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『ある魔女』青山吉能×羊宮妃那インタビュー【連載第4回】

『ある魔女が死ぬまで』声優インタビュー連載第4回:メグ役・青山吉能さん×ソフィ役・羊宮妃那さん | 始まって以来のシリアスなメグや、ソフィの“デレ”の裏側にあったものとは

あるオーディションで青山さんが負ったトラウマとは

──青山さんから見た羊宮さん、羊宮さんから見た青山さんが、それぞれソフィとメグに似ていると感じられたところはありますか?

青山:実は、羊宮さんとそこまでがっつりとお話をさせていただく機会ってそんなにはなかったんですけど、私声優番組が大好きなので、皆さんと同じように羊宮さんが出ているラジオとか映像番組をちょこちょこ拝見していて(笑)。

なのでこれはほぼ一ファンみたいな視点だったりもするんですけど、どんな物事に対しても丁寧に取り組まれているというか、透明感みたいな雰囲気を感じているんです。それがどこかソフィのイメージとも重なったりしていますね。

羊宮:どうしよう、嬉しい! ありがとうございます。

青山:あとはお芝居への取り組みとかでも、ソフィって基本は抑制する系統のお芝居なんでけど、魔法に対する嫌悪感とか、メグに対する想いで感情を激しく露わにするシーンもあって。羊宮さんもお芝居をされている時、グッとギアを変えている瞬間を感じることがあって、心の中に炎みたいなものを秘めているところとか似ているのかなと。

 

 
羊宮:私の方は、メグちゃんって周りとふざけている時と、真剣に物事を解決しようとする時とでギャップがあるキャラだと思っていますが、周りへの気遣いは青山さんとリンクしてるんじゃないかと感じていました。

青山さんって、現場でご自身からすごくいろんな方に話しかけていらっしゃっている一方で、収録だとまた雰囲気が変わって。第5話の収録の時に印象的だったのが、最初の台本だと、マリーさんがまだ名乗ってないにも関わらず、メグちゃんが名前を呼んでいたことに青山さんが気づかれて、台詞そのものが修正されたことがあったんです。そのあたりも、メグちゃんが時折見せる鋭さに通じるなって思っていました。

青山:途中で回想シーンが挟まると、繋がりとか時間経過が分かりにくくなる時があって。その時にメグの視点に集中して演じていると、「なんでマリーって名前を知ってるんだろう?」みたいな違和感があったんですね。

回想の間のシーンで自己紹介していた、と補完することもできましたが、実は『ある魔女』って、出会ったキャラクター同士が互いに名乗り合うシーンを、丁寧に描いている作品でもあるんです。そういう人と人との出会いを大事にしている作品という認識があったので、そこは大事なポイントなんじゃないかとスタッフの方にご相談させていただき、台詞が変更になったという経緯がありました。

──お二人共、最近はかなりお忙しくされていると思うのですが、どんどん仕事が忙しくなっていく中で、仕事に向き合う意識が変わってきたり、変わらず大切にしている部分はありますか?

青山:いや、本当に今になっても、いろんな現場で先輩方の取り組み方とかを見て初めて気づかされることの連続で、「過去の自分、もっと頑張れよ」みたいな焦りや後悔ばっかりですね。さっきの話に出てきた、マリーさんって呼んでないことも、5年前の自分には気付けなかっただろうなと思いますし。

──なんで自分はあの時もっと頑張らなかったんだ……っていう感覚ですよね。分かります。

青山:なので、今考えているのは、5年後の自分に、今の自分がそう思われないようにしようということです。台本を読む時も、キャラクターの存在を常に意識したいと思っていて。例えば、メグって変な声を出すシーンが結構あるんですけど、それは青山吉能の奇声大会にならないようにしようと。

これは全部の作品に対してですけど、自分のせいで作品の表現に制約がかけられることがないように、もっといろんなことを経験して、台本に活かせるようにしなければいけないと思っています。未来の自分に頑張ってもらうためにも、今を一生懸命やろう……みたいな心境ですね。

 

 

──羊宮さんの方はいかがですか?

