音楽
夏アニメ『AYAKA ‐あやか‐』EDテーマ 担当 ヨシダタクミ(saji)インタビュー

夏アニメ『AYAKA ‐あやか‐』EDテーマ 「フラッシュバック」ヨシダタクミ(saji)インタビュー|新たなsajiの世界が見えた新曲!ボーカルのこだわり、そしてアニソンを歌う上での願いとは

ボーカルのこだわり、そしてアニソンを歌う上での願いとは

――アニメの世界観を考えた上での、楽器選び、音選びがあったと思うんですけど、今回はピアノがフィーチャーされていたのですが。

ヨシダ:ピアノでちょっと遊んでいて、デモの段階でも僕が軽く弾いていたんですけど、それを本職の方に弾き直してもらいました。間奏でドラムのフィルの遊びとかを入れていて、それがドラム回しになったり。ライブでやったときの情景が浮かぶような仕掛けは結構していたと思います。でも、ピアノもドラムもメンバーにいないんですけどね(笑)。おそらくsajiという存在を認識されていたとしても、僕らが何人組で、どんな形態でやっているかまでは行き届いてないと思うんです。だから単純にライブではそれを再現すればいいと思ったので、そこはまったく気にしなかったです。皆さん張り切ってどうぞ!みたいな(笑)。

――メンバーではないのに、ドラムソロが入る曲ってなかなかないから、これはものすごくユニークだなって思ったんです。

ヨシダ:しかもこれ、レコーディングのときも、自由にやっていいですよって言ってますからね(笑)。もちろん仮では入れていたんですけど、自由にいじってくれて構いませんと。

――上モノのメインをピアノにした理由は何かあったのですか?

ヨシダ:これもギターで行くか、ピアノで行くかで悩んで。このテンポでギターで行くとウルフルズのようになる気もしたんです。

――ファンキーな感じになっちゃうんですね。

ヨシダ:そうそう。ピアノの跳ねの曲ってアルバムではやっているけど表題曲ではやったことがなかったんです。それで「ピアノで遊んでないよね」って話になったので、ピアノを入れることになりました。『AYAKA』はピアノの雰囲気が合いそうだなと思ったのももちろんあります。

――和風の楽器をもっと入れるのかとも思ったんですよ。

ヨシダ:それも一瞬考えたんです。ただそれをやりすぎると僕らじゃなくなる気もしたんですよね。それこそ世には出してないですけど、一番最初に作ったデモは、笛とか入れまくっていたんです。でも、自分たちらしい曲にしようと思ってやめました。

――歌詞でいうと、2コーラス目ですが〈誰もが主役を夢見て 夢破れて、打ちひしがれて それでも時間は待ってくれないから 進め〉のところ。ここはアニメから離れても響く部分かなと思いました。

ヨシダ:これはさっき言った、主人公がトラウマを抱えていて、それでも人と繋がりを持ちたい。人の可能性を信じているという部分ですね。

おっしゃてくれたように、この気持ちが重なる人がいるんじゃないのかなって思ったんです。世の中って、もちろんうまくいっている人もいれば、狭いコミュニティの中で友達がいなかったり悩む人もいっぱいいる。陽キャもいれば陰キャもいるわけですよね。自分の人生は自分が主役ってよく言いますけど、生きていく中で「どう考えても俺って主役じゃないな」って思う瞬間はあると思うんです。ただ、それでも人間って可能性を信じながら生きている。

僕らメンバー全員、テンション的には陽キャなんですけど、取り柄みたいなものに救われて生きてきたというのはあるんです。三者三様なんですけど、音楽という支えがあったからここまでこれたことは共通しているんです。だから皆さんも、それぞれの武器があれば、それでいいんじゃないかなっていう想いも込めています。

――ボーカルが、とても熱い印象があったのですが、レコーディングはいかがでしたか?

ヨシダ:sajiの曲で一貫して言えることですが、後半になるに連れてテンションを上げていくんです。これは決めていることで、「フラッシュバック」も、普通に張れば、サビもファルセットを使わずに出るんです。ただ、ラスサビだけファルセットではなくミックスで行く。1サビからはやらない。後半にかけて上がるということを表現するために、わざと1サビは弱く、後半は強くというのは毎回やっています。

――だから最後の叫びのような感じになっているんですね! ミックスでも、地声に近いほうだと思いますけど、地声で高音を出すと、血管がちぎれてる感じが出ていいんですよ。

ヨシダ:あははは(笑)。だから、僕の中では全開で歌っているつもりだけど、まだ余力ありそうだなって思ったときは録り直すこともあるんですよ。もっと叫んでみていいですか?って。

――そのあたりの判断もしているんですね。

ヨシダ:sajiはほぼ100%セルフディレクションでボーカルを録っているんです。録った上で、僕の中で3つテイクを並べて、ディレクターにテイクを選んでもらうっていうやり方を、以前からしているんです。

――セルフだとジャッジするのも難しくないですか?

