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『スター・ウォーズ:ビジョンズ』「T0-B1」レビュー【全作レビュー連載第4回】

『スター・ウォーズ:ビジョンズ』「T0-B1」レビュー|『スター・ウォーズ』の世界に日本初のあのTVアニメの要素を加えた快作【全作レビュー連載第4回】

ジョージ・ルーカスが公言する日本文化からの強い影響──そして、創造のルーツである日本へ『スター・ウォーズ』が還ってくる!

日本を代表する7つのアニメスタジオが独自の“ビジョン”で9つの新しい物語を描くビッグプロジェクト『スター・ウォーズ:ビジョンズ』がディズニー公式動画配信サービス Disney+ (ディズニープラス)で独占配信中です。

アニメイトタイムズでは、特別タイアップ企画として、9作品になぞらえて、9人の編集者とライターが1作品を担当し、作品の魅力に迫るスペシャルレビュー連載をお届けします。

連載4回となる本記事では、『夜は短し歩けよ乙女』や『DEVILMAN crybaby』などで知られるアニメーション制作会社“サイエンスSARU”より、アベル・ゴンゴラ監督が手がけた『T0-B1』(以下、本作)のレビューをお届けします。

ゴンゴラ監督はフラッシュアニメーションを強みとしており、近年ではTVアニメ『映像研には手を出すな!』のオープニングアニメーションの制作に参加されていました。本作でその強味をどのような形で発揮されているのかにも注目です。

連載バックナンバーはこちら!

◆【連載第1回】「The Duel」レビュー
◆【連載第2回】「タトゥイーン・ラプソディ」レビュー
◆【連載第3回】「赤霧」レビュー
◆【連載第4回】「T0-B1」レビュー
◆【連載第5回】「村の花嫁」レビュー
◆【連載第6回】「九人目のジェダイ」レビュー
◆【連載第7回】「The Elder」レビュー
◆【連載第8回】「のらうさロップと緋桜お蝶レビュー」
◆【連載第9回】「THE TWINS」

T0-B1

あらすじ

ジェダイを夢見る少年型ドロイドのT0-B1は、唯一の人間であるミタカ博士と暮していた。

星に生命を宿らせるという博士の研究をそっちのけで夢ばかりみている彼に、ミタカは試練を与える。それはライトセーバーの核となるカイバー・クリスタルを見つけだすこと。

はりきって星中を探し回るT0-B1は、ミタカに禁止されていた地下室に足を踏み入れ、古い宇宙船を見つけてしまう。

この悪気ない行動が、平和だった彼らの星に悪の手を招いてしまうことになる――。

サイエンスSARU

2013年に設立されたアニメーションスタジオ。

映画『夜は短し歩けよ乙女』やアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門グランプリ・クリスタル賞など数々の海外の映画賞を総なめにした『夜明け告げるルーのうた』、上海国際映画祭で金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した『きみと、波にのれたら』、アニメシリーズ「DEVILMAN crybaby」、「映像研には手を出すな!」などを生み出し、世界から高く評価されている。

独特なキャラクターと美しい表現力を持ち、同社にしか生み出せないアニメーションでファンを魅了している。

アニメイトタイムズ的注目ポイント!

日本のアニメファンへのおすすめ度:★★★★★
『スター・ウォーズ』ファンへのおすすめ度:★★★★★
声優ファンへのおすすめ度:★★★★★

日本アニメ史を語る上で絶対に外せないある作品の要素が、『スター・ウォーズ』の世界観を彩る

早速、本作の見どころを語っていきたいところなのですが、あらすじを読んだだけでも「ん? 待てよ……?」と考えた方は少なくないのではないでしょうか。

ジェダイやライトセーバーなどの要素を抜いてみると見えてくるのですが、「少年型のドロイドが博士と暮らしている」という部分。日本のアニメ史において最も重要と言って差支えのないある作品と、キャラクターの立ち位置が少し似通っているように思えるのです。

そして主人公であるT0-B1(ティーオービワン)の名前。そのまま読むとオビ=ワン・ケノービをもじったようにも思えるのですが、トビーと読むこともできるのです。このトビーという名前から、やはりある作品を思い浮かべずにはいられません。

そうです。その作品こそ、“マンガの神様”として名高い手塚治虫氏による『鉄腕アトム』です。天馬博士が自身の息子である“トビオ”の生まれ変わりとして作り上げた少年型アンドロイドこそがアトムであり、本作におけるT0-B1と彼を導くミタカ博士は、アトムとお茶の水博士の関係性を思い出させる部分があるのです。

とはいえ、筆者自身は『鉄腕アトム』が日本初のTVアニメーションとして制作された当時を知る世代ではなく、『アストロボーイ・鉄腕アトム』のリアルタイム世代で、それが元になって『アトム ザ・ビギニング』を楽しんだような人間です。

そんな世代の人間ですら、この作品から『鉄腕アトム』の存在を感じ取ることができたという点が重要なのです。なぜならば、『鉄腕アトム』という作品はそれだけ幅広い世代に受け入れられている、普遍的な魅力を持った作品であるから。

そう考えてしまうと、T0-B1の髪型? 頭部の形状? あたりが少しアトムっぽく見えてしまったり、ミタカ博士の容姿にしてもジェダイっぽさを残しつつも天馬博士とお茶の水博士の要素が取り入れられているように見えてきます。

元々『スター・ウォーズ』という作品は、日本の様々な文化がルーツとなったものがある、影響を与えたものがあるというのはよく知られたエピソード。本作はそんな『スター・ウォーズ』に、日本のアニメ、それも国産初のTVアニメである『鉄腕アトム』のエッセンスを融合させた作品と言えるのではないでしょうか。

日本のアニメファンならば知らない人はいないとさえ言える『鉄腕アトム』のエッセンスを使って描かれる『スター・ウォーズ』の世界……これはまさしく日本のアニメファンが惹かれる部分になるはずです。

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