羊宮:私は声優を始めて(取材時点で)5年目なのですが、いろんな作品に出させていただくようになってきたからこそ、初めての挑戦に対して物怖じしないようにしたいなと。

やっぱり自分の中で「これくらいは出来ないと」みたいな気持ちがあると、キャラクターとして生きるのが難しくなってしまうので、どんなに噛もうが何をしようが、とにかくずっと生きた演技が出せるように、失敗に対する恐怖心を取っ払うことが大切なのかなと思っています。

──デビューしたばかりの頃は、もっと恐怖心が大きかったり?

羊宮:いえ、むしろ最初の頃は、確かに怖い時もあったんですけど、それ以上に「私のお芝居を早く見て!」という気持ちもあったりして。デビュー前とか直後の頃の方が、今より自信に満ち溢れていたと思います(笑)。

でもやっぱりそこからいろんな現場を経験すると、自分以上に役に真剣に向き合われている先輩達のお姿を見ることになるので、それで自分への認識もどんどん変わっていきましたね。

──何のために魔法を使うのか、ソフィがメグに問いかけるシーンもありましたが、もし魔法が実在するとしたら、お二人は何に使いたいですか?

青山:……これは『ある魔女』じゃなくて別の作品なんですけど、私、まったく同じ質問をオーディションの時にされたことがあって。大勢の大人たちの前で「一応、皆に聞いてるんだけど、魔法が使えたら何に使いたい?」って聞かれた時の記憶を思い出しました(笑)。

それを聞いた時「これは大喜利に違いない!」と、とにかく面白いことを言わなきゃと思っちゃって……。

──(笑)。ちなみにその時はなんと?

青山:私はバスが好きなんですけど、バス停で待ってると、自分が乗りたい行き先と違う行き先のバスも停まっちゃうじゃないですか。64番を待ってるんだけど、先に来た55番が停まっちゃうみたいな。

だからそれが伝わるように、「私が待ってるのは◯◯番って、意思表示ができるようなモニターを出せる魔法が欲しいです」ってちょっとぶった感じで答えたら、もうバチクソに滑り倒して。当然のようにオーディションにも落ちました(笑)。

一同:(爆笑)

青山:「おー、なるほどです。お疲れ様でした」みたいに流されて、その時は「もう殺してくれ……」って状態になってましたけど(笑)、今考えると結構いいシステムだったんじゃないかと思うんですよね。

バスの運転手さんも毎回止まらなくてすむし、私も気を使わなくてもいいのでまさにWin-Winで、リベンジの意味も込めてその魔法がいい、ということにしておきます(笑)。

羊宮:そんな質問されることもあるんですね……。

青山:私もそれは結構衝撃的で、たまたま前の順番の人が、「私と目が合った人が、そのあと少しだけ幸せになる魔法をかけたいですっ」と言ってたのも聞こえていたので、二重の意味で死にたくなってました(笑)。

羊宮:私はその青山さんの話を聞いて、それの電車版が欲しいと思いました。座っている人が、次にどの駅で降りるかを表示してくれるみたいな。「私もう次で降りるので」みたいな意思表示ができたら便利だなって。

──確かに。立っている時、次どの席が空くのか気になりますよね。

青山:私、荷物とかで判断しますね。「この人は大きい荷物持ってるから、多分ここは空かないな……」みたいな(笑)。

──お二人とも、大分スケールの小さい魔法にはなっていますが(笑)。

羊宮:本当になんでも願いが叶うのなら、大切な人たちがずっと生きて私のそばにいてくれるようになる魔法は欲しいかもしれないです。

 

 
ただ、人間の寿命という存在がなくなったら、きっと明日を大切にしなくなるだろうな、とも思っていて。メグちゃんも余命を宣告されていなかったら、涙を集めることに時間を使おうとは考えなかったと思うんですよね、

……逆に、私からもちょっと聞いてみたいんですけど、皆さんって自分や他の人の残りの寿命って知りたいと思いますか?

