音楽
『リゼロ』初のフィルムコンサートをレポート

『Re:ゼロから始める異世界生活』初のフィルムコンサート開催! オーケストラと映像でよみがえる名シーンの数々。 エミリア役・高橋李依さん、レム役・水瀬いのりさんによる生歌唱や、 前島麻由さん、鈴木このみさんによるオーケストラアレンジバージョンによる生歌唱も。

スバルの奮闘で白鯨とペテルギウスを撃破! 高橋さんによる「Stay Alive」の生歌唱も!

静寂に包まれる中で、スバルのケータイのアラーム音「よあけのみち」が流れてきた。それは作中でも白鯨の襲来を知らせる音で、直後、壮大なコーラスと打楽器の音が段々強くなる「決戦の序曲」へ。スバルが各所からの信頼を得て総力戦で挑む白鯨攻略戦の映像が展開する。次の「決意の鼓動」では、ドラムなどの打楽器の音が雄々しくリズムを刻む中、映像は剣鬼・ヴィルヘルムの妻との出会い、テレシアとの過去振り返りながら、最後にトドメを刺したシーンが流れる。この2曲の音楽と映像の流れは素晴らしく、スバルの奮闘が実を結んだことも合わせて爽快な気持ちに。

白鯨を破ったのもつかの間、今度はアーラム村を襲う魔女教との対決。「絶望と贖罪のヒュムネ」が流れ、ユリウスが華麗に登場。因縁のあるスバルとユリウスが協力してペテルギウスを倒したかと思いきや、ペテルギウスが復活し竜車に乗るスバルを追うシーンに。両者の手に汗握る決戦の緊張感がよみがえる。1st seasonラストの戦闘に相応しく大きくなるコーラスと演奏に、高揚感も。そしてペテルギウスを倒したシーンでは心の中で喝采を挙げた。

ここで小林さんと紫色のドレスを着た高橋李依さんが入場し、生アフレコが始まった。長い戦いを経てエミリアの元に帰ってきたスバルは、エミリアに王都での自らの振舞を詫びながらエミリアへの想いを告げる本心を伝い合えた二人のセリフの後に、大団円を飾る美しいオーケストラの演奏がアウトロのように流れていた。

今度は高橋さんがステージ中央に移動し、フルートとストリングスのイントロから1st season後半のED曲「Stay Alive」。寂しい気持ちがミディアムなメロディにのせて伝わってきて、サビでは透明感のある高い歌声に心を揺さぶられた。この曲をこのタイミングで歌ってくれたことで、2nd seasonのエミリアの心境もより想像しやすくなった。

物語は2nd seasonへ。エルザや大兎の襲来にスバルはどん底の状態に。『試練』での両親とのシーンでは感動も

ここから2nd seasonへ。新たな幕開けを飾る曲は「強襲分解」。白鯨討伐とペテルギウス撃破を成し遂げたスバルだったが、別行動していたレムとクルシュに圧倒的な力で襲い掛かる魔女教大罪司教のレグルスとライ。その緊迫感が伝わってきた。

「ペトラ」が流れると雰囲気は一転してのどかに。スバルやエミリアがロズワール邸に戻ると、ラムやベアトリスと再会。更にメイド長を務めるフレデリカ、そしてかつてスバルが助けたアーラム村の少女、ペトラがロズワール邸のメイドとして働くことに。緊張感が続いていたので一服の清涼剤のような演奏に癒やされる。

エキドナとの出会い。そして『聖域』の『試練』に挑むことになってしまうスバル。過去の自分と向き合うこと──両親との再会だ。ストリングスの温かくて優しい音色の「君の呼ぶ声に」を伴いながらスバルと両親とのやり取りの映像が。そして再び家を出る時の、母の優しい声にスバルの笑顔。自身の過去と向き合い、両親の想いを改めて理解して再起できた感動がよみがえってくる。

ストリングスが今度はせつない音を奏で、ハープの美しい音色が続く「意思の欠片」。スクリーンには再び『腸狩り』のエルザ、スバルを食い殺す魔獣の大兎、ベアトリスの涙など見ていてもつらく苦しいシーンが続いた。

スバルとエミリアの気持ちをぶつけ合うシーンの生アフレコに魅了

死に戻りしたスバルとエキドナの会話の映像が音声付きで流れる。エキドナがスバルに愛の告白のような契約を申し出るシーン。エキドナの演説がどんどんテンションが高まり、情熱的になっていく様子が迫ってくる感覚に。

