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映画『サンダーボルツ*』日本版声優・梶裕貴が作品の推しポイントを語る

日本版声優・梶裕貴さんが映画『サンダーボルツ*』の推しポイントを語る|「ヒーローたちの成長が詰まっていて、たまらないなと思いました!」

 

日本人にキャラクター性がわかりやすいような役作り

──オーディション時のエピソードを教えてください。

梶:オーディションも収録も手探り状態でした。ボブは気弱で、いろいろな闇を抱えている人。心を閉ざしがちだけれど、ひょんなことから“セントリー”という、力を持った存在になります。そして、同時にヴォイドでもあるという……。ややこしいキャラクターなので、難しかったですね(笑)。なので合格のお知らせをいただいた時は、すごく嬉しかったです。そこからキャラクターについて自分なりに調べたりして、理解を深めていきました。

 

 

──本編の収録についてお聞かせください。

梶:オーディションの時から、日本語吹替版として、彼の持つ“気弱さ”や“口下手”な部分をどう印象的に表現するかが課題でした。コンセプトとして「日本人が共感できるようなキャラクター像を目指したい」というのが本国製作チームからの要望にあったようで。

ボブは言葉が詰まるシーンが多いんですが、原音の英語と日本語では喋るテンポが違うので、そのニュアンスを汲み取って日本語のセリフにはめていくのが技術的に難しかったです。「ここで3回詰まって、でもここは早口で…」みたいな(笑)。声のボリュームの調整も難しかったですね。吹替えのスタッフさんと相談しながら、模索しつつ作っていきました。完成したものを観て、絶妙なバランスで収まっていたので感動しました。スタッフの皆さんには心から感謝しています。

──収録の際、スタッフからのお話で印象的だったことをお聞かせください。

梶:収録が始まる前に、本国アメリカのスタッフさんからのメッセージ(オーディション時の音声と芝居について)をお聞きして。

その感想の中に「とても気弱な感じが出ていて、ボブの成長がすごく楽しみになりました」というものがありました。原音に寄せない形でのお芝居を求められていたので、「狙ったアプローチがちゃんと伝わるかな?」と少し不安な気持ちもありましたが、そういった激励のお言葉のおかげで、自信を持って収録に臨めたことを覚えています。

 

子どもの頃からヒーローに憧れ、夢を叶え続ける

──ボブ役のルイス・プルマンさんの演技(魅力など)をどのように感じられましたか。

梶:体格の大きな方なのですが、しぐさや姿勢だけでも弱々しい感じが伝わってくるんですよ。ものすごく徹底した役作りだなと驚きました。

特に目線でのお芝居が印象的でしたね。物語の中で、ひょんなことからボブはセントリーへと進化を遂げるのですが……いきなり超人になるのではなく、自分の中での戸惑いがありながらも、徐々に自信をつけていく。その変化を違和感なく、グラデーション豊かに表現されているところが素晴らしいなと感じました。

──本作『サンダーボルツ*』の中で、個人的にお好きなシーンや見どころ、聴きどころをお聞かせください。

梶:ボブを演じさせていただいた身からすると、やはり新たなヒーロー・セントリーが誕生するシーンがオススメです。まあ、いろいろな意味で一筋縄ではいかないんですが(笑)。その圧倒的なパワーにはワクワクすること間違いなしですし、MCUの今後に繋がっていく部分でもありますからね。

それから、今作の主人公であるエレーナと父アレクセイの親子愛。事前に『ブラック・ウィドウ』を観て予習しておくと、よりグッとくるものがあるかと思います。今作は、とにかくエレーナのことが好きになるお話だったかなと。ボブにもずっと優しかったですしね……(笑)。

 

 
『サンダーボルツ*』はシリアスなドラマを描きつつも、コミカル要素が多いのも特徴的な作品。“サンダーボルツ”結成の流れも笑えましたし、「ボブを助けに行こう!」とヒーローらしく敵地に乗り込んで、戦いながらビル最上階を目指すのですが…CIAの長官ヴァレンティーナから「エレベーターが普通に動いているから、それに乗って上がって来なさい」と言われて、ギュウギュウになりながら決戦の地に向かう姿がなんとも愛おしくて、たまりませんでした。思わず笑っちゃいましたけど(笑)。

