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映画『るろうに剣心』アクション監督・谷垣健治さんインタビュー

映画『るろうに剣心 最終章』二部作公開記念 アクション監督・谷垣健治さんインタビュー|『アニメとの違い、実写ならではの良さを感じてもらえたらな、と思います』

 

余白があるからこそ、想像しなかったシーンが生まれる。

——『るろうに剣心』においては「アクションシーンに少し余白を残している」というお話も拝見したことがあるのですが、今回もそれは同じなのでしょうか?

谷垣:そうですね。『るろうに剣心』ではビデオコンテもちゃんと用意していると言われていたりするんですが、実は僕らはそんなことやっていなくて、その代わりがアクション練習になります。その時に撮った映像。

アクション練習で使った立ち回りを本番にも入れたりはしますけど、きっちり「このカットはどうなって、こうやって……」と決めていくのは、『るろうに剣心』という作品には合わないんです。ビデオコンテをトレースするようなことをした瞬間に一気に面白くなくなってしまう。

なので、僕は『るろうに剣心』に関しては、基本的にはショットリストだけです。カメラマンには「ここはキモだから絶対捉えてほしい」という言い方はしますが、Cカメには「狙えるものを直感で狙ってください」としか言いません(笑)。自由度が高い分、僕らが想像しなかった撮れ高があったりするんですよ。

ビデオコンテだとやっぱり想像したものしか撮れないし、アクション部のスタントマンが足場のいい完璧な状況でやっているものなので、実際の状況と違いますよね。現場では役者さんの体調や撮影時間の関係、足場の悪さ、衣装の重さなどによって、そこを目指してもビデオコンテの7割くらいのものになってしまう。

そういう意味では、『るろうに剣心』はやっぱりショットリストでやるべきなんですよね。僕らの想像しなかったミラクルが起きやすい。記録映画に近いアプローチですね。

——そういった余白があるからこそ、役者さんからの提案も生まれやすくなるということですね。

谷垣:もちろんです。正解なんてなくて、面白ければ、カッコよければ正解だと思っているので、役者さんの提案はとりあえずやるようにしています。

——とりあえずやってみて、良ければそれが採用されるんですね。

谷垣:はい。それに役者さんの言うことは、たいてい自分のイメージがあっての提案なので、それをこちらがちゃんとフレームに収めさえすれば、まず面白くなるんですよね。なので、提案してもらったものはだいたい間違いはないと思います。

 

谷垣さんから見た本作の魅力とは?

——谷垣さんから見て、本作ならではの魅力はどんなところでしょうか?

谷垣:単純にいうと『The Final』はお祭りですね。アクション祭り。前作をリアルタイムで観ていない人も増えた中、『こんなことができるのすごくない?』 と思わせたい。一方リアルタイムで観てくれていた方には「待ってました!」と言われたいというか。「こんな剣心が見たかった!」というお祭り感を出していますね。

逆に『The Beginning』は「こんな剣心見たことない!」という雰囲気が出せればいいな、と思って撮ってました。一作目で人斬り時代も少し描きましたけど、そこをもっと見たくない?見たいでしょ? と思いながらやりましたね。

——『The Final』のお祭り感はまさしく少年漫画らしいというか、熱い盛り上がりを感じます。

谷垣:そう、まさにジャンプ感(笑)。現場では『アベンジャーズ』みたいな雰囲気になればいいかな、と思ってやってました。あれだけの数のキャラクターがいて、それぞれの特徴を出しながら作っていったので。

『The Beginning』は剣心のプライベートストーリーをもっと掘り下げていきました。『The Final』は剣心が刀を取った瞬間「カッコいい!」と思うのに対し、『The Beginning』は剣心が刀を抜いた瞬間に「怖っ」と思わせるのがいいのかな、と。

『The Final』は「俺もこの中に入りてー!」と思わせるのに対して、『The Beginning』では「…ここはちょっと行きたくない」と思わせるぐらいになっているといいかな、と思います。それぐらい大きな差がありますね。

——前作公開から7年、ファンにとってはまさしく待望の『最終章』となっています。最後に、本作を楽しみにされている方へメッセージをいただければと思います。

谷垣:『るろうに剣心』は一番最初、漫画、アニメをどのように実写化するか、ということを僕らもすごく考えました。

不安や批判もあった中、徐々に反響が大きくなっていく中で改めて、アニメや漫画とはメディアが違うわけで、それを変になぞらない、隙間を突いていくということをすごく考えました。

そういったアニメとの違い、実写ならではの良さを感じてもらえたらな、と思います。とにかく楽しんでいただければ嬉しいです。

——ありがとうございました。

 

 
[取材・文・撮影/太田友基]

映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』作品情報

 
The Final 2021年4月23日(金)
The Beginning 2021年6月4日(金)
2部作連続ロードショー

STORY

かつては“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心だが、新時代の幕開けとともに、斬れない刀=逆刃刀<さかばとう>を持ち穏やかな生活を送っていた。

最狂の敵・志々雄真実が企てた日本転覆の計画を阻止するため、かつてない死闘を繰り広げた剣心達は、神谷道場で平和に暮らしていた。しかし、突如何者かによって東京中心部へ相次ぎ攻撃が開始され、剣心とその仲間の命に危険が及ぶ。果たして誰の仕業なのか?何のために?それは、今まで明かされたことの無い剣心の過去に大きく関係し、決して消えることのない十字傷の謎へとつながっていく。

そして、これまで語られることのなかった<十字傷>の謎に迫る「るろうに剣心 最終章 The Beginning」へ続いていく。動乱の幕末期と明治維新後の新時代の2つの時代を通して描く!2つの作品を通して描かれる「るろうに剣心」史上最高のクライマックス。「るろうに剣心」のすべてがここにある――。

出演

佐藤 健
武井 咲 新田真剣佑
青木崇高 蒼井 優 伊勢谷友介
土屋太鳳 / 三浦涼介 音尾琢真 鶴見辰吾 中原丈雄 /北村一輝
有村架純 江口洋介

スタッフ

監督:大友啓史
音楽:佐藤直紀 主題歌:ONE OK ROCK
原作:和月伸宏「るろうに剣心−明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ コミックス刊)製作:映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
制作プロダクション・配給:ワーナー・ブラザース映画
©和月伸宏/集英社 ©2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

 

関連リンク

オフィシャルサイト:http://rurouni-kenshin.jp #るろうに剣心最終章
公式Twitter:https://twitter.com/ruroken_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/ruroken_movie/

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