「“お芝居って楽しい”──そう思えたのは、ナオミ役・黒沢ともよちゃんの存在も大きいです」　ボンズ25周年記念作品『メタリックルージュ』ルジュ役・宮本侑芽さんインタビュー

ボンズ×出渕裕がおくるバトルアクション最新作であり、ボンズ25周年記念作品でもある大作『メタリックルージュ』が、2024年1月よりフジテレビ「+Ultra」他にて放送される。

『交響詩編エウレカセブン』のアニメーション制作会社ボンズと『機動警察パトレイバー』のメカニックデザイナーや『宇宙戦艦ヤマト2199』の総監督を務めた出渕裕が『ラーゼフォン』以来、19年ぶりの再タッグを組んだ本作。

舞台となるのは、人間と人造人間が混在する世界。人造人間の少女・ルジュは、バディのナオミと共に、火星で“ある任務”にあたっていた。それは、“政府に敵対する9人の人造人間の殺害”であった。

ヒロイン・ルジュを演じるのは宮本侑芽さん。そして彼女の相方・ナオミを黒沢ともよさんが熱演。共通点が多い、実力派のふたりによる掛け合いに注目が集まっている。宮本さんに『メタリックルージュ』にまつわる話や、アフレコでのエピソードを教えてもらった。

「ずっと尊敬している」役者とバディ

ーー今日の衣装やアクセサリーもすごくかわいいですね。やはりルジュを意識されているのでしょうか？

ルジュ・レッドスター役・宮本侑芽さん（以下、宮本）：ありがとうございます。ルジュっぽさを意識して、ハートの形の指輪を用意していただいたんです。イヤリングも、星と月でSF感がある雰囲気のものを選んでいただきました。普段は暗めの衣装を着ることが多いので、赤の衣装ってすごく新鮮で。ルジュをきっかけに赤い洋服を沢山取り入れたいです。

ーーでは改めて、ルジュ役が決まったときのお気持ちを教えてください。

宮本：めちゃくちゃ嬉しかったです！　オーディションで世界観が丁寧に書かれた資料とルジュのキャラクター絵をいただいたのですが、その時からルジュにシンパシーを感じていました。オーディション後もずっと「ルジュ役はどうなったかな？」と気になっていたので、受かったと聞いたときは思わず外で絶叫しちゃって。それと同時に「ナオミはどなたが演じるんだろう？」とソワソワしながら待っていました。

ーーナオミ役を演じるのは黒沢ともよさんですね。

宮本：本当に嬉しかったです！　安心感があるので。「バディものだから掛け合いが多そうだな」とオーディションのときにも思っていたので、アフレコが楽しみでした。

ーー宮本さんと黒沢さんは共通点が多いイメージです。

宮本：ともよちゃんとは同い年で。本当に素敵なお芝居をされる方なので、子役時代から勝手に尊敬していたんです。『メタリックルージュ』のキャストが解禁されたタイミングで、ファンの方からダイレクトメッセージなどで「ともよさんとの掛け合いが見られるのが嬉しいです！」という声を沢山いただいたことにもびっくりしました。

空気感が似ていると言われることがあるんです。お芝居のニュアンスが似ていることは自覚していたのですが、「私はそんなことを思って良い立場なのかな？」と思っていたので、そういう反応をいただけたことも嬉しかったです。また、（お芝居のニュアンスが似ているからこそ）「同じ作品で共演することはないかも」という話をしていたばかりだったこともあって、いっそう嬉しかったですね。

ーー役に決まってから、黒沢さんとやり取りはされました？

宮本：私から連絡をして「やったね！」といった話をしました。『メタリックルージュ』の企画が解禁された日に連絡をもらったんです。そのときは「キャスト発表も楽しみだね」というやり取りをしました。ともよちゃんとはプライベートのことを相談し合ってもいたので「良いバディになれるんじゃないかな」と期待が膨らみました。

現場でキャラクターを作っていく

ーーオリジナルアニメはお手本となるものがない分、役作りにおいては楽しさも難しさもありそうですね。

宮本：普段は原作のある作品に出演することが多いのですが、オリジナルアニメをみんなで作っていく事も楽しいと思いました。『メタリックルージュ』には個性豊かなキャラクターがたくさん出てくるので、その子たちと会うのが楽しみだなと。全体の展開は最初にざっくりと監督から説明していただきましたが、最後までびっくり箱な展開が繰り広げられるので、楽しかったです。

ーーどのようにルジュのキャラクター像を作っていったのでしょうか。

宮本：ルジュはちょっと素っ頓狂な部分を持っているというか、人間の心があまり成熟していないところから、物語がスタートするんです。それに対して向き合っていくのが面白いなって。私はあまり論理的に役を作るタイプじゃないので、掛け合いをしたときに出てきた彼女がキョトンとした雰囲気を持ったキャラクターになっていて、私自身もびっくりしました。ルジュを作っていく過程は、すごく面白かったです。加えて、時期的に分散収録が終わった段階だったので、みんなで作品を作り上げていく感覚が久しぶりにあって、アフレコは余計に楽しかったですね。

ーー「論理的に役を作っていくタイプではない」というのが個人的には少し意外です。

宮本：音で作ることがすごく苦手なんです。「ちょっと舌足らずな子だな」、「声が低めの子だな」といった想像が難しくて。人間誰しも変化があると思うんですけど……「この子と話すときはこういう感じかな」という、対・キャラクターの中で、役を作り上げていく感覚が強いですね。ルジュの場合、特にナオミと話していく中で方向性が決まっていった印象があります。

ーールジュとナオミ、宮本さんと黒沢さんはバディですけども、宮本さんとルジュもバディとなってひとつの役を作っていくんですね。

宮本：そうですね。戦闘シーンの前は、お腹をいっぱいにして挑みました（笑）。

ーーあはは、力を使いますもんね。

宮本：出渕（裕）さんがいつもパンを用意してくださって、そのパンを食べて元気を付けていました。

ーー黒沢さん演じるナオミはかなり食べるキャラクターですよね。

宮本：いっぱい食べますね。（ルジュは）チョコレートだけなんですけど。

ーーチョコレートは食べなかった？

宮本：チョコレートは喉に絡んじゃうかなと思って、あまり食べなかったです（笑）。

ーーではアフレコの思い出を挙げるとしたら……。

宮本：やはり出渕さんのパンですね。トリュフの塩パンだったんです。いつもアフレコブースに出渕さんがいっぱいそのパンを持ってきてくださって、モニターの間に置いてくださっていて。ブース中がトリュフの香りに包まれていて……物語自体重厚でしたが、アフレコブースも重厚でした（笑）。