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『劇場編集版 かくしごと』後藤姫役・高橋李依【声優インタビュー】

『劇場編集版 かくしごと ―ひめごとはなんですか―』後藤姫役・高橋李依さんインタビュー|TVシリーズで演じた10歳の姫を見て、改めて芽生えた感情とは?

2021年7月9日(金)に公開される『劇場編集版 かくしごと ―ひめごとはなんですか―』。

下品な漫画を描いている漫画家の後藤可久士(CV.神谷浩史)は、小学4年生の愛娘・姫に、自分が漫画家であることを隠していたーー。“かくしごと”という言葉に含まれるいくつもの意味……愛と笑い、そして感動の父娘物語を、TVアニメの映像に新規カットを追加した劇場編集版として公開。

TVアニメでは描かれなかった「もう一つのラスト」を描き切る。姫を演じた高橋李依さんに、作品のことをたっぷり語ってもらった。

TVシリーズで演じた10歳の姫を見て、改めて芽生えた感情とは?

ーー劇場編集版が公開されると知ったときはどう思いましたか?

高橋:TVアニメ全12話を放送したあと、ほぼ同じタイミングで原作が終わるということで、久米田先生が描かれた最終回のネームを元に作ったアニメだと聞いていたのですが、実際に発売された漫画の最終話を見たら、新しいエピソードが入っていて、「なにそれ!?」と鳥肌が立ったんです(笑)。

もちろん、アニメーションとして素敵な最終回を迎えられたという自負はあるのですが、先生の描かれた新たな「ひめごと」(※最終話のタイトル)を見て、ちょっと羨ましい……これも演じてみたいという気持ちが湧いてしまったんですよね。それを今回、劇場編集版として描けるということで、そんな正解あったんだ!と幸せを感じました。

 

 

ーーTVアニメの頃は、10歳と18歳の姫を演じていました。当時、子供を演じることはチャレンジだとおっしゃっていましたが、そのチャレンジを終えて、今回は少し客観的に見られたのではないですか?

高橋:そうですね。当時は自分のお芝居という点で、見ていてもいろいろと勉強してしまうことが多かったのですが、今回は主に姫のモノローグであったりナレーションの部分で携わらせていただいたので、思い出を懐かしむような感じで純粋に楽しめました。

ーー実際、10歳の姫はどうでしたか?

高橋:かわいいなって、思っちゃいました(笑)。萌えとかではないかわいさってこういうことだなと。我が子がかわいいという感覚なのかな……。もちろん、自分の声帯を通している分、血がつながっているような感覚もあるので、かわいいと言ってしまうのは恥ずかしさもあるんですけど、「かわいい子はかわいい!」みたいな感じで、めっちゃ母性が湧いています。

ーー実際放送当時から、かわいかったですよ(笑)。当時は姫を演じる上で、悩みも多かったのですか?

高橋:アニメーションで見せたい姫像というものがあって、それが何を考えているのか分からないようにしたいというものだったんです。

それは10歳の姫なんですけど、アニメの前半で、姫がぽっと言った一言にお父さんが振り回されて、最後に漫画で言う見開きのような感じで、ハッとすることを言われて、そういうことだったんだと分かる構成にしたいと。

なので最初の一言は不思議な発言にしておかなければいけないんですけど、それってどういう気持ちで言っているんだろう、と思ってしまったんです。不思議というのは、制作側が見せたい姫のことなので、姫は何を考えているんだろうと、私がぐちゃぐちゃになってしまったんです。怖かったり、楽しかったり、嬉しかったりするシーンで、何で嬉しそうなんだろうというところの、なんでの部分をぼかしてほしいというけど、そのなんでの理由が分からなかったら演じちゃいけないんじゃないかと考えてしまって。

そのことを神谷さんに相談したら、「子供の感情って説明できない感情もあるよね」とおっしゃられたんです。つまり「なんか楽しい」とか「なんか嬉しい」の“なんか”の感情の部分なんですけど、その感情の説明って、子供にそこまで必要なのかという部分を気づかせてくださったんです。だから、姫も分かってないなと思ったら、これは「なんか」楽しいだけだ!って。理由がないことに理由を見つけられたという意味で、ヒントを頂けたというか。理論的に理論がないことを説明してくれたんですよね。

ただ、姫は感性が独特だったりして、“なんか”で済ませていい部分と、彼女なりに突き詰めている部分も混在しているので、そこは丁寧に演じていきました。

ーーそうやって、結構理論だてて考えてしまうものなんですか?

高橋:これは私の癖だと思います(笑)。多分まっすぐに感覚でやっても正解にはたどり着けると思うんですけど、私はつい寄り道をしてしまうような。もちろん、考え抜いたことに後悔はないです。

ーーこれもTVアニメでの話になるのですが、後藤可久士役の神谷さんとの掛け合いでの思い出がありましたら教えてください。

高橋:すごく嬉しかったのは、マイクが4本立っている中で、左から2番目が神谷さんで、その右隣に私が入っていたんです。普段の仕事場で漫画家さんと会話をしているシーンのとき、神谷さんは左手で台本を持っていたんですけど、私が右のマイクに入ったときに右手に持ち替えて掛け合いをしてくれていたんです。それに気づいたときはすごく胸があたたかくなりました。。スタジオではあるけど、父と娘の二人だけの空間みたいだなとかんじんです。実際、すごくしゃべりやすい、でもなんか恥ずかしい。でも嬉しい……みたいな感じでした(笑)。

ーーそれを聞いているだけで感動しますね。

高橋:それについて意図的にしていたのか、お父さん感を出すために必要だったのかは聞いていないんですけど、私が娘らしくあろうとする前に、お父さんがお父さんだったから私が娘になれたという感じのほうが強いんです。親子感を出さなきゃではなく、もう、お父さんだったんですよね。

姫からも「優しすぎたから」という言葉がありましたけど、あの声を聞いて、優しさを感じない人はいないだろう、という声だったんですよね……。

ーーその他に、アフレコで印象的な出来事はありましたか?

高橋:これは後日、ほかの方のインタビューなどを読んで「確かに!」と思ったのですが、神谷さんや筧亜美役の佐倉綾音さんは、すでに久米田先生の作品に参加されていたので、久米田作品のノリみたいなものを最初から掴んでいらっしゃったそうで。

だから漫画家さんチームの会話は、お二人がお芝居や表現の仕方で牽引して、あの空気が作られていたんだと。一言でジャンと片付けるツッコミのキレとかも、回を増すごとに鋭く、面白くなっていくんです。
つまりあの台詞の面白さは、役者さんの間で意図的に浸透していたんだ!ということなんですけど。久米田作品の芝居というものがきっとあって、ナレーションの口調……、例えば第一話の「一生職業を隠していこうと誓った」のくだりとか、ツッコミの語尾の感じやどこか拒絶感があるようなシュールな落とし方が技法だったと後で分かったときは衝撃で、恐ろしいセンスを持った方々と一緒にやっていたんだなと思いました。

ーーそれをインタビューで知ったんですね。

高橋:媒体に載っているインタビューをチェックして、こんな秘密があったんだなって思っていました(笑)。もしまたいつか、久米田作品のオーディションを受けられる機会があったら、私も久米田節に挑戦してみたいです。

(C)久米田康治・講談社/劇場編集版かくしごと製作委員会
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