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『ケムリクサ』OP「KEMURIKUSA」ナノインタビュー

たつき監督の話題作『ケムリクサ』のOP曲&ナノさんの9thシングル「KEMURIKUSA」が2月6日リリース! 楽曲制作にあたって監督から与えられたキーワードと自身が課したこととは?

たつき監督が過去の作品をリブートしたアニメ『ケムリクサ』が現在放送中! 謎が謎を呼ぶ展開に毎回、考察するフリークが続出!  そんなアニメ『ケムリクサ』のOP曲&ナノさん待望の新曲でもある「KEMURIKUSA」が2月6日に発売! シリアスでパワフルな楽曲とサビラストの曲名フレーズも印象的な楽曲ですが、監督からのヒントや作詞するナノさんのある想いから誕生したものでした。

ナノさんご自身にこの楽曲に込めた想いやカップリング曲について、そして3月16日に行われるワンマンライブへの意気込みを語っていただきました。

独特で謎めいた世界観に引き込まれる『ケムリクサ』

──今回オープニング曲を担当するTVアニメ『ケムリクサ』の映像や資料等をご覧になって感じた印象は?

ナノさん(以下、ナノ):すごく独特な世界観で、いい意味でパッと見てすぐにのみ込めるものではなく、じっくりと理解していく作品だなと思いました。それがこの作品の良さかなと。主題歌を作るにあたって、その時点で上がっていた映像を何度も見て、自分なりの解釈に挑戦してみました。

──1話がオンエアされた時、画面全体に漂う荒廃感、終末感に加え、「アカムシって何?」とか「リナって何人いるの?」など、次々と出てくる謎に、視聴者から様々な反応があったようです。

ナノ:「リナってさっき死んだはずじゃ?」みたいな。わかりやすいアニメも多い中で、こういう謎めいた作品がメジャーに出てくることはすごく挑戦的だし、その不思議な魅力にどんどん引き込まれていくと思います。

──楽曲制作する立場としてはいろいろな考察や可能性があるゆえの難しさがありそうですね。

ナノ:たつき監督がすごくこだわっているのがわかるだけに、最初は挑戦するのが怖かったです。でも託された時点で、自分の世界観を求められているのがわかっていたので、とりあえず書いてみようと。そして自分がじっくりと感じ取ったものを歌詞にして、「どうでしょうか?」と。「これでいいのかな?」と納得しつつ、返事が来た時はホッとしました。

──楽曲制作するうえで、アニメの制作サイドからオーダーはあったのでしょうか?

ナノ:曲調に関しては勢いと躍動感がある曲で、ということでサウンドはWEST GROUNDが対応して。歌詞も廃墟っぽさやモノトーンっぽさ、どこに向かっているのかわからない苦しみを表現しました。

歌がミスリードしないように『ケムリクサ』の未来ではなく、今を歌詞に

──不思議な世界観で謎が多い作品だけに、主題歌にヒントを求める方も多いかなと思います。ナノさんの目を通した作品の意味するものとして。

ナノ:今回のアニメは元々あった作品のリブートであり、作り直すうえでどういう作品なのか、あえて明確にしたくなかったと思うんです。OP曲はずっと冒頭に流れるものであり、歌によってミスリードするようなものにしないために、『ケムリクサ』の「未来」ではなく、「今」を歌詞にしました。

──確かに歌詞には闇や苦しみの中にもがきながらも希望を求めていこうとする意志や強さを感じました。

ナノ:もしかしたらその先に救いやハッピーエンドがあるのかもしれませんが、今の苦しみだけをピンポイントにフォーカスしました。自分も結末を知ってしまったらどうしても歌詞に出てしまうので、監督にいっさいストーリーや結末を聞きませんでした。自分も皆さんと一緒で毎回、何が起こるかわからない状態で見ているし、果たしてこの先、歌詞が物語にハマっているのかもわからないし。でもそれでいいかなと。

──ちなみに曲名を作品名にした理由は?

