音楽
「VALSHE LIVE THE UNIFY 2022 ~Follow the Tracks~」レポ

アニバーサリーツアー完走! ライブツアー「VALSHE LIVE THE UNIFY 2022 ~Follow the Tracks~」で果たした約束と、次の約束「今この瞬間、VALSHEは、この世界で、戦って、抗って、生きていくって決めた」

『名探偵コナン』主題歌を筆頭に多数のタイアップ曲を歌い、2021年末には6thミニアルバム『ISM』を発売したシンガー・VALSHEが、9月23日(金・祝)、品川インターシティホールにてツアー<VALSHE LIVE THE UNIFY 2022〜Follow the Tracks〜>のファイナル公演を開催した。

本ツアーは2020年に開催することができなかった10周年と、12周年のアニバーサリーを祝うステージになる。「アニバーサリーツアーでは、ファンの皆さんが応援し支えてきてくれた日々を経て成長した姿を見せたい気持ちもあれば、予定調和ではない、LIVEだからこその一瞬一瞬を大切にしたいし発見していきたい思いもあって。そのすべてが、軌跡を辿る時間になっていて欲しいという思い」でタイトルをつけたと、ライブ前のインタビューで話してくれていたVALSHE。

12年の軌跡をたどる3時間に及ぶステージは、宣言どおり「予定調和ではない」奇跡の瞬間の連続だった。その模様をレポートする。

12年間の歩みを振り返って

教会をまっすぐに、迷いなく歩く靴の音が響く。モニターには【統べて一つになる】という思いが込められた、10周年ナンバー「UNIFY」による重厚なオープニングムービーが映し出され、MVで着用していた純白のドレッシーな衣装を身にまとったVALSHE、そして、同じくMVの衣装を見に付けたダンサーが、バンドメンバーが待つステージに到着。

その様子を見て「えっ?」と驚いた表情をしているファンも。実はバックダンサーが登場するのは本ツアーでは初めてで、事前アナウンスなしのサプライズでの登場だ。VALSHEの粋な計らいである。

この日を讃えるかのような心臓の音が鳴り響く中、一瞬の静寂。そこから始まったのはもちろん「UNIFY」である。シンガロングの波動で観客の熱量を高めていく様、ダンサーに掲げられながら喝采の歌を高々と届ける姿は神々しさすら感じさせた。

ヘッドセットマイクからハンドマイクに切り替え、2020年に発表された「ACE of WING」へ。<一蓮托生の傷を受け入れた日 絶望的に暗い場所に僕らは立っていて>という言葉に特に熱が帯びたように感じたのは、VALSHEも含めた我々が置かれている“今”を無意識に重ねてしまっているからなのか。<わからないまま、がむしゃらに>過ごしてきたその日々を切り開いたのは「Buttefly Core」。『名探偵コナン』オープニングテーマであり、デビュー以来イラストのビジュアルで活動してきたVALSHEが、初めて実写をジャケットに仕様したシングルでもある。【此処に足る証明】として序盤から気合十分の姿を見せ、この日初めてのMCに。

「皆さん、ついにやってきました! 本日ファイナルです! 東京からスタートし、大阪へ。3年ぶりの名古屋公演を紡ぎ、ファイナルのこの日、誰ひとり欠けることなく、東京に帰ってくることができました! ありがとう! 今日は一人ひとりの君が共に歩んできた歴史を、VALSHEとみんなとの時間を、そして、VALSHEと一人ひとりの君だけを思い出を。新たなるスタートを切る前に、今日、存分に振り返っていただければと思います」

優しい口調が一転、声に力が籠もる。

「10周年、12周年……“執念の今日”を、はじめるぞー!」

語尾に力を入れて叫ぶと、通算100曲目という節目を飾った「「SYM-BOLIC XXX」」(2019年)に。「これまでの、そしてこれからのVALSHE」を象徴したナンバーがアニバーサリー・イヤーに特別な光を放つ。バンドメンバーも思わず前のめりになり、観客のエネルギーを高めるのに一役買う形となった。

1stシングル「REVOLT」、コンセプチュアルな「Tigerish Eyez」(2013年)、『名探偵コナン』エンディングテーマ「君への嘘」(2015年)と、王道ナンバーが時代を超えて手をつなぐのもアニバーサリーライブならでは。中でもバラード「君への嘘」では、今この曲だからこそ伝えられるメッセージを視覚、聴覚の双方から伝える形に。「明日のVALSHEへ」と題されたVALSHE直筆の手紙がモニターに映し出された。

「たくさんの人に心配をかけた たくさんの人の愛情に気付いた 自分のための別れの歌を 誰かのための希望の歌へ」

12年もの期間、活動を続けていれば、その道のりが必ずしも常に順風満帆ではなかったことは容易に想像できる。そんな道のりをじっくりと振り返るように歌うVALSHEの姿に、画面の文字と「君への嘘」の歌詞がオーバーラップしていく。客席からはすすり泣くような声が響いていた。その手紙を締めくくるのは、これまでのライブの軌跡を追った映像。ライブアレンジのインストゥルメンタルが優しく包み込む中で、12年間の思い出を改めて共有した。

ダンスセクションの中盤戦

バンド演奏によるインタールードを挟み、騎士のような高貴なジャケット姿&ヘッドセットマイクに変わったVALSHE。さらにもう2人のダンサーが加わり、4人のダンサーによるダンスセクションがスタートだ。

