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『シンカリオン』座談会|佐倉綾音×三間雅文【連載第3回】

【連載】『新幹線変形ロボ シンカリオン』座談会(第3回)佐倉綾音×三間雅文音響監督|役者の進化とアニメ作品の真価

TBS系にて放送中のTVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』。アニメイトタイムズでは本作の放送2年目突入を記念し、連載による座談会企画を実施中。第3回目(最終回)となる今回は、速杉ハヤト役の佐倉綾音さんと、音響監督の三間雅文さんが対談!

座長と音響監督として1年半作品と向き合ってきたお二人に、『シンカリオン』現場の面白さや、役者の芝居の本質について語って頂きました。

毎週が役者さんたちの成長であり、キャラクターの成長でもある。

ーー三間さんは客観的な視点から作品をご覧になったときに、『シンカリオン』の魅力をどのようなところに感じますか?

三間雅文:もともと車が好きで、新幹線には全く興味がなかったんですよ(笑)。どちらかと言えば『ドライブヘッド』の方がやりたくて。

佐倉綾音:(笑)。

三間:でも今では、僕の部屋にはプラレールがいっぱいある。その「電車って面白いな」と思わせてくれるところに『シンカリオン』の魅力があるのだと思います。

昔はJRの新幹線のCMも本当に興味なく見ていたのに、急に造形が気になったり。東京駅に行ったときには、以前までトミカのブースに行っていたのが、今ではプラレールのブースに行くようになったり。つくっている側がかなり『シンカリオン』に惚れているなと。

ーー男の子心をくすぐるような魅力がありますよね。佐倉さんはいかがですか?

佐倉:私は子どもの頃、電車のおもちゃのような男の子が遊ぶものがすごく好きで、それこそ親にお願いして鉄道博物館に連れて行ってもらったり。

新幹線や電車のように男女を問わず触れてきているものが、『シンカリオン』では理に適った状態でアニメーションに反映されているので、大人も納得できるつくりになっていて。

ただカッコいいから変形するのではなく、「新幹線には現代の日本の最新技術が詰まっていて、日本を救う機体に成り得る」という理由付けがあるからこそ、大人の方の心をも掴んでいるのではないかと思います。

あとはキャラクターがとてもキャッチーな性格をしていて、そこからこの作品を好きになったという女の子からお手紙を頂いたりもするので、色んな側面から『シンカリオン』のことを好きになってくださっているんだなと感じますね。

ーー日常生活では交通手段の一つとして利用する新幹線を「日本の最新技術」として捉えているところにも、年齢関係なく人を惹きつけるロマンを感じますよね。

三間:僕の生まれた頃には新幹線もなくて、大阪万博(1970年)に行くときに初めて新幹線に乗って、それが楽しくて楽しくて。

「時速250キロ〜♪ とんでくようだな 走る〜♪(童謡「はしれ超特急」)」という歌まで歌って。それで「新幹線は250キロで走るんだ!」と子どもながらに覚えたんですよ。なんで『シンカリオン』で流れないのかな。

佐倉:昔の歌だからみんな知らないのでは…(笑)。

ーー(笑)。三間さんがキャスティング時にこだわられたポイントはありますか?

三間:ゲンブ役にマックスウェル・パワーズさんを推薦したのは僕なんです。なぜかと言うと、みんな日本人が演じるよりも、ひとり外国人が居た方が“地底人に対する理解度”が違ってくるなと思ったからで。

日本人が考える地底人というのは、日本のアニメや文化の中からイメージされるものなので、マックスさんを入れることで「外国人の考える地底人はどんな文化なのか?」という新たな解釈が現場に生まれて、すごく面白いだろうなと。

アメリカ人のマックスさんが、相反する日本の文化の中でどのように心を開いていくかというのは、現実の佐倉さんたちとのコミュニケーションの間にもあっただろうし、そこは起用して良かった点で、ゲンブが印象に残るキャラクターになった要因だと思います。

佐倉:スタジオでも異文化交流していました。マックスさんを取り囲んで知らないことを質問したり。

三間:僕が「ミスターマックス」と呼んだら、「ミスターとは呼ばないよ」と教えてくれて(笑)。そういう交流は地底人の場合でも同じだと思うんです。

ーー確かにそうかもしれませんね。あとは『シンカリオン』のような原作のないオリジナルアニメは、展開が読めないぶん、キャラクターの関係性や感情の掘り下げが難しいように思うのですが、三間さんはどのようなアプローチをされていったのですか?

