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秋アニメ『直感×アルゴリズム♪』福原慶匡Pインタビュー

秋アニメ『直感×アルゴリズム♪』福原慶匡P、放送前なのに激ロングインタビュー! 日中合作生アニメを生み出す苦労とCGキャラ成功の秘策とは!?

10月放送予定の日中合作生アニメ『直感×アルゴリズム♪2nd Season(以下 直感×アルゴリズム♪2)』。1st Seasonと同様にNTTドコモと中国チャイナモバイル関連企業「ミグ文化(※)」がタッグを組んで製作中の作品だ。本作からプロデューサーを務めるのは、福原慶匡プロデューサー。

今回は放送開始前だけど、『直感×アルゴリズム♪2』の仕事を始めたきっかけや、中国企業と仕事をして感じたことなど、たっぷりお話を聞かせていただいた。また、NTTドコモで製作指揮をとる副島義貴プロデューサーにも同席していただいた。

昨今のVチューバー人気についても聞いてきたので、前作『直感×アルゴリズム♪』や『みならいディーバ』を始めとする生アニメファンだけでなく、CGキャラクターが好きな読者は必読!

(※)ミグ文化:中国通信最大手のチャイナモバイルの関連会社。アニメはじめ様々なコンテンツビジネスを手掛ける企業。

 

プライベートの中国視察がきっかけに仕事をすることになった福原P

――福原さんが『直感×アルゴリズム♪2』を担当するようになったきっかけを教えてください。

福原慶匡さん(以下、福原):2017年9月ごろ、中国の上海にアニメの視察に行ったんです。そのときは完全にプライベートで行ったんですけど、そのとき感じたことをツイートしたら、ドコモの副島さんが見てくれて、声をかけてくださったのがきっかけでした。確かそうですよね?(笑)

NTTドコモ・副島義貴さん(以下、副島):はいそうです。実は2017年10月に『直感×アルゴリズム♪』の放送が終わって、中国のミグ文化さんと「2期はどうしようか?」という話をしていたんです。NTTドコモとミグ文化さんの話し合いの結果、2017年11〜12月ころには2期の制作は決定しました。

――2017年中には決まっていたとは。

副島:そうなんですが、僕としては1期を造ったときに反省点があって、日中の制作の考え方や作り方を変えないといけないな……と考えていたんです。そんなタイミングでなにげなくTwitterを見たら、福原さんが中国のアニメ産業について投稿してたんです。それを見て、中国に対して前向きな姿勢の福原さんなら、「プロデューサーに最適だ!」と思って声をかけさせていただきました。

――バッチリなタイミングだったんですね!

副島:しかも福原さんは、「生アニメ」を知っているどころか、当時僕が所属していたNOTTV(※)で『みならいディーバ』という生アニメを立ち上げた人の一人です。こんなに好条件な人物は地球上にいないわけですね(笑)。ですが、『みならいディーバ』のころから年月が経って、福原さんは『けものフレンズ』という大ヒット作を生み出した、僕の中では雲の上のような人になっています。だから恐れ多かったのですがダメ元を覚悟して、忘年会の席で「日中合作生アニメに興味ありませんか?」と話したんです。

 

(※)NOTTV:スマートフォン向けの放送局。アニメ・声優関連では、『声優生電話』『吉田尚記がアニメで企んでる』などの独立番組を放送。

――では福原さんが、そのとき副島さんから『直感×アルゴリズム♪2』の話を伺ったときの感想をお聞かせください。

福原:すごく嬉しかったですね。生アニメって、作るのはとても大変なんです。なのに、さらに日中共同制作だなんて。ネットのコミュニティーを軸に作らないといけない作品なのに、相手が中国です。中国の国策「グレートファイアウォール(国内から国外へのサイトアクセスや一部サービスが規制される)」は、文字通り大きな壁です。話を聞いただけで、課題が山積みなのはわかりました。でもポジティブに考えれば、これは一番難しいアニメです。ここで作品を作っておけば、経験したことは無駄になりません。今後、これ以上難しいことはそうそうありませんからね。

――それでは即答したのでしょうか?

福原:もちろんです。

 

 

福原Pが中国アニメ視察で感じたこと

――先程、福原さんは2017年にプライベートで中国のアニメ産業を視察したとおっしゃいましたが、具体的な目的があったのでしょうか?

