音楽
やなぎなぎ7thアルバムからはじまる新たな旅路/インタビュー

「用意したまっしろな空間に、自分のやりたいこと、新しいもの、欲しかったことなどを詰め込んでいきたいなって」第2期の旅路が『ホワイトキューブ』からはじまる――やなぎなぎ7thアルバムインタビュー

 

『俺ガイル』10周年ソングは『ホワイトキューブ』に飾るべき曲

――3曲目は「ユキハルアメ」(TVアニメ『やはりやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』10周年記念ソング)。改めて、集大成的な楽曲ですよね。

やなぎ:『俺ガイル』も10年を迎えて、早いなぁと思いつつも「自分が10年経っているんだから当たり前か」と(笑)。第2期のような気持ちのアルバムに、この曲が入っていて。これまでやってきたことが積み重なっていることの証明の1曲といった気持ちもあるので。これは『ホワイトキューブ』の中に絶対に飾るべき曲だろうと思っていました。

 

 

――そこから「ルーキーシーフ」に。早速『ホワイトキューブ』を巡回したくなるような気持ちに。

やなぎ:(笑)。三原(康司)さんの楽曲が私のホワイトキューブに展示されているとしたらどんな作品かな、って思って。ひと目みた瞬間に愛着が湧くような、何度も通い詰めたくなるような、愛嬌のある展示物が良いかなと思い、そんな感じで楽曲もオーダーしていました。

――〈ふと気になって/なぜか立ち止まったんだ/白いギャラリーの隅に佇んでいた〉という冒頭の言葉は、まさにその思いが表れているのかなと。

やなぎ:そうですね。気になっちゃって、気になっちゃって、夢にまで出てきてしまい、ついには自分のもとに手に入れたらどうなるのかなって考えて、それを夢見てしまうっていう。

――5曲目「標火」(TVアニメ『最果てのパラディン』EDテーマ)、6曲目「命火」(TVアニメ『最果てのパラディン 鉄錆の山の王』OPテーマ)には、独特の流れがありますね。

やなぎ:そうですね、命の巡りと言いますか。独特の流れが。

 

 

――そこからの「Picky about you」はなんだか、少しブラックな雰囲気のワルツというか……タイトルもいろいろ考えさせられます。

やなぎ:展示物に対してのこだわりといいますか、イチャモンじゃないけれども、執拗な思いや独占欲があるっていう。

この曲はVan de Shopの栗山(夕璃)さん、仁井伯さんにお願いしているのですが、栗山さんとお話していた時に、「なぎさんの曲だから、『俺ガイル』シリーズのような明るい曲のほうがいいんですかね? ストリングスとかが入ってて……」っておっしゃっていたんですけども、そうじゃなくて大丈夫ですってお伝えしていて。「栗山さんのちょっとダークな雰囲気が好きです」と。

「私自身、自分が自分の曲を書くときは内側にこもるようなタイプのものが多いんです。そういうところが栗山さんの楽曲の中でも私の癖に刺さったので、ぜひダークな方向で書いてほしいです」とお願いしたところ、「そっちのほうが得意分野なんで」って感じで書いてもらいました(笑)。

――まるで絵本の世界のような「私とクーリエ」はなぎさんが作曲から編曲まで。この順路がおもしろいなぁって。

やなぎ:確かに(笑)。「Picky about you」はめちゃくちゃ閉じられた空間の話で、「私とクーリエ」はいろいろな国をまわる開けた物語で、キラキラ成分多めの曲です。アルバムでは「こういうものを作りたいな」と、明確に自分の中にあった曲ですね。

 

新居昭乃さんとの制作を振り返って

――さきほど話題に挙がった、新居昭乃さんとの「Partie de ton monde」(9曲目)の制作を振り返ってみるといかがですか?