ナノ:WEST GROUNDの意志ですね。この曲をどこまでこの作品に寄せられるのかに賭けていたので、最初にもうタイトルを決めてしまおうと。それでこの曲名になりました。

──サビの最後に「KEMURIKUSA」という言葉が出てきますが、その歌い方が英語のような発音でしかもワイルドなのも印象的でした。

ナノ:「KEMURIKUSA」というタイトルにしたけど、歌詞に入れるかどうかはWEST GROUNDとすごく悩んで、レコーディングでも2パターンやってみました。1つはまったく関係ない歌詞で「KEMURIKUSA」と空耳的に聴こえるもの、もう1つはそのまま言葉が入っているものと。その2つを監督に提示したら言葉がそのまま入っているものがいいと。

──でもナノさんの英語が上手なので、歌詞を知らないと「KEMURIKUSA」と歌っているとわからない人がいるかも(笑)。

ナノ:英語にはない言葉なので、もし海外の人が聴いて、英語フレーズにそこだけ日本語だと違和感を抱くかもしれないので、謎な言葉だけど聴いて違和感がない歌い方は意識ししました。

ボーカルもサウンドも死寸前の限界に挑戦!?

──ナノさんの楽曲としては、昨年8月にリリースした「ウツシヨノユメ」(アニメ『かくりよの宿飯』OP曲)は和ロック、11月にリリースした「Star light, Star bright」(アニメ『CONCEPTION』OP曲)は疾走感のあるさわやかな曲でしたが、今回の「KEMURIKUSA」はヘビーかつハードなロックチューンとガラッと雰囲気が違う曲です。

ナノ:むしろ、ここまでずっと強めの曲をやってきて、「ウツシヨノユメ」や「Star light, Star bright」をやったことで、新鮮な気持ちとより強さを増して臨めた気がします。いろいろな曲を歌うことで、いろいろな刺激を受けるし、楽しさもあるけど、こういうパワフルな曲って大好きだなと改めて思いました。

──パワーがある曲ですが、ナノさんのボーカルのワイルドさやギターが刻むリフなどのリズムが追い詰められたギリギリ感にあふれていて。

ナノ:この曲はそういう気持ちです。ボーカルも歌詞もサウンドも死にかけている状態で限界まで挑んでいるような。

──また曲中に「煙」という言葉が出てくるフレーズがBメロに登場しますが、1番ではゆったりとしたリズムで神秘的な雰囲気で歌っています。アカムシがいる真っ赤に染まる地面から煙がもわっと湧きだつような。でも2番ではAメロの勢いそのままで、もう前を向いて全力で走るしかないと迷いを振り切ったようで、1曲の中で歌い方でもストーリーを紡いでいるなと。

ナノ:ありがとうございます。自分自身、ストーリーを大切にしていて、ただ繰り返すのではなく、進むことを意識しているので、1曲数分の中でもストーリーを感じてもらえるように歌っています。

──打ち込みの音もありながら、芯はバンドサウンドなのも生や人間につながっているのかなと。

ナノ:今回の曲は特にシンセが際立っているからこそ、生の音がはっきりと耳に入ってきて。シンセが作りものの音だからこそ、生の音のリアルさや人間らしさを感じられるので、そのコントラストも楽しんでいただけたらと。

自身もファンもお気に入りのフレーズは「終わらないアゴニー」

──レコーディングはいかがでしたか?

ナノ:つらかったです(笑)。レコーディングは曲を初めて歌う場面であり、こういう激しい曲はエネルギーをものすごく使うので、レコーディング後はいつもぐったりして。特にWEST GROUNDの曲は。今回はいつも以上に死にました(笑)。でもライブなどで歌い慣れてくると楽になってくるので、この曲もそうなるかなと。

──ナノさんのパフォーマンスはミニライブでも激しいので、ワンマンでいつもどう乗り切っているのかなと不思議に思っていました(笑)。

ナノ:適当に練習なしで挑める曲はまったくないので、定期的に歌わないと。でもこういう曲を歌うこともパフォーマンスすることも誰にでもできることではないと思うので、その意味や宿命を背負って、自分にしかできないライブをしていきたいと思っています。

──お気に入りのフレーズは?

