
表題曲は『履いてください、鷹峰さん』OPテーマ! 自身にとって“初めて尽くし”の一曲に――奥井雅美さん「Baby Baby Baby」発売記念インタビュー|今年20周年を迎える「アニサマ」への想いも語る
2025年4月23日(水)にリリースされた奥井雅美さんの最新曲「Baby Baby Baby」。
表題曲は、TVアニメ『履いてください、鷹峰さん』のOPテーマとなっており、ヒロイン・鷹峰さんのセクシーさや、時折見せる乙女な恋心などを巧みに表現した楽曲となっています。
今回、リリースを控えた奥井さんにインタビューを実施! 本作でボンジュール鈴木さんとコラボすることになったきっかけや、お気に入りのフレーズ、カップリング曲「D~螺旋~」などについてお話を伺ったほか、この夏に20周年を迎える「アニサマ」への想いも語っていただきました。
「Baby Baby Baby」は、鷹峰さんの乙女な恋心や純粋さを歌詞に盛り込んだ
──今回OP曲を担当されているアニメ『履いてください、鷹峰さん』ですが、実は先行上映会を取材しました。上映されたのが“無修正版”ということもあり、生唾を飲み込む音さえ聴こえそうな不思議な雰囲気で。コミカルな場面も笑っていいものか戸惑うような(笑)。
奥井雅美さん(以下、奥井):3つのバージョン(地上波放送・一般配信ver.、特別配信ver.、未だ穢れ知らぬ乙女ver.[完全無修正版])があるとのことで、私は一般放送ver.を観るつもりですが、(一般放送ver.では)SD化された小さいキャラが大事なところを隠すみたいですね(笑)。
作詞するために原作を読んだ時に、「アニメではどんな感じになるんだろう?」と楽しみでした。OP映像を観たら絵もきれいで、すごく丁寧に作られていて、すごく嬉しかったです。
──最初はヒロインの鷹峰さんが時間を戻す能力を使うと下着が消えてしまう、というちょっとエッチなところに注目が集まっていますが、徐々に高貴で完全無欠に見える鷹峰さんの乙女心や白田くんへの想いなどが明らかになっていって。
奥井:原作を読み進めていく中で、鷹峰さんが実は乙女な恋心など、純粋さも持っているんじゃないかなと感じたので、そういった部分も歌詞にして歌いました。
──OP曲「Baby Baby Baby」を制作するにあたってのコンセプトや、アニメのスタッフサイドからのオーダーなどをお聞かせください。
奥井:最近、アニソンやタイアップ曲を依頼される時は「こんな感じでお願いします」という参考曲と一緒にオーダーを受けることが多くて、今回いただいた参考曲は、おしゃれで色気のある音楽でした。私がこれまであまり作ったり、歌ったことがないような曲だったので、ボンジュール鈴木さんに楽曲制作をお願いしようかなと。そこからコラボする流れになりました。
ちなみに曲名は、レコーディングが終わった後に「あっ! これは「Baby Baby Baby」がいいかも!?」とふと降りてきて。インパクトもあるし、覚えやすいし、文字にしてみてもおしゃれ感があっていいかなと思って決めました。
──歌詞に「あなたが欲しい」を表す「Je te veux [ジュ・トゥ・ヴー]」や「愛している」を表す「Je t’aime[ジュ・テーム]」などのフランス語が入っていることで、おしゃれ感が増している気がしました。
奥井:ボンジュールさんはフランス語が堪能なので、もらったデモにもこれらの言葉が入っていて、そのまま残しています。
──歌詞同様に、サウンドもかなり情熱的ですが、Dメロに入るとジャジーな雰囲気になって。
奥井:おしゃれな感じもありつつ、情熱的で、女性的なところがあるサウンドになっていると思います。特にDメロは歌い上げる熱さも入っているので、この曲の象徴的な部分であり、鷹峰さんのイメージにもピッタリな部分かなと。
──歌詞の「跪(ひざまず)いてココで誓って」や「生かすも殺すもこの手の中…」は鷹峰さんが白田くんに対して常に主導権を握っている強気なところ、「キミの視線独り占めして」は少し挑発的なところなど、白田くんが表面的に感じている部分を描きつつ、「お願い止まらないで キミとアタシ響くメロディ」や「いつでも傍にいてよ」は内面の弱さや願っている様子など、鷹峰さんの複雑な感情や気持ちが感じられました。
奥井:伝わりましたか?