福原:純粋に「見ておかないとダメだな」と思ったからです。昨今、中国のアニメ産業は勢いがすごいんです。ちょうど僕の後輩が上海に住んでいることもあって、彼にいくつかのアニメスタジオにアポをとってもらって、アニメ制作の現場やスタジオを見学してまわりました。

――まるで大人の社会見学のような?

福原:そうですね。もちろん普通に観光とかもしましたけど、それも見学しておいてよかったです。国の勢いみたいなものを体で感じました。そのときが初めての中国だったのですが、半年くらいで4回来ています。最近は中国での仕事もあるので頻繁に来るようになって、毎月1回は来ています。

――最初に中国に行ったときの感想は?

福原:月並みですが、やはり「デカいなあ」と思いました(笑)。国が広すぎて、全然目的地に着かないんですよ。なのに人がめちゃくちゃ住んでいるから、どこにいっても人がたくさん! そんな中国で、2〜3社のアニメスタジオをまわりました。彼らを見て、日本の制作会社とタッグを組まなくても、すでに独自にアニメを作れる開発能力を持っているとわかりました。

――そうなのですね。

福原:4〜5年くらい前だったら、おそらく日本の制作会社と組んで、アニメの作り方を学んでいたと思います。でもいまは、学びたい人がいたら学べばいいけど、必要のない人は勝手に作れる環境が整っています。現に中国の純国産アニメがたくさんあるので、偉そうに「日本と組んで作品を作ろう」なんてスタンスでは、うまくいかないと思います。反対に「一緒に面白いものを作りたいから力を貸して欲しい」という姿勢が必要なくらい、中国のアニメ産業は発展していました。

――そうだったのですね。知りませんでした。

福原:アニメ産業に限らず、中国に行った日本人が帰国したら「中国に勝てないよ」と言う人が多いです。その目で現状を見たから納得するんです。でも、一度も行ってない人は「いやいや日本が一番でしょ」と思っています。

――中国に意見をするなら、一度は中国に行くべき?

福原:その方がいいと思いますよ。別に僕は右寄りとか左寄りとかありませんし、日本のことが大好きです。そんな僕みたいな日本人こそ、今後の日本のために世界を知った方がいいと思います。それを知った上で、自分たちが日本人として何が売りになるかを考えないと、井の中の蛙になってしまいます。

 

『直感×アルゴリズム♪』1期と2期の変更点は手描きパートの有無!

――福原さんは中国の大企業「ミグ文化」と組んで『直感×アルゴリズム♪2』を作っていますが、1期と2期の違いはありますか?

福原:まず一番分かりやすいのがキービジュアルです。

▲2期キービジュアル

▲2期キービジュアル

――3DCGではないことに驚きました。

福原:2018年1月ごろからプロジェクトがスタートしました。僕が『直感×アルゴリズム♪2』の制作で、一番時間を割いているのは中国の方とのコミュニケーションです。電話会議もありますが、お互いのオフィスに飛んで行って打ち合わせもしています。そして、そこで見つかったいろいろな要望や課題を全部クリアしなきゃいけないんです。

――胃に穴があきそうです。

福原:1期のときの構成は、CGの「生パート」と「事前に作ったパート」のふたつにわかれていました。2期で同じことをするには、当然3DCGのモデルがないとできません。

――CGアニメなので当然です。

福原:いま作っている2期でも、生パートはCGになるのですが、CGが完成してから事前収録のパートを作ると納期に間に合いません。なので、まずはデジタル作画の「手描きパート」の制作をスタートさせました。これはセル調の手描きアニメです。

――えええ? 2期は手描きのパートもあるのですか? キービジュアルだけかと思っていました。

福原:一応見た目はCGにちょっと寄せようと思っています。『直感×アルゴリズム♪2』は冒頭の数分間に手描きのショートアニメが入って、それからCGの生アニメパートに移ります。

――それは1期との大きな違いですね。

福原:KEIさんの絵は非常に繊細なので、そのままキャラクターとしてアニメーションさせるのは大変なんです。それと、1期から少し時間が経過したので、作品としてのデザインを変更しています。

――イラストは2期もKEIさんでしょうか?