──自分は知りたくないですね。自分も他人も含めて、まともに見れなくなってしまいそうなので。

青山:私は知りたいかもしれないです。

羊宮:怖くはないんですか? もしかしたら2、3年後ってこともあるかもしれませんし。

青山:全然ないですね。私はむしろ、人生が無限に続くかもしれないことの方が怖いところがあって。今は結構幸せに生きられている自覚はあるんですけど、それが3年、5年後も続いている保証ってまったくないので、将来について考えるのが怖いんですよね。

それもあって人生設計を一切立てずに、今が楽しければオッケーみたいな感じで生きてきたんです。いっそ終わりを先に知っておいた方が、それまでに家を買っておこうとか、いろいろちゃんとできるのかな、という感覚はありますね。

──羊宮さんご自身はどうなんでしょうか?

羊宮:すごく難しいところですが、周りの人の寿命は知りたいかなと。それを知らないと、いてくれることが当たり前になっちゃうじゃないですか。

それを知っていることで、自分がその人のために何かをしたい優先順位は本当に大きく変わると思いますし、本人には絶対に教えずに、私だけがいろんな人のために動いておきたい気持ちはあります。

ただ、一方で自分の寿命は怖くて知りたくないですね。そこで自分の幸せが終わってしまう怖さに耐えられないと思います。

──『ある魔女』に触れていると、よりそういった寿命や周囲の人との関係性を考えさせられますよね。改めて、羊宮さんはそんな本作にどんな魅力を感じましたか?

羊宮:やっぱりテンポ感がすごくいいと言いますか、収録ではボールド(台詞ごとの尺)が我々の見えるところに表示されるのですが、ちょっとでも噛もうものならすぐ次のボールドに切り替わっちゃうくらい(笑)、収録のスピード感がすごい作品なんです。

そのテンポ感の中でも、笑えるシーンもあれば、物語の軸になるようなシリアスなシーンもあって、その温度感の差やギャップみたいなところは『ある魔女』ならではの魅力なのかなと思ってます。

 

 

──最後に羊宮さんから、放送を楽しみにされているファンの方へのメッセージをお願いします。

羊宮:『ある魔女』にはまだまだいろんな展開があるので、引き続き見守っていただきつつ、第4話と第5話で成長したソフィちゃんの活躍にもご期待いただければと思います。

あとは私の中で、『ある魔女』はすごく温かい最後になるだろうなっていう予感があって。いろんな怒涛の展開がありつつも、第5話のマリーさんたちのように、メグちゃんの真剣で熱い想いが、誰かの笑顔に繋がるドラマとして描かれているので、それはこれからも続くんじゃないかなと。

きっと見終わった時には「一生懸命生きるって、こういうことなんだろうな」と感じられる作品になっていると思うので、ぜひ最後まで見守っていただけると嬉しいです。

──ありがとうございました。

連載バックナンバー

作品情報

ある魔女が死ぬまで

あらすじ

「お前、あと一年で死ぬよ」

十七歳の誕生日を迎えた見習い魔女のメグ・ラズベリーは、魔法の師匠であり、魔法界トップの七賢人に名を連ねる『永年の魔女』・ファウストから、突如として余命一年であることを告げられる。
メグは『死の宣告』の呪いにかかっていたのだ。

呪いによる死を免れる方法はただ一つ。手にした者に不死をもたらす、『命の種』を生み出すこと。
そして、『命の種』の材料となるのは、感情の欠片――人が喜んだ時に流す、嬉し涙。

「それで、一体どれくらい涙を集めればいいんですか?」
「千人分だ」
「......はい?」

こうして、メグは嬉し涙を集めるため、様々な人たちと関わっていく。
幼馴染みで大親友のフィーネ。
ファウストと同じ七賢人の一人――『英知の魔女』・祈。
メグと同い年にして七賢人に名を連ねる天才少女、『祝福の魔女』・ソフィ。

これは、余命一年を宣告された未熟な魔女、メグ・ラズベリーが起こす、奇跡の物語。

キャスト

メグ・ラズベリー:青山吉能
ファウスト:榊原良子
ソフィ・ヘイター:羊宮妃那
フィーネ・キャベンディッシュ:大久保瑠美
祈:伊藤静
謎の少女:種﨑敦美
エルドラ:日笠陽子
カーバンクル:花井美春
シロフクロウ:鈴木愛奈

(C)坂/KADOKAWA/ある魔女が死ぬまで製作委員会
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