ゲーム・アプリ
『神魔狩りのツクヨミ』金子一馬氏&ケビン開発プロデューサーインタビュー前編

マスクのデザインの元ネタは『仮面ライダー』だった!? 『神魔狩りのツクヨミ』金子一馬氏&ケビン開発プロデューサーインタビュー前編|生成AIを活用したデッキ構築型ローグライクという前代未聞の挑戦に込められた想い。

コロプラからスマートフォン&PC向けにリリース予定の『神魔狩りのツクヨミ』。

かつてアトラスに在籍し、『真・女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズといった多数の人気タイトルを生み出してきた伝説的なゲームクリエイター・金子一馬氏がコロプラで手掛ける最新作です。

本作の最大の特徴は、生成AIの技術を用いて、まるで金子氏が描いたようなイラストを生成する“AIカネコ”がゲーム内に実装されていること。本作は、『Slay the Spire』などに代表される、予め編成したカードデッキを使ってランダム性の強いダンジョン(本作ではタワーマンションがダンジョンとして登場)を攻略していく、“デッキ構築型のローグライク”と呼ばれるジャンルのタイトルなのですが、ダンジョン内である程度の操作を行うと、“AIカネコ”によってリアルタイムで生成されるカードが獲得できます。

そのカードのイラストや効果、さらには生成時のフレーバーテキストに至るまで、その時のプレイヤーの行動を反映して生成されたものになっているので、プレイヤーごとにその内容は異なり、文字通り「世界に1枚しかないカード」が入手できるようになっています。

その一方で、生成されたカードの中でもプレイヤー人気が高いものは、金子氏と開発チームがイラストをリファインして新たな公式カードとして改めて実装する……といった展開も想定されているようで、これまでのゲームにはなかった体験がつまったタイトルとなっています。

今回はそんな『神魔狩りのツクヨミ』について、コンセプトプランナーの金子一馬氏と開発プロデューサーの齋藤 ケビン 雄輔氏にインタビュー。気になる生成AIを採用することになった経緯から、デッキ構築型ローグライクとしての本作の特徴、前代未聞の挑戦に至る心境まで、様々なお話を聞くことができました。

本インタビューの模様は前後編でのお届け。前編では企画スタートの経緯からお話をうかがっていきます。

本作は、AIとユーザーに一緒に作ってもらうゲーム

――最初に、本作の開発の経緯からお聞かせください。

金子一馬氏(以下、金子):僕はイラストレーターだと思われがちなのですが、以前に在籍していた会社でも、ゲームのコンセプトを構築するという仕事もやっていたんです。それでコロプラに入社したあと、新しいゲームの企画をコンセプトから考えることになりまして、RPGを前提にしつつ、もし人気が出ればアニメとか小説みたいな展開もできたらいいなと、まず世界観を固めていきました。

その後、どういうゲームにしようかと考えていた時、ローグライクはどうかという話が社内から出てきて、今に至るという流れですね。

――ジャンルがローグライクに決まったのは、昨今の流行を取り入れて、という要因が大きかったのでしょうか。

齋藤 ケビン 雄輔氏(以下、ケビン):そうですね。元々コロプラ社内には、新しい技術を取り入れて新しい体験を創出しようという考えがあって、その中で生成AIを活用していこうという流れがありました。

それがだいたい2年くらい前になるのですが、AIをどうゲームに落とし込むかを検討した際に、入力した内容に対してある程度のランダム性をもって出力されるところが面白さになると考えました。その点ローグライクってある種のランダム性を楽しむジャンルなので、相性がいいだろうとなりました。

――生成AIをゲームに組み込むとなった時、既にある程度企画も進んでいたと思うのですが、金子さんとしては最初にそのアイディアを聞いた時はどう感じられましたか?

金子:自分の中では最初RPGを想定していたので、「そう来るか」と思ったのが正直なところでした(笑)。

ただ、先ほどの話にもあったように、「新しい技術でゲーム内の体験を作って、お客さんとコミュニケーションしたいんだな」と、コロプラが目指すことが分かりましたね。

それについてはなるほどと思いつつ、新しいジャンルではあるけど、単純に面白そうと思って、提案を受けました。

――まだ多くのゲームクリエイターが手をつけていない、大きな挑戦になりますね。

金子:そうですね。最初からここまでの挑戦をするつもりでコロプラに入ったわけではなかったんですけど(笑)、結果的に挑戦をさせてくれるということになったので、そこは良かったなと。

クリエイターでも、普通に生きていたらなかなか挑戦することってできないじゃないですか。そういう意味では大きなチャンスをいただいたなと思いましたね。

――AI生成やローグライクといった要素が後から決まったことで、世界観的に変えた部分もあったりしたんでしょうか?