2枚目のシングル「jester」を含む4曲をメドレー形式でつなげ、最新ミニアルバム『ISM』より中毒性を染み込ませた「GIFT」を贈る。4人のダンサーとのコラボレーションは続き、和をテーマにした「今生、絢爛につき。」では扇子を振って華麗な舞を披露。さらに「Show Me What You Got」からはじまるメドレーと、多角的な顔を持つVALSHEの、エンターテイナーとしての側面を強く見せていく。

「君への嘘」がエモーショナルな終わりだったからこそ、再登場後の息もつかせぬ怒涛のダンスセクションが一層熱く感じられる。 この舞台でやり残したことを一切残したくない、と言わんばかりだ。このライブにかける執念と覚悟を十分に感じるエネルギッシュなブロックだった。

ありのままのVALSHEをぶつける

「ダンサーとバンドが合体するのは(2015年の) LIVE THE ROCK!! 振りなんです。ここからまだまだ、頑張っちゃいたいと思っています。さらに皆さんに壊れてもらおうと思っています。良いですか!?」

ペンライトを使った参加型コーナーにこぼれた「このあとはすげぇからな!」との煽りの通り、クライマックスまでの「COUNT DOWN」が始まり、激しさが加速していく。その激しさとストーリーテリングの妙が絡み合う「ジツロク・クモノイト」でヘッドバンキングを誘い、ライブ曲「DOPE」、代表曲の一つ「PLAY THE JOKER」へ。自問自答しながら覚醒していく様を描いた「RIOT」ではVALSHEのロングトーンが冴え渡る。VALSHEの叫びに呼応するかのように、観客も高く手を上げた。

「……今日はファイナルということで、いつも以上にいろいろなことを思い出して、いろいろな思いを詰め込んで、今日すべて伝えきろうと思い、このステージに立たせてもらっています。でもみんなの熱気、表情、今この瞬間にしかない、みんなの思いを感じて、とっても楽しませてもらっています、ありがとう!」

改めて感謝を伝えたあとは、「みんなは知ってるかもしれないけど」と前置きした上でVALSHEのアイデンティティを主張する。

「グレーなことが嫌いです。自分の意思を曲げるくらいだったら、そんな大人たちを敵に回しても構わないと思ってた。戦って、戦って、それでも何も変わらなくて。ふざけんな!って叫びたい日もありました。そんな日は君に何度も何度も救われました。抗って、抗って。涙を流して、喜びを分かち合ったこともありました。目に見えないでっかい渦に飲み込まれて、惰性で作った音楽では人の心は動かない。だからこそ、想いを曲げるなよって。自分の心に、君に、誓いました。今この瞬間、13年目を生きようとするVALSHEは、この世界で、戦って、抗って、生きていくって決めたから」

時に声を荒げながら強く訴えたあとは、一切フィクションのない“VALSHEそのもの”を描いた2曲「RAGE IDENTITY」、「Myself -DECADE-」で本編を締めくくった。<戦って戦って散っていくなら本望だろ><自分の弱さ見逃して手に入れるリアルなんて要らない>と、自分の主義主張を曲げるくらいならきっぱりとNOを突きつけるという意思を改めて強調する。不器用すぎるほど誠実で潔い。その芯の強さこそVALSHEである。これからも抗って戦って生きていくことをファンに、そして自分自身に誓い、胸を張ってステージを後にしたのだった。

アンコールでは4曲を

止まない拍手に応えてアンコールへ。おそろいのライブTシャツを着たVALSHE、バンドメンバー、ダンサーが再びステージに現れるとライブの定番演出「コドモ団」のコールアンドレスポンスが。コミカルさが入り交じる「ドミノエフェクト」で、手拍子やペンライトを駆使するファンとにぎやかな時間を過ごすと、葛藤と光を描いた「Fragment」へ。<この足を止めず 誰よりも遠く 迷うことの繰り返しだったとしても>と、その切実な想いを届けると、1分1秒の時間を惜しむかのように、その場の空気を全身で感じながらのMC。

“これから”の未来地図を語り「あなたと出会える道に出会えて良かったと、今心から思っています。そんな12年間をありがとう」と涙を流すVALSHE。そして、その万感の思いを込めたバラード「Sincerely」で、“あなた”に出会えた感謝の気持ちをまっすぐに届けた。

「今日の時間が終わってほしくない。みんなとの思い出がたくさんあるから。今ここにいることが全てだと思っています。10周年、12周年の執念のライブ、そんな日にさ、いろいろな約束ができたら最高じゃない?」

そして、VALSHEが出演する舞台『Wizards Storia』第二弾が決定したこと、7th mini ALBUM『SAGAS』が2023年に発売されること、VALSHE LIVE TOUR 2023「PRESENT -revenge-」が開催されることを続々発表。それまで声を出すことを控えていたファンから悲鳴に近い声が漏れた。

「12年間を完走して、今日はVALSHEと皆さんの、13年目の新たな始まりの日。13年目にふさわしい約束を君に伝えたいと思い、今日ここにいます。みんな、一緒についてきてくれよな!」

ダンサーとバンドメンバーが再び集結し「最後の最後まで音楽を楽しんでいこう!最後に、みんなとVALSHEの歌を!」と、今のVALSHEの証明(こたえ)をポップな「Shout of JOY」に込める。執念を持ってやり遂げたファイナルに、リベンジを含めた、13年目の約束。みんなで手を振りながら、ありったけの想いを共鳴させる。

「ありがとう!」

惜しみない、万雷の拍手がステージに注がれる。13年目のVALSHEに、期待を込めて。

[テキスト・逆井マリ]

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