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2023冬アニメ『ノケモノたちの夜』星野真と山下憲一の対談が公開

2023冬アニメ『ノケモノたちの夜』公式サイトにて「アニメモノの夜~星野真先生と行くアニメ裏側探訪~」が連載開始! 脚本担当・山下憲一さんとの対談を一部公開!

2023年1月より放送されるTVアニメ『ノケモノたちの夜』。原作・星野真先生が制作スタッフ、主題歌アーティストと対談する企画記事「アニメモノの夜~星野真先生と行くアニメ裏側探訪~」が公式ホームページにて連載開始となりました!

本稿では、公式サイトにて公開されている対談記事より、一部を抜粋してご紹介します。

今回はシリーズ構成を担当した脚本家の山下憲一さんとの対談記事です。全文が気になった方は、公式サイトにぜひアクセスしてみてはいかがでしょうか。

 

『アニメモノたちの夜~星野真先生と行くアニメ裏側探訪~』その2:星野真(原作)✕ 山下憲一(脚本)

『ノケモノたちの夜』原作者の星野真先生と一緒にアニメ制作の裏側を探るインタビュー企画。

第2段は、シリーズ構成を担当した脚本家の山下憲一さん! 作品の魅力だけでなく、物語作りという共通の立場からのお話は必見!

 

作品愛が勝ち取った全13話

———最初に山下さんへ葦プロから企画書の相談があったそうですね

山下:まだ小学館さんへ企画書を持ち込む前でしたね。若いプロデュサーが「何かアニメでやりたいものはないか」と聞かれて一番最初にあげたのが『ノケモノたちの夜』だったというお話をいただいて、それだけ情熱があるなら僕も頑張って力添えできればと。

そこから原作漫画を拝見しようとお名前で検索したら、ヒットしたのがpixiv にあったプロトタイプ的なお話で……。

星野:『森の悪魔と暇つぶし』ですね(笑)。読者さんに喜んでいただいているので、削除せず今も原型として残しているんです。

山下:その後に『ノケモノたちの夜』を拝見したら、より(週刊少年)サンデーらしい漫画になっていました(笑)。第1話の完成度がかなり高くここからどういうお話になっていくのかも楽しみでしたし、作品の冒頭からマルバスとウィステリアの関係も出来上がっているので、この話のアニメ化なら過不足なくできるなというのが最初の感想でしたね。

———原作を読まれて印象的だったセリフはありますか?

山下:いっぱいあるので絞りにくいんですが、やっぱり最初の契約の部分ですね。ウィステリアが決断するシーンが一番好きで、これでアニメ化はいけるぞと。

———シリーズ構成という立場で、最初にしたことはなんでしょうか?

山下:僕自身というより、このアニメ化をどうするかというときに、どこからどのまでをアニメにして、どこをクライマックスにするかをまずは決めないといけません。大きな山としてマルバスとウィステリアの関係も良かったんですけど、個人的には「リバーサイド・マーダー」を単発でやりたい。

終盤に出てくる副団長の話も1話として立てたいなと思いました。そんなことが頭の中にあったので、製作委員会さんにシリーズ構成案みたいなものを提出させていただいて「全12 話だとちょっと足りないんじゃないか」「このままだと、どっちかのエピソードを削らないといけないかもしれません」「どうしてもあと1話分欲しい」という話をさせていただいただきました。

———1クール作品での1話は大きいですね。

山下:全12話というのは覆えせない可能性があるという話でしたが、委員会の方たちも含めてこの作品が好きだということもあり「このエピソードがないともったいないんじゃないか」という話をしてくださって、「じゃあもう1本増やしてちゃんと構成ができるようにしましょう」という決断をいただきました。

これはライターひとりの力ではどうしようもないことなんです。みなさんがこの作品をどうしたいか。みなさんが熱意を受け止めてくれたからだと僕は思っています。

 

漫画とアニメのテクニック

星野:素人の質問で恐縮ですが、脚本で書かれている文字数が何分になるのか、これはやってらっしゃらないと掴めないですよね。筆がのって書いてしまうこともあると思います。

アクションが多いエピソードと、会話が多いものとで違いがあるんでしょうか?

山下:アクション作品になると多くなりがちですね。ト書きばかりになるけど「これ30秒もかからないよね」とか。人によるかもしれませんが、僕の場合アクションシーンは気にせず書ききってしまって、全部書いてからどうしようか考えます。途中で気にすると良くないんです。

星野:なるほど。

山下:全部書いてからぎゅっと縮めた方が面白くなるというのは、先輩から教わったことですね。後から切っていくのは誰でもやることなので。その方が自分の書きたい部分、どうしても残したい部分、自分のやりたいものが出てくるというか。

———星野先生はネーム作業の前に、メモなどは取られるんでしょうか?

星野:文章で書き起こしてから始めるタイプです。思いついたエピソードやセリフを文字で書いて、それをページに割り振って……。その作業の中で、やはりどうしても削ることになりますね。でも、削っていった方が洗練されるなという感覚があります。

山下:思いの丈がどんどん凝縮される感じですね。

———今回の脚本作業で、一番多く稿を重ねた話数は?

