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『天官賜福 貮』日本語吹替版 神谷浩史&福山潤インタビュー

2期でも変わらず二人の間を流れるゆるやかな時間を堪能してほしい――『天官賜福 貮』日本語吹替版 謝憐役・神谷浩史さん&花城/三郎役・福山潤さんインタビュー|「俗物」ばかりな新キャラたちにも注目!?

二人の再会シーンで心がけたこととは?

――1期で「真の姿で会いに来る」と言い残して、謝憐の元を去った三郎でしたが、2期で再会したシーンはどんな想いで演じられたのでしょうか?

福山:見た目は同じでも、三郎(最初に謝憐が出会った時の少年の姿)と花城(鬼界の王)は違うので、どのように違いを付けようかなと考えていました。

ただ、1期で花城の状態で話したセリフが少なかったので、2期のテストでやってみたら少し変化が付きすぎていたり、謝憐への接し方が三郎だった頃と違ったりとちょっとした差異が出てきていたので、ディレクションをいただいたり、自分で微調整しながら演じました。「ちょこっと変わっているけれど、三郎のままで、肉体が少し変わっているだけ」というところで着地できたらいいかなと。1期の頃の感覚を忘れてはいなかったので、うまくアジャストできたかなと思っています。

神谷:僕は謝憐目線でこの物語に関わっているので、花城と三郎の違いがよくわかっていないんですよね。明らかに見た目が違っていたり、潤の演じ方が変わっていたりはしますが、謝憐目線ではあまり変わっていなくて。相変わらず三郎と呼び続けているし。『釣りバカ日誌』で、主人公のハマちゃんが、自分の会社の社長のことを釣り場では「スーさん」と呼んでいるみたいなもので、ちょっとタチが悪いんですけどね(笑)。

福山:謝憐がハマちゃんで、花城がスーさんのコンビで(笑)。

神谷:収録自体は1期と変わらないアプローチでできました。謝憐は800年も生きている人ですから、1期と2期の間に数年空いていたとしても誤差だと思うので、急激に変わらないだろうと。

――スタッフ陣からのディレクションはどのようなものだったんでしょうか?

福山:再会のファーストシーンのテスト時、周りに人がいる中、でんと構えて座った状態で現れて、「血雨探花(けつうたんか)です」というテンションでしゃべり始めてしまったら「それは違います」と。もちろん謝憐だということはわかっているけれど、相手の立場も考えつつ、こちらも血雨探花としてのパブリックな立場もあるからそうしようと思ったんですが、花城は今の自分の立場や周りからどう見られるのかは関係なくて、目の前に謝憐がいたらいつでも「兄さん」と呼んで接する人であるというのが一番大切ということで、「どんなシーンであっても、あくまで謝憐として接してほしい」というディレクションをいただきました。1期から花城を演じていますが、まだまだ理解しきれていなかったんだなと思いました。

神谷:謝憐からしてみたら、花城は特別な存在ではありますが、それをアピールする必要はないわけです。なので帝君(君吾(ジュンウー))に花城のことを尋ねられた時も「おもしろい坊や偶然会っただけです」と答えていて。僕が演じる上で気を付けているのは、フラットに接して、特別な感情をにじませないことです。今回は別々に収録しているんですがよかったと思っています。潤と一緒に録っていると、ある程度噛み合ってくることで、特別な感情をにじませてしまって過剰になるのが怖いんです。あくまでフラットに演じて、あとは視聴者の方がどう感じられるのかが大切で。謝憐は周りの人から負の感情をぶつけられることには慣れていますが、好意や優しさを持って接してくれる人には「ありがとう」という気持ちで接するのは誰に対しても変わらなくて。視聴者の方が「花城といる時は何か違うよね?」と感じさせるのが肝で、それは絵が十二分に表現してくれているので、僕が音声で特別なものを付加する必要はないだろうなと気を付けています。やりすぎてしまうと絵の説明になってしまうので。ディレクションで「もっと優しく接してください」と言われたりした時は「このシーンでは必要なんだ」と足すこともありますが、僕から足していくことはありません。

