音楽
『リゼロ』初のフィルムコンサートをレポート

『Re:ゼロから始める異世界生活』初のフィルムコンサート開催! オーケストラと映像でよみがえる名シーンの数々。 エミリア役・高橋李依さん、レム役・水瀬いのりさんによる生歌唱や、 前島麻由さん、鈴木このみさんによるオーケストラアレンジバージョンによる生歌唱も。

余韻が残る中でのトークコーナー

小林さん、高橋さん、水瀬さんが揃ってステージに。小林さんが吉田行地さんとHeartbeat Symphonyを改めて紹介すると客席から大きく、長く拍手が送られた。

そのままトークコーナーがスタート。自己紹介で高橋さんは「もう胸がいっぱいです!」と興奮を隠せない。小林さんはステージ袖で演奏を聴き、「グッとくるシーンが来たら涙が出て、メイク直してください(笑)」と言っていたそうだ。

水瀬さんからは「アフレコの時は劇伴が入っていない状態でしたが、今日は生演奏で。緊張感と高揚感が沸いてくる初めての感覚でした」。高橋さんが「心拍数を握られている気がしない?」と話すと、「何それ、死に戻りの時に心臓つかまれているみたい」と即座に突っ込む小林さん。この時点でコンサートは2時間を超えていて、「今までの『リゼロ』がぎゅっと詰まっていましたね(水瀬)」。

生アフレコについて振り返り、まずは小林さんと水瀬さんが演じた「レム」と「ゼロから」の話題から。「(本編として)レムを演じるのは数年ぶりじゃない?」と尋ねる小林さんに、「『リゼロ』のイベント以来で。その時もオリジナルの朗読劇だったので、実際に過去、自分が演じたシーンをもう一度、この空間でやるということで、リハの時からドキドキして。しかも今日、初めて(小林さんと)一緒に生アフレコを演じたので、楽曲と自分のセリフのタイミングが合った時は『よし!』と思いました。」と話す水瀬さん。

さらに「Wishing」について、「レコーディングして以来、生で歌うのは初めてで。本当はコロナ禍で予定されていたイベントのライブパートで歌う予定でしたが中止になってしまい、皆さんに披露する場を失ってしまって。でも今回、オーケストラ空間で歌うことができて、待っててよかったなと。すごく苦しくなったり、幸せな未来を浮かべたり、曲の中でレムの走馬灯のように流れる気持ちを歌いました。皆さんにも届いていたら嬉しいです」と感慨深くコメントする一幕も。

高橋さんはオーケストラ演奏で新たな「Stay Alive」を体感。生アフレコでは涙をぬぐう姿も

今度は高橋さんが歌った「Stay Alive」について。1st seasonの最後のシーンを演じさせていただいた後に歌わせていただきました。『Stay Alive』は『今はどこで何をしているの?』などの歌詞だったので、最初のほうは内側にある寂しさを感じていましたが、第25話でスバルとの言葉のやり取りがあった時にもこの曲がかかっていたことを思い出して。『Stay Alive』の新しい一面を歌えたような気がしました。そしてオーケストラと共にまた新しい『Stay Alive』を味わうことができて嬉しかったです。一緒に見届けてくれてありがとうございます(高橋)」。

そして水瀬さんから「(生アフレコで)りーちゃんが涙をぬぐっているのを含めて見ていたんだけど……」と言われて、「だって、泣いてるシーンばっかりなんだもん。私も泣いちゃうからさ。でも配信があると聞いたので我慢しました(笑)」と高橋さん。

更に「2度演じているから、知っているからではない、気持ちが動く瞬間を私たちも体感させてもらいました」と水瀬さん。「今日は抜粋ではあったけど、例えば『試練をずっとクリアできていなかったな』とか準備段階をしっかりとれたので、素敵な時間だったと思います(高橋)」、「3rd seasonが始まる前に熱を高めることができて、すごくいい経験ができたなと思います(小林)」。そして「素敵な空間を見守ってくださってありがとうございました」と小林さんが言うと、3人で客席に向かって頭を下げた。

