凪の成長が玲王の世界を一変してしまう
サッカーを楽しむチームZに感化され始めていた凪は、焦る玲王を見て熱くなります。結局敗けてしまったチームVですが、凪はサッカーの面白さに気づき、そして初めて敗ける悔しさを知ります。そんな凪を見て、自分がずっと付き合わせていたサッカーを面白いと感じてくれたことを嬉しいと思いながらも、凪を変えたのが自分ではないことが認められず、玲王は感動した気持ちに蓋をしてしまいます。
その後の二次選考2ndステージ。「2人で世界一」を目指すため凪とずっと一緒にサッカーをしていたかった玲王に対して、「2人で世界一」を目指すため強くなろうと潔とするサッカーを選ぶ凪。けれど凪の本心を知る由もない玲王は、生まれて初めて
「宝物」=凪誠士郎を手に入れられなかったことを悔しがります。
けれどその悔しさよりも、目を輝かせて変わろうと進んでいく凪に「夢の先でまた逢おう」と約束できなかった自分の弱さと、もう二度と凪が自分の隣に戻ってこないのではという寂しさと、2人の夢が消えてしまう怖さに、大粒の涙を流すのです。
人前で泣くなんて今までの玲王の中ではありえなかっただろうに……。きっと初めて知った自分の弱さに感情が抑えきれなくなってしまったのでしょう。涙と一緒にあふれ出る玲王の気持ちが伝わってきて、原作でも映画でも何度見てもこのシーンはもらい泣きしてしまいます。
凪はサッカーのパートナー。2人を交わらせたサッカーがなくなったら凪の隣にはいられない。そう思っていたであろう玲王ですが、2人はとっくに普通の友達だったでしょうし、何も理由がなくても友達は一緒にいていい存在。それなのに今までまともに友達がいなかったせいで、喧嘩の仕方も仲直りの仕方もわからない2人は、なかなか元の関係に戻れないのです。
こんなところで不器用さをみせる玲王を愛らしくも感じますが、この日を境に玲王のキラキラの笑顔を目にすることがなくなってしまったことに悲しくありました。
自分が嫌いな人間に成り下がり絶望する
落ち込む玲王のもとにやってきたのが國神と千切。3人でチームを組み「奪敵決戦」で凪たちと試合をマッチング。玲王は気持ちを切り替え“凪を倒す”と躍起になります。
あと1点で勝敗が決まるという場面で玲王から千切へのパスを紙一重でカットし、覚醒した馬狼によってゴールが奪われ玲王たちは敗北。試合が終わって声をかけてきた凪に、自分との約束を忘れる人間に変わったと悪態をつく玲王。それに対して「面倒臭いよ玲王 もう知らない」と凪が言い、2人の仲はさらに拗れます。
原作で描かれているのはここまで。ですが「-EPISODE 凪-」に描かれている玲王の心情はもっと複雑で、そして凪への想いでいっぱいだったのです。
パスカットしようと凪が走り込んだとき、玲王は「諦めろ」と強く願ってしまうのです。父親が散々自分に向けた暴言を、親にされて嫌だったことを凪にしてしまった自分に気づき、絶望します。さらに凪が玲王に声をかけたときも、凪の言葉を遮るようにわざと悪態をついたのです。凪が言おうとした「この先でまた逢おう」という言葉は、自分が凪に言いたかったこと。それを自分にかけられてしまったら死にたくなる……と。そして凪に「めんどくさい」という2人の関係を終わらせる止めの言葉を言わせ、玲王は心の中で「ありがとう」と言うのです。
「親にされて嫌だったコト」を凪にしてしまったとは言え、自分のことをゴミカスと言ったり死にたいとまで思ってしまう玲王を見るのは、ファンとしては正直しんどかったです。凪に「めんどくさい」と言わせることは、自分への仕置きだったのかもしれません。純粋で曲がったことが嫌いな玲王だからこそ、本当に自分を許せなかったのでしょう。
二次選考は玲王にとっても、玲王ファンにとっても、辛い展開でした。そんな中、気持ちを軽くしてくれたミニアニメ「あでぃしょなる・たいむ!(#15)」。歯ブラシをむしりながら「凪は戻ってくる…」と花占いをする乙女のような玲王が公式から出されます。ここから玲王がカッコいいだけでなく、どこかほっとけない可愛いキャラクターとして魅力がプラスされました。
どん底から這い上がり、新たな武器を手に入れ強くなる
大切な仲間を失いながらなんとか這い上がり、二次選考を突破。一方凪は“青い監獄”内TOP6に選ばれ、手の届かないくらいの存在になっていました。横に並んで戦う自信が無いと言う玲王でしたが、それでもやっぱりもう一度一緒にサッカーがしたいと「適性試験」で凪のいるチームを選びます。その動向をモニター越しに見つめる凪。決して目が合うことは叶いませんが、2人はお互いのことを想っていました。
