マンガ・ラノベ
十夜、クレハ、中村颯希の作家鼎談インタビュー!!

すべて『自分の力』で解決してしまう!? 強くて格好いい女性主人公を描く! 十夜先生、クレハ先生、中村颯希先生の作家鼎談インタビュー!!

 

塔に囚われるだけじゃなくて、その塔を自ら爆破するくらいのことをしてほしい

──最初にクレハ先生もおっしゃってましたが、御三方とも自立した主人公、守られるだけでない主人公を書かれているのが共通点だと思うんです。そこは皆さんやはりポリシーを持ってこだわっていらっしゃるところなんでしょうか?

クレハ:私は特にポリシーというわけではないんですけど、塔に囚われたお姫様を王子様が助けに行くよりは、王子様が戦っている間にお姫様が自力で塔から脱出するような話のほうが好きなんです、昔から。お姫様が剣を取って、最後にラスボスと戦うぐらいがいいなって思うんですよ。

ディズニープリンセスも、だんだん自分が戦うプリンセスも増えてきているように感じていて、やっぱり戦う女性ってかっこいいなと思うんですよね。

中村颯希:クレハさんの言うこと、すごくわかります。私も塔に囚われるだけじゃなくて、その塔を自ら爆破するくらいのことをしてほしいんですよね。

クレハ・十夜:爆破(苦笑)

中村颯希:自立とか強さ云々っていうよりも、とにかく活躍してほしくって。それこそディズニープリンセスのなかでも、私は『ムーラン』が一番好きだったんです。男社会の中で最初は馬鹿にされながら、次第にのし上がっていく成り上がりの様を見ていると、子どもながらに胸がドキドキしたんですよね。

助けられて愛されるのも大好きなんですけど、やっぱり主人公自身が状況を打破していくのはスカッとするので、その気持ちよさを追求しているうちに……気がつけばヒーローから圧が消えて、主人公が自立しちゃった感じです。

 

▲様々な危機に立ち向かう主人公・黄 玲琳(ふつつかな悪女)

▲様々な危機に立ち向かう主人公・黄 玲琳(ふつつかな悪女)

 
十夜:たしかに、結局は自分の生活というか生き方が反映されるんですよね。私は学校を卒業したら就職して、自分でお金を稼いで食べていくのが当たり前だと思っていたので、書く話も当たり前にそうなるんじゃないかなと思います。それこそ作品内に出てくるセリフとか、私自身がよく言ってる言葉だったりするときもありますから。そういう意味では、もはや創作ではないですね。

 

▲魔法の力が強力で自らトラブルを解決していく主人公カティア(敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?)。

▲魔法の力が強力で自らトラブルを解決していく主人公カティア(敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?)。

 

──やはり自分の生活や人生観は、書く作品にも大きく関わってきますよね。

クレハ:主人公に自分を投映したり、成長していく主人公に自分の願望を込めるところは、確かにあるかもしれませんね。

中村颯希:言われてみれば本当にそうですね。思えば私、すごく年の離れた兄姉がいる中の末っ子として生まれたので、みんな大人なのに私だけ赤ちゃんみたいな状態がずっと続いて「あなたは可愛いわね」とか「あなたはそんなことしなくていいのよ」と、何でもお世話してもらう生活だったんです。

ありがたい状況ではあるんですけど、いや、私だってできる、私を1人の人間としてちゃんと見てほしい!という反発心が、ずっとありました。なので、私にもできることを証明したいという気持ちを、もしかしたら主人公に乗せているのかもしれない。自分自身が活躍して、賞賛してほしかったのかな……って、今、お話を聞きながら思いました。

十夜:中村さん……そんなに可愛がられているのに甘えず、自分でもやろうとするのが、逆にすごいですね。

──ヒロインの成長物語でもあるのが、御三方の作品の大きな魅力ですよね。ただ、それでいてラブストーリーとしても成立させなければいけないのは難しいところでは?

クレハ:確かに、私が書くのって恋愛ファンタジー作品が多くて、最初からヒーローが決まっていたりするから、ヒロインを活躍させるあまり「もうちょっと恋愛出しましょう」って編集さんに言われることもありますね。「読者の方は、もうちょっとイチャイチャしてるところが見たいので」と。

中村颯希:私の読者さんはお気づきだと思うんですが、私、あんまり恋愛要素が得意ではなくて(笑)。私自身は主人公をイチャイチャさせたい、恋愛要素を入れたいと思って頑張っているのに、上手くいかないんですよね…。