福原:キャラクター原案自体はKEIさんですが、中国からオーダーが来ることもあるので、KEIさんに確認を取って、必要な部分をデザインし直してもらったり、別の方に描いていただいたりしています。普通の手描きアニメでしたらキャラクターデザインの担当さんが描けばいいのですが、『直感×アルゴリズム♪』の作中に登場するキャラはCGです。だからCGを「版権用イラスト」として使えなくはないのですが、クオリティーがクライアントの意向に届かないこともあるので、レタッチが必要になる場合もあります。

 

1期よりも発展した視聴者参加型生アニメ

――実際にミグ文化さんとお仕事をされて、意外だったことはあありますか?

福原:かなり初期の段階で、「この作品のゴールはどこですか?」と確認したんです。一般的な作品だったら、例えばブルーレイやグッズの売り上げとか、いろいろな要望があります。でも、NTTドコモさんとミグ文化さんは「新しいことをやりたい」と言うんです。

副島:NTTドコモとしましては、お客様に、新しい通信規格の「5G」で、速度だけでない新しい体感をしていただきたいのです。またこのプロジェクトのパートナーであるチャイナモバイルさんも私たち同様に「5G」を活用した新たなビジネスを模索されています。なのでエンターテイメントを通じて、それが実現できることを目的にしたいと伝えました。

――アニメで新しいエンターテイメント体験ですか。

福原:だから『直感×アルゴリズム♪2』では、インタラクティブ要素を、いままで以上に取り入れるべきだなと考えています。

――1期でも制作サイドと視聴者が、コミニケーションを取りながら番組が進んでいました。

福原:そうですね。ですが1期は「ラジオで視聴者からお便りが来たから読もう」みたいな感じでした。もちろん、これも一種のインタラクティブです。『みならいディーバ』のときも、視聴者のみなさんにはTwitterを通じてたくさん投稿していただきました。

――では、2期ではもう少し進んだインタラクティブを企画しているのでしょうか?

福原:中国側の動画配信サイト「bilibili(ビリビリ動画)」ができるかどうかわかりませんが、ドワンゴさんの「ニコニコ動画」には協力していただいて、彼らの技術を少しカスタムしていただけないかな、とか考えています。

(※)bilibili(ビリビリ動画):中国最大の動画共有サイト。ニコニコ動画にも近いコメント機能を持っている。日本のアニメも多数配信している。

――具体的に、どのような仕組みになりますか?

福原:まだすべてを話せませんが、視聴者がコメントやアンケートで番組に参加すると、作中の映像で何らかのアクションがおこります。例えばコメントが1万件増えるごとに、チャレンジに使うボールが1個ずつ増えてくるとか、武器がどんどん強くなる、とか。

――視聴者のアクションを記録し続けてるということですか?

福原:そうですね。ニコ生の弾幕を単純に弾幕として流すだけでなくて、弾幕を生アニメシステムに取り込んで、演出にそのまま使えるんじゃないかなと考えてます。例えば「かめはめ波」とか「元気玉」じゃないですけど、コメントの大きさが攻撃力になるとか。

――ニコ生で見ている視聴者は、自分のコメントが番組に反映されたら嬉しいですね!

福原:それをさらに、できるかどうか分からないですけど、日中でやれたらもっと盛り上がりそうです。ふたつの国の視聴者が、どうやって番組を楽しんでくださるか楽しみです。

 

日中合作アニメの意味を考える福原Pの回答とは!?

――日本と中国の合作生アニメということで、いままでのアニメ制作と異なることはありますか?

福原:まず、このアニメが「日中合作」である意味を考えました。従来の映画とかでもそうですが、日米合作とか日仏合作とか言っても、観るときは母国語の吹き替えなり字幕なりで観るじゃないですか? 確かにお金を出し合って合作した映画ではあるけど、テーマ設定などをよほど折衷している作品じゃなければ、視聴者からしたら合作の意味がほとんどありません。日米合作映画をアメリカ映画として見ている人も多いと思います。なので『直感×アルゴリズム♪2』では、視聴者の方々にも日中で協力してほしいと思ってます。

――合作映画の例えはとてもわかりやすいです。

福原:そしてもうひとつ、「生アニメ」である必要性も考えました。一般的なアニメは5年とか10年経ったとき、振り返って見ても楽しめる作品性が高いエンタメなんです。作品性を高めるためには、当然作り込む時間が必要なので、生放送アニメには向きません。生放送というのは、そのタイミングのナマモノです。例えると、野球を録画して観る人ってあまりいないと思います。すでに終わった試合だったら、よほどのファンじゃない限りはダイジェストで見ると思うんです。