ヨシダ:確かに、あんまり他にいないかもしれないですね。だから僕、ヘッドフォンを外しながら歌ったりするんですよ。確認するときもヘッドフォンを外して、その音漏れを聴いたりするんです。ブースの良いスピーカーで聴くのではなく、一番シビアな状況で聴いてみて良かったら、ブースで聴いても良いので。

――でも最近は、聴く人の環境も良くなかったりはしますからね。スマホとかノートPCで聴くから。

ヨシダ:たまにめちゃめちゃ環境のいいレコーディングスタジオとかがあるんですけど、音が良すぎると大抵がいい曲に聴こえるんですよ(笑)。スタジオで聴いてめっちゃいいじゃん!と思って家で聴いてみるとそうでもなかったなんてことはよくあることで。だから僕はその環境の中で一番悪い音で聴くようにしています。そこでジャッジをした上で、本職の方にミックス/マスタリングをしてバランスを取ってもらう、という感じです。

――アニメ版では89秒になるわけですが、徐々に熱くなっていく録り方だと、89秒では収まらない気もしますが。

ヨシダ:89秒で何を聴かせたいのかというときに、この中でここだけ聴いてくれればいいやという部分を作るようにしているんです。前のレーベルでUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんにかわいがってもらっていて、よく話していたんですけど、結局全部を聴いてもらうことはできないから、聴かせたい部分を一個だけ用意するのがいいってことなんです。だからそれは未だに意識していて、この曲でいうと、最後の繰り返すキメのところを聴いてもらえればいいんです。あそこだけ覚えてもらって、「何だっけ、あの最後にめっちゃ刻む曲」って思い返してくれればそれでいい。その取っ掛かりで、後日フル尺を聴いてハマってくれれば嬉しいなっていう。

――フル尺聴いて、ドラムソロ、ピアノソロあるじゃん!ってなったら得した気分にはなりますしね。

ヨシダ:でも、フルサイズを聴いたときにあまりギャップを作りすぎないようにはしています。1コーラス分だけを89秒で使えば、フルを聴くと、そんなにストレスなく聴ける。昔のアニメで、切り貼りしすぎて、原曲と全然違うじゃん!ってのが結構あったんですよ。

――フルで聴いてみたら、出だしから歌詞が違うときもありましたからね(笑)。

ヨシダ:カラオケで歌おうと思ったら、2番わからないってあるあるですけど、『新世紀エヴァンゲリオン』の「残酷な天使のテーゼ」が秀逸だったのは、2番の歌詞がわからなくても歌えるんですよね。

――最近の曲は難しすぎて、練習しないとそもそも歌えなくなってきていますけどね(笑)。アニメタイアップだと、やはり普段sajiを聴かない方にも届く感じはしますか?

ヨシダ:前のバンド名のときとの明確な違いはそこかもしれないです。バンドが好きで広まっていくよりも、アニメから入った方も多いんです。顕著な例だと海外の方ですよね。おそらく褒めてくれるであろう外国語のコメントとかも見かけるので(笑)。今まで繋がりようがなかった方と繋がれるようになったのは面白いなと思います。

――では最後に、ファンへメッセージをお願いします。

吉田:毎回一貫して言っていることではあるのですが、アニメ作品の中における役割を意識して、いつも曲を書いているんです。なので『AYAKA ‐あやか‐』という作品を通じて、「フラッシュバック」を聴いていただき、作品と同じように、曲が思い出になってくれたら嬉しいなと思っています。

その曲を聴くとアニメを思い出す……。曲を聴いたとき「懐かしい! そのアニメ超見てた!」ってなればいいなって思うんです。なので、この曲が皆さんの思い出の架け橋になれたらいいなと思っています。

[取材&文・塚越淳一]

「フラッシュバック」DL

Digital Single「フラッシュバック」
https://saji.lnk.to/flashback

アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ

この記事をかいた人

塚越淳一
アニメイトタイムズでいっぱい書いています。

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TVアニメ『AYAKA -あやか-』作品情報

放送情報

2023年7月1日(土)よりTOKYO MX、BS11他にて放送中!
TOKYO MX:毎週土曜 25:00~ 初回放送=7月1日(土)
BS-11:毎週土曜 25:00~ 初回放送=7月1日(土)
AT-X:毎週火曜23:30~ 初回放送=7月4日(火)
(リピート放送:毎週木曜10:30~/毎週月曜16:30~)
北海道テレビ:毎週月曜25:55~ 初回放送=7月3日(月)

