
『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』おもちゃ開発の裏側!「ワイルドゴジュウウルフ」誕生秘話。ロボとなりきりを合わせた「DXテガソード」の挑戦〜バンダイおもちゃ担当×東映・松浦大悟さんスペシャル対談〜
ロボットとパイロットを“一対一”で見せたかった
ーーその後、ライバルロボットとして、「DXテガジューン」も発売されました。
松浦:「グーデバーン」と合わせて、「グー・チョキ・パーなのでは?」という考察も見かけるんですけど、どちらかと言えば、「テガソード」の「剣」に対して、「テガジューン」は「銃」という考え方でした。
そもそも我々側から、「指輪の物語なのだから、ロボット同士が結婚します」という訳の分からないことを言い出したので(笑)。「ライバルロボはウェディングドレスっぽい白のカラーリングにしたい」と。そして、元々プレミアムバンダイで販売する予定だったところ、いつの間にか一般販売に……。
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木村:「DXテガソード」の売り上げが非常に良く、営業チームから熱望されて一般販売になったんですよ。自分も「“白”で“女性ロボ”だよ?」とは言ったのですが……。
松浦:いわゆる男の子向けのおもちゃ業界のセオリーから外れるアイテムでした。ただ、結果的には「DXテガジューン」も好調みたいで……本当に有難い話です。元々の出発点はライバル戦士のアイテムという側面で考えていたんですよね?
木村:そうですね。基本的には「リングハンター・ガリュード」が使う武器として考えつつ、「テガジューン」をボスにするという話が同時に進んでいました。男の子向けのおもちゃとして、かっこいいライバルキャラが持っている銃はウケそうだなと。
木村:加えて、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の「ドンムラサメ」みたいなキャラクターを作りたいという気持ちがあったんです。『ゼンカイジャー』の「ステイシーザー」から続くライバルキャラの流れですね。
松浦:僕の中でも「ステイシーザー」のイメージは持っていました。登場話数も近いんですよ。
最初は鮫などの悪い動物モチーフを考えていたんですけど、どうしてもヒーローに見えてしまうので、動物を狩る人間、少しアーティフィシャルな感じになっています。名前は狩人から取って、「ガリュード」ですね。そう言えば、頭のあの銃はいつ使うんだろう……?
木村:あれは使えるんですか?
松浦:『チェンソーマン』に「銃の悪魔」という敵が出てくるんですよ。「あのイメージかな?」と思っていたら、TVのコンプラ的に画面の真正面に銃を向けてはいけないらしく……横に付いているデザインになりました。最初は「ちょんまげみたいな銃で“ドン!”みたいなことをやりましょう」って言っていたんですけどね。ただ、そこ以外は最初の段階から、大きくデザインは変わっていないです。
木村:そうですね。モチーフが決まるまでは「メカオオカミ」とか、けっこう迷走していましたけど、「狩人」に決まったらほぼ一発でした。
松浦:実は第16話くらいまでの台本を作っている時、まだ「DXテガジューン」はプレバン(プレミアムバンダイ)で販売すると思っていたんです。撮影を進める中で、「一般発売になりました」と言われて、「え、結婚式とかしちゃってるけど、大丈夫ですか!?」って(笑)。
ーー(笑)。「DXダークウルフデカリバー50」もプレミアムバンダイで販売されましたね。
木村:「DXテガジューン」が非常に好評で一般発売になったので、さらに魅力的にできないかと「黒い剣はどうでしょうか?」と提案しました。
松浦:そうですね、提案いただきました(笑)。
✖お前は…僕の獲物だよ…!