──熱すぎるくらいに(笑)。
奥井:聴いてくれた人に鷹峰さんや女の子の複雑な乙女心が伝わるといいなと思って書いたので、ちゃんと受け取ってくださりありがとうございます。
──OP映像は鷹峰さんと白田くんのいろいろな表情が見られながらも、Bメロでは鷹峰さんが回想するように白田くんの過去カットも入っていて。
奥井:鷹峰さんは白田くんにまだ伝えていない秘密があるんですよね。私が読んだ原作の範囲では、まだ二人の過去の秘密は描かれていなくて。だけど「きっと秘密があるんだろうな」と想像して、鷹峰さんのピュアな部分も取り入れたいと思っていました。実際、OPの映像を観たらそういう映像になっていたので、嬉しかったです。
今後のキーワードになってほしいと願いを込めた、奥井さんのお気に入りフレーズとは?
──歌詞全体を見てみると、英語のほうが多いですね。
奥井:日本語だとあまりハマらないメロディだったので、ボンジュールさんがデモに入れていたフランス語を残しつつ、英語にしたほうが映えるなと思ったところは英語にしています。
──サビの「Strawberry・弾」の「弾」はどんな意味なんですか?
奥井:「Strawberry」って女の子的で、イチゴもよく見ると色合いも形もハートに似ていて。そういう気持ちや愛情の弾丸を撃ち込むという意味です。
──その後の「I gotta tie you down」で韻を踏んで、そのまま「DuDaDan DaDaDa」を繰り返して。耳心地もよくて、すぐに脳裏に焼き付いてしまいました。
奥井:そういうキャッチーさを狙っています。楽曲やテーマによっては、歌詞を日本語で丁寧に伝えないといけない時もありますが、この曲はさらっと聴いても、ずっと聴けるような音楽なので、流しながら仕事や勉強がはかどったらいいなと思って。
ボンジュールさんが作ってくれた曲の方向性やアレンジに「ずっと聴きたいな」と感じさせる力があったので、私もそんな感覚に合わせられるように意識しました。
──歌声も少しファルセットを効かせているところのセクシーさや、サビでの情熱が前面に出ている部分から、Dメロのチルっぽく落ちるところや、弱さを感じる部分も細かくあって、奥井さんの幅広いボーカルワークを堪能できました。
奥井:ボンジュールさんの声がかわいいので、私も無理がない程度に精一杯女性っぽさを出せればいいなと思いながら歌いました。
──1曲の中で大人っぽい高貴さや艶っぽさから乙女チックなところまで、これだけ広い感情の幅を歌えるのは奥井さんならではですね。
奥井:そうなのかな? 例えば若い女の子だとその人なりの歌い方はできると思うし、歌い手によって違う曲になるおもしろさがあるのが歌の魅力の1つだと思います。
──ご自身で気に入っているフレーズや、聴きどころのご紹介をお願いします。
奥井:全体を通して伝わればいいなと思って作りましたが、Dメロの「キミとだから“あの日”決めた未来」がすごく好きです。私の想像ですが、この先のキーワードになったり、そんな内容が出てきたらいいなと思って、歌っています。
あとはボンジュールさんがサビの「DuDaDan DaDaDa」などをコーラスみたいな感じで入れてくださっているところがとても心地よくて好きです。
──レコーディングにはボンジュールさんも立ち会われたんですか?
奥井:別々に録音して、私が歌った後に、ボンジュールさんに声を入れてもらいました。ボンジュールさんは作ったり、アレンジもされている方なので、人が見ていないところで職人みたいに作り上げる形のほうが向いているのかなと思って。私はレコーディングで他の人が見ていても全然平気なんですけど(笑)。ボンジュールさんのレコーディングはお任せしました。
──曲のリスニング感などを意識しつつも、しっかりと作品やキャラクターに寄り添っているのがすごいですね。
奥井:もちろんこの曲はアニソンで、作品ありきなので、作品の内容を入れ込むのは絶対条件ですから。最近は90年代によく見られた、アニメの内容に関係ない曲が主題歌になっていて「これはアニソンなの?」と思うこともあります(笑)
ソロやJAM Projectでタイアップがある歌詞や曲を作ったり、歌う時はアニメやゲームなど作品がまず第一で。作品のテーマや伝えたいメッセージをくみ取ったり、スタッフさんからオーダーをいただいた上で、聴いてくださる方にすっと入ってきたり、作品ファンの方に納得してもらえて、且つ元気になってもらえたら最高だと思っています。それがアニソンシンガーの使命だと思っているので、この曲が『履いてください、鷹峰さん』にピッタリだなとか、曲を聴いてより作品に興味を持ってくれたり、楽しんでもらえているのなら幸せです。