映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』アスカ役 宮村優子さん×ミドリ役 伊瀬茉莉也さん、シンジの成長と父であるゲンドウの存在……おふたりが語る見どころ/BD&DVD発売記念インタビュー
『エヴァ』という作品はゲンドウの物語でもあった
――ありがとうございます。ここでBlu-ray&DVDも発売となりましたので、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本編についても質問させてください。公開から2年が経ちましたが、ファンのみなさんに改めて見返していただきたいシーンはありますでしょうか?。
宮村:個別のシーンというよりも、おそらく一度見始めたら宇多田ヒカルさんの「One Last Kiss」が流れるまで止まらなくなってしまうと思います。何回でも見返してもらえると嬉しいです。
そして、やっぱりシンジの成長は「よく頑張ったね」という気持ちで褒めてあげて欲しい。本当に彼は大人になったと思います。ミサトから「行きなさい!」なんて言われてあんなに頑張ってレイを助けたのに、状況は思うようになっていなかった。本当にいたたまれないですよ。
けれどみなさんの人生の中にも、自分はこれが良いと自信を持って起こした行動がとんでもない事態を引き起こしたみたいなことがあると思うんです。そこからレーションも食べられないくらい落ち込んでいましたが、立ち直って成長して……本当に偉いです。だからみなさんにもシンジのことを自分の成長の糧にしてもらえると嬉しいです。
伊瀬:『エヴァ』という作品はシンジの物語でもあるんだけれど、ゲンドウの物語でもあったんだって感じたことをふと思い出しました。
宮村:本当にそうだよねぇ……
伊瀬:もちろん主人公はシンジだけれども、ゲンドウはずっと物語の軸にいるじゃないですか。人類補完計画も最初は目的がわからなかったけれど、結局はただひとつの純粋な願いが根底にある。だからゲンドウの物語でもあるんですよね。
その叶えたい願いのために色々なことを犠牲にしていて、必要であれば息子ですら切り捨てることも厭わないし。そんな人物の妄執が明らかになる中で、シンジはその背中を飛び越えて先に大人になってしまったようにも思いました。
そこで初めて息子に目を向けたゲンドウが本当に忘れられません。ゲンドウも成長したんだなあって見終わった後に感じるんじゃないかと思います。
宇多田ヒカルさんによる主題歌「Beautiful World」「桜流し」「One Last Kiss」の歌詞が誰目線なのかもずっと気になっていたのですが、私としては、ゲンドウの目線なのかな?と思って聴くと本当に泣けます。これは私の個人的な解釈にはなってしまいますが、人それぞれ色々な解釈があると思うので、ぜひ何度でも噛みしめてください。
宮村:やっぱりシンジの気持ちの根底にはゲンドウの存在があるよね。シンジは絶対にゲンドウからは逃げられないように感じます。だからこのふたりの対峙とその上での物語の結論には私も改めて注目して欲しいです。
――最後にファンのみなさんへのメッセージをいただければと思います。
宮村:『シン・エヴァ』をご覧になってくださったみなさん、そして今回の特典映像をご覧になってくださったみなさんも本当にありがとうございます。『シン・エヴァ』自体も何度も見返して貰いたいですが、また『:序』からご覧になっていただくことで新たな発見があったり、より楽しめると思います。ぜひこれから先も『エヴァンゲリオン』の物語を好きでいてください。ありがとうございました!
伊瀬:『エヴァンゲリオン』の物語が今回の『シン・エヴァ』で終わりを迎えるということで、脚本・総監督の庵野秀明さんをはじめとする制作陣がこの壮大な物語を完結へと進めたことに私のような人間ですら感慨を抱かずにはいられませんでした。きっと長く追いかけて来たファンのみなさんも納得できる最高の形だったのではないかと思います。ぜひBlu-rayやDVDで大切に保管していただいて、何度でも繰り返し楽しんでいただければ嬉しいです!
[取材・文・撮影/胃の上心臓]
Blu-ray&DVDは以下より
拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』作品情報
作品名 | シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| |
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放送形態 | 劇場版アニメ |
シリーズ | 新世紀エヴァンゲリオン |
スケジュール | 2021年3月8日(月) |
キャスト | 碇シンジ:緒方恵美 綾波レイ:林原めぐみ 式波・アスカ・ラングレー:宮村優子 真希波・マリ・イラストリアス:坂本真綾 葛城ミサト:三石琴乃 赤木リツコ:山口由里子 渚カヲル:石田彰 碇ゲンドウ:立木文彦 冬月コウゾウ:清川元夢 鈴原トウジ:関智一 相田ケンスケ:岩永哲哉 鈴原ヒカリ:岩男潤子 伊吹マヤ:長沢美樹 青葉シゲル:子安武人 日向マコト:優希比呂 高雄コウジ:大塚明夫 鈴原サクラ:沢城みゆき 長良スミレ:大原さやか 北上ミドリ:伊瀬茉莉也 多摩ヒデキ:勝杏里 加持リョウジ:山寺宏一 加持リョウジ(少年):内山昂輝 碇ユイ:林原めぐみ 碇シンジ(大人):神木隆之介 |
スタッフ | 企画・原作・脚本:庵野秀明 総作画監督:錦織敦史 作画監督:井関修一、金世俊、浅野直之、田中将賀、新井浩一 副監督:谷田部透湖、小松田大全 デザインワークス:山下いくと、渭原敏明、コヤマシゲト、安野モヨコ、高倉武史、渡部隆 CGIアートディレクター:小林浩康 2DCGIディレクター:座間香代子 CGI監督:鬼塚大輔 CGIアニメーションディレクター:松井祐亮 CGIモデリングディレクター:小林学 CGIテクニカルディレクター:鈴木貴志 CGIルックデヴディレクター:岩里昌則 動画検査:村田康人 色彩設計:菊地和子(Wish) 美術監督:串田達也(でほぎゃらりー) 撮影監督:福士享(T2 studio) 特技監督:山田豊徳 編集:辻田恵美 テーマソング:「One Last Kiss」宇多田ヒカル(ソニー・ミュージックレーベルズ) 音楽:鷺巣詩郎 音響効果:野口透 録音:住谷真 台詞演出:山田陽(サウンドチーム・ドンファン) 総監督助手:轟木一騎 制作統括プロデューサー:岡島隆敏 アニメーションプロデューサー:杉谷勇樹 設定制作:田中隼人 プリヴィズ制作:川島正規 制作:スタジオカラー 配給:東宝、東映、カラー 宣伝:カラー、東映 製作:カラー エグゼクティブ・プロデューサー:庵野秀明、緒方智幸 コンセプトアートディレクター:前田真宏 監督:鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏 総監督:庵野秀明 |
主題歌 | 「One Last Kiss」宇多田ヒカル |
公開開始年&季節 | 2021アニメ映画 |
(C)カラー
『エヴァンゲリオン』公式サイト
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』カラー公式ページ
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