金子:ほぼ変わってないですね。自分の場合、世界観とストーリーというのは、どういうゲーム性にも織り込めるように考えているので。舞台がタワーマンションというところもその前から決まっていましたし、世界観的な部分では違和感みたいなのは一切なかったです。

――タワマンが舞台になっていたり、いろんな都市伝説や神話、伝承みたいなものが色々混ざった世界観が面白いなと感じたのですが、そのあたりはどのように固まっていったのでしょうか。

金子:まず、神話が関わってくる現代を舞台とした世界観っていうのが、元々僕自身の得意とする分野なんですよね。「暗殺されたとされた人物が実は生きている」みたいな、歴史と都市伝説みたいなのも凄く好きで、例えばプレスリーが生きているなら、プレスリーが出てきたら面白いんじゃないか、みたいな発想から自然と広がっていきました。

タワマンっていうところの発想の元は、僕って散歩が趣味で、普段から都内をうろうろしてたりするんですよ。豊洲とか沿岸部の方に行くと高層ビルがバンバン建っているんですが、「あそこの橋落としたら、もう孤島になっちゃうな」とか考えたり(笑)。

開発のコスト的な問題もありますが、僕自身オープンワールドみたいな広い世界よりは、ある程度限定された空間をゲームに織り込んで、その中でサスペンス的な展開を描くのが好きなんです。子どもみたいな感覚の話なんですけど、あのタワマンの中でサバゲーをやったり、『ダイ・ハード』みたいなことができたら面白そうじゃないですか。そういう感覚をゲームに入れられないかということは、以前から常に思っていましたね。

――本作はどういったところがポイントのゲームなのか、改めて教えていただけるでしょうか。

ケビン:一言で表すのであれば、“金子一馬さんの世界観”、“AI”、“ローグライク”という3つの要素を、どうやってうまく混ぜ合わせるかが、開発の最重要ポイントになっています。

金子さんがこれまで作られてきたタイトルとは違うゲームジャンルですし、AIというのもまだ新しい技術で、3つともそれぞれ尖っている要素なので、それを一つの体験としてどのように落とし込むかは、頭を悩ませた部分でもありました。

中でもとくに生成AIですね。生成AIが、ゲームの体験やユーザーにどんな影響力を与えられるのかっていうのは、我々としても大きな挑戦になります。

金子:これ、多分聞かれるだろうなと思っていた質問で、なんて言ったらいいかずっと考えていたんですけど(笑)。やっぱりAIというものをゲームのデザインの中に織り込むっていうのは初めてのことなので、うまく形容しがたいところはありますよね。

――NPCとかのAIは従来のゲームにもありましたが、本作のAIはまったく意味合いが異なるんですよね。

金子:そうですね。ある種のご褒美というか、プレイヤーの皆さんにとっての楽しみになるような要素にしていますので。そういう意味では、僕と皆さんとAI……いや、むしろ僕もいらないか。AIとプレイヤーの皆さんに、これから作っていただくゲームなんじゃないかと思っていますね。

――そもそもの話となりますが、金子さんがゲームの世界観を作るにあたって、もっとも大事にされている部分というのはどこなのでしょうか。

金子:一番大事だと思っているのは、それぞれのキャラクターの動機づけですね。

主人公はどうして戦っているのかを明確にして、プレイヤーの皆さんがスッと入れるようにすること。主人公以外のキャラクターについても、どうして敵対するのか、どうして仲間になるのかといった動機づけは大事にするようにしています。大体は、世界が滅亡しちゃうからそれを防ぐために、みたいなところにはなっていくんですけど。

――何かしらのきっかけだったり、理由が必要だと。

金子:そうですね。どんなやつが活躍したらいいかみたいなところも漠然と考えますけど、物語を構築する上では、まずはそこにリアリティを感じられないと自分は乗り切れないタイプなので。キャラクター達がどういう動機付けで動くのかっていう行動原理は、しっかりしないとダメだと思っています

『仮面ライダー』を始めとした、金子さんの“好き”が詰まった世界観

――ビジュアルについては、金子さんご自身はどのような形で関わられているのでしょうか。

金子:主要なキャラクターについては自分が全部描いていまして、最初に主人公のツクヨミを描いてから、会社の偉い人たちに見せて承認を頂いたみたいな流れでした。

▲十六夜月のツクヨミ

▲十六夜月のツクヨミ

▲新月のツクヨミ

▲新月のツクヨミ

▲半月のツクヨミ

▲半月のツクヨミ

▲満月のツクヨミ

▲満月のツクヨミ

――キャラクター全体を通してのテーマみたいなものも?