むしろ、読者さんとか編集さんのほうから「そんなに無理しなくていいですよ。ヒロインの成長物語のほうで、のびのびやってください」と言われちゃって、こっちが「苦手だけど頑張らせてください!」って感じです。やっぱりクレハさんみたいな恋愛ファンタジーを読むと、やっぱりいいなぁ、憧れるなぁと思うので、挑戦はしたいんですよね。

十夜:逆に私は、いろんな小説ジャンルのなかで、恋愛小説が一番得意なんじゃないかって勝手に思い込んでるんですよ。だけど、今やっている長期シリーズが2作あって『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』は11巻、『悪役令嬢は溺愛ルートに入りました!?』は8巻まで出てるのに、どちらも相手役が決まっていなくてキスひとつしてないんですよ。まだ全然恋愛パートに行っていないのがおかしいなぁ……と、今すごく思っているところです。まぁ、今後を見ていてくださいとだけ言っておきます(笑)。

──楽しみにしています! そして、皆さん物語の舞台となるファンタジー世界の設定も、かなり壮大かつ詳細に作り込まれていますが、どのへんから着想を得ているんでしょう?

クレハ:私は昔から和風とか洋風とか関係なく、壮大な世界観の作品が好きで読み漁ってましたし、ゲームも好きだったので設定集を買ったりもしていました。そこで見たものの蓄積もありますし、あとは、編集さんと相談しているなかで話が盛り上がって、世界観が固まっていくことも多いです。今回の『わたしの創った千年王国』もそうですね。編集さんに「ここどう思いますか?」と聞いたりするなかで、設定が積み上がっていきました。

十夜:それで言うと私は逆のタイプで、さっきも言った通り本当に自分が好きなものを入れてますね。例えば『敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?』に獣人がたくさん出てくるのも、私が動物好きだからですね。獣人という点で担当さんには渋られたんですけど、「私は書きたいんです!」って言ってOKをもらえるまで粘りました(笑)。

 

▲種族や立場の違うキャラクターが多く登場する(わたしの創った千年王国)。

▲種族や立場の違うキャラクターが多く登場する(わたしの創った千年王国)。

▲個性豊かなキャラクターたち。獣人の種類も設定されている(敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?)。

▲個性豊かなキャラクターたち。獣人の種類も設定されている(敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?)。

 

──獣人族の「八聖公家」と呼ばれる面々も含めて、個性豊かなキャラクター付けをされていますよね。

十夜:基本的には真っ白いパソコンを見ながら考えて、何も出てこなかったとしても、とりあえず書き始めれば大抵はイケるんです。『敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?』に関して言うと、私、イラストレーターのセレンさんが大好きで! とても素敵なキャラクターデザインをいただいたので、そのワンカットでキャラの設定はどれだけでも出てきます!

 

▲イラストレーター・セレンさんから届いた主人公カティアのキャラクターデザイン。

▲イラストレーター・セレンさんから届いた主人公カティアのキャラクターデザイン。

▲2巻に登場する八聖公家のキャラクターデザイン。

▲2巻に登場する八聖公家のキャラクターデザイン。

 
中村颯希:すごい。私は世界観設定がすっごく苦手なんですよ。基本的な骨格みたいなもの、例えば『ふつつかな悪女』で言うなら五家があって、木・火・土・金・水の五行をそれぞれ受け持っているみたいなことは、過去に読んだものの蓄積から引っ張り出してくるんです。

だけど、じゃあ、どういった儀式をして、どういう生活を送っているのか?という細かいところになると、途端にフワッとしてしまって……。なので、そのへんを決めずに先に主人公たちの行動のほうを詰めていって、それに都合のいい設定を後から付け足すことが多いですね。彼らがこういう状況に陥るためには、こういう儀式が必要になる。それを中華的世界観にフィットさせるために、じゃあ、天幕を登場させるか……という感じです。

 

▲作中でも重要となる木・火・土・金・水の五行の相関図(ふつつかな悪女)。

▲作中でも重要となる木・火・土・金・水の五行の相関図(ふつつかな悪女)。

 

──なるほど。設定のなかでキャラクターを動かすのではなく、させたい動きに合わせて設定を作っていくんですね。

中村颯希:そうですね。だから「この場に文官とか武官は何人いるんですか?」と言われても、さて、何人いるんでしょう……?ってなってしまう。書き始めたときは100人のつもりが、話を展開させるうちに「ヤバい、これ1万人いないとダメだ!」ってなると、原稿の頭に戻って書き直すこともありますね。だから十夜さんの作品を拝読したときに、軍勢の人数まで細かく書かれているのを見て感動した覚えがあります。

十夜:ありがとうございます。いや、私も基本的に設定はその時々で必要な分だけ決める感じですよ。

 

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