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ディズニー&ピクサー映画『あの夏のルカ』監督&製作インタビュー

ディズニー&ピクサー最新作『あの夏のルカ』エンリコ・カサローザ監督&アンドレア・ウォーレン製作インタビュー|“友情”とは何かを問いかけるひと夏の物語

ディズニー&ピクサーが贈る最新作『あの夏のルカ』が2021年6月18日(金)よりDisney+(ディズニープラス)で独占配信がスタートします。

本作は、平穏な<海の世界>に暮らすシー・モンスターの少年ルカが、<人間の世界>を知るシー・モンスターのアルベルトと出会い、止まらない好奇心から人間が暮らす町へと足を踏み入れては<海の世界>と<人間の世界>に大事件が巻き起きるサマー・ファンタジー・アドベンチャー。

『トイ・ストーリー』『リメンバー・ミー』のディズニー&ピクサーが美しいイタリアの港町を舞台に描く<ひと夏の奇跡>は必見です!

アニメイトタイムズ では、そんな本作の監督を務めたエンリコ・カサローザ氏と製作を務めたアンドレア・ウォーレン氏にインタビューを実施。

ピクサーが作品づくりにおいて大切にしていることや本作のメッセージ性などについてお話してくださいました。

▲(左)エンリコ・カサローザ氏、(右)アンドレア・ウォーレン氏

▲(左)エンリコ・カサローザ氏、(右)アンドレア・ウォーレン氏

“友情”がどんな風に自分を変えるのか問いかけたい

——少年たちのひと夏の経験が描かれている本作は、ピクサー史上初の「夏」を題材とした作品となっており、『スタンド・バイ・ミー」を思い起こさせました。なぜこの題材を選んだか、理由をお聞かせください。

エンリコ・カサローザ氏(以下、エンリコ):まさに『スタンド・バイ・ミー』や『ヤング・ゼネレーション』もインスピレーションとなった作品の1つとなっています。

「夏」や「友情」というのは今までも映画の美しい題材になってきていますが、今回はピクサーが作品づくりで参考にしているパーソナルな体験から物語を築いていくという意味で、自分の体験が元になっています。

ピクサーでは今まで子供そのもの、子供の視点だけの物語が描かれていなかったのでは?と思ったのも、この作品を作りたかった理由の1つです。子供の世界で時間を過ごすような物語も面白いんじゃないか、と。

あとは「海」もテーマになっていますが、僕はイタリアの海岸沿いで育ち、海からあがらない子供でしたので、当時はまるで魚のような気持ちでいました。

そこで生活する中でアルベルトのモデルになった親友と出会うこともできて、私たちは友情を通していかにお互いを成長させているのか、友情がどんな風に自分を変えるのか、あるいはその出会いがなければ果たして今の自分なのか……こういう問いかけを映画の中で掘り下げていきたい気持ちがあったんです。

——アルベルトのモデルになった少年とは、どのような人物だったのでしょうか?

エンリコ:その少年は同級生でクラスは違いましたが同じ中学校に通っていました。11~12歳の頃にジェノバという街で出会い、あまり子供に向いていないような場所も含めて彼と自由に走り回っていたのを覚えています。

彼は本当に何でも試してみたい人でいろいろなものに興味を持っていました。たとえば、魚釣りにチャレンジしようよ!と言われて一緒に電車に乗って崖から糸を垂らしてみたり、よく崖から海に飛び込んだりして。

実は、今回の映画のためにピクサーのチームをその思い出の場所に連れて行ったんです。「この階段を走り降りてここの石のところでジャンプしたんだよ」とチームに説明して回りました。

また、彼は恐怖と対峙するタイプでしたので、ある日蛇を学校に持ってきたりしたこともありました。当時は気づきませんでしたが、蛇が怖くなって実は妹さんにエサを与えてもらっていたそうです(笑)。

とにかく好奇心が旺盛で彼のおかげで僕もいろいろなものにチャレンジすることができましたし、彼は親が家にあまりいなかったそうで自由奔放でした。最終的には、彼はイタリア空軍のパイロットになっていて、「(子供の頃よりも)もっと高い崖を見つけたよ(笑)」とよくふざけて言っています。

▲ルカ(CV:阿部カノン/左)、アルベルト(CV:池田優斗/右)


——イタリアを舞台にしているように、街並みやポスターなどイタリアが満載でしたが、『リメンバー・ミー』のメキシコや『ソウルフル・ワールド』のニューヨークなど、最近のピクサー作品はローカル色を強く感じます。これには何か意図があるのでしょうか?

エンリコ:その土地を舞台に選んだときに、意識してその土地をフォーカスしようとは特別意識していません。もちろん、なるべくその土地を正しく具体性を持って描きたいという気持ちはあるので、その結果になるわけですが。物語自体は普遍性を持ったものにしたい、それがその舞台にどうフィットするのかを考える中で、ローカル色が自然と強くなっていると思います。

確かに、僕も今回の作品はイタリアのラブレターのような気がします。僕にとっては故郷ですし、皆さんを連れていきたい気持ちもあるからね。パーソナルな物語を綴りたいというピクサー作品の想いと共に、この映画にもファンタジー要素が含まれています。

アンドレア・ウォーレン氏:エンリコの思い出に根差している物語なので、イタリアにしっかり根付いていると感じました。それから、常にどのような場所であってもピクサーではその場所、その土地を大切にしたい、そこに皆さんをお連れしたい気持ちがあります。

だからこそ、実際の場所にピクサーのチームでリサーチをして、建物や水の反射などをじっくりと研究しました。イタリアだからってスパゲティミートボールで終わらせたりはせずにね(笑)。

ちなみに、この映画の舞台はイタリアのリグーリア州で、緑のパスタ「ジェノベーゼ」が有名です。なので、そういったニュアンスもしっかりと取り込んでいます。

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