やなぎ:めちゃくちゃ楽しくて。最初は昭乃さんとファミレスで作戦会議をしたんですけども(笑)。

――本当に素敵な関係性!(笑)

やなぎ:私としては恐れ多いんですが、昭乃さんはとても優しくて「お話しましょう!」と言ってくださって。それでファミレスで一時間ほどお茶をしながら、いろいろな画像を見たり、お話をしたりして。だからふたりで作っている感覚がすごく強かったです。

――先に視覚的な雰囲気を掴んでいったような感じだったんですか?

やなぎ:そうですね。先に『ホワイトキューブ』のテーマをお伝えしていて。その後、私が「飾られている絵画や作品で、作った人はこの世にいなくて……ってなると、本人には作った時の気持ちが聞けないから、想像するしかないのって結構切ないですよね」みたいな話をしたんです。そしたらそこから広がっていって。

――歌詞はコライトですが、なぎさんから「一緒に歌詞を書きたいです」といったお願いをされたんですか?

やなぎ:そうです。せっかく一緒に作れるのであればと思って「歌詞を一緒に書いたりって出来ますか……?」という感じでお願いしました。昭乃さんは風景とか、色とか、匂いとか、そういうものから曲を書くのが好きだとおっしゃっていたので、「Partie de ton monde」というお話を書いて昭乃さんに書いて渡したんです。歌詞はそこからイメージしていただいています。

――そして、「homeward journey」(TVアニメ『冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた』EDテーマ)を挟んで「アートラウンジ」でふたたびインストが。ここで少し休憩するかのような、でも気持ちは弾んでいるような……。

やなぎ:まさにそうですね。休憩場所で、少し腰を掛けるような。実際に美術館にもそういう腰を掛けられるような場所があって、そこ自体がアートになっているようなところもあって。一息つくんだけども、いろいろ見たことで自分の中でインスピレーションが湧いてしまって、知らず知らずのうちに鼻歌が出てしまったり……っていうイメージで作りました。

 

 

――そこから最後の曲の「Blank」へ。

やなぎ:「Blank」は自分の創作に対する気持ちのひとつというか。作品を作るにあたって、いっぱいの人に聴いてもらいたいというよりかは――もちろん聴いてもらいたいですし、見つけてもらったら嬉しいんですけども、いちばんは自分が今作りたいもの、見てきたもの、表現したいものを書き出したい、というのが自分の創作で。究極ですけども、ひとりぐらいがわかってくれたら良いかなって思いながらいつも作っています。

また、もしそれが現代の人の中にいなかったとしても、自分がいなくなった後「世の中にはこういうものがあったんだ」と気づいてくれる人がいるかもしれないなって。絵画を描いている方は死後有名になることも多々あるので、そういうところも考えていました。『ホワイトキューブ』を作るにあたって、それをひとつ形にしたいなと思ってできた曲ですね。

――歌詞の中に、〈何度も出会う□□〉とホワイトキューブならではの言葉もあって、これはぜひ歌詞カードで見てもらいたいなと。

やなぎ:そうですね。昨今、ダウンロードで耳のみで音楽を聴くことが多いとは思うんですけど、ぜひ歌詞カードを見てもらいたい曲です。

――初回限定盤 特典CDには、「砂糖玉の月」などのなぎさんの手によるリミックス曲が。

やなぎ:これまで特典はライブ音源やカバー曲だったんですけども、新しいことのひとつとして、まだやったことのなかったリミックスに挑戦しました。ここまでがっつりリミックスをしたのは初めてで。なんとなく妄想はしたことはあったんですけども(笑)。

――自分の曲を新しい音でブラッシュアップしていくというのは、面白さと難しさが同居していそうですね。

やなぎ:そうですね。最初は自分の中でのリミックスの定義が定まらなくて、どこまでやるかなと結構悩みました(苦笑)。最初に手をつけたのが「砂糖玉の月」で、3日間くらい、ああでもないこうでもないといろいろと入れ替えていました。でも途中から「好きにやっていってみよう」と切り替えることができて。そこからは楽しくできました。