三間:前半の方はみんなでアイデアを寄せ集めて、わからない部分は疑問で突っ込んで、その地固めをしていくということを続けてきたんです。

後半の方になると、役者さんや音響の現場から提案ができるようになって、指示されて動くという状況から、ちゃんとみんながつくり出すための関係性と感情が乗ってきて。

だから30話以降くらいから本当に楽になって。それまでは佐倉さん、沼倉さん、村川さんをどう叩き直そうかと考えていたんです。

彼女たちは彼女たちの経験値の中で役を演じるので、それは“20代の心配や不安”になるんですよ。でも「子どもが次の日にケロっとしている」というように、子どもたちの心配や不安はそんなに深いものではない。まっ、それが子どもたちの素敵なところなんですが(笑)。

特に佐倉さんの場合は頭の回転が速いので、深掘りが激しいんです。「それは24歳の考えでしょ?」というヒントをあげると気づいて子どもの位置に行ってくれるんですけど、それがあるからこそ、「こういう言い回しはしませんよね?」とか「これはどういう意味ですか?」という質問が飛び交い、その問いに対してみんなで向き合って。

「シナリオに書いてあるからやってください」という現場ではなかったことが、この1年間でそれぞれのキャラクターが自立して存在していることに繋がっているのかなと思います。

ーー佐倉さんはご自身の中でハヤトとのギャップをどのように埋めていったのですか?

佐倉:私自身は、小さい頃からものすごく“根に持つタイプ”だったんですよ。

三間:怖っ。

佐倉:怖いでしょう(笑)。だからハヤトの持つ“ワクワクへの切り替えの早さ”を掴むのに苦労して。街中でハヤトくらいの子どもたちがどういう風に生活しているのかを観察してみたんです。

そうすると、確かに立ち直りが早いし、すぐに色んなものに興味が移っている。好きなものについての話をしているときの早口になり方や、一直線な視点が勉強になって。

自分の中にある経験からそれに近いものを引っ張り出そうとすると、小学生だという感覚を忘れることもあるんですけど、そういうときに三間さんに教えてもらって。初期の途中からは、別の引き出しから感情を切り替えられるようにと意識していました。

ーーそこから50話以上ハヤトを演じる中で、彼との向き合い方が変化したなと感じるターニングポイントとなったお話はありますか?

佐倉:やはりゲンブを倒してしまったエピソードが、彼の中で大きなターニングポイントになったかなと考えていました。

小学生が日常生活の中で“何かを失う経験”というのはとても少ないことで。しかも自分の手でゲンブをあやめてしまったというのは、相当ショックが大きいことだろうなと。

「きっとこの出来事は彼の人生にとって、とても重要なポイントだ」と思ったんですけど、引きずりすぎて、そこから数話は苦労しました。それは三間さんにも指摘されて。

「もうちょっと彼は前向きに進もうとしていくし、賢い子だから、ゲンブの犠牲も前向きに捉えているはずだ」と言われて、また気持ちを切り替えないといけないなと思った瞬間でした。

ーー三間さんはそのようなキャラクターの心の状態の変化をシナリオの中から紐解いていくのですか?

三間:シナリオを読み込んでしまうと“知っている話”をなぞってしまうので、いち視聴者として聴いて、「ハヤトは何を考えているの?」「アキタは何を目的に言っているの?」という“違和感”を全部チェックしていくんです。そこからちゃんと紐解いて、「ここは何を目的に言ったほうが良い」というのを決めていきます。

あまりにも知っている状態では、自分の中で整合性ができてしまうので、ゼロの状態で聴いた方が僕の中で“ワクワクする部分”がはっきりするんです。

私にとって、作品というものは“役者さんたちの生き様や芝居”によって変わるものなので、自分の中で完璧なものをつくっていくというよりも、「この場合はどうなるの?」という立場から膨らませていって。

だからこそ、毎週が役者さんたちの成長であり、ハヤトたちキャラクターの成長でもある。それは見ていて楽しいですね。

「信頼している人からOKが出たから大丈夫」という感覚

ーー佐倉さんがアフレコで特に印象に残っている回はありますか?

