
蒼井翔太×七海ひろき、お互いのストーリーの交差が放つ特別な輝き――コラボミニアルバム『METEORA』での新たな挑戦に迫るインタビュー
大人の艶とヒロイックさが溶け合う歌声
──2曲目の「Stella」は、ブラスサウンドを導入したジャジーなナンバー。七海さんのソロ曲「Giovanni」(2023年)を手がけた3rd Productionsの作曲という点を含め、七海さんソロ活動の世界観に近い楽曲という印象を受けました。
七海:まさにその通りです。今回のコラボミニアルバムを制作するにあたって、お互いが普段お世話になっている方たちに楽曲を作ってもらって、それぞれのフィールドの楽曲を一緒にコラボする、というコンセプトを立てて。この曲は私、3曲目の「砂漠の花」は蒼井さんが普段ご一緒している方たちが制作した楽曲になります。私は普段、ジャズやロック系の曲が多いのですが、蒼井さんと歌うのであればジャジー系を聴いてみたいなと思い、作ってもらった曲になります。
ただ、ジャジーで大人っぽい中にも、光やきらめき、今作のコンセプトでもある「奇跡」を感じさせるような部分が、楽曲や歌詞に散りばめられているので、新しいものができたように感じていて。蒼井さんがこういう楽曲を歌っているのもあまり聴いたことがない気がしますし、その意味でも新鮮な楽曲になったと思います。
蒼井:確かに、今までブラスを交えた楽曲はありましたけど、こういうジャズっぽい曲を自分の活動で歌うことはなかったので、個人的にすごく楽しかったです。元々ジャジーな曲を聴くのは好きだったので。でも、こういうジャズのリズムは僕の中になかったものですから、かなり苦戦しましたね。家で何度も練習して。この楽曲は先に七海さんが歌を録っていて、楽曲の世界観をしっかり固めてくださっていたので、自分は「リズムだけ外さないように」と思いながらレコーディングしたのですが、歌い出すと楽しさが止まらなくなって。人と一緒に歌うことの楽しさを噛みしめながら歌いました。
──お二人のボーカルからは大人っぽい艶やかさもありつつ、ヒロイックなかっこよさもあって、その二面性がうまく溶け合っている印象でした。
蒼井:その言葉は嬉しいですね。あえて二面性みたいな部分を意識しているわけではないですけど、自然とそれが生まれているのかなと思っていて。
七海:楽曲と歌詞の中にそういう要素が組み込まれているので、それを素直に歌ったら、そういうものが表れるんだと思います。
──そして3曲目の「砂漠の花」は、蒼井さんの楽曲「そのままで」(2024年)を手がけたナカムラジュンキさんが作曲、「give me ♡ me」(2021年)をはじめ多数の楽曲に関わる日比野裕史さんが編曲を担当しています。
蒼井:この『METEORA』という作品の中の1つの物語の断片として、僕の大好きな4つ打ちのサウンドを込めたくて、いつもお世話になっている方たちにお願いしました。ただ、きらめき感のある4つ打ちでありながらも、少し風を感じていただけるような雰囲気や音色、メロディの旋律にも今にも花が咲きそうな希望を込めていただいて。なおかつ、それを僕たち2人が歌うことで、砂漠の星に砂嵐ではない潤いの風が吹くようなイメージを込めたいと、作家さんにもお願いしました。
七海:この曲を初めて聴いた時、なんていい曲なんだろうと思って。歌詞もそうですが、メロディが本当に軽やかな感じで、人の心にすごく響く音の流れを感じたんです。この曲のレコーディングは蒼井さんが先だったのですが、声の響きがすごく明るく、とても綺麗な声で歌われていたので、その蒼井さんの歌声を踏まえつつ自分らしさを出したいなと思って。私、そもそも声が大きいので、割と声の圧でなんとかしようとしてしまう時があるんですよ(笑)。でも、この曲では力を抜いて、ささやくように歌うことを意識しました。
蒼井:これは声質の話になるのですが、七海さんは、ご自身の歌の成分が少し重たいという認識を持っているらしくて。でも、僕はそのお話を聞いた時に、倍音が多くて、広がっていくような声質だと思ったんですね。それは「重い」というよりも、潤いというか、この曲で例えるなら、砂漠の星に降る恵みの雨のようなイメージがパッと浮かんで。砂漠に初めて雨が降って、くすぶっていた希望の種が芽吹き始める。そういう物語をこの楽曲と歌から感じ取ることができて、「CosmoS」と「Stella」も含め、僕たち2人で歌う意味がある楽曲になったなと思います。
──個人的には、2番の“ねえねえ 聴かせてよ 君の歌”“もういい 聴きたくない この世界”といった掛け合いを経て、サビでお二人のボーカルが重なり合うところは、一面砂漠の大地に花が咲く景色が目に浮かんで感動しました。