山下:たぶん第1話か第2話が一番稿を重ねた気がします。第7稿までいったのかな? もちろん第3稿くらいで決定した話数もあります。

———第1稿の段階で一番長くなった話数などは覚えていますか?

山下:これもやはり第1話が一番長くなった気がします。みなさんに見せる前に削っていますけど。

星野:全13話になったとはいえ、私はコミックス8巻分を1クールに入れ込むなんてあまりにも無茶振りじゃないかと思っていました。私の師匠となる先生は「コミックス4巻で1クールくらい。俺はそれを狙って作っている」とおっしゃっていましたし。

山下:それは作りやすいかも(笑)。

———4巻というと、どのくらいの連載期間になるんでしょうか?

星野:週刊連載だとちょうど1年くらいですね。

———1年の連載が、アニメになると3ヶ月に。

星野:そうなんです(笑)。なので、これは相当な無茶振りだなと思ったし「果たして実現出来るのか?」とも思ったんです。と思ったら、いただいた脚本の1話1話が面白くて。「え? 本当に? 凄くない?」って。それでいて抑えていただきたい部分はちゃんと抑えていただいている感もあって、これが職人かと。

山下:それはお仕事ですから、というとあんまりなんですけど(笑)。原作があるものを受け取った時は「オリジナルを書いていたらこの子たちはどうして欲しいのか……」というのを常に思い浮かべながらやっています。

———他に山下さんへ伺いたいことはありますか?

星野:やっぱりテンポの部分かな。漫画は画面の上で時間軸をかなり好き勝手に支配できるのが特徴ですが、アニメでは難しいですよね。特にキャラクターの感情の溜めの部分。

漫画だと大事な部分で書き込みを増やして……という手法を使うんですが、アニメだと時間を溜めることで表現したりしますよね。そういう部分を脚本上ではどうされているのかなと。こうして欲しいという要望は入れているんですか?

山下:「ここは時間をかけて」なんて野暮なことは絶対やらないです(笑)。ひとりひとりやり方は違うと思いますが、僕はそのセリフが一番立つようにお膳立てして構成する感じですかね。お話の流れの中で的確な場所に置くことでこのセリフは立つだろう、というように。その時のお話の波を作るという感じですかね。

星野:お話の波ですか。

山下:週刊連載だと4話分をまとめてアニメ1話に、というのがよくあるパターンだと思います。そうすると山(漫画の1話毎の物語の波)が幾つもあるので、30 分のテレビアニメの中でそのうちのどれを一番立てるのかということになります。どれか1つにピークを絞って、そこに焦点を当てる。今作の第1話でいうと、まさにウィステリアが契約の対価として自分の目を捧げるセリフに集約するようにもっていく。あとは演出家さんを信頼して。脚本って設計図でありお膳立てなんだと思っています。

———毎話数でそういった推敲を何度もされているんですね。

山下:ちょうど手元で第1話の初稿のデータを開いているんですが、ウィステリアの「私と一緒に生きてください」はどこに置くか凄く悩んで、何度も書き直している履歴が残っていますね。初稿からちょっとづつ変えながら作っています。絵だけではなく流れの中でどこにあるのが一番いいのか。それは前後の流れも関係してきますので、結構検討していましたね。今見返してそれは感じました。

星野:じつは、毎回あの熱量で感想を書くと準備している作品に支障が出ると担当編集に心配されて、私の手元に届いてる脚本は、初稿と決定稿だけなんです。なので「言いたいことは初稿で全部言ってください」と(笑)。

山下:決定稿に至るまでに色々変わっていたんです(笑)。

星野:その間を知らないので「おおっこうなるんだ」と、余計に楽しめたかもしれません(笑)。

TVアニメ『ノケモノたちの夜』作品情報

作品概要

傍にいる悪魔が、救い。
傍にある少女が、暇潰し。
19世紀末、大英帝国の片隅での
2人の出会いが
居場所を求め彷徨う物語を紡ぎ出す。
孤独を分かつ者たちに囁く
悪魔と少女の常夜奇譚(ダークナイトストーリー)。

放送情報

2023年1月TVアニメ放送予定

スタッフ

監督:山本靖貴
シリーズ構成:山下憲一
脚本:山下憲一/ハラダサヤカ/山本靖貴
キャラクターデザイン:大沢美奈
モンスターデザイン:鈴木勘太
総作画監督:大沢美奈/鈴木光
音楽:堤博明/橋口佳奈
音楽制作:ポニーキャニオン
音響制作:スタジオマウス
アニメーション制作:葦プロダクション

キャスト

ウィステリア:竹達彩奈
マルバス:小西克幸
スノウ:逢坂良太
ダイアナ:今柳りさ
ナベリウス:諏訪部順一
団長:置鮎龍太郎
タケナミ:熊谷健太郎
アスタロト:小林ゆう
モリー:森永千才
ハリエット:小田果林

公式サイト
公式ツイッター(@nokemono_anime)

原作コミック情報

『ノケモノたちの夜』全8巻
小学館「少年サンデーコミックス」刊
原作:星野 真

★購入はこちら

(C)星野 真・小学館/「ノケモノたちの夜」製作委員会
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