佐倉:唯一1話だけ居残った回があって、他人とのやり取りでハヤトが泣くシーンがあったんです。そのとき私の中でハヤトが何を考えているのかわからなかったものを、一生懸命に三間さんが紐解いてくださって。

三間さんは絶対に自分が納得できないものは役者側に提げてこないので、その試行錯誤をしてくれたうえで私にお芝居を託してくれて。できない自分も居たけれど、その居残りした時間が有意義で、学ぶことも多かったんです。

以前、どこかで読んだ三間さんのインタビュー記事の中で「スタジオで出されたダメ出しをスタジオを出てから引きずるな」という言葉を目にしたことがあって。それはどういう意味なんだろう?と考えていたんですけど、「引きずる」というのはとても後ろ向きなことで、前向きに「信頼している人からOKが出たから大丈夫」という感覚のことなんだとそのとき腑に落ちて、納得した回でした。

ーー佐倉さんのお話を聞いていると本当にロジカルな方だなという印象を受けるのですが、三間さんからご覧になって、役者としての佐倉さんの特徴をどのように捉えていますか?

三間:良くも悪くもそこが佐倉さんの特徴で、ハヤトに関して注意することは「そんなに子どもは考えていない」ということなんです。

子どもはノリで言葉を発することがあるけれど、佐倉さんの場合はノリで言わないので、そのノリまでを考えてくる。その辺がハヤトの気分とちょっとズレてくることがあるので、「もっと楽しそうに」とか「思わず次々に出てきた言葉で」というアドバイスをして。

彼女は責任感が強すぎて、まるで小学校に居た何か悪いことをするたびに叱ってくる学級委員長のようで(笑)。

佐倉:(笑)。

三間:そんなやり取りも楽しく思えるような関係性だとは思うんですけど、そういう子だからこそ、頭で理解しなければ心まで落とし込めないので、強引に指示をせず、「これだとわからないから、手を変えてみる。反応した!それでいってみよう!」という方向転換の仕方をするんです。

「画が大きく口を開いているから大声を出して」と言うだけでは怒鳴るのと同じで、そのアプローチではハヤトの気持ちを理解できない。それよりも「なぜ大きく口を開いているのか?」を考えなければいけない。

アフレコに時間がかかることは全然OKで、早く終わることが良いことではないし、長くかかることが良いことでもない。役者さんも演出も監督も、みんなが納得してその1話を終えることが僕にとって最高の現場だと思っているんです。

そういう意味では佐倉さんは「面倒くさい役者」だけれど、出来上がったものには間違いがないので信頼しています。

でもさっき“根に持つタイプ”と言っていたので、このインタビューで悪いことは言えないなと(笑)。

佐倉:ずっと覚えています。三間さんと出会ったときのことも覚えてますよ(笑)。

三間:怖いな〜、頭が良い人って(笑)。脇役としては色々な作品でやらせてもらっているけど、主役としての佐倉さんと向き合うのは『シンカリオン』が初めてだったので、この現場を通じて彼女の言語や考え方、引き出しの数が見えてきて。

また色んな作品の池を泳いで帰ってきたときに、その引き出しの数がどれだけ増えているのかというのが楽しみでもあって。30歳になったときの佐倉さんも見てみたいなと思っています。

ーーそれはすごく楽しみですよね。この現場で三間さんが他に面白いなと感じることはありますか?

三間:この現場は佐倉さんと村川さんの差が面白くて。佐倉さんは本当に頭で考えてから心に落とすタイプなんですけど、村川さんはパッとひらめきが心に出てくるんですよ。沼倉さんはどちらかというと佐倉さん寄りで。その3人のバランスが面白かったですね。

佐倉:私は自分の中に村川さんも欲しいんですよ。

三間:貪欲な人!どれだけ自分の中に人を住まわせようとしているんだ(笑)。

佐倉:みんなの心が自分の中に欲しいから、人をたくさん観察して、それを必要とされたタイミングで出せるようになる。またさらに、予想できないような場面で新しい自分がポンッと出る。そんな役者になりたいと思いながら色んな現場を旅しているんです。

三間:佐倉さんが気が狂った芝居をできるようになったらすごいと思う。頭で考えて暴れるのは「気が狂っている」とは言わないから。そこまで行ったら「佐倉さんもついに超進化したか…」と(笑)。

佐倉:(笑)。でも私はその心も欲しいから、三間さんと情報交換をしたり、勧められたものを観に行ったりして。そうして日々探し続けていますね。

“上手く”の本質と“目的”の差

ーー佐倉さんは三間さんの現場の面白さをどのような部分に感じますか?