――スポーツニュースでいいですよね(笑)。

福原:なので、生アニメというのは、先程言った5〜10年先に見ても楽しめるアニメの長所と、生放送の長所をうまく取り込めないと、両方の魅力を打ち消しちゃうことになってしまいます。作り込んでいない作品みたいな形になってしまうことは最悪の状況です。生放送や技術はおもしろいけど作品としては全然おもしろくないとか言われたら、見てくださった方に申し訳ありません。生放送や新技術を使いたい制作サイドの欲望だけの作品になってしまいます。

――どんな技術が使われているかは、視聴者にはあまり関係ないです。

福原:制作側と視聴者が一緒に楽しむための仕掛けは、僕がいま携わっているDMMの「VRシアター」の生ライブなどが、いいアイデアになっているんじゃないかなと思っています。なので『直感×アルゴリズム♪2』は、僕がここ2年くらいでやってきた仕事の集大成になるといいなって思っています。

 

Vチューバー人気の現状から考える生CGアニメの価値

――「3DCGのキャラクターの生放送」と言うと、いまは「Vチューバー」が人気です。昔からリアルタイムで3Dキャラを動かしていた福原さんは、昨今のVチューバー人気をどう捉えていますか?

福原:『みならいディーバ』を作っていた当時、製作総指揮の吉田尚記アナウンサーが、ずっと「新しいこと! 新しいこと!」と言っていたのが、いまVチューバーという形で話題になっているのはおもしろい時代だと思います。当時僕らが使っていたシステムは高価すぎましたが、いまは機材も安くなり、他にもさまざまなタイミングが重なって流行しているのだと思います。

――いまVチューバ—を始めるのに、それほどお金はかからないそうですね。

福原:そうですね。当時と比べれば投資額は二桁違うと思います。セガさんのシステムを借りなくても、簡単なものであるなら自宅に『HTC Vive』があればできますから。

――福原さんはVチューバーの人気について、どのように考えていますか?

福原:僕はCGアニメのプロデューサーをする機会が多いので、昨今のVチューバー人気は大歓迎です。と言うのも、僕らがずっと戦ってきたのは「CGキャラはかわいくない」という偏見です。だからなるべくCGに見えないように、トゥーンシェーディングを使ったりして、キャラが魅力的に見えるように努力してきました。それが最近では、CGのVチューバーがたくさん登場して、多くのファンが好んで見ています。そう考えると、CGに対してのネガティブな先入観はだいぶ拭えていると思います。CGキャラをかわいいと感じてくださるVチューバーのファンのみなさんには感謝です。

――今後Vチューバーはどうなると思いますか?

福原:誰でも簡単にVチューバーを作れるハードルの低さから、ものすごい数のVチューバーが登場しています。ですがマネタイズの方法があまり確率されていません。現状、YouTubeの広告と、広告のタイアップ、投げ銭システムやリアルイベントのダイレクトな収益、この3つくらいしかインカムがないと思います。四天王と呼ばれるくらい有名になれば、いわゆる二次利用のマーチャンダイジングが発生するので稼げますが、それはほんの一握りです。

――それでは仕事にはなりませんね。

福原:おそらく、大多数のVチューバーの実態は、お金儲けよりも個人が楽しんでいる方が強いのではないでしょうか? もともとYouTuberに興味を持っていた方が、CG技術を持っているので始めてみたような感じだと思います。

――それに加えて、最近は企業もVチューバーを作っています。

福原:中規模に金をかけてやっているような企業は、おそらく投資額も相当なので赤字になっているでしょう。今後は撤退とか、開店休業みたいな感じになっていくんじゃないでしょうか。あとは、すでに一部の大企業は始めていますが、大規模な座組のVチューバーの登場ですね。彼らは規模が大きいだけあって、ものすごく計算されたキャラクターと世界観を持っているので、個人では太刀打ちできなくなるでしょう。以上を踏まえると、今後は趣味でやっている個人Vチューバーと、本気でやってくる企業Vチューバー、すでに成功を掴んでいる先行者Vチューバーの三者の構造になると思います。

 

福原Pが考える「魅力的なキャラクター」とはなにか?

――福原さんは、どのようなCGキャラクターが魅力的だと感じますか?

福原:Vチューバーを見ていて僕は、「プレイヤーの多くがモノづくりに触れて来なかった人達なのかな」と思うことがあります。IT系とかシステム系の方が中心となってVチューバーを作っているから、キャラクターとしてのストーリーやバックボーンがないキャラクターがたくさん誕生しています。

――バックボーンのないキャラですか?

