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『ひろプリ』ライブ リレーインタビュー 北川理恵【連載第9回】

「ひろがるスカイ!プリキュアLIVE2023 Hero Girls Live ~Max!Splash!GoGo!~」『ひろプリ』ライブリレーインタビュー! 歴代主題歌歌手・北川理恵さん【連載第9回】

 

千颯ちゃんの存在が大きかった

──「プリキュアライブ」に先駆けてリリースされた『ひろがるスカイ!プリキュア』ボーカルアルバム ~FLY TOGETHER!!!!!~では「Daybreak song」(石井あみ・北川理恵・Machico・吉武千颯名義)に参加されていますが、とんでもなくかっこいい曲ですね。

北川:かっこよすぎてびっくりしました。「これを、この4人が歌う? やばい、これ私頑張らなきゃいけないやつだ」と(笑)。

『プリキュア』のうたのお姉さんとして、いろいろな曲を歌わせてもらってきて、その中にはカッコいい曲もありましたけど、<幻惑の壁も><全霊飛翔>など、絶望に抗う言葉がたくさん散らばっていて……雑草スピリッツのようなものを感じるというか。泥臭さや生命力の強さが必要な曲だ、これは普通には歌えない!と。

──これまでの曲とは違うものを感じられたのですね。

北川:ずっと知っているMachicoちゃんと千颯ちゃんと、彗星のように現れたあみちゃんと、となると取り組み方がこれまでとは違う気がして、自分の新しいものを出さないと、と思いました。

 

 
毎回『プリキュア』の曲はハードルの高いものばかりではありますが、この曲に関しては屈強な壁をロッククライミングしていくような歌だったものですから。

私、自分の声にはコンプレックスがあるんですよ。それもあって、家で自分の声と曲を研究したんですね。で、歌い方を考えてスタジオに持っていったんですが……その日、千颯ちゃんが別の曲の録音でスタジオに入っていたんです。

私がスタジオに行った時に千颯ちゃんがまだ居て「あれ? 千颯ちゃん!」って声をかけて。そしたら千颯ちゃんが「見学しても……いいですか?」と。

まさか見学してもらうとは思っていなかったので「しっかりしないとまずい!」と思ったんですね。千颯ちゃん、馬瀬(みさき)さん、さらに高木(洋)さんもいらっしゃって「すごい環境だな」と思いました。特に千颯ちゃんが見てる、というのが私の中では大きくて。

──妹分であり、北川さんの大ファンでもある吉武さんの熱い視線が注がれる中で。

北川:千颯ちゃんが私のアルバムを聴いてくれているのも知っているので「これは壁を破りにいくところを見せなければ!」と気合いが入ったんですね。背筋が伸びました。

これまでのシリーズの中でも『ひろがるスカイ!プリキュア』(以下、『ひろプリ』)は地に足の付いた作品だなと感じています。自分の今持っている力でできる最大限をしていくって、在るべき姿だなと思っていて。

それと同じで、「たくさんの人に届くように歌う」のはもちろん、まずは「そこにいる千颯ちゃんにも届く歌を歌う」のも意識しようと。

自分の手の届く範囲から、というのは最近とても考えていたことでした。そうしたら収録後、高木さんに「北川さん、歌い方変わりました?」と言われたんです。

「変えました! 今持っている力だけでは歌えないと思ったので研究しました」と言ったら「生き方が変わったのかと思いました」とおっしゃっていて(笑)。

そう言っていただけたのであれば、自分の壁を少しは破れたのかもしれないなって。歌詞のような、熱い思いで立ち向かえたのかなと思いました。

で、その後、完パケ音源を聴かせてもらったんですよ。

 

 

──北川さんは4人中、最初に収録されたんですよね?

北川:そうなんです。だから声が合わさるのを楽しみにしていました。で、聴かせてもらったら、それぞれが持っている武器や個性はすごく出ているのに、目指しているのは一緒という感じがして。すごく綺麗にミックス・マスタリングしていただいたなという印象がありました。

──音楽プロデューサー・井上 洸さんから、歌いわけに関してもこだわったというお話をうかがいました。

北川:それはすごく感じました! ソロも作るからということで(※「プリキュアライブ」のスペシャルCD付きチケットの特典CDに収録)通しで歌っているので、自分がどこを担当するかは後で知ったんです。ああ、こういう振り分けになるんだなぁって。

井上さんにとってはずっと見てきた4人ですから、私たちが何につまずいたり、何に頑張ろうとしているかも見ていると思います。きっと井上さんのそういう考えも込められているのかなと。

そう思うと、ライブでどうなるのかが楽しみです。リミッターが外れそうだなと。見に来てくださる方々には、4人の化学反応も楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。

 

高木さんは「大事な先生」

──それにしても、高木さんの「生き方が変わったのかと思いました」というコメントがさすがだなと思いました。

北川:これまでの私の『プリキュア』曲への立ち向かい方・寄り添い方は「まっすぐにいこう」だったんです。そこから派生して、楽しいものになっていく。でもこの曲は、まっすぐだけじゃなく、陰から陽に向かうイメージを意識していました。

