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『ガメラリバース』登場怪獣をスタッフ陣が語り尽くす【インタビュー】

昭和から平成、令和へと繋がれた『ガメラ』のバトン――『GAMERA -Rebirth-』監督・瀬下寛之さん×怪獣デザイン・髙濵幹さん×造形監督/光画監督・片塰満則さんが登場怪獣を語り尽くす【インタビュー】

昭和から平成、令和へと繋がれたガメラのバトン

ーー昭和ガメラ怪獣のリブートも話題ですが、登場順はどのようにして決めていったのでしょうか?

片塰:これは瀬下監督のほうで何か考えがあったのですか? 僕が参加した時点では脚本が進んでいて、その辺りは既に決まっていましたよね。

瀬下:物語がエスカレートしていく順です。子どもたちが生まれ育った町に突如飛来するギャオス。少年たちがガメラと出会い、仲間も増え、積極的にこの異常な出来事に働きかけようと自警団の真似事をする中、地下で遭遇するジャイガー。そして財団に連れられ船出してからの深海怪獣ジグラ。四角いリングのような与那国採掘基地に到着したら、ルチャ・リブレ(※メキシコの空中殺法を売りにしたプロレス)のような身のこなしで襲いかかるギロン。そして宇宙へと逃亡した際には、宇宙怪獣バイラス。…と、まさにベタですが、子どもたちの冒険に合わせた順番で怪獣たちを登場させることを最初から決めていました。脚本開発開始より前です。

ーートップバッターはギャオスですね。

髙濵:ギャオスも、石井版から少なくともデザインに関してはあまり変えていません。ギャオスは平成ガメラでも活躍していて「ギャオスといえばあれでしょ!」くらいに固定したイメージがあるけど、石井版では顔や雰囲気はかなり変えたつもりで、ヘビのような狡猾な感じとか、ちょっと気持ち悪い方向性に持って行きました。そこに今回はマケットのアーティストさんの味付けが加わりました。

片塰:マケットのアーティストは、ガメラは越智光信さん、ギャオスは吉田雅則さんが担当していて、これはそれぞれの持ち味に合わせて私の方で割り振りました。まず、吉田さんは生物、特に鳥の造詣がとても深く、それこそ学会発表で使われるよう図像を作られている方で、生物としての理屈を踏まえて、かつ、造形としての面白さを加味できるのは、吉田さんを置いて他にいなかったと思います。

瀬下:吉田君も越智さんも、僕がスクウェア(現スクウェア・エニックス)で「ファイナルファンタジー」の映像制作に携わっていた頃の同僚です。二人とも3DCG造形に関しては、国内トップクラスの実力ですから。最高の仕事をしてくれました。

ーーギャオスに関しては監督からどういったオーダーを出されましたか?

瀬下:石井監督版のデザインがとにかく素晴らしかった。僕からのオーダーは本作の世界観に合わせた調整だけです。

髙濵:ギャオスは少し特殊な場面などでどんな動きをするのか、ポーズサンプルとかシーンごとのラフスケッチをかなりたくさん描いた記憶があります。

片塰:舌が異常に長い、というのもありましたね。

瀬下:舌の長さ、長くしてもらいましたね。それから超音波メスも色々お願いしました。

髙濵:超音波メスも色々なパターンを描きました。

片塰:実際に映像で描かれた超音波メスの吐き出し方も、髙濵さんのイメージがベースになっています。

瀬下:今回、髙濵さんには怪獣本体だけでなく、こういうエフェクト的な部分についてもたくさんデザインをしていただきました。

髙濵:ギャオスは、ポーズのバリエーションが1番多い怪獣でしたね。出番も地上から空中まで色々とあって。

瀬下:幼体ギャオスも、髙濵さんの拘りが色濃く表れていますよね。

髙濵:これは自分でもお気に入りです。

片塰:打ち合わせで僕が描いたラフは、可愛いキャラで非常にあざとさが出ていたんだけど、髙濵さんのデザインは生物としての説得力がすごい。

髙濵:最初から可愛い怪獣として考えると、非常に媚びたデザインになってしまうんですよね。ぬいぐるみ的な可愛さというか。動物としての可愛さって、表情は割と無表情なんだけど、その時々でちょっと耐えているとか、辛いとか、背中で語るじゃないけど、そういったところから感情が伝わればいいなと思っていました。

ーーその他の怪獣についてもエピソードがあればお聞かせください。

片塰:瀬下監督からは、自然に発生した生物ではなく、人為的に研究室で作られた生物なので、工業製品のプロトタイプ、製品版、改良版といった具合に、デザインされた経緯や履歴が感じられるものにしたいと説明がありました。

瀬下:この作品の怪獣たちは、いずれも10万年前、古代人によってデザインされた生物なんです。そういう理屈で、開発の経緯を考えながらデザインや造形を進めてもらいました。

ーーバイラスやジグラ辺りはオリジナルからかなり変えた印象を受けましたが、いかがでしょうか?