ナノ:こだわった歌詞が「終わらないアゴニー」で。この曲のテーマだなと思っているし、ファンやリスナーの方からもなぜか印象に残ると言ってくれたのがまたうれしくて。

──「アゴニー」は苦痛を意味する言葉で、決してポジティブな言葉でないのに?

ナノ:そもそもこの曲は究極のアゴニーですから(笑)。光も希望も何もない曲で。

──でも聴くと気持ちや力がみなぎってくるんですよね。

ナノ:音楽ってそうじゃないかなと。闇に満ちた曲にもパワーがあったりするし、聴く側も救われたかったり、何かを得たいからその曲を聴くわけですから。

MVは自分が伝えたい究極部分だけ光らせるシンプルな演出

──MVはバンドをバックに歌うシーンがメインですが、ナノさんに煙が漂ってきたり、歌うマイクやメンバーの楽器が青白く光ったり、アニメを彷彿とさせるギミックも。

ナノ:シンプルゆえに見えてくるものや目立つものがあると思ったので、自分が伝えたい究極の部分だけを光らせて。またMVからアニメのイメージを匂わせないように演奏を背に死にそうになりながら必死に歌っている映像になりました。ちなみにアーティスト写真もこのMVの現場で撮影して、自分が大好きなマジェンタ色に埋め尽くされてうれしかったし、表情も自分としては究極のアゴニー、エモさを表現してみました。

──他に注目してほしいポイントは?

ナノ:ライブで絶対活きる曲だと思います。相当大変な曲だけど、何かしら人の心に刺さる曲だと思うし、完璧に歌うことが難しいから毎回違う曲になると思うので、歌うのが楽しみです。ただ大変なのは自分だけではないので、皆さんも覚悟を決めて、体力を付けて来てください(笑)。

「Spairal Eye」は今のサイバー世界&ロボット化がテーマ

──カップリング曲「Spiral Eye」のイメージやテーマで制作されたのでしょうか?

ナノ:わかりやすい曲で、「KEMURIKUSA」とは真逆だなと。歌詞も裏をかくでもなく、誰にでも共感できるような現代的なものにしたし、サウンドも国内外問わず楽しめると思います。

──クラブ系のEDMで、グルーヴ感がある曲ですが、歌詞はネットや仮想世界から抜け出してリアルに生きようというメッセージも見えてきて。歌い方も最初は淡々と英語を紡いでいく感じから、途中で大切なものに気付いたり、意志を持ったように生命力があふれるような。

ナノ:歌詞は今のサイバー世界の中でロボット化しているところがあるんじゃないかと思って。そこから段々、自分の人間らしさが出てきて、いろいろな気付きや現実的なものなどが出てくるという流れになっているので、歌い方もロボットのような歌い方から徐々に人間味あふれる歌い方にもっていきたいと思って、レコーディングしました。

──曲名の由来は?

ナノ:言葉自体は造語なんですけど、パソコンなどの画面を見過ぎて目が回ったり、目まぐるしく変わる世界を意味しています。

──歌詞が全編英語で、しかも歌詞を追うのが大変で(笑)。

ナノ:量も多いし、和訳も入れるので、ジャケットの1ページに収められるのか心配でした(笑)。歌詞の内容が気になった方は英語を調べたり、和訳詞に目を通してもらって、英語が好きになるきっかけになったらうれしいです。でも歌詞の意味を理解しなくても雰囲気だけで楽しめるし、踊るのも気持ちいいと思うので、こういう曲を作れてよかったです。洋楽でも例えばアメリカでも歌詞が素敵な曲が多いけど、基本的には歌詞重視で聴かないんですよね。フィーリングだったり、極端なことを言えばどうでもいい歌詞を並べても成立するのが洋楽で。一方、日本ではすごく歌詞を大事にして、意味も考えたり、好きな歌詞があったり、そこがカルチャーの違いですね。でも洋楽のノリやグルーヴだけの曲も大好きで、今回もノリ重視で作ってます。

──大量の歌詞に曲中で歌い方も変わっていくということレコーディングもひと苦労だったのでは?