力強いストリングスと打楽器のティンパニーの演奏が印象的な「オットー・スーウェン」が流れると、ロズワールの策略で、『聖域』にいるエミリアたちと屋敷にいるベアトリスたち両方を救うことができず袋小路に陥ったスバルをオットーが殴りつけた名シーンが映し出された。終盤に向かって演奏はどんどん強く高まり、ガーフィールとの交戦を買って出たオットーに見ている側も手に汗を握る。

再び小林さんと高橋さんがステージに現れると、第40話でのスバルとエミリアの激しい言い争いのシーン。「――だったら」と悲しみを帯びたエミリアの叫び声が響き渡る。自身が少しずつ記憶を取り戻していくことへの不安をぶつけるエミリアに「好きだ」と優しく、真っすぐな気持ちで応えるスバル。

それでも「信じられない」と言うエミリアに、「なら信じさせてやる」、と口づけするスバル。『試練』で母に言われた言葉を思い出し「大事なのは最初じゃない。最後だからだ」「いろんな不安を蹴っ飛ばして突っ走れる、大事な気持ちを一緒に見つけよう」と伝え、その言葉にうなずくエミリア。バックで流れていたピアノの美しい音色はそんな二人を見守るように優しく響いた。

二人がステージを去った後、スクリーンにはガーフィールの姿と管楽器の音とストリングスが静かに響く「幸せになるために」が流れる。ガーフィールは幼少期に『聖域』を出た母親の乗る竜車が落石事故に巻き込まれた過去を見て、自分が『聖域』を守る盾になると誓ったが、スバルとの戦いに敗れ、再び過去と向き合うことに。母親が外に出ようとした本当の理由と、自分たち姉弟のことを愛していた真実を知り、過去にケジメをつけることができたガーフィールの成長が美しい音色に彩られる。

続いてはピアノによる「記憶の旅路」と共にエミリアの過去がスクリーンに映し出された。エミリアにとって母親のような存在のフォルトナ、そしてジュースとの交流。レグルスとパンドラの急襲でエミリアたちを救うために魔女因子を体に取り込んだジュースがパンドラの力のせいでフォルトナを殺めてしまう展開や、自分の行動を起因としてフォルトナを失ったショックでエミリアが森林や人々を氷漬けにしてしまったシーンなど、エミリアが何度も挫折した『試練』を見ると悲しい気持ちに。

ピアノのせつない音色は続いていく。「エリオール大森林の永久凍土」では、若き日のロズワールが苦しんでいたところをエキドナに救われたこと、リューズ・メイエルやベアトリスの日々、『聖域』が生まれた理由が映し出された。

演奏はクライマックスへ。ロズワールとラムが対峙し、スバルはベアトリスを禁書庫から連れ出す

次の曲はアコーディオンの音と打楽器の音が怪しく響く「道化の仮面」。ロズワールと対峙するエミリア、ラム、そしてパックの姿が。

その直後にラムとロズワールが対峙するシーンの音声付映像で、ラムの「あなたの知らないこと」が流れる中、ラムがロズワールへの愛を告げる。そしてパックの助けもあり、ロズワールの持つ叡智の書を奪い燃やすことに成功。会場中が息を呑み、ラムの一途な想いを見守っていた。

そして打楽器が激しくリズムを叩き込む「英雄のタクト -覚醒-」でガーフィールVSエルザが繰り広げられる。コーラスとバスドラが双方の戦いのスピード感や激しさを表現し、一秒も見逃せない圧巻の戦いを演出していた。

そしてついに、スクリーン上には400年の契約に縛られたベアトリスを連れ出そうとするスバルのシーンが流れる。頑ななベアトリスに「俺を選べ」と。それでも拒絶するベアトリスに「ナツキ・スバルって男が永遠って時間の中でもセピア色にならないぐらい、鮮烈な男だったんだってことを」と言うスバル。炎が迫る中、ベアトリスに手を差し伸べた。

スバルとベアトリスが手を握って、まさにストーリーに相応しい曲名の「契約」が壮大な音楽で流れる。エミリアのもとへ降り立ったスバルとベアトリスは「アル・シャマク」で多数の大兎たちを異次元に飛ばすことに成功。そこから晴れやかな音楽になり、2nd seasonを締めくくった。

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