「アニメを信じ続けてきた結果、今がある」春アニメ『EDENS ZERO』の主題歌に込められた西川貴教の願い
西川貴教をつくり上げたアニメとは
ーー西川さんはアニメファンの中でもかなりのアニメ好きとして定評があります。毎クール、新作アニメはどれくらいご覧になられていますか?
西川:できる限り見るようにしています。今は(アニメ)を追いやすくなりましたしね。
以前は録画予約してハードディスクに撮り溜めて、とりあえず1~2話はできるだけ見て、そこから取捨選択して視聴継続する作品を絞るとか。春アニメだったら1~2月くらいに少しずつ情報解禁されていくので、まとめサイトを見て片っ端からプロダクションとキャストを調べて、どれを見るか決めていくとかしていました。
ーーす、すごい……!
西川:今はそんなことをしなくても、アニメの放送タイミングとほぼ変わらずNetflixやAmazonプライム・ビデオなどで配信されて一通り追い切れるようになったから、あとは時間の問題だけですかね。
ーー西川さんとてもお忙しいと思いますが、アニメを見る時間はどのように確保されているのでしょう?
西川:今はトレッドミル(ランニングマシン)に乗りながらアニメを見るのが毎日の習慣です。
本当はサウナの1時間もアニメに使いたいんですよ! 耐熱のタブレットをどこかのメーカーが出してくれることを期待しています(笑)。
ーー(笑)。
西川:新作アニメだけじゃなくて、以前気になっていたけどリアルタイムで見られなかった作品や1期は見たけど2期を見られていなかった作品を追いかけられるのがいいですよね。毎日2話ずつ削っていけば見られるので。
ーーそんなアニメ好きの西川さんが考える「これが西川貴教という人間をつくっている!」という作品をお伺いしたくて……。
西川:ふわー!
ーー複数作品でも構いませんので、ぜひ!
西川:まず一つに『ガンダム』シリーズは外せない。幼少期にものすごく自分が影響を受けた憧れの作品へ、後々間接的に楽曲提供やキャスト参加をさせていただけるなんて思わなかったですから。こんなに長く深く一つの作品と関わることはないので、やっぱり大きいですね。
また、これまで関わった作品の一つひとつが積み上がってできていると感じています。それこそ初めてアニメ主題歌を担当させていただいた『るろうに剣心』や、アニメとゲームのハイブリッドですけど『戦国BASARA』とか。
ーー『戦国BASARA』はゲーム・アニメともに一貫して西川さんが主題歌を担当されていますよね。
西川:自分のキャリアの中でも『戦国BASARA』ゾーンがあるくらいかなり長い期間関わった作品でした。「戦国時代」というテーマで大喜利みたいに毎度曲を作るんですよ。桶狭間からまだ2年後なのに、次の曲作るの!?みたいな感じで大変でした(笑)。
ーーあははは(笑)。
西川:毎回楽曲制作は本当に過酷でしたけど、今となってはすごく面白い経験をさせていただけたと思います。
ーー1996年に『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』で初めてアニメ主題歌を歌われてから25年間、西川さんはアニメととても近い位置にいらっしゃるアーティストの一人だと思います。この25年の中でアニメというコンテンツにどのような変化があったと感じますか?
西川:アニメ主題歌を歌っていた当初はアニメを見ない人たちから「アニメは子どもが見るもの」「幼稚なもの」と言われたり、JポップやJロックなどの音楽畑の人たちから「アニメに媚びている」と言われたりすることがありました。
そこから25年の中でしっかりとしたテーマ性を持つ作品が安定したセールスでどんどん頭角を現して、日本の生み出すコンテンツの主導権や覇権を握るような存在になってきて。今や海外ドラマや映画を見るのと同じレベルでアニメを国内外問わずみなさんがご覧になっているのは、非常に我がことのように嬉しいです。
僕はもともとアニメファンでアニメの魅力を知っていて、早いうちからアニメに関わるように大きく舵を切ってきました。それが、今こうやってアニメ好きのみなさんとの信頼関係に繋がっていると感じています。
ーーアニメ好きとしては、お話を聞いていてやっぱり西川さんって“兄貴”だなと感じます。
西川:いやいや(笑)。純粋にアニメファンでアニメは映像としてコンテンツとして絶対に魅力が伝わるものだと信じていたから。その後押しになるために、僕は音楽でアニメを広げて届けていくんだとひたすら続けてきた結果、今があるんだと思います。