ナノ:自分は感情的に歌うほうだし、ロボティックにモノトーンに抑えるのは難しかったし、楽器の1つに溶け込むのは挑戦でした。とにかく気持ちいい曲だし、「KEMURIKUSA」と違う意味で、ライブで盛り上がる曲だなと思うので、早くやってみたいです。

3月16日のワンマンライブ名は初1stライブほか様々な意味と想いが詰まった新感覚ライブ

──2019年は1月の『ANIMAX MUSIX 2019』を皮切りに、2月にはフライングドッグの10周年記念ライブ、3月にソロライブ、香港でのライブイベント出演などライブ尽しですね。

ナノ:去年の9月の台湾でのイベントから毎月ライブが続いていて、ライブがすごく大好きなのでこれほどうれしくて楽しいことはないです。ライブでお客さんからもらうパワーはハンパではなくて、始まる前よりも終わった後のほうが元気だったりして。それはお客さんの笑顔や楽しんでいる姿を見るだけでお腹いっぱいになるんです。ライブって素晴らしいし、無限の可能性があるんだなといつも実感します。

──3月16日にソロライブ「Remember again」が開催されますね。

ナノ:3月16日は初めてワンマンライブをやった日で、タイトルには同じ日にまたライブができるという意味もあるし、初めて発表したオリジナル曲「magenta」の冒頭の歌詞が「Remember again」で、更に初ライブで初めて発した言葉も「Remember again」だったんです。今回それをタイトルにしたいなと。

タイトルは「Remember again」ですけど、内容は進化しかないです。昨年からここまで新曲もたくさん作ったし、未来とその先と、新しい自分と。未来の自分に向けて歌っていきたいし、新しい感覚のライブにしたいです。

──3月23日は香港でのライブイベント出演ですが、海外でのライブというのはいかがですか?

ナノ:いろいろなところでライブをできるのは楽しいです。刺激的ですし、違う感覚でできる部分もあるけど、海外に行くたびにどこに行っても音楽の役目も集まってくれる人達がみんな楽しもうと思っているのも変わらないし。また英語だったり、その国の言葉じゃなくてもみんな一緒に歌ってくれるし、もう言葉というより音でつながっているような。だから海外で「ウツシヨノユメ」みたいな和の曲も楽しいし、日本でオール英詞の「Spiral Eye」をパフォーマンスしたり、逆をつくのも楽しいし。

『ケムリクサ』を通して通じ合える喜び。今後も未知の世界を切り開いていきます

──2019年の音楽活動の抱負や目標をお聞かせください。

ナノ:まだやったことがないことに挑戦したり、未知の世界を切り開いていきたいです。新しいサウンドもやっていきたいので、日々研究しつつ。あとは今年もライブをたくさんやりたいです。

──皆さんへメッセージをお願いします。

ナノ:アニメを通して世界につながるということはとても大きなことで、アニメは今、全世界共通してのエンターテイメントになっていると思うし、アニメを通してたくさんの方とつながれることがうれしいです。今回も『ケムリクサ』を通して出会ってくれた人に歓迎と感謝の気持ちでいっぱいです。アニメと一緒にこのシングルも楽しんでください。これからもアニメの曲やライブを通して、皆さんとつながっていけたらいいなと思っていますので、今後もよろしくお願いします。

[取材・文/永井和幸]

CD情報

ナノ「KEMURIKUSA」

2019年2月6日発売
1,300円(税別)
発売:フライングドッグ

ナノ ワンマンライブ「Remember again」
2019年3月16日(土)東京・渋谷ストリーム
開場16時/開演17時
チケット 5,000円(税込・オールスタンディング・別途要1ドリンク)
特設サイト

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