聴きどころとしては、終盤、ボブが自分と対話をするようなシーンですかね。ネタバレになってしまうので詳しくはお話できないのですが…そのあたりが物語的にもすごく高まるところですし、「演じ分け」という意味でも、ぜひ注目していただければと思います。

──梶さんの子どもの頃のヒーローについてお聞かせください。

梶:子どもの頃のヒーローは、日曜日の朝でおなじみ『スーパー戦隊シリーズ』(※2)でしたね。その中でも、中心的人物のレッドに憧れがあって、TV放送も毎週欠かさず見ていましたし、幼稚園の友だちともレッドの座をかけて戦っていたりしました(笑)。

やはり正義の心を持って、悪に立ち向かうところがかっこいい。劣勢になってしまうこともあるけ れど、そこから立ち上がり、みんなのために、地球のために、力を合わせて戦い抜くという姿にすごくロマンを感じていました。

 

 
なので、ずっと「レッドになりたい!」という思いがありましたね。声優を続けていく中で、実際にスーパー戦隊シリーズに出演(『機界戦隊ゼンカイジャー』のガオーン役)することができ、まさに今も(放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』で、テガソードの声を担当)なんですけど、夢が叶ったという気がして、本当に幸せです。

今回のボブ役も、まさにそう。マーベルといったらヒーローですからね。あ、いや、まだボブとしての立ち位置は、ヒーローと呼べるかどうかわからない感じではありますが……(笑)。そういった意味でもまたひとつ、しかも吹替えという角度から夢が叶って、すごくすごく嬉しかったですね。

※2東映制作による『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975)から始まる日本の特撮テレビドラマシリーズ。5人の男女がチームを組み、色分けされたマスクとスーツで武装して怪人と戦うストーリー。

──ありがとうございました!

 
[取材・文]宋 莉淑(ソン・リスク)

 

作品概要

サンダーボルツ*

あらすじ

NYの街に突如として現れた大きな黒い影。瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威と直面する。しかし、数々の敵から世界を救ってきたアベンジャーズは、そのピンチに姿を現さない。謎多きCIA長官のヴァレンティ-ナは、誰がこの脅威から世界を救うのかを問いかけるが、絶望の中立ち上がったのは、かつて洗脳されヒーローと対立した過去を持つウィンター・ソルジャーことバッキーだった。彼が仲間に誘ったのは、悪事を犯した過去を持つエレーナ、USエージェント(ジョン・ウォーカー)、レッド・ガーディアン(アレクセイ)、ゴースト、そしてタスクマスターだった。そこにボブと名乗る謎の男も現れ…

ヒーローじゃない彼らは、誰も空を飛べず、戦闘手段は肉弾戦のみ。好戦的な性格の彼らはチームを組むも、エレーナは突如ジョンに銃を連射し、悪役のようにビルを爆破、敵を拘束して拷問を始めてしまうなど、ヒーローとは程遠い…マーベルの新チーム「サンダーボルツ*」はアベンジャーズにかわって、この脅威から世界を救うことはできるのか?

キャスト

エレーナ:フローレンス・ピュー(田村睦心
ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ:セバスチャン・スタン(白石充
レッド・ガーディアン/アレクセイ:デヴィッド・ハーバー(大塚明夫
ゴースト:ハナ・ジョン=カーメン(田中理恵
USエージェント/ジョン・ウォーカー:ワイアット・ラッセル(鈴木達央
タスクマスター:オルガ・キュリレンコ(中村千絵
ヴァレンティーナ:ジュリア・ルイス=ドレイファス(藤貴子)
ボブ:ルイス・プルマン(梶裕貴
メル:ジェラルディン・ヴィスワナサン(伊瀬茉莉也

(C)2025 MARVEL

 

(C) 2025 MARVEL.
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