映画
『竜とそばかすの姫』大ヒット舞台挨拶&ティーチインレポ

細田守監督最大のヒット作となったアニメ映画『竜とそばかすの姫』大ヒット御礼舞台挨拶&ティーチインレポート|『おおかみこどもの雨と雪』花役ほかを演じた女優・宮﨑あおいも祝福に駆け付けた!

『時をかける少女』や『サマーウォーズ』など様々な名作をおくりだしてきたアニメーション監督・細田守氏の最新作となる『竜とそばかすの姫』が、2021年7月16日(金)より全国の劇場で公開中です。

既に公開からおよそ2ヶ月あまりが経過しましたが、9月11日(土)には本作の大ヒット御礼舞台挨拶&ティーチインがTOHOシネマズ日比谷にて開催。会場に集まったファンのみなさんの疑問に細田監督が回答していく、作品にファンにとってはたまらない時間となりました。

そしてイベント終盤には、『おおかみこどもの雨と雪』花、『バケモノの子』九太の幼少期を演じた女優・宮﨑あおいさんが登場。細田監督を祝う花束を手に駆けつける一幕も。

本稿ではこのイベントをレポートしていきます。


 

本作が細田監督最大のヒット作に!

本作は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けており、細田監督が公開後舞台に立ってファンのみなさんに挨拶するのは初めて。

公開初日の前日はカンヌ映画祭でのワールドプレミアに出席され、その後は初日舞台挨拶にリモート中継で参加されたものの、帰国後は二週間隔離のため直接ファンの皆さんの前にでる機会はなかったのだとか。

その話の後は現時点での観客動員数&興行収入の報告がありました。なんと動員423万人、興収58.7億円となっており、『バケモノの子』の最終興収58.5億円を超える細田監督最大のヒット作となりました!

発表を受けて会場から祝福の拍手が巻き起こると細田監督は、コロナ禍で緊急事態宣言や座席数などによって制限のある特別な状況の中で、多くの人たちに作品を見てもらえたことに「すごく恵まれているなぁ」とコメント。

本作はまだまだ上映が続くそうで、この秋もまだ映画館で鑑賞できます。報道によると規制が徐々に緩和されるという話もあるとのことなので、その際にはぜひ見てもらいたいとの話もありました。


 

現実とインターネット、ふたつの世界から表現される二面性

ここから会場のファンのみなさんからの質問に、細田監督が自ら回答していくコーナー。

最初の質問は「この作品を一番最初に企画するきっかけ」。細田監督は「『美女と野獣』という物語がベースになっている」と話し、自分なりの『美女と野獣』をいつか作りたいと考えていたことを明かしました。

そして現代で『美女と野獣』を作るためにどういう切り口が必要かと考えた際に、「インターネットの世界の中でやればいい」と思いついたそう。野獣の暴力的な外見と心優しい内面の二重性が、現代のインターネットに関わる生身の自分たちの二重性と近いものを感じ、その部分が本作の切り口になったのだとか。

続いての質問は「今回の映画で野獣が人間に戻っていく方向で物語が描かれる決め手になったこと」。これは野獣だけでなく美女も二重性があって変化するところを描きたかったためで、それがベルとすずの関係性に現れているのだとか。

ベルがインターネットの世界で凛々しく行動する姿が、いつもは引っ込み思案なすずにも影響を与える。そうしてすず自身もベルのように強くなる。細田監督はそういう変化を見せる意図があったと語っていました。そして、そうやって変化したすずだからこそ、竜の本当の姿の人物と気持ちを通わせることができたとも。

3番目に質問を投げかけた方は、今日の本作を10回も鑑賞しているという驚きの人物。だからこそなのか、「(※作中の世界で)自分の姿をインターネット上で隠している人、隠していない人がいる。その理由は何故なのか」という非常に細かい描写についての疑問になっていました。

これは現実とインターネットの世界、現代に生きる人々が2つの世界を生きていることがポイント。細田監督は現実とインターネットで姿や見え方が違うのが面白い部分であり、実はひとりひとりが持つ二面性や三面性を発信する場所がある現代は面白いと考えているそう。

それまでは一面しか表に出せなかったり隠さなければならないのが人間社会でしたが、インターネットの世界が広がったことで自由になって活躍する人や、現実からの逃げ場所になっている人がいる。そういう部分を作品の中で表現し、色々な人の二面性を楽しんで欲しいという意図だったようです。

ラストの質問は「作中のインターネット世界<U(ユー)>のキャッチコピーである“陣営をやり直せる”」になりました。現実でもインターネット上の活動で人生を大きく変えた人がいますが、そのリアリティを細田監督がどのようにイメージしたのか気になったとのことでした。

細田監督はインターネットの世界が自由になる半面、現実世界の抑圧感が強くなっていると感じているそうです。特に子供や若者が自分の思うまま生きていけるのか気になっており、だからこそアニメーションを作る者として勇気づけたい、背中を押したいと考えたのだとか。

また軽いネタバレにはなると前置きしつつ、竜の中にいる彼の状況をすずが救い出すことができる、それもインターネットがあったからこそできる可能性として示している。そういう部分で希望を表現したと話していました。


 

驚きのサプライズに細田監督も会場も大盛り上がり!

