
スーパー戦隊とはどういう番組なのか、今一度とらえ直すーー『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』チーフプロデューサー・松浦大悟さんインタビュー
スーパー戦隊50周年記念作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』が、2025年2月16日(日)午前9時30分より、テレビ朝日系列にて放送中です!
2025年で50周年を迎えるスーパー戦隊シリーズ。本作では、その名の通り最高最強のナンバーワンを目指し、動物や恐竜=「獣(けもの、ジュウ)」をモチーフにした5人のヒーローが大活躍!
巨神テガソードと、全て集めると願いが叶う指輪・センタイリングを巡って、悪の組織・ブライダンのナンバーワン怪人たちと様々な「ナンバーワン対決」が繰り広げられます。歴代スーパー戦隊の力を持ったライバルたちが登場するという驚きの展開にも注目です。
アニメイトタイムズでは、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』放送開始を記念して、チーフプロデューサーを務める東映・松浦大悟さんにロングインタビューを実施! 番組企画の成り立ちや、今作の世界観、スタッフ陣についてのお話を伺いました。
スーパー戦隊シリーズの「変身ベルト」にあたるアイテム
ーーそもそもスーパー戦隊シリーズの企画は、どのような話し合いを経て作り上げていくのでしょうか?
東映・松浦大悟さん(以下、松浦):バンダイさんとの販売するアイテムに関する話し合いから始まります。まずは、僕と白倉さん(白倉伸一郎)、塚田さん(塚田英明)、バンダイさん首脳陣の少人数で方向性の会議をしました。
昨年、『仮面ライダーガッチャード』をやっていて分かったのは、仮面ライダーはとにかく「変身ベルト」が一番大事なんです。カードがどれだけ売れたとしても最終的に大事なのは、「それがどれだけベルトにつながったか」。それはある種残酷でしたが、非常にわかりやすい指標でもありました。
恐らく買う側にとっても、「とにかく仮面ライダーはベルトなんだ」というのが明確に見えていると思います。そう考えた時に、スーパー戦隊の「変身ベルト」にあたるものは何なのか。ひいては「スーパー戦隊って何番組なのか」ということを改めて考え直そうという話になったんです。「なりきり」(変身)なのか、「ロボット」なのか。バンダイさんはどちらを押したいの? と。それで言うと、「スーパー戦隊」が途切れなく続けてきたのは「ロボ」だからやはり「ロボ」を大事にしたい、という答えが返ってきて。では、「ロボ」を「ライダーベルト」にしましょうと、こちらから提案させていただきました。
ーー変身アイテムであり、ロボでもある「テガソード」誕生の背景はそこにあったんですね。
松浦:はい。スーパー戦隊における「ライダーベルト」を作るというのが「テガソード」の成り立ちです。
ーー「手がソード」や「メガゾード(『Power Rangers』におけるロボの名前)」、武器とロボの要素を同時に取り入れたネーミングになっていますね。
松浦: おっしゃる通りで、「手がソード」、「メガゾード」にかかっています。こちら発信ではなく、バンダイさんサイドのネーミングでしたが、あまり悩まずに「これだ!」と決まりましたね。
ーー松浦さん自身はスーパー戦隊の「ロボ」にどういう想いを持っていますか?
松浦:バンダイさんから「ロボを押したい」という答えが返ってきたとき、「ようし、上等だ」と思ったんです(笑)。元々特撮に負けず劣らずロボットもの愛好者でもあるので「東映で「ロボ」を中心にやっていいんですか!? やってやるぜ!」といった感じでした(笑)
ーーちなみに、どんな作品がお好きなんですか?
松浦:幅広く見ますが、人格形成の中心にあるのは富野由悠季監督の作品ですね。「ガンダムシリーズ」はもちろん、『OVERMANキングゲイナー』『伝説巨神イデオン』などは特に好きで。
ーー劇中での「テガソード」も、“巨神”と呼ばれるほどの神秘的な存在として描かれています。
松浦:でも、その辺りは脚本家の井上亜樹子さんのアイデアなんです。亜樹子さんはロボットものからは遠い人生を送ってきたらしく、これはチャンスだと思いました。つまり「どうしたらロボに縁遠い視聴者に、ロボットものを観たいと思わせられるか?」という視点を、当事者である亜樹子さんとともに考えることが出来ると。「亜樹子さんは、どういう〝ロボもの〟なら見ますか?」という発想で話していきました。そこから「神々しいロボ、神のような存在」という案が出てきて。田﨑竜太監督とも話して、「スーパー戦隊にも「大獣神」(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)がいますし、いいですね」と。
松浦:素面でロボットに乗り込むのも、「戦隊初心者」の亜樹子さんの疑問から来ているんです。「なんでロボットに乗るのに変身しているんですか?」と素朴な疑問があり、ハッとしまして。「伝統だからです」「設定的には、変身して搭乗者の負荷をやわらげたり……」などと説明することは容易でしたが、それは問題の本質じゃないだろうなと。
そこから出発して、今年は変身せずにロボットに乗り込んでみようか、という話になりました。〝ロボットもの〟って、本当はコックピットのシーンが一番大事なはずなんです。コックピットの中で、キャラクターの感情が迸り、それがマシンの動きにつながる。もしかしたら「スーパー戦隊」シリーズは『コックピット』シーンへの眼差しが少し足りなかったのかもしれないな、と。コックピットはただ技名を叫ぶ場所でなく、人の思いが乗る場所なんです。だから『コックピット』にもっと心を注げば、もっと色んな人がロボに興味持ってくれるのでは、と思ってやり始めた試みです。
ーー 「テガソード」「センタイリング」の制作について、もう少し詳しく伺えますか。「手拍子を鳴らして変身!」というアイデアも非常に楽しいです。
松浦:そうですね。拍手アクションはバンダイさんからご提案いただいて、「クラップ ユア ハンズ!」という楽しげな変身になりました。
何より「手」というのがいいです。変身アイテムからロボットに変形する以上、ある程度は形状も制限されますが、その中で、なぜか「手」(笑)。でも「なんで手なの?」と思わせない迫力を感じます。そして、「手」という発想が「指輪」に繋がっていきます。
指輪って非常にオシャレなモチーフだと思うんです。良い意味で玩具っぽくないですし、コレクションアイテムとしても扱える。最初は歴代戦隊もゴジュウジャーと同じように「ヒーローの面まんまの指輪」「お顔指輪」のパターンも考えていたのですが、『仮面ライダーウィザード』のウィザードリングと被ってしまうなと。そこで歴代戦隊のリングは、「クイズリング」にしてみました。展開する前はレッドがいなくて、ヒントになる、その番組特有の具象が描かれていて、回したらレッドが出てくる。「だーれだ?」みたいな意味合いになっています。各戦隊のファンに印象的な場面を思い返していただけるような、思い出の入った指輪にしたかったんです。
ただ、そうなると一つ一つのデザインをしっかり考える必要が出てきて(苦笑)。50戦隊分を作るのは本当に大変だったんですけど、株式会社プレックスさんと頑張ってデザインしました。渾身のアイテムになりましたので、ぜひお手に取ってみてください。









































