIAL WEBSITE

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