福原:アニメのファンがキャラクターを好きになって応援するのは、そのキャラの世界観に共感できるからです。各キャラのセリフや行動などは、キャラ設定に基づいていますから。なので話を戻しますと、Vチューバーもキャラ設定を丁寧に作り込んでから世に出さないと、コンテンツとしては情報不足でファンがつかないと思うんです。しかもVチューバーは週に3回も4回も動画を出す人が多いので、中身がスカスカな上に、どんどん情報を出さないといけない。その結果、つまらない動画が量産されてしまいます。

――おっしゃる通り、不鮮明なキャラは応援しにくいと思います。

福原:だからVチューバーの多くは、外見はかわいいキャラクターだけど、設定は中の人頼みになっていることが多いんです。これはどちらかというとキャラクタービジネスよりも、タレントビジネスに近いです。僕は今まで音楽や芸能業界で働いてきましたがが、タレントを売るノウハウとキャラクターを売るノウハウはつくづく違うなと痛感しています。

――福原さんはアニメ業界以前から芸能で働いていますからね!

福原:いまからVチューバーで成功するためには、CGやITに強くて、なおかつキャラクターの設定や世界観をしっかり組み立てられるチームが必要だと思います。偶然にも魅力的なタレント性を持つ中の人を発掘してしまって、キャラクターもかわいいデザインができてしまったような企業は、うっかり成功要因はわからずとも成功してしまっている。そんな感じだと思います。
ただ、そのパターンで成功すると中の人中心のプロジェクトになるのでチームワークをどの程度キープできるかがポイントになるかと思います。
何せCGは大人数が必要ですから。

――『直感×アルゴリズム』の2期は、1期があるからすでにキャラ設定が固まっています。いまの言葉を借りると、1期の設定を使いつつ、別におもしろいことをしようと考えているのでしょうか?

福原:そうですね。やっぱりいろいろな夢がたくさん詰まった日中共同制作のアニメなので、日本だけでなく中国でもヒットしてほしい。あとはせっかくこうやってVチューバ—が世の中的に受け入れられているから、そういう遊びも入れたいです。

――具体的にどういうことを考えていますか?

福原:詳細は検討していますが、本放送と並行して生配信をするとかでしょうか。

――アニメの放送日じゃない日に?

福原:はい。世界観を背負っているキャラクターのまま生配信ができるので、アニメを楽しんでくださるファンの方々に喜んでいただけると思います。いま振り返ってみれば、『てさぐれ!部活もの』って、あのままあの子たちがバラバラでVチューバ—をやっていたら、すごいよかったんじゃないかと思います(笑)。

――それはとてもおもしろそうです! 彼女たちがVチューバーとして配信していて、週に一度だけアニメで集結するなんて、配信もアニメも全部見ないと。

福原:もちろんオフィシャルなアニメ放送だけ見れば完結して楽しめるようにはしないといけませんけどね。もし、それでも足りないという人は、個別の配信でも楽しめる、みたいな構造にできたらおもしろくなりそうです。

――『直感×アルゴリズム♪2』でも、そうしますか?

福原:まだどのように展開していくか、具体的なところにまでたどり着いていないのでお話できません。生放送のいいところでもあり悪いところなんですが、本放送直前のギリギリまで制作できちゃうんです。本来のアニメだったら、なにか変えようとしても脚本が固まっていたら変更はできませんけど、生アニメは欲張ろうと思えば、いくらでも欲張れます。

 

最新VR技術と共に楽しめる『直感×アルゴリズム♪2』のストーリー

――2期のストーリーは、すでに固まっていますか?

福原:ストーリー自体はシリーズ構成みたいなものがすでにできているんですけど、生アニメの部分はもう少し経ってからリサーチしながら作ります。いま、技術を持っているいろいろな企業に行くと、各社が楽しいVR技術を研究しているんです。

――そういった企業の視察も行っているんですか!