一通りの質問が済んだところで、細田監督はこうして作品を観たファンから直接感想を聞ける喜びを露に。

そうしてイベント終了となるかと思われましたが、ここで遂に宮﨑さんが登場。本作の大ヒットのお祝いを直接伝えるためにやってきたそうで、事前に知らされていなかった細田監督はこのサプライズに大喜び!

宮崎さんには関わってきた細田監督の過去作が、自分にとってどんな存在なのかを語ってもらうことに。

ちょうどこのイベントの前日にあった6~7歳の女の子が『おおかみこどもの雨と雪』が好きだと話してくれたそうで、映画が好きだからこそ宮崎さんのことを知ってくれていたのだとか。その出来事から時間が経っても鑑賞してくれる方が多いことを実感し、嬉しく思ったのだそうです。

また『おおかみこどもの雨と雪』の当時も振り返っていき、細田監督の丁寧な演出やだからこそ毎回いい緊張感を持って関わるお仕事だったと話す宮崎さん。この話を受けて細田監督は、宮崎さんのおかげで作品をリアリティ持って制作できる喜びがあったとコメントしていました。

宮崎さんは本作を既に鑑賞されたそうで、すずの父を演じる役所広司さんの声にホッとするところがあると話し、すずがバスに乗って子供たちを助けに行く際のお父さんとの電話のシーンが好きだと明かす一幕も。

このシーンではお父さんの顔が映らないのに役所さんの声でお父さんの優しさや信頼が伝わってくるとのことでしたが、細田監督はこのシーンもこだわって作られたものであると明かしました。

なんと、アフレコの際にあえて絵で作っている間合いではなく、役所さんと中村さんの自然な間合いで演じてもらったシーンなのだそうです。これが上手くハマってリアリティを演出できたそうですが、その分だけ20秒くらい尺が伸びたといった裏話も。

そして宮崎さんから細田監督への質問として、「次の1年の抱負、テーマ」が問われました。これは、このイベントの翌週に細田監督がお誕生日を迎えられることからの質問でもあります。

気になる細田監督の抱負は「健康に生き生きとやっていく」というもの。コロナ禍での制作となり現場もピリピリしていたそうですが、なんとか感染者を出さずに完成を迎えられたのだとか。そこで改めて、健康であることと元気であることが大事だと実感したそうなのです。

ここまでのトークで大いに盛り上がったところで、いよいよマスコミ向けのフォトセッション。少し早い監督への誕生日プレゼントとして、宮崎さんからベルをイメージした艶やかな花束が手渡されました。

最後に細田監督は久々に会えた宮崎さんやファンのみなさんに改めて感謝を述べると、コロナ禍で我慢を強いられている状況の中、映画というものがみなさんの気持ちを解きほぐし、寄り添って癒すものであればいいと語りました。

公開から2ヶ月を経てまだまだ人気の本作。細田監督の渾身の最新作となっていますので、まだ劇場で干渉されていない方はぜひとも一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

アニメ映画『竜とそばかすの姫』全国にて大ヒット公開中!


 

ストーリー

自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。

母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。

曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。<U>では、<As(アズ)>と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けた<As>としては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。

数億の<As>が集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。

やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探し(アンベイル)。

<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗る<As>たちは竜を執拗に追いかけ始める。<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。

現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。
二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。

もうひとつの現実。もうひとりの自分。もう、ひとりじゃない。
 

 

スタッフ・キャスト

原作・脚本・監督:細田守
企画・制作:スタジオ地図
製作幹事:スタジオ地図有限責任事業組合(LLP)・日本テレビ放送網 共同幹事
 
すず/ベル:中村佳穂
竜:佐藤健
しのぶくん(久武忍):成田凌
カミシン(千頭慎次郎):染谷将太
ルカちゃん(渡辺瑠果):玉城ティナ
ヒロちゃん(別役弘香):幾田りら
ジャスティン:森川智之
イェリネク:津田健次郎
スワン:小山茉美
ひとかわむい太郎・ぐっとこらえ丸:宮野真守
吉谷さん:森山良子
喜多さん:清水ミチコ
奥本さん:坂本冬美
中井さん:岩崎良美
畑中さん:中尾幸世
すずの父親:役所広司
 
公式サイト
公式ツイッター(@studio_chizu)
公式Instagram
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