金子:設定の話をすると長くなってしまうのでざっくりというと、満月とか半月とか、いろんな月があるじゃないですか。“月レンジャー”じゃないんですけど、そういういろいろな月をモチーフにしたキャラクターが出てきますよということと、マスクをかぶることによって特殊な能力が使えますっていう立てつけになっています。それぞれ主人公たちと対になる人間のキャラクターもいます。

――先ほど、戦隊もの的なワードも出てきましたが、ツクヨミたち4人の主人公のイメージを固めていく上で影響を受けたジャンルはあったのでしょうか。

金子:特撮にしろアニメにしろ、僕の好きないろんなものが混ざっていますね。さっきは戦隊モノっぽい表現をしましたけど、近いのはむしろ『仮面ライダー』の方かもしれないです。

子どもの頃から『仮面ライダー』をみていて、マスクの下から髪の毛がはみ出ているのがカッコいいと思っていて、そういうのをずっとやりたかったんです。きっと『シン・仮面ライダー』の庵野監督もそうだったんじゃないかなと(笑)

あとは、僕はこれまで、ロウとカオスみたいな、選択肢によってお話の展開が変わってくるようなゲーム性のタイトルを作ってきていて、今回もある程度それを見越したキャラクターではあったんですけど、いわゆるデッキ構築型のローグライクというジャンルだと、そういう要素が足かせになってしまったりもするんですね。

やっぱりテンポが大事になってくるジャンルなので、ちょっと従来とはやり方を変えていて、キャラクターごとにシナリオがあり、すべてをプレイしていただくとお話の全容が見えてくるという構造にもなっています。

――各主人公のシナリオは、一度エンディングを迎えるまでのボリュームはどれくらいになるのでしょうか。

ケビン:プレイの上手さにもよるのですが、だいたいクリアするまで6~8時間くらいの想定のイメージでしょうか。それが主人公4キャラクター分あります。

現状、1キャクターごとに低層・中層・高層の3つのステージがあり、それぞれ難易度が異なります。最初はタワマンの低層からスタートし、段々高層に上がっていく流れで、3ステージすべてクリアするとキャラクターのストーリーが一通り見られるような形です。

その先にはいわゆるローグライクとして、何度でも無限に遊んでいただけるようなエンドコンテンツも用意しています。すぐ終わってやることなくなっちゃいました、みたいなことがないように、現在開発を進めています。

――いわゆるデッキ構築型のローグライクは、まさに今流行っている最中のジャンルだと思うのですが、どんな点がこのジャンルの魅力だと考えられていますか?

ケビン:僕は元々このジャンルがすごく好きで、いろんなタイトルを遊んできてるんですけど、世界的に人気があるタイトルもありつつも、市場的にはやっぱり結構ニッチなジャンルなのかなと思っているところもあって。そのジャンルを金子さんのファンに提供するというのに加えて、モバイルとPCの両方にリリースするのもあって、間口をどうすれば広げられるだろう、ということは考えて作っていました。

ジャンルの魅力としては、やっぱり一番は自分の頭の中で考えた戦略が実現した時の気持ち良さなんじゃないかなと。今回はそこにAIが加わることで、攻略法やデッキの組み合わせみたいなところが、本当にプレイヤーごとにバラバラになってくるので、「自分はこうやってクリアしたよ」みたいな、プレイヤー同士のコミュニケーションが盛り上がってくれたら良いなと。

そういうデッキの組み合わせの遊びみたいな部分と、AIという要素はすごくマッチしてるんじゃないかと思っています。

――間口を広げるための工夫について、具体的にお聞きしても良いでしょうか。

ケビン:カードゲームという題材自体もそうですが、死んだら全部なくなっちゃうっていうローグライクの仕組みも、慣れていない方にとってはわかりづらいと思うんです。

今回、場に出せるカードを最大3枚までに絞ったり、他のローグライクとはちょっと異なるゲームシステムを取っているのは、なるべくカード1枚1枚に集中してもらったり、カードの組み合わせを分かりやすくする意図があります。

あとは、『Slay the Spire』とかがまさにそうなんですけど、このジャンルって結構ジリジリとした展開が多くなりがちなので、本作では攻撃と防御の両方を同じカードを使って行う形にして、なるべくテンポを損なわないようにしています。このあたりも、間口を広げるための試みです。

――金子さんの方は、デッキ構築型のローグライクについてはいかがでしょうか?