スペシャルライブコーナー1人目の前島麻由さんは初のオーケストラをバックに「Long shot」と「STYX HELIX」を歌唱

続いてはOP曲とED曲を担当したアーティストによるスペシャルライブコーナー。小林さんが「立席はできませんが、特別なアレンジなのでペンライトを……」と説明しているさなかに、早々とペンライトの準備を始めるお客さんに「準備がいい!」。そして、ペテルギウスよろしく「勤勉デスね」と笑う姿も。

3人が舞台袖へはけた後、ゴージャスなロングドレスに身を包んだ前島麻由さんが登場。数秒のストリングスの強く大きな音に続いて、2nd season後半クールOP曲「Long shot」の歌い出しフレーズに。オーケストラの生音が後方から打楽器やブラスが前島さんの歌声を更に押し出して、歌声のニュアンスもいつも以上に力強く感じる。Bメロからサビへの流れが気持ちいい。

歌の後、挨拶を述べると、「オーケストラと一緒に歌をお届けできる機会に恵まれて、しかも私が大好きで、みんなにも愛されている『リゼロ』のフィルムコンサートということで心待ちにしていました。『Long shot』は前島麻由として、KADOKAWAのアニメ主題歌を担当させていただいた初めの1曲です。またアニメに戻ってきた気持ちと、アニメを毎週楽しみにしていた気持ち、そしてスバルたちの気持ちを重ね合わせていた時の想いがすごく蘇ってきました」。

そして「今夜はもう1曲、大切な曲をお届けしたいと思います」と言って、MYTH&ROIDとして歌った1st season第1クールED曲「STYX HELIX」を披露。『リゼロ』というアニメを強く印象付けた曲ともいえるが、オリジナルの浮遊感やせつなさなどを感じる不思議なオケがオーケストラ演奏になると、エモーショナルさが前に出てきて、新鮮な気持ちに。ここまで『リゼロ』を見てきたからこそ、このバージョンも1つのピースとして作品の魅力を表していた。

鈴木このみさんは『リゼロ』始まりの曲「Redo」と「Realize」を披露。オーケストラの迫力ある演奏と息の合った歌唱に感動

前島さんが歌い終わり、今度は鈴木このみさんがステージに現れると、『リゼロ』始まりの曲と言える1st season第1クールOP曲「Redo」のイントロが高らかに鳴る。エレキギターの音に、打楽器の音が大きくリズムを刻む中、鈴木さんのパワフルに、そしてファルセットを効かせながら激しいアクションと熱唱。

思えば筆者が初めて聴いたのは、映画館で行われた1st seasonの先行上映イベント。そこからライブといろいろな場で聴いてきたが、時にバンドの音さえ飲み込んでしまいそうな鈴木さんの声は、オーケストラサウンドでも力強く響いていた。1サビ終わりで段々上がっていき、2コーラスで更にギアが上がるところはテンションと鼓動も上がる。2Bの「I’ll come back!」のところではお客さんも声を合わせ、「Breaking down」のフレーズではロングトーンも披露。Dメロはハープと共に美しい響きも。

歌唱後も呼吸を乱すことなく、ご挨拶。でも「緊張しますね。この一度きりの緊張感と音を体が全部吸い込んで、心臓がバクバクするような感覚を、贅沢に味わいながら歌わせていただいています。『Redo』は19歳の時に歌った楽曲ですが、歌一本でやっていこうと思って上京したタイミングで。家具がまだ届いていなかったからTVを床に直置きで毎週アニメを見ていたことを思いました。またこの曲は私をいろいろな場所に連れていってくれて、いろいろな景色を見させてもらったなと感じていましたが、今日は素晴らしい演奏のおかげで新しく最高の思い出ができました」と想いを語った。

そして「『Redo』は『何度でも』という気持ちを歌った曲で、次はもっともっとたくましくなって、今度こそやってやるという想いを込めた曲をお届けしたいと思います」と語って歌い始めたのは2nd season前半クールOP曲の「Realize」。ピアノから打楽器と美しいコーラスのイントロ、そしてフルートの音色にのせて丁寧にAメロを歌うとリズムを刻みながら段々強く。この曲は鈴木さんの伸びやかな歌声が映える。目まぐるしく変わる演奏の中で一本芯が通った歌声。Dメロは一転静かに、そしてラスサビで歌声を轟かせ、演奏と共に歌い終えると大きな拍手が起こった。

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