今までとは別人のように楽しそうにサッカーをする凪を見て、もう自分の宝物ではなくなってしまった……と悲しそうにする玲王。それでもTOP6に食らいつこうと、突出した武器がなくてもオールラウンドに高水準でプレーできる器用さこそが自分の才能だと勇気を持って開き直り、上手い選手の技を複写(コピー)する『複写変化(カメレオン)』という戦法を生み出します。進化の一歩を踏み出す玲王。
試合が終わり今度もまた凪が玲王に話しかけてくるのですが、心なしか声が震えているように感じました。「面倒臭い」と言い放って以来の会話にあの凪でさえも緊張していたのかもしれません。玲王は「見下して待ってろ」と凪に言うのですが、声音から「絶対に追いつくから信じて待ってろ」という思いが感じられました。
原作を読んだときは不貞腐れた言い方をしているとばかり思っていたのですが、台詞に音が乗り、私の思い違いだったと気づきました。玲王の言葉の裏にある想いは凪にも届いたはず。2人の実距離は開いてしまいましたが、心の底ではお互いを信じていて、同じ気持ちで、見ている方向(夢)も一緒。それを感じることができる最高に胸熱なシーンです。
その後の「あでぃしょなる・たいむ!(#31)」では、久しぶりに凪に会い、どう話しかけていいかわからず鏡の前で練習をする健気な玲王が映し出されるのです。なんてピュア!! もう乙女以外の何者でもないですよね。いろんな顔の玲王が見られてとっても可愛いのでぜひチェックしてみてください。
vs.U-20日本代表戦、玲王が魅せたカメレオンディフェンス
U-20日本代表戦当日、フィールドに向かう凪に今度は玲王から話しかけます。グローブを渡し「待ってろ」と言う玲王。「適性試験」の時とはまた違う「絶対に自分も試合に出る」という強い意志と自信が感じられました。凪は“青い監獄”11傑の初ゴールを決め、玲王からもらったグローブをはめた手を掲げ喜びを表現します。まるで“玲王と一緒に獲ったゴールだよ”と言っているよう。玲王も自分が見つけた天才の活躍に、心の底から喜んでいたと思います。
後半10分、交代枠でついにフィールドに立った玲王。「待たせたな」「来ると思ってた」という2人の会話も心の繋がりが感じられ胸が熱くなりました。今回の試合はDFとしての出場となった玲王ですが、ストライカーを目指す気持ちは消えていなく、試合に勝ってもう一度凪の隣に立つと強く思っているのです。
玲王のU-20守備陣を複写する『変幻守備(カメレオンディフェンス)』と、さらには凪誠士郎のシュート——『瞬間吸収』『叩弾球上(タップリフト)』からの『跳躍回転(ジャンピンターン)』の複写でピンチを凌ぐ玲王。その時の「
誰よりも俺が知っている凪誠士郎の『複写』だ!!」と言う台詞にも注目ですが、たった一度見ただけであのスーパーゴールを複写できる玲王の身体能力とサッカーセンスは、誇るべき才能です。
“青い監獄”は第二段階へ——ひとりで戦える選手を目指す玲王
U-20日本代表戦を終え、“青い監獄”は第二段階へ突入。欧州5大リーグに身を投じ、世界最高峰の環境で己の価値を証明すること課せられた選手たち。同じチームを選んだ玲王と凪ですが、玲王は指導者にひとりでも戦える選手になりたいと理想を語ります。
自分が見つけた夢を凪に叶えてもらうのではなく、肩を並べて叶えたい。一度自分の弱さを知り、変わることを恐れず、カメレオンのように何色にでも変わる勇気を持った玲王はもっともっと強くなっていくのです。
終わりに
御影玲王は知れば知るほどみんな好きになる、そんな愛されキャラクターです。それは公式の「キャラ人気投票」のランキングにも表れています。
冒頭にも書きましたが、公式マンガアプリ「マガポケ」で11月に開催された人気投票で3位を獲得。第1回は9位だったのが、登場シーンが増えたあとの第2回で6位、そして今回の3位! 玲王の良さを知ってもらいたい!と思っていたはずなのに、世間に玲王の良さがバレてしまった……となぜか淋しい気持ちにもなりました。(なんだか凪のことを想う玲王みたいですね。笑)
私自身アニメ放送後の反響や原作に寄せられるコメントなどを見て、玲王の良さをみなさんに気づかせてもらっています。これからも“玲王担”のみなさんとともに応援し続けたいです! 玲王、3位おめでとう!!
この記事をかいた人
- 万木サエ
- アニメイトタイムズとテーマパーク系雑誌の仕事の二刀流! “好き”を仕事にできる喜びが、今の自分の原動力!