映画
『シン・エヴァ』フィナーレ舞台挨拶レポート

庵野秀明総監督が改めてファンへの感謝を語るため登壇したアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』フィナーレ舞台挨拶をレポート|TVシリーズ当時の制作状況やアフレコの裏話も飛び出した……!?

2021年3月8日(月)に公開されたアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の上映終了が一部劇場を除き7月21日(水)に迫るなか、7月11日(日)に新宿バルト9で“フィナーレ舞台挨拶”が開催。

今回は碇シンジ役の緒方恵美さんら声優陣に加え、シリーズの総監督である庵野秀明さんも駆けつけ、TVシリーズの頃から『エヴァ』という作品を振り返り、完結を迎えた今の心境を語りました。

本稿ではこのイベントの模様をご紹介していきます。
 

出演者

緒方恵美さん(碇シンジ役)
三石琴乃さん(葛城ミサト役)
山口由里子さん(赤木リツコ役)
立木文彦さん(碇ゲンドウ役)
庵野秀明さん(総監督)


 

TVシリーズ当時の制作状況やアフレコの裏話も飛び出した

当日のMCを務めた松澤千晶さんの呼び込みで声優陣が会場に入ると、まずは緒方さんから順番に一言ずつご挨拶。

緒方さんは、今回のイベントに登壇した声優陣の演じるキャラクターたちが、綾波レイが運び込まれてくるまで『新世紀エヴァンゲリオン』の物語冒頭を飾ったメンバーだと話すと、そんなメンバーで最後の舞台挨拶を行うことが感慨深いと述べました。

庵野さんについては、以前行われた舞台挨拶でもファンのみなさんにお礼を申し上げたが、今回で最後ということで改めての登壇とのこと。

トークパートに入る前に、まずはこのイベント前日までの152日間の『シン・エヴァ』興行成績報告。なんと興行収入98.8億円、観客動員647万人を突破する勢いとなっており、100億円まで後わずか。

この結果について軽くお話を伺ったところで、最初のトークテーマは「初めての収録時の思い出」となりました。ここでは主にTVシリーズ当時のことが語られていったのですが、第壱話の頃は絵が100%入っていたことや、第8話から一部原撮になっていったことが判明。

最終回については緒方さん曰く、白い画面と黒い画面が交互に入れ替わり、それによってカットが切り替わったことがわかる、そんな映像になっていた模様。この映像だと声優陣はどこで自分の演じるキャラクターが喋っているかわかりづらそうですが、なんとここで庵野さんから、それは最終回のひとつ前のエピソードではなかったかとの反論が。

なんでも、最終回はそんな状態だったことを反省し、もう少しだけキチンとやっていたのだとか。緒方さんと庵野さんのどちらが正しいのかここで明かされはしませんでしたが、そんなことは無かったと否定がないことでそのような出来事が当時確実にあったことを窺わせました。

この他にも、最終回の台本が収録時に届かず収録開始から二時間後に届いたこと、シナリオが上がったのがその前日であること、絵コンテはアフレコの後に作成されたことなど、当時の制作状況を思わず想像せざるを得ないようなトークも聞けました。

絵が入っていない+制作現場が切迫した状況であることから声優陣の苦労は察せられるものがありますが、緒方さんによるとこのエピソードを他の業界人にすると、大抵のけ反るレベルで驚かれるのだとか。

この声優陣の苦労話に対し、庵野さんは「声に合わせて絵を作りますから大丈夫ですよ」と一言。本当に大事な声の芝居の時は、背中や引きの画にして描きキャラクターの絵をなるべく出さないようにするようなこだわりがあり、役者さんの芝居の方が絵に勝っている部分があると考えているようです。

その後は庵野さんに「自身の中にやりきったという達成感はあるのか?」と言った質問が投げかけられました。すると庵野さんは「今自分が作るアニメーションでやれることは大体やった。今やれる技術はようやく出来た」と話しました。『序』『破』『Q』の事はできなかった事に後悔を残した部分が少なからずあったそうですが、今回はようやく殆どやり残しなくできたとのこと。

その後は緒方さんへこれまでの『エヴァ』を振り返り、シンジがどんな存在になったかといった質問も飛び出しました。TVシリーズの頃は自分と真逆の存在だと思っていたそうですが、26年を経て「自分はシンジだったと思う」とコメント。作品と自身が演じ続けたキャラクターへの想いの深さを感じさせました。


 