金子:彼が言いたいことをだいたい言ってくれたので(笑)、僕の方はちょっと違う方向性でお話させてもらうと、やっぱりこういうジャンルが好きな人って、結構ゴリゴリのゲーム好きの人たちが多いと思うんです。

その上で、スマホでプレイしていただくことを考えると、こういうサッと遊べるようなジャンルは非常に良いなと思ってはいるんですけど、一方で今まで僕のゲームを遊んでくれていたRPG好きの人たちにプレイしていただけるか、というのは心配している部分もあって。その点、本作ではできるだけハードルは低くしています、というのはお伝えしておきたいなと。

――デッキ構築型ローグライク、というジャンル名を聞くと尻込みしてしまう方もおられそうですよね。

金子:そういう時に「私なんかがプレイしていいのかしら」とか思わずにね(笑)。もちろん、普段このジャンルを遊ばれている方にも満足していただけるようにするのは大前提なんですけど、決してとっつきにくいゲームにはしていないので、一度食わず嫌いをせず触ってみていただきたいですね。

──後編に続く。

[取材・文:米澤崇史、編集・撮影:二城利月]

アニメイトタイムズ読者限定! 限定先行体験枠をご用意!

2025年4月14日(月)〜2025年4月28日(月) 16:00まで、『神魔狩りのツクヨミ』の人数限定先行体験版が配信予定となっています。

なんとこの体験版をプレイできる【アニメイトタイムズ読者限定枠】を100名分用意してもらいました! 100名を超えた場合抽選となりますが、下記の応募フォームからドシドシご応募ください!

<応募フォーム>
●応募期間:2025年3月31日(月)~2025年4月6日(日) 23:59まで
●追加応募期間:2025年4月7日(月)~2025年4月11日(金)23:59
※上記期間でご応募いただいた方へのダウンロード用URLのご連絡は4月15日以降順次となります。予めご了承ください。
●応募規約:https://jintsuku.jp/terms/2025033101/
●お問い合わせ先(応募者様用):jintsuku-demo@colopl.jp

先行体験版 概要

●体験版配信期間:2025年4月14日(月)〜2025年4月28日(月) 16:00予定
●対応プラットフォーム:iOS/Android/Steam

「友人招待制度」について

本体験版のプレイコードを配布された方には、そのご家族・ご友人・知人の方々にも本体験版をプレイしていただく機会を設けました。
運営メールに記載された「友人招待用フォーム」と「友人招待用応募コード」をお伝えいただくことで、ご招待者様も本体験版のプレイコードを受け取ることができます。

詳細は体験版ダウンロード用の運営メールをご確認ください。
※招待可能な人数は、お一人様 最大10名までとなります。

先行体験版 全クリチャレンジ

本体験版の配信期間中に、体験版プレイヤーを対象とした限定イベント「先行体験版 全クリチャレンジ」を実施します。

ステージ「中層階」クリアで限定グッズプレゼントの応募権が獲得でき、さらにステージ「高層階」クリアで“金子一馬サイン入り限定グッズ”にも応募が可能となります。

【イベント概要】
●実施期間:2025年4月14日(月)〜2025年4月28日(月) 16:00予定
●応募方法:「中層階」クリア後、ゲーム内の応募ボタンから応募可能
●プレゼント内容:
「中階層」クリア … 限定グッズ「リアル神魔札」1種×200名様
「高層階」クリア … 金子一馬サイン入り「リアル神魔札・6種セット」×3名様
※「リアル神魔札」は全6種あり、中層階クリアのプレゼントはいずれかの1種をプレゼントいたします。種類を選択することはできません。

『神魔狩りのツクヨミ』 作品情報

◆ゲーム名:神魔狩りのツクヨミ(じんまがりのつくよみ)
◆ジャンル:カード創造ローグライク
◆対応端末:iOS、Android、PC(Steam)
◆対応言語:日本語、英語、中国語(繁体字・簡体字)
◆価格:アイテム課金制(基本プレイ無料)
◆サービス開始予定:2025年春予定
◆ストアページ
>>App Store
>>GooglePlay
>>Steam(PC)
>>ティザーサイト

おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年夏アニメ一覧 7月放送開始
2026年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2025秋アニメ何観る
2026冬アニメ最速放送日
2025秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング