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冬アニメ『プリコネR』第2期 金崎貴臣総監督×いわもとやすお監督×上内健太さん(アニメーションプロデューサー)×守屋竜史さん(プロデューサー)インタビュー【連載第14回】

【美食殿】のみんなに本当の笑顔を取り戻してあげたかった第2期――アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』金崎貴臣総監督×いわもとやすお監督×上内健太さん(アニメーションプロデューサー)×守屋竜史さん(プロデューサー)インタビュー【連載第14回】

シャドウカイザーを生み出したのは、描こうとしたテーマがあったから

──そして第2期の後半では、さまざまなキャラクターが共闘するバトルも激アツでしたし、物語的にもキャラクターの描き方や演じ方でもカイザーインサイトのインパクトが強かったです。キャルとの関係もどうなるんだろうと。

金崎:僕がアニメの『プリコネR』で描こうとしたのは、“みんなが幸せになる物語”。それはカイザーも含めてのことなんですよ。なぜかというと、勧善懲悪の物語として【美食殿】が(悪である)カイザーを倒してしまったら、キャルはたぶん【美食殿】には帰ってこないなと思ったんです。

キャルが自然な形で戻ってくるのはどういう状況なのか、ずっと考えていて。自分の中でたどり着いたひとつの答えが、『キャルのためにカイザーを“救う”ペコリーヌ、ユウキ、コッコロ』でした。それであれば、キャルは【美食殿】にちゃんと帰って来られるなと。

──確かに。

金崎:じゃあ、勧善懲悪ではないとなった時に、ペコリーヌのヘイトはどこに向かえばいいのか? そこで、もうひとりファクターが必要だったんですね。この世界にはシャドウという存在があって、シャドウがキャラの映し身であることは第1期のシナリオで描いています。それならばカイザーのシャドウが存在してもいい。でも、シャドウは本来、自我のない存在。自我のあるシャドウってどういうことだろう?となった時に、それを自然に見せるためにもキーリを出しておく必要があったんです。普通のシャドウと違って、意識や自我、個性のちゃんとあるシャドウがこの世界にはいますよ、と。

そのシャドウカイザーに悪役としての全てのヘイトを担ってもらうイメージで物語を作りました。なので、アニメでは“カイザーも被害者”なんです。ゲームをやっている方はわかると思いますが、この作品ってカイザーを含めて登場人物全員がある意味被害者じゃないですか。そういうカイザーの立ち位置をしっかり描くため、勧善懲悪の悪の部分と人としての部分を分けるために、シャドウカイザーが生まれたんですね。

──シャドウカイザーがあそこまで崩した表情を見せるのも意図的なわけですよね? 視聴者の中には、正体が明らかになる前から、目の色がキーリと同じだからシャドウなのではと推察している人もいましたが。

金崎:キャラ表の段階で、カイザーとシャドウカイザーの2種類作っています。シャドウカイザーはカイザーに比べて男性的な表情をつけるとか、視聴者に「別人格なのかな?」と思わせたくて。おっしゃったように、瞳のハイライトの色をキーリに合わせているのも狙いでやっていました。それに気づいた人がいたのはすごいですね。ちゃんと伝わっていたんだと。

──いわもとさんは、制作する上でカイザーのことはどう感じていましたか?

いわもと:シャドウカイザーは崩れた表情を大きくつけられるのでいいんですけど、本物のカイザーは最後の最後まで表情がものすごく難しかったです。しかも、スケジュール的に後半ですから、細かいニュアンスを出してもらうのも大変でした。そのあたりは、キャラクターデザイン・デザインワークスの小池(智史)さんがカイザーを掴んでいたというか、ある意味生みの親のような形でやってくれていて。微妙な部分がちょっと違うとか、話をしながらやっていましたね。

金崎:カイザーは、線一本、まぶたが下がるか下がらないかだけで表情の意味が変わっちゃうんです。そのバランスが本当に大変でしたね。

「美食」と言ったら、もちろん……!

──カイザーのことでいえば、蒼井翔太さんの演技もすごかったです。

金崎:めちゃくちゃ頑張ってくれました。カイザーは第1期から出ているんですけど、ゲームとアニメとでは芝居のベクトルがちょっと違っていて、ゲームの方がより勧善懲悪なキャラクターだと思うんです。アニメではカイザーにも人間味のある部分を表現したかったので、結構ウェットな芝居が多いんですね。蒼井さんは“人間としてのカイザーのウェットな芝居”と“人外としてのキレッキレの芝居”の温度差を上手く演じてくれました。第11話とか本当にキレッキレで、録り終えた時はすごく満足感がありましたね。

──見ていて本当にしびれました。そのほか、特に【美食殿】のキャスト陣についてはいかがでしたか?

