『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE　ヒーローズ：ライジング』轟焦凍役梶裕貴さんインタビュー｜1年A組が共闘する姿に感動、轟の今も見えるエピソード

重要なカギを握る真幌と活真姉弟

――もう一組の新キャラ、真幌と活真の姉弟についてはどう思いましたか？

梶：とてもかわいいですよね。子供らしくて、お姉ちゃんがお姉ちゃんらしく、弟も弟していて。今回の物語に欠かせない、ストーリーを動かすキャラであり、演じられる黒沢ともよさんと寺崎裕香さんは他の作品でも共演経験がありますが、今回もキャラの魅力をとても引き出していらっしゃったと思います。

――劇場版ではデクや爆豪など1年A組の成長に加え、この姉弟の成長も描かれています。

梶：『ヒロアカ』では兄弟や家族の関係性が描かれることが多いような気がしていて。それはきっと、人間をしっかり捉えて、向き合っているからだろうなと思うんです。

それぞれのキャラに違った弱点やコンプレックスがある。この劇場版に登場する真幌と活真もちゃんと自分自身と向き合って、変わっていきます。

終盤のバトルシーンはシンプルだからこそ伝わるすごさ

――史上最強かもしれない敵ということで、バトルもすさまじく、過去に多くのTVアニメや劇場版の戦闘シーンの中でもベストバトルに数えられるスケール感を感じました。

梶：すごくシンプルな作りではあると思うんですけど、だからこそ伝わってくるものがあるし、感動できて。でもそれって、制作に携わっている皆さんが本当に全力でやっていないと成立しないと思うんです。

音楽に例えると、おそらく音がたくさんあるほうが豪華、にぎやかに聴こえるものだと思うのですが、そこをあえて引くことで勝負している。

素材の良し悪しがストレートに伝わってしまうであろう中であれだけカッコいいものができるのは本当にすごいことだと思います。アニメーターの皆さんには「お疲れ様」という感謝の気持ちとリスペクトしかありません！

――壮大なバトルシーンはキャストの皆さんも大変だったのでは？

梶：スタッフの皆さんがベストを尽くしてくださっている以上、僕らもただただ全力を出すだけなので、後先考えずにやらせていただきました。

轟にもカッコいいバトルシーンが用意されていて、素敵なセリフと演出をいただけて、役者としても轟推しのひとりとしてもうれしかったです(笑)。1年A組のメンバーと共闘している姿にもグッときました。

――今作で注目してほしいポイントは？

梶：1年A組のみんながいろいろな形で活躍しているのが素敵だなと。轟としては、クラスメイトとして、その輪の中に入って一緒に何かをしていること自体が彼の成長を感じる部分で。

実力もある子なので頼られたり、状況を打開する提案をしたりと、仲間たちと一緒に行動することをポジティブに考えられるようになったのが、今の轟を象徴しているのかなと思います。

“個性”を活かすのも殺すのも自分次第でありつつ、みんなで補い合い、高め合っていくことの素晴らしさや、ひとりでは勝てないような敵にみんなで立ち向かっていくところが素晴らしいと思います。

作品に関わるすべての人のベストとカタルシスが詰まった劇場版をお楽しみに！

――「これを超える展開はもうないと思うので、第3弾はないでしょう。多分」という先生からのコメントもありましたが……。

梶：「えっ、ないんですか!?」と思いました(笑)。まあでも、よく考えてみれば最終回でやろうと思っていた展開を劇場版でやってくださったこと自体が大盤振る舞いなんですよね。

実際に完成したものを拝見させていただいて、本当に「いい最終回だったな！」と思ったくらい(笑)。

もちろん続きは見たいですけれど、意図的に次を考えて計算するのではなく、その都度、全力でやるからこそ次が生まれたり、求められたりするものだと思うので。

現時点でベストなのは間違いないですけれど…次回作に期待していないか、と聞かれれば、間違いなく期待していますね(笑) 。

――皆さんへメッセージをお願いします。

梶：堀越先生のお言葉どおり、これ以上ないのではないかと思うくらい、この作品に関わっているすべての人たちのベストが詰まっている作品だと思います。

観終わった後、『ヒロアカ』らしく前を向ける作品。まだ原作もTVシリーズも続いていますが、「いい最終回だった！」と思えるカタルシスが沢山詰まっているドラマですので、ぜひ劇場公開を楽しみにお待ちください。PLUS ULTRA！

〔写真・Re-Zi〕

映画情報

ストーリー

雪が降り続く冬のある夜。

ヒーロー社会を壊そうと目論む敵＜ヴィラン＞・死柄木弔たちが、密かに【何か】を運ぼうとしていた。彼らの動きを事前にキャッチしたプロヒーローたちが現場に駆け付け、激しい戦いを繰り広げる。その戦いの中、その【何か】は、仲間とともに去って行った。「実験は、成功した―。」という言葉を残して。

ちょうどその頃、出久たち雄英高校ヒーロー科1年A組の面々は、引退したNo.1ヒーロー・オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーロー育成プロジェクト”の一環として、クラス全員で期間限定の校外ヒーロー活動のために日本のはるか南に位置する離島・那歩島（なぶとう）を訪れていた。

ここしばらく大きな事件が全く起きていない平和な島で、駐在ヒーローとして島の人々の生活を助けながら、忙しく、それでいてのんびりとした時間を過ごす中、出久たちは真幌（まほろ）と活真（かつま）という二人の姉弟と出会う。ヒーローに憧れる活真と早速打ち解ける出久だったが、なぜか真幌は、かたくなに活真を出久たちから遠ざけるのだった。

そんな中、突如謎の敵＜ヴィラン＞たちが那歩島に襲来、次々と島の施設を破壊していく。それを指揮するのは、「ナイン」。出久、爆豪ら1年A組のメンバーは力を合わせて敵＜ヴィラン＞に立ち向かうが、ナインの圧倒的な“個性”と力は想像を遥かに超えるものだった。

なぜ、ナインたちは那歩島を襲撃したのか？　そして、出久たち1年A組の“ニューヒーロー”たちは、果たして最凶の敵＜ヴィラン＞から活真と真幌、そして島の人々を守ることができるのか―！？
　