※放送日時は変更となる場合がございます。

配信情報

FODにて〈地上波同時〉見放題最速配信中!
毎週土曜25:00~ 初回配信=7月1日(土)

dアニメストア:毎週水曜25:00~ 初回配信=7月5日(水)
U-NEXT:毎週水曜25:00~ 初回配信=7月5日(水)
アニメ放題:毎週水曜25:00~ 初回配信=7月5日(水)

2023年7月8日(土)25:00より順次配信スタート
ABEMA
Amazon Prime Video
バンダイチャンネル
DMM TV
Hulu
J:COMオンデマンドメガパック
Lemino
milplus
ムービーフルPlus
ニコニコ生放送
ニコニコチャンネル
スマートパスプレミアム
TELASA
クランクイン!ビデオ
HAPPY!動画
ふらっと動画(ネットカフェ)

Introduction

GoRA×キングレコードがタッグを組む、完全新作オリジナルアニメーション『AYAKA ‐あやか‐』。

作家集団GoRAが、七つの島が連なる綾ヵ島を舞台に、相棒×師弟×好敵手×兄弟という関係性と、それぞれに宿命を背負った男たちの切なくも美しい絆の物語を描く。

シリーズ構成・脚本をGoRA、キャラクター原案を数々の著名作品の原案を担当するイラストレーターredjuice、監督は長山延好、キャラクターデザインを金子美咲、プロダクションデザインを田中直哉、アニメーション制作をスタジオブランが務める。

GoRA脚本による緻密なストーリーと、気鋭のスタッフ陣が織りなす完全新作アニメに、誰もが魅了され、宿命を背負う男たちの姿に心を揺さぶられる――。

あらすじ

八凪幸人は、本土の児童養護施設で育った少年だったが、ある時亡き父の弟子であるという傍若無人な青年・沙川尽義がやってきて、幸人を故郷である綾ヵ島に連れ出してしまう。

七つの島が連なる綾ヵ島は、火と水の龍の伝説が色濃く伝えられ、「ミタマ」と呼ばれる不思議な存在が当たり前のように生息する奇妙な島だった。

幸人は、綾ヵ島の調和を守る仙人であったという父の三人の弟子たちと関わりながら綾ヵ島で暮らし始める。だが尽義の二人の兄弟子である鞍馬春秋と伊吹朱の間には深い確執があった。

調和の崩れ始めた「あやかい」島で、幸人が直面する真実とは——

STAFF

原作:GoRA・KINGRECORDS
監督:長山延好 
シリーズ構成:来楽 零(GoRA)
モノガタリプランナー:宮沢龍生(GoRA)
アクション監修:柴田裕介 
キャラクター原案:redjuice 
サブキャラクター原案:TCB
キャラクターデザイン:金子美咲
モンスターデザイン:渋谷亮介 
プロップデザイン:佐藤玲子 
プロダクションデザイン:田中直哉
コンセプトアート:芳野満雄 
3Dセットデザイン:榎本嘉輝 
美術監督:海野よしみ
背景美術:プロダクション・アイ 
色彩設計:田中英里那 
撮影監督:豊岡茂紀
撮影:旭プロダクション 
CGディレクター:中島 豊 
編集:岡 祐司
音楽:澁江夏奈 
音楽制作:キングレコード 
音響監督:田中 亮
音響効果:武藤晶子 
録音調整:太田泰明(ピーズスタジオ)録音助手:西 美春
録音スタジオ:STUDIO T&T 
音響制作担当:濱 亮平 
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
アニメーションプロデューサー:江里口武志 
設定制作:杉川竜太朗
アニメーション制作:スタジオブラン
製作:Project AYAKA

主題歌

オープニングテーマ:angela 「AYAKASHI」
エンディングテーマ:saji 「フラッシュバック」

CAST

八凪幸人:上村祐翔
沙川尽義:寺島拓篤
鞍馬春秋:鳥海浩輔
伊吹朱:梅原裕一郎
福分茶太郎:梶原岳人
天乃夜胡:榊原優希
一条いばら:花澤香菜
八凪真人:津田健次郎
尼宮百々子:早見沙織
稲生三次:飛田展男
薪田太平:福山潤
ミタマ:椎名へきる

公式サイト
公式ツイッター(@AYAKA_animePR)

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