福原:はい。新しい技術を見せていただくと、「あれに使えるね」とかアイデアが出てきて刺激的です。今回は普段舞台などを中心に脚本・演出を手がけている「坪田さん」という方を監督に招いています。こんなことがあろうと、彼にはVRシアターの方で演出をちょこちょこお願いしてきました。当然ですが、アニメと生の舞台の両方で活躍しているような監督って、いないんです。アニメと実写の両方を作る監督さんは、たまにいますけどね。

――VRシアターを演出されていたら、生放送には強いと思います。

福原:さらに『直感×アルゴリズム♪2』はそれらに加えて、CGやVR、ネットコミュニティ、日中のエンタメ業界の知識が必要です。これらをひとりでこなせる人って、たぶんいません。なので坪田さんと僕は二人三脚で、アイデアを出し合って作っています。

――先程すでに固まっているとおっしゃっていた『直感×アルゴリズム♪2』のストーリーは、どのようなお話でしょうか?

福原:1期の世界観と同じで、お話も続き物のような感じです。前作のファンの方々の理想を詰め込んだ作品……みたいな感じでしょうか。ご覧になっていない方に説明しますと、『直感×アルゴリズム♪』はキリンちゃんとシーちゃんのふたりのAIのお話です。2期ではバニーPの計画で2人が音楽の大会であるFever Pitch Fesという大会に参加するのですが、この世界にはデジストームと呼ばれる協力な電磁波があるんです、その電磁波の影響で2人に様々なトラブルが訪れる…みたいな話です!。まだ詳しく言えませんが、第1話は見逃せないシーンがあるのでぜひお楽しみにしてください。

――現在の作業というかアニメ放送までの進捗状況は?

福原:10月の放送開始に向けて順調に進んでいます。CGのモデルさえできていれば、あとは脚本さえあれば生アニメのパートだけは放送できます。いまは僕らが日々出会うVR・ARのおもしろい技術を、どういう形で番組に組み込んでいくかを模索している段階です。

――ということは、技術ありきでお話を変える可能性も?

福原:大筋は変えないですが、表面上ストーリーに大きく影響がないものに関しては、技術を取り入れたりはあり得るかもしれません。スタッフから文句が出ない限りは、新しい技術を導入していこうかなと思っています。でもまあ、事故は起きそうですけど(笑)。本来、リアルタイムのCG技術って、基本的にはゲームやイベントのための技術ですから。

――『直感×アルゴリズム♪2』は、何分の番組ですか?

福原:前作は30分でした。しかも番組中は日本語と中国語が混ざっていました。今回は日本語版と中国語版がしっかり別れていて、30分×2回の合計で60分番組です。

――そこも前作との大きな違いですね。

福原:1期は劉セイラさんという、バイリンガルのすごい声優さんの力で番組が成り立っていましたが、30分のなかで日本語と中国語が飛び交っていて、なおかつ字幕も出ていたため、かなり集中して見ないと内容がわからないアニメでした。

――そうですね。一般的なアニメとはかなり違いました。

福原:いまの時代、アニメに限らずエンタメコンテンツが多いので、「なんとなく見よう」という視聴者も多いんです。そういう方々にとって、1期の『直感×アルゴリズム♪』は視聴ハードルが高かったと思います。音声も字幕も出るので、しっかり見ないと理解できませんから。そういう時代背景を踏まえて、2期はより多くの人に見ていただく工夫を考えています。

 

福原Pの持つ人的資源を集結させた作品『直感×アルゴリズム♪2』

――『直感×アルゴリズム♪』という作品が、どれだけ課題が多いかわかってきた気がします(笑)。

福原:気づいちゃいましたか?(笑) こういう仕事って珍しいんですよね。僕を含め、スタッフの誰もが経験したことがないから、作りながら「これって、もしかしたらこうなんじゃない?」などと試行錯誤しながら企画を進めています。スタッフにはかなり無茶を強いる感じの作品です。だから、今回スタッフの多くは、僕が仕事をしたことある人で固めました。CGもDMMのチームです。それ以外に音楽チームも脚本チームも、多少の無茶振りは許してくれるような方々です。

――役者さんも無茶振り対応の方ですか?(笑)

福原:キャスティングの理由はバイリンガルである事が多かったと思いますが、リアルタイムだからこその信頼できる関係性は必要なので、事前にキックオフ飲み会や歓迎会をしたりとコミュニケーションの向上を図っています。スタッフと役者の関係性の向上が作品の面白さに比例すると思っています。

――では一番しんどい設定は何ですか?