――ミニマルな雰囲気もあり、聴いていて心地よかったです。

やなぎ:ちょっとイージーリスニングっぽいというか。歌モノというより、勉強中や仕事中に流せるような、聴いていて心地の良い曲になったらなというイメージでリミックスしていきましたね。

 

音楽とのコラボレーションで生まれる未知の体験

――今回のアートワークも素敵ですね。

やなぎ:デザイナーさんが手掛けてくださって。初回限定盤のキューブのところが型抜きされているんです。最近パッケージを手に取る機会も少なくなっているとは思うのですが、ぜひ直接手に取ってもらいたいです。

 

 

――5月からはやなぎなぎ ライブツアー2024 「ホワイトキューブ」もスタートします。

やなぎ:みんなで同じ空間にいて、その展示を楽しんでいるというイメージで、楽曲もお届けしていけたら良いなって思っています。

――演出面もすごく楽しみです。ところで今回は3月23日にアニメイト池袋本店でもイベントがあります。そういったイベントは久しぶりなような……?

やなぎ:そうですね。最近はオンラインイベントが多かったので、パッケージとして出したものでリアルイベントをするのはすごく久しぶりになるんじゃないかなと思います。多分、2019年振り……? お待たせしましたという感じです。

――さきほど、ひとりにでも届けばいいというお話もありましたが、第2期はなぎさんの中でどのような旅路にしたいですか?

やなぎ:う〜ん。これまでとあまり変わっていないような気もするんですけども……「こういうものを音楽といっしょにやってみたら面白いかなぁ」ってものをやってみたくて。実はツアーの間にギャラリーをやってみようかなぁって思っていて……。

――いつかやってほしいと思っていました! 

やなぎ:ありがとうございます。せっかく各地回るので、ライブとギャラリーと交互にまわれたらななんて思っていました。ギャラリーで流すインストを作ったら……なんて妄想をしています(笑)。

――音と絵の美術館。なぎさんにしかできない空間ですね。

やなぎ:そう言っていただけると内容はまだ考え中なのですが、MVなどでもいろいろイラストを描いたので、そういうものを持っていけたら良いなって思っています。

 
[インタビュ&文ー・逆井マリ]

 

CD情報

【発売日】2024年3月20日
【価格】
初回限定盤:4,950円(税込)
通常盤:3,300円(税込)

【メーカー特典】サイン無しアナザージャケット

※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。
※2024年1月29日(月)23:59までにご予約いただきましたお客様は【サイン無しアナザージャケット】は対象外となりますので、予めご了承ください。
※通常盤は対象外となります。

 

ライブ情報

 
【公演タイトル】やなぎなぎ ライブツアー2024 「ホワイトキューブ」

【日時・会場】
★ 2024年5月10日(金) 愛知・名古屋ボトムライン
開場 18:30 / 開演 19:00
(問い合わせ先:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100)

★ 2024年5月12日(日) 大阪・梅田Shangri-La
開場 16:30 / 開演 17:00
(問い合わせ先:キョードーインフォメーション 0570-200-888)

★ 2024年5月26日(日) 東京・日本橋三井ホール
開場 16:45 / 開演 17:30
(問い合わせ先:ディスクガレージ https://info.diskgarage.com/)

【チケット料金】
前売 ¥7,000(消費税別/ドリンク代別)
当日 ¥7,500(消費税別/ドリンク代別)
【席種】全席指定

【チケット販売】
一般販売 受付期間:2024年2月10日(日) 〜
・ローソンチケット https://l-tike.com/yanaginagi/
・チケットぴあ(愛知公演のみ) https://w.pia.jp/t/yanaginagi-a/
・イープラス https://eplus.jp/yanaginagi/

 
やなぎなぎOFFICIAL https://yanaginagi.net/
やなぎなぎX(旧Twitter) https://twitter.com/yanaginagi_info

 

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