
“人が演じるロボット”こそ、スーパー戦隊の醍醐味――『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』特撮監督・佛田洋さんインタビュー【後編】
“夕陽から龍が出てくる”カットは超えられない
ーー先日、白倉伸一郎さんと松浦大悟さんにお話を伺ったんです。その際に『五星戦隊ダイレンジャー』の「龍星王」が夕陽から出てくるカットについて、「その後も佛田さんには何回か龍をやってもらっていますけど、「あれは超えられない」と言っていますね」とおっしゃられていました。
佛田:戦隊メカには珍しく龍なんだよね。『超獣戦隊ライブマン』(1988年)から動物メカが出始めて、そのノウハウで『ジュウレンジャー』を作ったんだけど、龍は流石に初めてだなと。普通だったら、龍を戦隊メカとしては考えないでしょう。
当時のバンダイの担当の方には「龍のオモチャは映像化の可能性はある?」って何回も聞かれました。打ち合わせを進める中で、本来はおもちゃに寄せなきゃいけないんだけど、「おもちゃより関節を増やしてもいい」ということになったんです。「カッコいい画が撮れる方がいい」と。
現場で夕陽のライティングを作って、すごい量のピアノ線で協力して動かしましたね。操演の鈴木昶さんや尾上克郎さんはもちろん、現場にいたほぼ全員で頑張ったことを覚えています。『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)でも、月からリュウボイジャーという龍型メカが出てくるカットをやったんだけど、やっぱり超えられない(笑)。
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— スーパー戦隊オフィシャル (@sentai_official) February 21, 2025
> 連休だァァッ!! <
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ーーその後も『超力戦隊オーレンジャー』(1995年)では、「マシン帝国バラノイア」の戦闘機「タコンパス」のデザインを担当されたとか。
佛田:それは本当です。「タコンパス」は、いい戦闘機でした。監督もやりながら空いた時間にデザインして、ほとんど自主映画のようだったね。自分で描いて、自分で撮るんだから。
ーーまた、『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)に登場する「RVロボ」の必殺技・RVソード激走斬りは、決めポーズが本当に格好良くて。
佛田:縮尺した「RVロボ」をレインボーさん(レインボー造型企画株式会社)に作ってもらいました。中に針金が入っていてポーズが取れるような仕組みになっています。決めのポーズを付けた後、棒で回して、最後の止まるところで組み替えて前足を出す。それをワイドレンズで撮影したんだよね。
ーーこの時代は、日下秀昭さんが長年戦隊ロボのスーツアクターをされていました。佛田監督から見た日下さんの良さはどんなところですか?
佛田:日下さんの一番の良さは、人の悪口を言わないこと!(笑)人間ができていて、すごく紳士な方です。ガタイも良くて、戦隊ロボならではの重みがありますし、ポーズの一つ一つが決まるんですよね。
「格好良い方がいい」で繋がる撮影現場
ーー『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999年)は、第1話からミニチュア特撮が盛りだくさんでした。
佛田:『ゴーゴーファイブ』は、個人的にも思い入れがある作品です。第1話はずっと特撮で、改めて観るとやっぱりやり過ぎだよね(笑)。子どもの頃に好きだった『サンダーバード』みたいな世界観だったし、それまでに積んできたノウハウとも合致したんですよ。撮影はきつかったけど楽しかったなあ。
具体的に言うと、「イエローアーマー」と「ピンクエイダー」がジャッキで立ち上がるシーンはサンダーバード2号をイメージしているんです。合体の理屈を考えて、ある程度ワイヤーで釣り上げたりもしました。「レッドラダー」のハシゴもおもちゃはそんなに伸びないから、救助シーンが面白くなるように改造して。スポンサーの方もみんな「格好良い方がいい」って許してくれましたよ。長く現場でやっていると、「格好良い方がいい」でスタッフが一丸となる瞬間があるんです。
ーー2000年以降はフルCGのマシンやロボが登場し、近年ではLEDウォールなど、新技術の導入も始まっています。
佛田:最近だと『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の電脳世界みたいな世界観は、セットでは作りきれませんから、CGと両立させていました。「できないことができる」っていうのは刺激になったよね。選択肢の一つとしては良かったと思います。
例えば『王様戦隊キングオージャー』の何ヵ国かを一度に撮らなきゃいけない撮影でも、「次はトウフ、次はシュゴッダム」という具合に背景をすぐに変えられるんです。ただ、派手な爆発は火薬を使うから、そこはオープンセットでやる必要がありますね。
ーー最後に、子供たちに伝えたいスーパー戦隊のロボの魅力を教えてください。
佛田:『ブンブンジャー』の第1話で、敵をドライバーで締めて『デコレーションケーキだ!』っていうシーンがありましたけど、ああいう面白いことができるのは戦隊ロボの良さですよね。日本のアニメはもちろん、アメリカの『トランスフォーマー』『パシフィック・リム』とか、色々な映像表現ができるようになった中で、スーパー戦隊ならではの『ロボット』というのがあると思うんですよ。
個人的には、人っぽいところが好きなんだよね。JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)のスーツアクターさん達が演じていて、やられた時に「うっ、痛い」って演技したりするじゃないですか。スーパー戦隊のロボットは、ドラマの中でそういうものを効果的に見せられるんですよね。他のアニメとか映画と差別化できる部分ですし、色々試せるからやっていて楽しい。
それが、スーパー戦隊の醍醐味ですね。
[インタビュー/田畑勇樹 撮影・編集/小川いなり]
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インタビューバックナンバー
『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』作品情報
あらすじ
その唯一の勝者、巨神テガソードは深い眠りについた。
テガソードの力をわけた指輪をすべてあつめると、
なんでも願いがかなうという…。
そんな指輪を、5人の“はぐれ者”が手にした!
はぐれアルバイター・遠野吠はゴジュウウルフ
元スーパーアイドル・百夜陸王はゴジュウレオン
テガソード信奉者・暴神竜儀はゴジュウティラノ
パリピ高校生・猛原禽次郎はゴジュウイーグル
ハイクラス名探偵・一河角乃はゴジュウユニコーン
ナンバーワンは1人しかありえない!?
戦士になった5人は、指輪をもとめて戦う!
さらには、悪の軍団・ブライダン、
そして歴代スーパー戦隊とも、 おきて破りの頂上バトル!
新時代のナンバーワンになるのは誰だ!?
“最高最強ヒーロー”
ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーの
戦いのゴングが今、鳴りひびく!
キャスト
(C)テレビ朝日・東映 AG・東映


















