福原:番組の構成を考えているとき、頭の中でシミュレーションをするんです。こうしたら、こういうリアクションをするだろうな……みたいな想像です。そんなとき、「日本人ならどうするか?」は想像できますが、中国人がそれを見たとき、どのような反応をするのか、まだ予測できません。これは僕がまだ足りていないところです。こっちが感動してほしくて作った構成を、中国人からしたら笑ってしまうかもしれない。また、すごくおもしろいと思って作ったパートが、思いっきり滑るかもしれない。そういうことは、放送をスタートしないとわかりませんが、絶対にあると思うんです。もちろん、制作段階では僕らにできる最高のものを作っていてもです。

――そうなった場合、どうしますか?

福原:生アニメなので放送終了後に会議というか、反省会があります。なので、その都度修正をしていきます。とは言っても、すぐに修正できる部分と、できない部分があります。だから初期の数話が一番たいへんでしょうね。

――『みならいディーバ』のときも、そうでしたか?

福原:『みならいディーバ』の時代は「生アニメ」が新しかったので、なにをしても「新しいからね!」で許されることが多かったんです。ですがいまは、リアルタイムにCGを動かすだけじゃ誰も感動してくれません。確実にハードルは上がっています。『直感×アルゴリズム♪2』は、日本人と中国人の新しいモノが好きな人が見る可能性が高い作品です。彼らは普段からいろいろなコンテンツを見ているので、特に目が肥えています。

――苦労談が耐えません。福原さんは、よくこのお仕事受けましたね(笑)。

福原:僕は昔から、そういう仕事ばっかりでしたからね(笑)。逆に言うと、すごい有名なスタッフが揃っていて、原作が大ヒット小説とかだったら、僕なんて必要ありませんから。
何か新しいチャレンジをしたい作品に求められることが多いと思います

――では、福原さんにとって『直感×アルゴリズム♪2』の目標は?

福原:僕は常々、いろんな作品のプロデューサーとかをやらせていただいてますが、別に自分が絵を描けるとか音楽を作れるとか、なにかの技術を持っているわけじゃありません。つねに誰か才能がある人を中心に据えて手助けする事で仕事を成立させているんです。

――いやいや、そんなことは。

福原:でも、僕がなにも技術を持っていない立場だからこそ、技術を持っているみんなをまとめるところに楽しさがあるんだと思います。『直感×アルゴリズム♪2』という作品は、僕がいままで携わった作品群のなかで、制作を手伝ってくれるスタッフの職種が過去最多だと思います。ありとあらゆるジャンルの方々にヘルプしてもらっています。なので、僕のこの作品の目標は、大勢のスタッフを、どれだけ上手に調整できるかというところでしょうか。

――何人ぐらいが関わっているんですか?

福原:人数で言うと、おそらく40人くらいだと思います。通常のアニメは何百人ものスタッフが携わっているので、人数だけ聞くとかなり少ないです。ですが、通常のアニメならばスタッフは全員「アニメの国」の住民。『直感×アルゴリズム♪2』のスタッフは、いろんな国の住民がチームに集まってきています。彼らは文化も言葉も違います。だから打ち合わせで「普通はこうだよね」と伝えても、「僕の世界では違う」とか、「私の場合はこうよ」とかでそもそものルール合わせから始まります(笑)。事前に知識と現状のすり合わせを言語化しておかないとプロジェクトがなかなか進みません。その部分をいかに上手く調整するかに、力が求められています。

 

今後は中国での展開や評価を気にするのが大切?

――『直感×アルゴリズム♪2』では、リアルイベントも検討されていますか?

福原:想定しているイベントはあるんですけど、まだ決定には至っていません。構想中ですというところです。

――それは中国でも日本でも?

福原:そうですね。基本的に人数が中国より多いですから。

――中国でイベントを開催することを、事前に想定して作っていますか?

福原:いや、あんまり中国をヨイショしたりしませんが、視聴者のアクションをインタラクティブに取り込んでいく作品という性質上、もちろん中国人の反応も意識しています。『直感×アルゴリズム♪2』に限った話ではありませんが、今後の日本人にとって、中国人がなにを考えているのかを知ることは大事だと思います。アニメだけでなく、どの産業も中国の市場は無視できません。でも、中国人も我々と同じアジア人です。日本人が「いいな」と思うものを、中国人も受け入れてくれることが多いです。番組を放送して、そんなことを感じられたら嬉しいですね。

――中国のスタッフの皆さんと仕事をやっていて、よかったことや困ったことがあれば教えてください。

福原:困ったことはたくさんありますよ(笑)。

――言える範囲でお願いします(笑)。

福原:物事のアプローチの仕方が違うと思いました。「合理性」の言葉の意味が違うように感じています。僕ら日本人は、プランをしっかり考えた上で、なるべく無駄を省く行動を起こすことが「合理性」だと思うのですが、中国は反対でした。とりあえずなんでもやってみて、ダメなものはすぐやめるんです。

――とりあえず作っちゃう?