金崎:阿部(敦)さんは最初迷ったんじゃないかなと思います。ユウキはゲームだとプレイヤー自身になるので、色のない芝居がベースだと思うんです。でも、アニメではユウキくんの物語を描いていく上で、どうしても主人公として立っていかなきゃいけない。それを阿部さんが上手く表現してくれました。一緒に2クールやってきて、いい着地点に来られた気がしています。

労力として大変だったのは、キャル(立花理香さん)ですよね。ツッコミ役としてユウキやペコリーヌのボケを全部拾っていかなきゃいけないし、セリフの量がすごく多かったですから。

──感情の揺れ幅もすごかったですからね。でも、カイザーの手を取るのもキャルだったわけで、かなり重要なキャラクターでした。

金崎:相当ヘビーなポジションだったと思います。【美食殿】の仲間とカイザーの間に挟まれて、どういう選択をしていくのか。キャルの本心を絞り出すために第9話以降はずっとヘビーだったので、「頑張れ! 頑張れキャル! ペコリーヌ頑張れ!」って【美食殿】を応援しながらシナリオやコンテを書いていたんですよ。

いわもと:重要なところは割と原画のTOMATOさんにお願いできたので、最初からある程度(出来上がりが)読めたのも良かったですね。キャルは難しいキャラクターでしたけど、キャルが好きでしっかり表現してくださる方がいて、本当に助かりました。

──M・A・Oさんや伊藤美来さんについては、いかがですか?

金崎:後半は少年漫画の作りにしてあったので、M・A・Oさんにはずっと声を張り上げて叫んでいただきました。伊藤さんは第1期でアニメのノリを掴んでくれたから、第2期ではちょいちょい遊びを入れてくれて。安心して見られましたね。例えば、第7話でチカを介抱するために手ぬぐいを絞るシーンでも、台本には何も書いていないのに「キュッ」と入れるとか。細かい遊びをいれてくれたのが楽しかったです。

──第2期がこれだけ素晴らしい内容でしたので、気は早いですが第3期を期待している人も多いと思いますが、いかがですか? まだ登場していないキャラクターもいますし。

金崎:とりあえず今はいったん肩の荷を下ろして、また次の機会があればその時は全力を出そうと思います。

いわもと:僕は、もし次があれば、なにか楽しいところを描きたいですね。

金崎:そうですね。第2期でペコリーヌが心の底から笑える世界にたどり着けたので、次があるなら楽しいのをやりたいです。最終話の放送が終わった時に、公式Twitterで「ご視聴ありがとうございました」とイラストを載せていただいたのですが、そこでは【美食殿】が冒険に出た日の夕方の風景を描きました。【美食殿】の冒険はこれからも続いていきますよ、というところにたどり着けたので、ここからは何でもできる気がしています。

──プロデューサーとしてはいかがですか?

守屋:皆さんが期待してくださるなら今後の展開について前向きに検討したいと思います。

──そういえば、結局アユミは最後まで喋らなかったですね。

金崎:迷ったんですけど、ここは徹頭徹尾いこうと。でも、最終話でセンターに持ってきたいと思って、エピローグの各ギルドが点描で出てくるシーンでセンターにしました。初めてじゃないかな、センターでアユミを出すのは。今のところ、そこがマックスです。

──いずれアニメで喋る姿も楽しみにしています。では最後に、やはりこれをお聞きしたいと思います。金崎さんやいわもとさんにとって「美食」と言ったらどんなものでしょうか?

金崎:ここはもう、“おにぎり”しかないでしょう(笑)。さすがにお米を作るところからは無理ですが。こんな状況じゃなければ、打ち上げで“プリ米”のおにぎりを食べたかったです。

いわもと:僕もやっぱり“おにぎり”ですね(笑)。でも今回、食べ物が美味しそうにできて良かったなと思っています。僕も美味しそうだなぁ、食べたいなぁと見ていましたから。

金崎:料理作監の綾(きらら)さんが美味しそうな料理をいっぱい描いてくれて本当に助かりました。

──今回お話いただいた内容は、ぜひBlu-rayや配信などで改めて確認いただければと思います。貴重なお話をありがとうございました!