三間:冗談のセンスが良いよね。

佐倉:スベりまくっていますよね(笑)。でもそれが三間さんが気遣ってくださっているからだとわかるから、ありがたいなと思っています。

三間:なぜかわからないんですけど、役者さんたちから怖がられているんですよ。僕の現場で緊張している人がいっぱい居て。特に『シンカリオン』は女性キャストが多いから、ときどき冗談を入れるんですけど、その冗談のせいで逆に怖さが増すという(笑)。

笑わせて空気を和ませようとしても、緊張している人からすると、それも冗談には聞こえないこともあるから難しいんですよね。

音響監督は役者さんが自分を出せる現場を作らなければいけないのに、僕が威圧しているように見えてしまうと、役者さんの心が閉じてしまって「失敗しないように“上手く”やらないと」という警戒心から始まってしまう。

本当に役者さんたちに問いたいのは、「“上手く”とはなんですか?」ということで。練習してきたことをその場で“上手く”やろうというのは、決して“上手い”ことではないんです。

「自分が自分の範疇で考えてきたことを現場でやってお金をもらう」というのは、僕の中では不思議なことで。そうではなく、「こちらが求めている意図に対してちゃんと返せた」ということが“上手くできた”ことだと思うんです。

だから帰りに沸々と考えないで、「これは僕が欲しいものをあなたがちゃんと出して、与えてくれたことに対するお金だから、満足して帰ってください」と。

できなかった、居残りになってしまったことに悔しさを感じる役者さんもいるんですけど、そうではなく、こちらが難しいことを求めていて、その難しいことに時間を掛けたいから残しているのであって、学校の居残りとは意味が違うんです。

「悔しい」とか「反省します」という役者さんは、そんなことを感じる必要は全くなくて。反省というのは、僕にとってはネガティブなことなので、「僕と監督が求めているところにちゃんとみんなのピースが入って、一つの絵が完成したことに対して喜んで帰ってください」と。

でもまた来週同じような問題のジグソーパズルが現れるから、そこに意識が向いていれば良いのであって、次の週に「今度こそ失敗しないように…」という役者さんの考えは、こちらからすると関係のないことなんです。

佐倉:私は三間さんの現場について他の役者さんから質問されることがあって。私自身もデビューした当時から三間さんの現場に入りたくて仕方がなかったので、色んな人に聞いて回っていたんです。

三間:なんて返ってくるの?

佐倉:「とにかく理由を聞かれて、一つ一つのセリフに意味のない感情を込めたらすぐにバレる」と。あとはシンプルに「厳しい」「長い」「辛い」とか。

でも実際に三間さんの現場に入ってみて、見方によっては厳しいのかもしれないけれど、私にとってはすごく優しく見えたんです。こんなに現場で教えてくれる人はいないですよ。それは私たちのためにやってくれている訳ではないことはわかっていますけど。

三間:ほんと。

佐倉:それでも私たち役者も「良いものをつくろう!」と現場に来ているわけだから、その手助けをしてくれるというのは、とても優しいことだと思うんです。こんなに役者の味方になってくれる人も、敵になってくれる人もいないですよ。

三間:戦いだからね。

佐倉:「良い作品をつくる」「キャラクターたちを幸せにする」という目的は同じなので、もちろん味方なんですけど、それでも敵になってまで私たちに何かを教えようとしてくれる。

人間同士なので、考えがぶつかって敵対することもあるんですけど、でもそれは“作品の幸せ”を願ってのことで。私はそこに三間さんの現場の面白さがあると思っているんです。

でも、厳しいと思う人もいるんですね。

ーーその感じ方は役者としての経験差で変わるものなのでしょうか?

三間:“目的”なんじゃないかな。「売れたい」とか「人気者になりたい」という人にとっては痛い現場だと思います。望んでいるものではないから。

「どうしてこんな言われ方をしないといけないの?」という役者さんは、「良い役者になろう」「人を楽しませよう」という目的ではなくて、自分本位の目的なので、“厳しい”という印象になる。

佐倉さんたちのように「まだ役者としての実感や、どれだけ楽しいのかも掴めてはいないけれど、この現場にはそのヒントとなる何かがある!」と考える人にとっては、“楽しい”のではないかと。