高木さんはずっとお世話になり続けている方なので、高木さんがそう言ってくれたのはすごく嬉しかったですし「また引き出しを増やせるかもしれない」という希望も持てました。

──『プリキュア』シリーズ楽曲でお馴染みの高木さんが、20作品目の曲に関わっているというのもすごいですよね。

北川:それもすごいことですよね! 高木さんと言えば『プリキュア』の歴史を作ってきた方ですから。プリキュアのことも、シンガーのこともよく知っていて。その方がいてくれるという心強さはすごくありました。

 

 
高木さんに会うと……すごく失礼かもしれないのですが、親戚に会ったときのような気持ちになるんです(笑)。安心感がすごくて、心の距離を縮めにいく自分がいます。

私がアニメの主題歌を担当したのは『プリキュア』が初めてだったので、その時に出会った方たちは、私にとって親鳥のような存在なんですよ。「この人たちについていけば間違いない!」と。

そういう意味でも、絶大な信頼感を持っていますし、「皆さんがいたから私がいる」という思いがあります。私にとって高木さんは、大事な大事な先生です。

──作詞はマイクスギヤマさん、編曲には馬瀬さんもいて。クリエイター陣も豪華です。

北川:いろいろな力が結集した曲だなぁと感じています。マイクさんの歌詞も本当にすごい。『ひろプリ』はもちろんなんですけど、いろいろなプリキュアのエッセンスも散りばめられているようにも思います。

──北川さんが2021年に歌われていた「シェアして!プリキュア」を今回は石井さんが歌われています。石井さんの「シェアして!プリキュア」はどのような印象がありましたか?

北川:「わああ、あみちゃん大人だあ」って思いました。かわいらしいところがありつつも、あみちゃんの大人な表情を感じる「シェアして!」でした。すごくしなやか。ぶれがない人なんだろうな、と思いました。

──歌声ってなんでも伝わっちゃいますね。

北川:本当にそう(笑)。ライブでは生き様までも出てしまいますからね。ちょっと怖いところもありますけれど。でもライブがあるからこそ「しっかり生きていかなきゃな」と思っています。

 

 

──昨年のリレーインタビューで、宮本佳那子さんにお話をうかがった際に「常に子供たちのお手本でいたいな、と思っています。例えば急いでいるときに「車は通ってなくても、絶対に信号が青になるまで横断歩道を渡らない」とか、日常の小さな、でも大事なことを忘れないようにしています。それはプリキュアたちがそうであるように、私も当然のこととして意識している」とおっしゃっていて。

北川:(拍手しながら)いいお話!すっごく分かります。これだけ大切で、リスペクトしている作品だからこそ、自分の律し方や生き方までも考えさせられるんですよね。

──ところで、先程「自分の手の届く範囲から(頑張っていこう)」と最近思うようになった、という話がありました。それはきっかけがあって?

北川:なんでしょう。「世界はひろいな」と感じるようになったからかもしれません。いろいろな場所で、いろいろなことが常に起こっていて。

少し疎遠になってしまった友だちもいますけれど、なにかの拍子に連絡を取ったり、少し辛そうな時に手を当てるだけでも、その子が元気になることもあるじゃないですか。だからこそ、自分のできることをやろうと。

その距離の取り方は人それぞれですけども、自分の良心を信じることは、自分が自分のことを嫌いにならないためにも重要だなと最近思うようになりました。

『プリキュア』もそうじゃないですか。きっと「こう生きたい」という思いが先にあって、そのために地に足をつけて歩いている。年齢を重ねていくと、「こう生きたい」と思うだけでは済まないこともあるけれども、でも私も「そう在りたい」と思います。

少し話はそれますが、だからこそ『プリキュア』のライブはすごく嬉しいんです。皆さんに直接会えるってすごいことで、ずっと「会いたい」と思ってきました。ライブには中毒性があります(笑)。私がそこでいただいたものを歌で返して、という思いの交換って、そこでしか得られないものだから。

『トロプリ』の「今を大切に」という感覚を持ちながらライブが出来るんじゃないかなって思います。なんだか話が多岐にわたってしまいすみません(苦笑)。

──とんでもないです。私も北川さんに直接お会いできるのがうれしすぎて、質問がどんどんと(笑)。さきほど、「声にコンプレックスがある」ともおっしゃっていたのも気になっていました。あの北川さんが?と思いながらお話をうかがっていたのですが……。

北川:コンプレックスが武器になることもある、と頭では理解はできるんです。でも無いものねだりというか……私なりの欲張りなところがあるんです。

でも、その欲張りなところがあるから、この仕事を続けられるんだろうなと思っています。欲を持っているのも、コンプレックスを持っているのも、自分。それを認めていかなきゃなって最近はすごく思っています。

 

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