福山:僕とまったく逆ですね(笑)。花城は、郎千秋(ラン・チエンチウ)など他のキャラクターと接している時は全然違いますから。

三郎は「気付いてちゃん」。謝憐は800年生きているゆえに「すべてを受け止めてしまえる人」

――改めて、ご自身が演じているキャラの魅力のご紹介をお願いします。

福山:謝憐はよく三郎を受け入れたなと思います。一緒の時間を過ごしていく中で、信頼もされて。敵対する意志はなかったり、懐に真っすぐ入ってくるし、陰ながらではなく堂々と謝憐を守ったり、明らかに怪しい行動で疑われることさえもいとわなくて。例えるなら「かまってちゃん」ではなく「気付いてちゃん」でしょうか(笑)。“気付いてほしい行動”がたくさん見られるのが魅力かなと思います。

神谷:謝憐はかわいそうで不器用な人なんだなと思います。ものすごいポテンシャルを秘めていて、三回も「飛昇(※)」していて。僕は飛昇したことがないのでわかりませんが(笑)、そういう立場にいられるくらいポテンシャルは高いんだと思います。

※:人間として徳を積んだ後、天界に召され、人間の立場を超えて、人間のために特別な力を得た存在になること

でもいろいろな事情で、もう一度地上に落とされて、また飛昇し……というのを三回繰り返す人は天界では他にはいなくて。そのために煙たがっている人もいれば、そのポテンシャルを理解している人もいて。彼の不幸なところは「生きている」ということで、長生きしてしまったため、すべてのことを受け止めてしまえるんですよね。人間だったら徳を積んで死ぬとか悪いことをして死ぬという結末がありますが、謝憐は死んでいないので、800年の出来事や想いを抱えながら生きているんです。

800年間の間に生まれた新しい人たちが、過去の出来事を聞きかじったり、うわさだけで誹謗中傷してきたり、謝憐と関わったことで、彼の一部分しか知らないがゆえに誤解されたりといったことを自ら解こうとせず、言われるがまま自分の力を行使してしまうので、哀れで不器用な生き方をしているなと。中国では神様として奉られている存在ですが、僕らにとっては人間らしく感じるし、親しみやすい。そんな人間に近い存在として描かれているところが魅力なんじゃないかなと思います。

――今度はお互いが演じるキャラの、魅力を感じる点をお聞かせください。

福山:花城からすれば、謝憐は、過去に助けられたという部分を置いても、「利己的なことをしない人」。それもどうかしているレベルで。

他の天界の人は、例えば武官だったらカッコいい鎧武具を、文官だったら立派な服を着ているのに、謝憐は装飾にまったく興味がなくて、剣が使えるし、武器も好きなのに持とうとしなくて。利他の精神はあっても、全振りするわけでもなく、かといってあきらめているわけでもなく。力があればいろいろな人を救えると思うけれど、大それたことを考えるのではなく、自分の目に見えるところに絞っていて。辻褄が合わないのに成り立っている人であり、実はちゃんと知ってほしいと願っているし、花城にも「僕だけはわかっている」と思わせる部分が魅力なのかなと思います。

神谷:ズルいキャラじゃないですか? すごく強い人なのに身分を隠して、ある種の貧乏神のような性質を持っている謝憐に従順で。

彼が強い力を得るきっかけが謝憐でもあるので、謝憐に対してはとても従順であり、謝憐のことをとても理解していて。謝憐のことを誤解している人が多い中、花城だけはいつも謝憐の味方で、とてもありがたい存在です。だからこそ、ズルいなと思うんですよね。能力が高くて、天界にとっては目の上のたんこぶなのに、天界の鼻つまみ者、貧乏神みたいな謝憐の言うことだけは何でも聞いてしまう、というアンバランスさが魅力かなと思います。謝憐自体がアンバランスで変な存在なので、三郎がいることでバランスを取ってもらえているのかなと。

動画改編自晋江文学城作家墨香銅臭同名小説©天官賜福製作委員会
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