[取材・文/千葉研一]

『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』連載バックナンバー

TVアニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2」作品情報

■放送情報
TOKYO MX
2022年1月10日より 毎週月曜 24:00~

BS11
2022年1月10日より 毎週月曜 24:00~

KBS京都
2022年1月10日より 毎週月曜 24:00~

サンテレビ
2022年1月10日より 毎週月曜 24:00~

テレビ北海道
2022年1月10日より 毎週月曜 25:30~

TVQ九州放送
2022年1月10日より 毎週月曜 26:00~
再放送:毎週土曜 6:30~

テレビ愛知
2022年1月10日より 毎週月曜 26:05~

AT-X
2022年1月11日より 毎週火曜 21:30~
リピート放送:毎週木曜 9:30~/毎週月曜 15:30~

WOWOW
2022年1月12日より 毎週水曜 24:00~

※放送開始日・放送日時は予告なく変更になる可能性がございます。予めご了承ください。

■イントロダクション
紡いだ絆に思いを乗せて、ユウキたちの冒険が再び始まる。

その出会いは突然だった。

意気投合した彼らはあるギルドを結成するーーその名は【美食殿 】 。

美食の探求を目的とした彼らは愉快な仲間たちと友情を深め、美味しいごはんを食べ、そしてときにはちょっぴり危険な冒険に身を投じ、せわしなくも穏やかな日々を送っていた。

ところが、胸に秘めた思いはやがて交錯し、彼らはかつてない困難に巻き込まれていく。

■スタッフ
原作:Cygames
総監督・シリーズ構成:金崎貴臣
監督:いわもとやすお
キャラクターデザイン:渡辺 舞 野田康行 栗田聡美 楊 烈駿
色彩設計:合田沙織
3DCG ディレクター:中野祥典
美術監督:小木曽宣久
撮影監督:米澤寿
編集:木村佳史子
音楽:イマジン
音響監督:金崎貴臣
録音:山口貴之
音響効果:小山恭正
音響制作:東北新社
アニメーション制作:CygamesPictures

■キャスト
ペコリーヌ:M・A・O
コッコロ:伊藤美来
キャル:立花理香
ユウキ:阿部 敦
アメス:相坂優歌
ラビリスタ:沢城みゆき
カイザーインサイト:蒼井翔太
ミミ:日高里菜
ミソギ:諸星すみれ
キョウカ:小倉 唯
ノゾミ:日笠陽子
チカ:福原綾香
ツムギ:木戸衣吹
ユニ:小原好美
クロエ:種﨑敦美
チエル:佐倉綾音
マホ:内田真礼
カスミ:水瀬いのり
マコト:小松未可子
カオリ:高森奈津美
モニカ:辻あゆみ
クウカ:長妻樹里
ニノン:佐藤聡美
ユキ:大空直美
アユミ:大関英里
サレン:堀江由衣
スズメ:悠木 碧
アヤネ:芹澤 優
クルミ:植田佳奈
イオ 伊藤 静
スズナ 上坂すみれ
ミサキ 久野美咲
ミサト:國府田マリ子
ハツネ:大橋彩香
アオイ:花澤香菜
マヒル:新田恵海
シオリ:小清水亜美
リマ:徳井青空
リン:小岩井ことり
ジュン:川澄綾子
クリスティーナ:たかはし智秋
トモ:茅原実里
マツリ:下田麻美
シズル:生天目仁美
リノ:阿澄佳奈
イリヤ:丹下 桜
ミヤコ:雨宮 天
シノブ:大坪由佳
ヨリ:原 紗友里
アカリ:浅倉杏美
アキノ:松嵜 麗
ミフユ:田所あずさ
ユカリ:今井麻美
タマキ:沼倉愛美
ルカ 佐藤利奈
ミツキ:三石琴乃
エリコ:橋本ちなみ
ナナカ:佳村はるか
アンナ 髙野麻美
ヒヨリ 東山奈央
ユイ:種田梨沙
レイ:早見沙織
ネネカ:井口裕香
カリン:洲崎 綾

公式サイト
公式ツイッター(@priconne_anime)

ゲーム概要

プリンセスコネクト! Re:Dive

■ジャンル:アニメ RPG
■配信開始日:
iOS 版/Google Play版 2018年2月15日
DMM GAMES版 2018年5月22日
■開発・運営:株式会社 Cygames
■推奨環境:
iOS版:i OS 12.0 以上
Google Play版:Android OS 8.0 以上
DMM GAMES版:Windows 8.1/10 (32 bit or 64 bit)
■ダウンロード
App Store (iOS)
Google Play (Android)
DMM GAMES版
※IOSは、 Cisco の米国及びその他の国における商標または登録商標です。
※Android 及び Google Play は、 Google LLC. の商標または登録商標です。

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