福原:そうですね。本当にそういう状況が多いです。イベントでデジタルサイネージの「シーちゃん」が展示されていましたが、あの衣装は僕ら日本人のスタッフは直前まで知らなかったんです。誰かが勝手に作っちゃったんですよね(笑)。日本人からしたら冗談みたいな話ですが、「とりあえずおもしろそうだから作ってみた」のような感覚なんです。

――無許可で衣装を作るのはあまりよくないと思います(笑)。

福原:日本だったら、はじめにラフスケッチを出して、許可を取ってから作ると思います。ですが、それがまったくなく、いきなり出てきました。「こういうのをやりたいんだ!」って。ですが、その熱意はものすごかったです。だから僕らは、「な、なるほど……」としか言えず(笑)。もちろん世界観が壊れるとか、悪影響を及ぼす可能性があるモノは中止してもらいますが、今回はそうじゃなかったので展示してもらいました。

――そもそも「ミグ文化」は中国の国営企業「チャイナモバイル」グループのお硬い企業だと伺ったのですが。中国側のスタッフはオタクなのでしょうか?

福原:ミグ文化さんはコンテンツに関する様々な事業を行っている企業なんですけど、スタッフの多くはオタクではない印象があります。ただ、日本のことをすごく好きというスタッフが何人もいます。この企業は動画配信だけでなく、アニメ制作部門の「ミグアニメ」や、ゲーム制作部門の「ミグゲーム」を抱えています。ものすごく規模の大きな会社です。

――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

福原:本当に真の意味での参加型のアニメだと思うので、新しいものが好きの方には、ちょっと楽しんでもらえればなと思います。見方によってはVチューバ—の発展系のひとつとも言えるし、アニメの発展系にも見えると思います。いまは形容しがたいカテゴリーの作品です。

――『みならいディーバ』のころにお話を伺ったときを思い出しました(笑)。「生アニメとはなにか?」という説明を、丁寧にしてくださいました。

福原:やっぱり新しいモノって、カオスな状況から生まれていくものだと思います。ファンのみなさまには、いままでと同様に僕らの悪ふざけに、一緒に付き合っていただけたらありがたいなと思います。

作品情報

「生放送アニメ 直感xアルゴリズム♪」(2ndシーズン)

キャスト

キリン:鈴木みのり
シー:岩井映美里/[歌]シャオ・ウー
Bunny P:劉セイラ

スタッフ

企画:中国移動・NTTドコモ・ミグ文化 総合プロデュース:ジャスト プロ
技術協力:DMM.futureworkshttp://dmm-futureworks.com/
アニメーション制作:ダブトゥーンスタジオhttps://w-toonstudio.com/
インタラクティブ・配信協力:ドワンゴhttp://dwango.co.jp/ ビリビリhttps://www.bilibili.com
配信:2018年秋(予定)日本・中国

【配信予定サイト】
【配信予定サイト】
niconico(ニコニコ)/日本
bilibili/中国
咪咕圈圈/中国 他

番組公式サイト【日本語サイト】
番組公式サイト【中国語サイト】

 

「直アル TGS2018に出展!」

いよいよ明日より開催される東京ゲームショウ2018に「直感xアルゴリズム♪」出展いたします。TGSでは一足先に”直アル”を体験していただく企画盛りだくさんです。来場者限定グッズをご用意して皆様のお越しをお待ちしております。

またTGS2018出展を記念して1stシーズンを9月22日(土)、23日(日)の2日間連続一挙放送いたします。お楽しみに!
詳しくはこちらをご覧ください。

直感×アルゴリズム♪ 1st Season 全話一挙放送 1日目
2018/09/22(土) 開場:09:50 開演:10:00
http://live.nicovideo.jp/gate/lv315754370

直感×アルゴリズム♪ 1st Season 全話一挙放送 2日目
2018/09/23(日) 開場:09:50 開演:10:00
http://live.nicovideo.jp/gate/lv315754387

番組HP:http://project-algorhythm.com/
番組Twitter:https://twitter.com/algorithm_jc

 

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