
これはもう、ホントに1000億いけるんじゃないかなと──マルチバースロボコの声優陣は「意味わかんないくらい豪華(笑)」。劇場版『僕とロボコ』チョコレートプラネット・松尾駿さんインタビュー
人生なにがあるか分からないなと
──もともと『僕とロボコ』の出演のきっかけはテレビ番組の収録だったんですよね。
松尾:はい。“いろいろな仕事してる人に話を聞く”という番組で、チョコプラ二人で集英社さんに行ったんですよ。そのときに原作者の宮崎周平先生を紹介してもらって、その話の中で、先生が「ゆくゆくはアニメ化される作品になりたい」とおっしゃっていたので、「その時はぜひお願いします」と声優出演のお願いをしていたんです。で、それを本当に覚えていてくださったのがきっかけになったみたいで。言ってみるもんだな~って思いましたね。口に出すって大事だなって。
──当時、初めて『僕とロボコ』を読んだ印象についても教えて下さい。
松尾:ギャグ漫画って、子どもの頃は純粋に笑ってたけど、大人になって読むと“笑えるかな?”ってちょっと構えるところがあって。しかも僕、芸人ですし。でも読んでみたら、本当に面白くて、“何これ!”って思いました。宮崎先生、すげえなって。そうしたらアニメ化すると。
── 幼少期に読んでいた漫画の印象と、大人になった今の印象は変わるものだと思いますが、子どもの頃に好きだった作品は何でしたか?
松尾:僕、『週刊少年ジャンプ』は毎週買って読んでました。僕らの時代は『SLAM DUNK』『ろくでなしBLUES』『ドラゴンボール』が連載していた時代で。でも特に好きだったのは『こち亀』(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)です。父親が好きで、そこから僕も読むようになって。100巻ぐらいまではコミックスを持っていた気がします。いろいろな情報が詰まっていて。秋本治先生って“何年も先のこと”を描いたりしてたじゃないですか。描くだけでも忙しいのに、いろいろな情報を取り入れて漫画を考えていたと思うと……すごいですよね。
── 映画にもパロディやネタがぎっしり詰まっていて、マルチバースロボコとしてたくさんのロボコが登場します。収録中に思わずテンションが上がった瞬間などありましたか?
松尾:やっぱり……野沢雅子さんとご一緒できるのは嬉しかったですね。物心ついたときから声を聞いていたような方なので、“すごい”の一言です。
田中さんの声を聞いたときもですが、野沢さんの声を聴いたとき“うわ、すげえな”って思いました。芸人のレジェンドの方と共演できる機会というのは、芸人を頑張っていればあることだと思うんですが……バラエティのゲストで共演することはあっても、アニメのフィールドで共演って、想像もしなかったです。しかもこっちが主演で、ですよ?
意味わかんないじゃないですか。でも、それってすごいなって。録っていたときもそうですし、こうして取材とか受けながら“めっちゃすごいことやらせてもらっているんだな”ってどんどん実感してきてます。
──人生なにがあるか分からないと言いますか。
松尾:そうですね。まだまだいろいろな仕事があるなと。
── 奇しくもコンビ結成20周年を迎えるアニバーサリーイヤーで、こういった出来事が起こるというのは松尾さんとして、やはり感慨深いものがあるのでしょうか。
松尾:そうですね、ちょうど4月から20年目に入るんですよ。そのタイミングで、18日に今作が公開されるのは、とてもいいスタートを切れるなって思っています。
まさか、(アニバーサリーイヤーの)最初の大きな仕事がこの劇場版になるとは想像してなかったですし、しかも相方の長田さんも大幹部様として出演するんです。2人でジャンプ漫画の映画化に声で関われるって、本当にすごいなと思ってます。
しかも長田さんってめちゃくちゃ漫画好きなんですよ。だから「絶対、俺のほうが好きだけどな」みたいなことを言うんです(笑)。“そんなこと言わんでもいいじゃん”って思っています(笑)。いや~、宮崎先生に(番組内で)言っといてよかったな”って思いました。言ってみるもんですね、ホントに。
家族で楽しめる作品。目指せ1000億!
── ロボコは規格外なメイドロボですけど、例えばご自宅にロボコが来たとして、松尾さんがお願いしたいことというのは……。
松尾:とにかくいいやつなので……家事は一切しなくていいから、じっとしててほしいです(笑)。絶対、ロボコが動くと何かが起こりそうなので。しかもよかれと思ってやってくれるんだけど、だいたい空回りするじゃないですか。だから、椅子を用意しておくんで、テレビ見ながら「これどう思う?」って話だけをしてもらいたいですね。
例えばテレビ番組のアンケートとかで「最近あった面白いこと」って書く欄あるじゃないですか。そういうときに“ネタがないな……”って思ったら、“ロボコ、ちょっとごはん作ってくれない?”ってお願いして、絶対何か変なことしてくれると思うんですよ。それをそのまま書きたいなとか。
──(笑)。なにかやってくれそうですね。
松尾:あとはうちにも子どもがいるんで、ロボコにはぜひ遊び相手になってもらいたいですね。ただ、普通の遊び方はしないと思います。でも、ケガさえしなければ全然いいんで。ボディーガード的な意味でも安心ですよね。
──お子さんと言えば、この劇場版もお子さんたちが楽しめる内容ですよね。
松尾:最近親御さんから「この子が『僕とロボコ』好きなんです」という声を聞くことが増えてきて嬉しいですね。最近はサブスクでアニメが配信されていることもあって、「子どもが観てます」って声を聞くようになりましたね。そういう時は「ご主人様!」って言うと、子どもたちはウケてくれます。
いろいろな(バラエティなどの)番組を「観ています」と同じくらいの頻度で言われますね。TVアニメの放送からはだいぶ時間が経ってますけど、そうやって観てくれてる人が増えてるから、今回の劇場版はすごくいいタイミングだなと思ってます。これはもう、ホントに1000億いけるんじゃないかなと。
子どもも絶対楽しめると思うし、やっぱ『僕とロボコ』を観てる子たちは、優しくなれる気がするんですよね。悪い人が誰ひとりいない世界って、すごいことだと思います。みんながこういう気持ちでいられたらいいな、って思いますね。
──パロディは大人がくすっと笑えて、子どもはそのままでも楽しめる構成になっているのも魅力です。
松尾:例えネタがわからなくても、子どもは純粋に“面白いギャグアニメ”として楽しめると思いますし、大人は懐かしさも含めて笑える。家族みんなで観に来てほしいです。
── 松尾さんご自身は、ご家族と映画をご覧になることも?
