
蛇沼たちの登場で深みが増す物語ーー『九龍ジェネリックロマンス』蛇沼みゆき役・置鮎龍太郎さん&タオ・グエン役・坂泰斗さんインタビュー|グエンの台詞が「ただのラブロマンスではない」と気づかせてくれた
グエンの台詞で「ただのラブロマンスではない」と気づかされた
ーーこの世界観の中で描かれる恋愛模様については、どう思われましたか?
置鮎:白石晴香ちゃん演じる鯨井さんの視点から始まりますが、そこからまた複雑なお話になっていくので、「一体誰が幸せになるんだろう?」って(笑)。
坂:甘酸っぱいではなく、苦い恋愛なんですよ。
置鮎:「懐かしい愛」みたいな言葉も出てくるのですが、街も含めた色々なものが「幻なのでは?」と思ってしまいますよね。
坂:前向きに進んでいる人もいるけど、後ろを向いている人も多かったり。だからこそ、懐かしさに目がいってしまう。そういったところが他の作品の恋愛模様とは違う視点なのかなと。
ーー「ただのラブロマンスではない」と気づいたシーンを教えてください。
置鮎:やっぱり、鯨井さんが別にいるということ(鯨井Bの存在)が具体的に分かってきた辺りでしょうか。
坂:カフェでグエンが「その写真、僕が撮ったんじゃないですか」と言ったあたりのシーンですよね?
置鮎:そうそう。
ーー アニメ化の際のコメントでは、「アフレコ中、考察で盛り上がった」というお話がありました。特に印象に残っている話題を教えてください。
坂:どの話数にも考察するポイントがありますよね。演じていて、「この台詞ってどういう意味があるんだろう?」と考えることも多かったですし、「あのキャラクターの視点から見たらこうかもしれない」とか。ひとつひとつの言葉に裏がある作品だと思うので、毎話のアフレコでも、台詞についての話題が上がっていました。置鮎さんと雑談できたのも楽しかったです。
置鮎:そんなに雑談しましたっけ?(笑)
坂:してくださいましたよ(笑)。 話しかけたらちゃんと返してくださったので、「温かいなあ」と思いました。
ーー本作には個性豊かなキャラクターがたくさん登場しますが、特に気になるキャラクターを教えてください。
置鮎:ユウロンやグエンもそうですけど、楊明ちゃん、小黒……みんな気になりますね。
坂:僕もみんなですけど、楊明ちゃんの明るさは作品の空気感を違うベクトルに変えてくれている気がします。
置鮎:元気方向の推進力を持っているよね。
坂:本当にそうですね。スパイスとしてすごく良いキャラクターだと思いました。
ーーノスタルジーは作品のテーマのひとつですが、おふたりが普段「懐かしい」と感じるものはありますか?
坂:陳腐な答えかもしれませんが、コンビニで駄菓子を見つけると「懐かしい!」と思います。1つ超酸っぱいやつが入っている3つ入りのガムを友達と食べて、酸っぱいガムが当たった人が「ハズレ!」って盛り上がったり。
置鮎:僕は初恋が懐かしいですね。幼稚園の頃の名前も覚えています。幼稚園の帰り道に、彼女の後ろをついて帰ったことがあって、途中で「もういいや」と思って自分の家に帰ったんです(笑)。その人が初めて名前も顔も意識して好きになった人でした。
坂:確かに、初恋は懐かしいですよね。僕も覚えています。幼馴染の子で、僕が海外から帰ってきた中学生の時に告白したら、もう別の人と付き合っていて。懐かしいですね……いや、苦いなあ(笑)。
置鮎:気持ちを伝えるところまでいけたのがすごいよ。
坂:きっと「向こうも好きでいてくれている」ってルンルンだったんでしょうね……(笑)。
ーー蛇沼とグエンは、鯨井Bについて何やら知っていることも多い様子。今後、視聴者に楽しみにしていてほしいポイントはどんなところですか?
置鮎:「鯨井には何か秘密があるらしい」というのは明らかになっていて、工藤くんも彼女に対する想いや背後にある事情を知っていそうな雰囲気があります。それを含めたうえで、「みゆきたちも何か知っている」という部分は注目ですね。
坂:「どうやらただのラブロマンスではなく、別の要素が絡んでいる」という描写もあって。別の思惑を持つみゆきとグエンが九龍に介入していく展開が今後どうなっていくのか。まだまだ始まったばかりですので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
[取材・文/笹本千尋 撮影/MoA]
『九龍ジェネリックロマンス』作品情報
あらすじ
もう一人の鯨井令子の存在が自分に過去の記憶がないことを気づかせる。
妖しくも美しい九龍の街で繰り広げられる日常。
記憶がないのに懐かしく感じる風景。
そして、止められない恋心。過去・現在の時間軸が交錯する中、恋が、全ての秘密を解き明かす─。
キャスト
(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会










