髙濵:バイラスなんかは、そういう理屈に当てはめた結果であり、僕としては特に変えたつもりもないんですよね。

瀬下:めちゃめちゃユニークで怖いやつに仕上がりましたけど、僕らからしたら「昭和版の通りじゃん!」くらいの感覚でもあります(笑)。

髙濵:逆にジグラは意識的にかなり変えました。

瀬下:造形の方向性が1番変わったのはジグラかも知れませんね。

髙濵:「これが決定版だな」というのがなかなか見えなくて。

瀬下:ジグラはご苦労をおかけしました。膨大なスケッチの中でも転換点になったものがありましたね。NHK版第6話で対馬に上陸してきた直後の、あの手をついたフォルムが方針を決めました。

髙濵:オリジナルのジグラも地上に上がる場面があって、陸に上がったから動けない、という表現ではあるんですけど、本当にただ立っているだけなんですよ(笑)。ガメラと正面を向き合って対峙する場面があるんですけど……。

瀬下:2体とも突っ立ってるだけのやつ(笑)。

髙濵:(笑)。それを今回は上半身が異常に発達していて逆に脚がとても貧弱なので、いざらないと動けないと。完成した第6話では、それがとても情感豊かに表現されていました。

片塰:ギャオスもジグラも他の怪獣もそうなんですけど、髙濵さんのコンセプトアートに助けられたところが非常に大きかったですね。瀬下監督が「髙濵さん、ナイスです!」と言っていた記憶があります。

瀬下:言いました(笑)。

片塰:それを受けて監督の筆も走るし、プロットや脚本に反映させたところが多々ありましたね。

ーー今回、オリジナルからバルゴンが登場しなかったのは何か理由があったのでしょうか?

瀬下:バルゴンはとにかく好き過ぎて(笑)。あと、バルゴンと言えば虹色殺人光線もあるけど、基本は冷凍怪獣ですよね。この「冷凍」という特殊能力を今回のストーリーでは生かし切れないというか、とっておきたかったんです。続編に。まだ全く決まってないですけど(笑)。

片塰:四つ足という意味ではジャイガーと被りますしね。

瀬下:そこはノーコメント(笑)。まあ、まだ出てない怪獣はいっぱいいますし。

髙濵:イリスやレギオンも。

瀬下:昭和怪獣ではバルゴンだけリブートされなかった結果となりましたが、それは僕が好き過ぎて今回の作品では上手く扱えなかったのが、裏目に出たということです(笑)

片塰:最終2話では、エスギャオスが登場していて、仕事としてはギャオスの延長でやりやすかったんですけど、「ここは新しい怪獣じゃないの?」とちょっと驚いたんです。瀬下監督はその辺りはどのような考えだったんですか?

瀬下:開発された生物というストーリー上のエッセンスをエスギャオスに象徴させたかったんです。

髙濵:先ほど言っていたような改良版、バリエーションとして登場したと。

片塰:やっぱりそこに行き着くわけですね。

瀬下:劇中では説明してないけど、この事に象徴される世界観が作品の根幹でもありますので。

ーー最後に改めて『GAMERA -Rebirth-』の仕事を振り返ってみてのお気持ちをお聞かせください。

片塰:怪獣の登場順が段々とエスカレートしていく、という話は今日、この取材で初めて知りましたが、奇しくも怪獣作りもエスカレートして行ってるんですよね。エスギャオスなんか造形的に翼に穴が開いていたり、ボロボロなんだけど、ものすごい作り難い形をしているんです。でも、我々も関わったアーティストの皆さんも、個々に苦労はあったけど、数をこなすと共に”怪獣慣れ”していたから、エスギャオスも成立させれたと思うし、こうして改めて振り返ってみると、連動していたんだなと思いますね。

髙濵:僕は平成ガメラシリーズから関わって来て、ガメラは自分のライフワークだと勝手に思い込んでいるんですけど、それこそ、特撮の現場スタッフだった時代から、いつか怪獣デザインを手掛けてみたいと思い続けていました。それが2015年版を経て、今回の『GAMERA -Rebirth-』では1から携わることができて、本当に念願が叶った思いです。もちろん反省点もあるんですけど、とにかく嬉しくて楽しんでやれた仕事で、こうして思い返してみると、まるで目の前に食べきれないくらいのご馳走を並べられたような毎日でした。