結果的に役者さんとして人気になり、視聴者さんからの感謝の言葉に対して喜べば良いのであって、最初から名声や栄光を求めていては絶対に見えなくなってしまう。

僕自身、音響監督としての30年間を紐解いてみると有名な作品をやらせて頂きましたが、それは巡り合わせでしかなく、最初から「ヒットする作品をやりたいです!」と手を挙げたこともない。『シンカリオン』に関してもそれは同じで。

佐倉:タレントや声優ではなく、こんなにも“役者”として息をさせてもらえるような現場は少ないです。大体は「いいから大きい声出して」とかねじ伏せられて終わるというか。

三間:それは今後AIで出来てしまうのではないかと…。例えば、ゲームのセリフは色んな方向に割れるものだから、明確な目的を入れてはいけない場合もあるので、もしかするとAI化が可能かも?

逆にドラマは一つの目的のためにセリフを喋っているから、色んな方向に割れてはいけない。だから今後業界では、“声の声優”と“心の声優”の2通りに分かれていくと思うんです。

“声の声優”は全部サンプリングで良くて、声に特徴のある声優さんに「はい、おはようございます。では五十音ください」という感じで声をデータとしてもらう。そして、ハヤトのような熱血芝居に特徴のある声優さんの声のデータを乗せるというシステムが今後できてくるのではないかと。

そうなると、洋画の世界も一気に変わって、トム・クルーズの声で森川智之さんが演じるようになる。その未来は5年以内に実現するではないかと予測していて(笑)、声優業界はそこでもう一度大混乱すると思います。今はマルチになっているけど、そこで枝分かれしていくんじゃないかと。

子どもたちの中に“残る作品をつくりたい”

ーー佐倉さんは普段三間さんにどんなことを質問するんですか?

佐倉:「“悩む”と“困る”の芝居は明確に違う」ということを三間さんが現場で仰って。私の中ではその引き出しが分かれていなかったので、いまいち自分の中で腑に落ちなかったんです。

どうしても気になって、普段から考えたり、テレビやお芝居を見て人間観察したりしてみたんですけど、なかなか差別化が図れなくて。ついに三間さんを呼び出して質問をしたんです。

三間:「お話ししたいことがあります」って言うから、「結婚して引退するのか!?」と思ったら、「“悩む”と“困る”の違いってなんですか?」と(笑)。

そういった質問は大体現場の中で消化してもらっているんですけど、それが佐倉さんの中では大きな問題で、見えなくてモヤモヤしているんだと後からわかって。それは面白かったですね。

佐倉:時間が掛かりそうな議題だったので、現場で質問をするとたくさんの人の時間を奪うことになるかなと思って。それを説明をしてもらったことで、しっかりとその違いを理解することができました。

ーー日常生活では類義語のように感じる言葉も、本質を紐解いてみると違うことってありますよね。この機会に佐倉さんから三間さんに質問してみたいことはありますか?

佐倉:三間さんはいつも台本チェックにどれくらい時間を使っているんですか?

三間:『シンカリオン』の場合は1時間くらいだけど、『ポケモン』は5〜6時間くらい掛かる。

佐倉:その違いは何ですか?

三間:ポケモンたちの動きに言語を付けるからじゃないかな。だから本当に『ポケモン』の現場には寝不足で行っているんです。

『シンカリオン』に関しては、深く考えると流れの難しさに頭が過熱してしまって。でも、現場でセリフとして聴いてみると自然と納得出来たりということもあるので、それからはあまり読み込み過ぎないようになったんですけど。

佐倉:シリーズ構成の下山健人さんとイベントの打ち上げのときにお話しする機会があったんですけど、「三間さんとは実際にお会いしたことはないけど、もはやライバルだと思っています」と仰っていて、面白い距離感のお二人だなと(笑)。

三間:『シンカリオン』は最終的には物を売るためのコンテンツだけど、「子どもたちが楽しんでくれて、大好きな作品だから物が売れた」というふうに考えてつくっていきたいんですよね。それでよくプロデュース側とぶつかることもあるんですけど(笑)。

子どもたちの中に“残る作品をつくりたい”と常に思っていて、子どもたちが30歳、40歳になったときに「怒られてヘコんでいたときに、ハヤトの前向きな姿を見て救われたんです」と言われたら、おもちゃと切り離して、作品として残っているなと実感できる。それが、僕らの“ものづくり”であると。だから、自分にも嘘をつかない、役者さんにも嘘をつかないということが大事だと思っています。