松尾:子どもを連れて行ったことあるんですけど……まだ集中力がもたなくて途中で飽きちゃってダメでしたね。でも今回はぜひ連れていきたいですね。『僕とロボコ』はテンポもキュッとしてるから、いけるかもしれないなって思ってます。奥さんとも映画って全然行ったことがなくて。あ……でも一度だけあるかな。『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』だ。奥さんとも観に行きたいですね。
──今回は主演として松尾さんの声が映画館で響くわけですものね。
松尾:あ、そうか……。今言われて初めて、“あ、映画館で自分の声が流れるんだ”って実感しました。“観てほしい”とばかり言っていましたけど、自分が映画を観に行くって、ちょっと楽しみです。でも、自分の声よりも、お客さんのリアクションの方が気になっちゃうかもしれません。不思議とお笑いの仕事ではそこまで気にしないんですけど、『僕とロボコ』に関しては気になりますね。自分が観に行って、もうなんなら、自分から拍手をしたいですね。それに続いてくれるのか……。
──松尾さん気づかれるのでは……(笑)。
松尾:いや、多分気づかれないですよ。完全防備で行きます(笑)。
── 膝も隠して(笑)。お子さんをはじめ幅広い層の観客にとって、どのシーンが特に楽しめそうでしょうか?
松尾:もう本当に、初っ端から一気に畳みかけてくるんで、とにかく“最初さえ見てもらえれば”って思います。入口に立ってもらえたら、あとはそのままずっと面白くて止まらないんで、引き込まれていくと思います。
あとは、みんなで参加したくなるようなシーンもあって、そこは特にお子さんたちがキーになると思います。で、親御さんも一緒に笑ってくれたら最高ですね。ほんっっっとに、家族みんなで楽しめる映画です。
──さきほどお子さんたちからの声についての話題がありました。芸人仲間からはどのような声がありますか?
松尾:吉本の中で一番のアニメ・漫画好きって言われている、トレンディエンジェルのたかしさんがめっちゃ褒めてくれました。「松尾、『ジャンプ』漫画のアニメで主演で、それが劇場版になるなんて、めちゃくちゃすごいじゃん」と。普段そう言われることがないので「ちゃんと分かってくれている人がいるんだ」って思って、すごく嬉しかったです。
── 前回のアニメイトタイムズのインタビューでは、新生活を迎える方に向けて「とにかく飛び込んじゃえばなんとかなります」というお言葉をいただきました。今回もまた4月、新たなスタートを切る方が多い時期ですし、チョコプラにとってもアニバーサリーイヤー。このタイミングで、改めてエールの言葉をいただけますか?
松尾:もう“飯食っとけばなんとかなる”と思ってます。自分の好きなもん食っとけば、だいたい元気出ますよ。落ち込んでる時って、たいてい腹減ってるだけなんじゃないかって思うんですよね。
だから新生活を始める皆さんも、好きなものをしっかり喰っておけばなんとかなるんじゃないかなと。僕の場合はチキンとかですね。フライドチキン。油がビッチョビチョになっているフライドチキンを喰うと、もう“命もらってる!”って感じがして、エネルギーになります。
── 好きなものを食べて劇場版『僕とロボコ』を観たら完璧ですね!
松尾:そう! 『僕とロボコ』を観て、膝をキレイにしておけば最高です(笑)。やっぱ膝がカサカサしてるとテンション下がるんで、ちゃんと保湿しておくといいと思います。
[インタビュー・逆井マリ 写真・MoA]
劇場版『僕とロボコ』作品情報
2025年4月18日(金)全国ロードショー!!

スタッフ
原作:『僕とロボコ』宮崎周平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:大地丙太郎
監督補:佐藤道拓
脚本:大場小ゆり
キャラクターデザイン:荏原裕子
アニメーション制作:ぎゃろっぷ
製作:劇場版「僕とロボコ」製作委員会
配給:松竹
原作協力:「週刊少年ジャンプ」編集部
主題歌:ano「ロりロっきゅんロぼ♡」(TOY’S FACTORY)
キャスト
ロボコ:松尾 駿(チョコレートプラネット)
ボンド:津田美波
ガチゴリラ:置鮎龍太郎
モツオ:武内駿輔
円ちゅわ~ん:M・A・O
メイコ:平塚紗依
ロボコ(王道バトルの世界線):田中真弓
ロボコ(本格SFアクションの世界線):千葉 繁
ロボコ(ラブコメの世界線):上坂すみれ
ロボコ(昭和ギャグ漫画の世界線):野沢雅子
大幹部様:長田庄平(チョコレートプラネット)


