瀬下:このガメラを題材に、監督の好きなようにやってください、くらいの勢いでリブートさせてくれたKADOKAWAアニメ事業部の皆様、そして支えてくださったプロデューサー陣への感謝があります。かつ、今回制作を担ってくれたENGIさん、当時まだ設立して2年くらいと日が浅い中、3DCG部門の組織作りと同時に、本作を作り上げてくれました。チーム作りながら長編アニメ作る…って(笑)、過去に類を見ない大変さだったと思います。感謝しかありません。ガメラと怪獣たちについては、片塰さんと髙濵さん、この偉大なお二人のお力で「日本にはガメラもいる!」と胸を張って言える、まさにゴジラと並ぶ二大怪獣として令和の世に再び生まれることができたと確信しています。湯浅憲明監督の昭和ガメラ、金子修介監督と樋口真嗣特撮監督の平成ガメラ、そして今回の『GAMERA -Rebirth-』と、僕としてはリレーのバトンを受け継ぐつもりで作ったつもりです。ガメラを…この個性的で魅力溢れる大怪獣を、世界中の皆さんが、世代を越えて楽しんでほしい。そういう思いでいっぱいですね。

[インタビュー/トヨタトモヒサ]

『GAMERA -Rebirth-』作品情報

4月5日よりNHK総合にて毎週土曜日23:45放送

あらすじ

最後の夏。友達。そして怪獣̶̶。
1989 年夏、小学6年生のボコ、ジョー、ジュンイチは、小学生最後の夏休みを迎えていた。
それぞれの心にある、将来に対する漠然とした不安。
そんな3人の前に、在日米軍司令官の息子、ブロディが現れた。3人で貯めた現金をうばっていくブロディ。
怒ったボコたちは、お金を取り返すための作戦を計画する。
その作戦を実行しようとした時、町に危機が訪れる。怪獣ギャオスが突如、東京に襲来したのだ。
ギャオスによって廃墟となった町に立ちすくむ4人。
ギャオスが彼らに狙いを定めた時、巨大な怪獣が現れる。その名はガメラ。
これが4人の「怪獣の夏」の始まりだった。
次々と現れる怪獣。傷つきながらも戦うガメラ。そして少年たちは伝説を目撃する。

スタッフ

原作:KADOKAWA
監督:瀬下寛之
副監督:井手恵介
シリーズ構成:猪原健太 瀬古浩司 瀬下寛之
脚本:猪原健太 瀬古浩司 山田哲弥 瀬下寛之
キャラクターデザイン:田村 篤
怪獣デザイン:髙濵幹
プロダクションデザイン:田中直哉
プロダクションデザイン:フェルディナンド・パトゥリ
メカニックデザイン:帆足タケヒコ
造形監督/光画監督:片塰満則
演出:石間祐一
CGスーパーバイザー:堀 正太郎
CGスーパーバイザー:戸田貴之
CGスーパーバイザー:元木 パウロ
リギングスーパーバイザー:砂村洋平
エンバイロンメントスーパーバイザー:中村葉月
アニメーションスーパーバイザー:関根雅史
アニメーションスーパーバイザー:こうじ
アニメーションスーパーバイザー:比嘉一博
エフェクトスーパーバイザー:宮台直也
テクニカルスーパーバイザー:帆苅 哲
編集:肥田文
音響監督:岩浪美和
音楽:片山修志
ラインプロデューサー:松隈喬平
制作プロデューサー:飯島 哲
制作:ENGI
製作:GAMERA Rebirth製作委員会

キャスト

ボコ:金元寿子
ジョー:松岡禎丞
ジュンイチ:豊崎愛生
ブロディ:木村昴
タザキ:宮野真守
エキコ:早見沙織

公式サイト
公式X(@gamera_rebirth)
【推奨ハッシュタグ】 #ガメラリバース #gamera_rebirth

「ガメラ」とは

大映(現:KADOKAWA)が1965年(昭和40年)に公開した特撮映画『大怪獣ガメラ』に登場する怪獣。

ガメラは地球の危機から人々を守る、子供や正義の味方であり、カメがモデルとなったユーモラスなデザインや飛行能力など独特の個性を持つ。

円盤状で回転飛行をするなどのユニークなスタイルと、どんな強敵にも立ち向かう勇敢な姿に人気を博し、『大怪獣ガメラ』以降も『宇宙怪獣ガメラ』まで昭和ガメラシリーズとして全 8 作品が製作された。

その後も「平成ガメラ三部作」や、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のガメラシリーズが展開されている。

(C)2023 KADOKAWA/ GAMERA Rebirth Production committee
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