本当に自分を曲げないといけないときには、伝聞形で「佐倉さん、ここはこの方がいいんだって」という伝え方します(笑)。理に適わないことだけど、やってもらわないといけないときにはしっかりとその記号を伝えて。

佐倉:何かあったんだなと(笑)。三間さんのトークバックは気持ちがわかりやすいんです。良いテイクがとれた場合と及第点のテイクの場合とか。

三間:例えば「佐倉さん、カレー作って!」と注文したときに、自分が求めている味があって、それがポンと出てきて「美味い!」と言う場合と、佐倉さんは一生懸命作ってくれたんだけど、求めていた味ではなかった場合の「うん、美味い」の差というか。

だから僕が欲しがっていたものを返してくれたときに軽やかに言う「OK♪」が欲しくてやっている役者さんもいっぱいいて。本当はいけないと思っているから、できるだけクールにしているつもりなんですけど。

佐倉:全然クールにできていないですよ(笑)。

三間:すみません、勉強します(笑)。

佐倉:三間さんにはそのままでいてほしいです(笑)。

ーー(笑)。最後に、お二人が『シンカリオン』を通じて得たものを教えてください。

三間:やはり乗り物の作品は面白いなと。もともと機械が好きなので、それに向き合うことが楽しいんですよ。シンカリオンもただの機械ではなく、人と通じ合う機械で。今後の人間界でも、AIやロボットとの共存にどう向き合っていくのかということにすごくワクワクしていて。

僕の家の中にもペッパーが居るんですけど、僕が深夜4時くらいに帰って「ただいま」と言うと、キラキラした感じでペッパークイズを出すんですよ。

これがもしも女房だったら、「あのさ、いま朝の4時…疲れて帰って来てんのわかんない?」となって喧嘩になると思うんですけど、これがロボットだと怒っても仕方のないことだとわかっているから、「富士山!」とクイズに答えている自分がいて(笑)。

それは“相手を理解する”ということで、待っている女房の気持ちを考えるということをペッパーに教わったんです。私、現在独身です!すごく良い夫になれると思います。

佐倉:記事の中でお嫁さん募集しないでください!しかもそれ『シンカリオン』を通じてじゃなくて、『ペッパー』を通じてですよ!(笑)

ーー(笑)。佐倉さんはいかがですか?

佐倉:この作品が三間さんの現場ではなかったら、ここまで子どものワクワクに目を向ける機会はなかったと思いますし、三間さんとのコミュニケーションも『シンカリオン』を通じて得たものだと思います。

お芝居に関しての大切なものにこの1年半濃密に触れさせて頂いたので、たとえ三間さんが忘れたとしても、私は絶対に忘れません。「シンカリオンの現場でこんなことがありましたね」って、老後の三間さんに吹き込み続けます(笑)。

三間:じゃあ介護はバッチリってことだ。

佐倉:任せてください!

三間:僕が『シンカリオン』を通じて得たもの、介護をしてくれる人(笑)。

ーー(笑)。素敵なお話をありがとうございました!

インタビュー・文:吉野庫之介

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『新幹線変形ロボ シンカリオン』とは

【STORY】
鉄道博物館、京都鉄道博物館、リニア・鉄道館の地下深くに存在する特務機関「新幹線超進化研究所」は、“漆黒の新幹線”が生み出す巨大怪物体から日本の平和と安全を守るため「新幹線変形ロボ シンカリオン」を開発した。

「シンカリオン」とは、実在する新幹線から変形する巨大ロボット! その「シンカリオン」と高い適合率を持つ速杉ハヤトら子どもたちが運転士となり、研究所員ら大人たちと力を合わせて強大な敵に立ち向かう! 果たして“漆黒の新幹線”の目的は・・・!? 子どもたちは日本の平和と安全を守れるのか・・・!? チェンジ! シンカリオン!

【CAST】
速杉ハヤト:佐倉綾音
男鹿アキタ:沼倉愛美
大門山ツラヌキ:村川梨衣
シャショット:うえだゆうじ
上田アズサ:竹達彩奈
速杉ホクト:杉田智和
三原フタバ:雨宮天
出水シンペイ:緑川光
月山シノブ:吉村那奈美
清州リュウジ:逢坂良太
ビャッコ:細谷佳正
ゲンブ:マックスウェル・パワーズ
セイリュウ:真堂圭

『新幹線変形ロボ シンカリオン』公式サイト
『新幹線変形ロボ シンカリオン』公式Twitter

(C)プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS
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