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『スター・ウォーズ:ビジョンズ』「赤霧」レビュー【全作レビュー連載第3回】

『スター・ウォーズ:ビジョンズ』「赤霧」レビュー|1人のジェダイの心に「赤い霧」がかかるーー小国の姫と孤高のジェダイ、運命の物語! 様々文化をミックスさせた“オリエンタル・ダークSF時代劇”爆誕!【全作レビュー連載第3回】

ジョージ・ルーカスが公言する日本文化からの強い影響──そして、創造のルーツである日本へ『スター・ウォーズ』が還ってくる!

日本を代表する7つのアニメスタジオが独自の“ビジョン”で9つの新しい物語を描くビッグプロジェクト『スター・ウォーズ:ビジョンズ』がディズニー公式動画配信サービス Disney+ (ディズニープラス)で独占配信中です。

アニメイトタイムズでは、特別タイアップ企画として、9作品になぞらえて、9人の編集者とライターが1作品を担当し、作品の魅力に迫るスペシャルレビュー連載をお届けします。

連載3回となる本記事では、銀河の片隅にある惑星に導かれた1人の男が、シスに乗っ取られた王国奪還を目指す姫と共に旅をする物語『赤霧』をレビューします。

華麗なアクションシーンと、重厚なドラマという『スター・ウォーズ』ならではの要素を持ちながら、世界観やキャラクターデザイン、舞台設定などにルーツとなる日本のテイストをふんだんに盛り込んだ本作品。

数々の日本映画や名作アニメのオマージュを感じさせ、本企画の名に恥ぬ圧倒的な作り込みをみせる作品が『赤霧』なのです。悲しき運命を背負う1人のジェダイですが、原作ファンなら感じられるかすかな希望に鑑賞後、思わず胸がアツくなりました……!

『夜は短し歩けよ乙女』や『映像研には手を出すな!』などを生み出した、サイエンスSARU/チェ・ウニョン(監督)のオリジナリティ溢れる作品作りは視覚的にも楽しく、美しい仕上がりになっていますし、

キャスト陣は主人公のジェダイ、ツバキ役に宮崎遊さん、ヒロインの王女、ミサ役にはLynnさんと、今勢いのある2人をメインに、高木渉さんやチョーさんなどの大ベテランで脇を固めるという完璧な布陣!

ここでしか味わうことのできない『スター・ウォーズ』×「日本イズム」が凝縮された本作をぜひご堪能あれ!

連載バックナンバーはこちら!

◆【連載第1回】「The Duel」レビュー
◆【連載第2回】「タトゥイーン・ラプソディ」レビュー
◆【連載第3回】「赤霧」レビュー
◆【連載第4回】「T0-B1」レビュー
◆【連載第5回】「村の花嫁」レビュー
◆【連載第6回】「九人目のジェダイ」レビュー
◆【連載第7回】「The Elder」レビュー
◆【連載第8回】「のらうさロップと緋桜お蝶レビュー」
◆【連載第9回】「THE TWINS」

赤霧

あらすじ

とある星の危機に導かれるように駆けつけたジェダイのツバキは、敵の襲撃にあい気を失ってしまう。そんな彼を助けたのは、かつて親交があった王女ミサの一行。再会を果たした2人は、王国奪還のため宮殿へ向かうことに。旅路の果てに待ち構えていたのは、兄である国王を殺しシスとなったマサゴ。ツバキは強大な力を誇るマサゴとの戦いのなかで、自分自身の秘めたある想いを利用され、究極の選択を迫られることに。

サイエンスSARU/チェ・ウニョン(監督)

2013年に設立されたアニメーションスタジオ。映画『夜は短し歩けよ乙女』やアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門グランプリ・クリスタル賞など数々の海外の映画賞を総なめにした『夜明け告げるルーのうた』、上海国際映画祭で金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した『きみと、波にのれたら』、アニメシリーズ「DEVILMAN crybaby」、「映像研には手を出すな!」などを生み出し、世界から高く評価されている。独特なキャラクターと美しい表現力を持ち、同社にしか生み出せないアニメーションでファンを魅了している。

アニメイトタイムズ的注目ポイント!

アジアンテイスト度:★★★★★
黒澤リスペクト度:★★★★☆
『スター・ウォーズ』度:★★★★★

アバンから炸裂する「独特な世界観」に引き込まれる!

『スター・ウォーズ』シリーズの冒頭映像といえば宇宙から始まるのが特徴ですが、本作『赤霧』は荒野に不時着する1人のジェダイの様子からスタートします。それに合わせ音楽も木製の打楽器をメインにしたアジアンテイストな雰囲気になっており、原作とは違う独特な世界観に一気に引き込まれます。

不時着に気がついた警備隊が主人公でジェダイであるツバキのもとに駆けつけ戦闘シーンが開始。その際にツバキが抜くライトセーバーは鞘に収まっていたり、刃先が斜めになっている、いわゆる刀のような形になっていたりと細かなこだわりが見えます。殺陣のような華麗なアクションシーンが冒頭で見れるのでアバン至上主義者である私は大満足でしたね。

ツバキを救助するヒロイン、王女・ミサは切れ長の目にブルーのアイラインが特徴で、他のアジア系ディズニープリンセスを彷彿とさせるデザインになっています。弓と吹き矢が合わさったような武器で戦う気高き姫であるミサも序盤から魅力たっぷりに書かれています。

警備を迎撃したツバキと、国を追放されたミサは追われる身であるため旅をする際に雇った案内人のセンシュウとカマハチというキャラクターが登場し4人で旅をします。彼らは時代劇に登場する農民や商人のような格好や話し口調をしており、アジアな世界観を構築する一助になっています。彼らが鼻歌で謳っている曲の歌詞に「ぬえ」という有名な妖怪が登場するため舞台ははるか未来の日本なのかもしれません。

センシュウとカマハチの口調だけでなく、宮崎遊さんとLynnさんそれぞれの演技も素晴らしく、志しが高く強い王女と、クールで淡々としているが腕が立ち、どこか影のあるジェダイであることが簡単に読み取れます。

脚本や音楽などの演出、そして各キャスト陣の演技すべてにこだわりが見え、それに伴い物語へといざなわれていく感覚も強い。作品に対する気合の入り方がひしひしと伝わってくる作り込みですね!

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