— スーパー戦隊おもちゃウェブ公式 (@bandai_sentai) June 2, 2025
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ーー今年は「DXウルフデカリバー50」や「DXレオンバスター50」など、個人武器もロボと合体できる仕組みになっています。
木村:マーケティングの話になりますが、なりきりとロボを一緒にした時点で、「その前提は絶対に崩しちゃダメだな」と考えていました。まずは「DXテガソード」を買ってもらう。そのうえで、次に遊ぶものが分裂すると意味がないので、「一本道で行きたい」という思いがありました。プレックスさんには「個人武器も合体してロボになる」というデザインをまとめていただくようにお願いしたんです。パーツは青色なら青色、黄色なら黄色。テガソードイエローやテガソードグリーンについても、合体するとシルエットが変わります。
松浦:白倉(白倉伸一郎)が商談会で5体並んでる姿を見て、「思った以上によくできてる!」と言っていました(笑)。あれは最大級の褒め言葉じゃないでしょうか。
今年はロボットとパイロットを“一対一”で見せたかったんですよ。『ゲッターロボ』で言うと、「ゲッター2」のメインパイロットは神隼人、「ゲッター3」のメインパイロットは巴武蔵。その方が分かりやすいと思ったので、「とにかくシルエットを変えて、違うロボにしてほしい」という話はしていました。
木村:やっぱり三体目辺りからは悩みましたね。
松浦:例えば、テガソードグリーンは「足技が得意」みたいな設定でした。最初に撮ってもらった初登場回(第5話「取り戻せ魂(ソウル)!スミにおけないお節介」)で回し蹴りをしているのは、そういう経緯があります。
ーー第10話「イケイケドンドン! 昭和が来た!」で5体が並び立つ姿は圧巻でした。
松浦:5体並ぶとテンション上がりますよね。でも、あれは「昭和パワー」が無いと発動できないですから。普段はちょっと「忍タリティ」が足りていないらしいです(笑)。
海の狼=シャチ。「ワイルドゴジュウウルフ」「テガソードアカツキ」ができるまで
ーー強化フォーム「ワイルドゴジュウウルフ」のデザインや「DXオルカブースター5050」の開発についても伺いたいです。
松浦:これもほぼ一発OKだったデザインですね。「オルカブースター5050」は通称「シャチ銃」です。「テガソードアカツキ」も無茶苦茶カッコいい。最高です。
最初に僕が「狼だから、満月を見て、フルムーンゴジュウウルフ(仮称)にパワーアップしたいです!」という妄想を口にしていて。それは歴史の彼方に葬られたんですが……(笑)。胸の真ん中が月っぽい金色になっているという名残があります。ロボットの雰囲気を分かりやすく変えたかったので、これまでのテガソード5体とは違い、月を背負っているような形になりました。
木村:スーパー戦隊ですし、満月斬りを地でいくような感じですね。
松浦:和風な雰囲気が出せれば、画替わりにもなるかなと。何度見ても「テガソードアカツキ」と「ワイルドゴジュウウルフ」は素晴らしいデザインだと思います。「DXオルカブースター5050」の苦労話ってありますか?
木村:ロボを何モチーフにするかまでは苦労していましたね。和風ときまってからは、火縄銃(短筒)をデザインに落とし込だり、すんなり進みました。あ、「剣をどうやって収納するか」については、会議でたくさん話し合いましたね。結果的に剣の柄が収納されて、銃口になるという形を取っています。
モチーフに関しては、『ゴジュウジャー』に登場する動物は“最強生物”で統一するというコンセプトがあるので、海の最強生物であるシャチをここで使いたいという話になりました。
松浦:シャチは「海の狼」と呼ばれているそうですからね。火縄銃モチーフの木目調っぽいデザインが入っているのも気に入っています。加えて、「ワイルドゴジュウウルフ」の「センタイリング」には、他のリングとは違ったギミックも搭載されているんです。
ーーと言いますと?
松浦:プレックスのデザイナーさんが、パワーアップのデザインを作る際、1,2話とかの映像を観てくださって。遠野吠(ゴジュウウルフ)の「お前は俺の獲物だ」のポーズを、番組から逆輸入してくれてたんです。『名探偵コナン』の「腕時計型麻酔銃」みたいなイメージで、「ターゲットサイトを指輪に入れるのはどうですか?」と。あれは嬉しかったなあ。デザイナーさんが番組と親和性のあるギミックを提案してくれたのは、リアルタイム感がありました。
木村:ターゲットサイトと、展開ギミック、発光ギミックが入っているので、価格を1500円に収めるのは大変でした(苦笑)。
松浦:そう言えば、「“光るおもちゃ”の面白さって何だろう?」という話もしましたね。「アルティメットルミナス」やガシャポンとか、色々な例を出し合いました。















