庵野監督の感謝の言葉に込められた作品とファンへの想いを想像せずにはいられない

作品にまつわるトークパートが終了したところで、ここからは事前にSNS上でファンのみなさんから募集した質問を登壇者のみなさんに投げていく時間に。

最初の質問は、庵野さんへの「『シン・エヴァ』でもし時間が許すならば足したかったシーンはあるのか?」というもの。最初は上映時間2時間を切るために試行錯誤したそうですが、それではまとまらないことがわかり、必要なものを足していった結果2時間半になっていたそうです。

なので『シン・エヴァ』に関しては足すシーンやカットは無いと自信を露にする一幕も。他のときは後から足したくなることが多かったそうで、今回に関してはまた出てくるかもしれないけれど“今のところは”無いそうです。

続いて緒方さんへ「これまでの作品を通して一番印象に残っているシーン」が問われますが、これについてはありすぎてなんとも言えないとの回答に。

立木さんへは「終盤である人物の名前を呼び続けるゲンドウについて」となりましたが、これまでレイの名前を呼ぶときにその人物への想いを込めていたことを明かしました。今回は該当のシーンを演じる際はその部分をストレートに出していたそうで、自然に心から湧いてくるような気持ちのまま演じられていたとのこと。

続いての三石さん&山口さんへの「お互いの演じるキャラクターの好きなところ」では、劇中さながらのおふたりの信頼関係を伺わせるトークが見られました。そして最後に全員へ、「ご自身にとってのエヴァとは?」という質問が飛び出しました。

立木さんが「26年やってきたリアル人生ゲーム」、山口さんが「自分の運命を変えられた作品」、三石さんが「どんな出来事が待っていようとも、そこにあったら上りたくなる山」、緒方さんが「自分自身のもうひとつの14歳の記憶」のようにコメント。

最後となった庵野さんは、すかして言えば自分の最新作だと述べ一旦笑いを取ると、そういうものでは無いとコメント。企画段階から30年近く関わった、自分の人生の半分を費やした作品だと振り返り、今回完結を迎えたことで「感無量な作品です」と一言で表現していました。

そろそろイベント終了の時間が迫って来たということで、立木さんからファンのみなさんに改めてメッセージを述べていくことに。

緒方さんはまず、努力をするのは当たり前だけれど、役者は運がないといけないと前置きしました。そして、自身がここまで来られたのは『エヴァ』のおかげだと思っており、そんな運と縁をくれて感謝していると話しました。加えて『エヴァ』という作品がこの26年間ファンのみなさんと共にあったと信じている、そういう気持ちを共有出来て幸せでしたと一言。

またこの先シンジに会えるかどうかはわからないとしつつ、いつ呼んでもらっても14歳に戻れる、そういう自分でいられるようこれからも出来る限り努力していくと話し、これからもみなさんの心と一緒にあって生き続けられたらとコメントを結びました。

ラストに庵野監督が、「今日は最後にみなさんにお礼を申し上げるためだけにここへ来た。ありがとうございました!」と一言。本当は色々と話したかったそうですが、この言葉しか出てこなかったそうで、本当に色々なものが込められた感謝であることを感じさせていました。

いよいよ上映終了の迫った『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。新型コロナウイルスの影響など難しいご時世ではありますが、興行収入100億円まで後しばし注目していきましょう!

 

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』作品概要

・上映時間:2時間35分
・企画・原作・脚本・総監督:庵野秀明
・監督:鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏
・テーマソング:「One Last Kiss」宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ)
・音楽:鷺巣詩郎

・声の出演:
緒方恵美
林原めぐみ
宮村優子
坂本真綾
三石琴乃
山口由里子
石田彰
立木文彦
清川元夢
関智一
岩永哲哉
岩男潤子
長沢美樹
子安武人
優希比呂
大塚明夫
沢城みゆき
大原さやか
伊瀬茉莉也
勝杏里
山寺宏一
内山昂輝
神木隆之介

・制作:スタジオカラー
・配給:東宝、東映、カラー

あらすじ

新たな劇場版シリーズの第4部であり、完結編。ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。

復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリのEVA改8号機が迎撃を開始した。

一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。
 
公式サイト
公式ツイッター(@evangelion_co)
カラー公式Twitterアカウント(@khara_inc)
カラー2号機Twitterアカウント(@khara_inc2)

(C)カラー
(C)カラー/EVA製作委員会
(C)カラー/Project Eva.
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