蒼井:その2番後半のサビに向かっていくパートの歌詞は、『METEORA』で七海さんが演じている登場人物の気持ちがすごく込められているところなんです。ここでそれまでの流れからガラッと変わって、ある種の思いがグッと出てくるパートで。なので気づいてくださって嬉しいです。今はまだ明かせないストーリーやバックグラウンドがあるので、伝わり切らない部分はあるかもしれないですけど、きっといつか皆さんにお伝えできる時が来るんじゃないかと。
七海:楽しみにしてもらえたらと思います。
カバーだからこそ見える、楽曲の新たな魅力
──さらに今回のミニアルバムには、蒼井さんと七海さんがお互いの楽曲をソロでカバーした音源を1曲ずつ収録。蒼井さんは、七海さんのミニアルバム『FIVESTAR』(2021年)よりバラード曲「ポラリス」を、原曲に近いピアノ中心のしっとりしたアレンジで歌っています。
蒼井:七海さんの作品には、ロックでアッパーな曲からムードたっぷりな曲まであるなかで、この「ポラリス」は耳にして数秒で泣いた曲なんです。歌詞で言うと3行目までいくかいかないかくらいで涙が込み上げてしまって(笑)。その時点では、七海さんがこの曲にかける思いはまだ知らなかったのですが、歌詞全体とメロディの旋律、そして七海さんの歌の言葉の聞こえ方、すべてが合わさった時に、すごく感動したんです。
だから、そのイメージを崩さないように、プラスして僕がカバーしたいと思って選んだ楽曲でもあるので、ここはあえて「歌う」意識を極力排除して「歌わない」アプローチでいこう、語りかけるような表現の仕方にチャレンジしてみようと思ってレコーディングに臨みました。それでもラスサビでは1回、込み上げてきて中断したくらい、歌えなくなってしまった瞬間もありました。
七海:大切に歌ってくださってありがとうございます。自分の曲を誰かにカバーしてもらうのは初めての経験だったのですが、こんなにも心が躍るものなんだと思って、すごく感激しました。自分の歌声ではないからこそ、楽曲を客観的に聴くことができて、「あ、いい曲だな」と改めて実感することができて。お客さんと同じ気持ちになって感じることができました。
──そして七海さんは、TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』のEDテーマでもあった蒼井さんのキャッチーなダンスチューン「give me ♡ me」をカバー。
七海:正直、他にも歌いたい曲がたくさんあって悩んだのですが、蒼井さんとコラボミニアルバムを出すならば、やっぱり「ギミラミ(give me ♡ me)」しかないなと思って選びました。私、元々この曲が大好きで、初めて聴いた瞬間に即買いしたくらいなんです。曲も歌もダンスも素敵で、蒼井さんがこの曲でパラパラを踊っているのを観て、私も河原で踊った動画をSNSにアップしたことがあって(笑)。
ただ、蒼井さんの原曲のキーだと高くて、すごく頑張らないと出ないので、少し下げてもらったら、今度は低いところを出すのに苦労して。すごく音域が広くて難しい曲だということを再認識しました。蒼井さんの「ギミラミ」の中にある、キュートさも色っぽさもノリの良さも軽やかさも、いろんなものをリスペクトしつつ、自分らしく歌えればと思って、アレンジも原曲とちょっと違う、懐かしさを感じるようなアレンジにしてもらいました。それこそパラパラとかユーロビートみたいな、少しアンニュイな「ギミラミ」にしたいなと思って。
蒼井:七海さんの声の良い部分がすごく効いている「ギミラミ」になりましたよね。まあ、僕も元ギャルなので(笑)、そういう意味でもアガりましたし、かわいいギャルな「ギミラミ」とかっこいいテクパラな「ギミラミ」、2つの「ギミラミ」が生まれたのがすごく良いなあと思います。歌には人それぞれ解釈の形がありますし、カバーしてくださる方の独自の解釈をプラスすることがカバーの醍醐味だと思うんですね。僕が「ポラリス」に込めた思いもそうですし、お互いにとって意味のあるカバーになったと思います。
──こうして初のコラボミニアルバムが完成した今、改めて、お互いのアーティストとしての相性について、どのように感じていますか?
蒼井:コラボと言うと、バチバチにぶつかり合う、いい意味での歌の喧嘩みたいなイメージもありましたけど、今回の七海さんとのコラボはすごく溶け合っている印象があって。お互いの色や音に、ゆっくり寄り添い合っているようなコラボだなって思いました。とてもいい距離で、2人のちょうどいいオーラが生まれるみたいな。そういうコラボはなかなかないんじゃないかなと思います。
七海:そう言っていただけて嬉しいですね。本当に2人のアーティストとしての持ち味が全然違うからこそ、おもしろいコラボになったんだろうなと、私も感じていて。きっと似たような方向性やジャンルの人同士でやるよりも、違うタイプ同士だからこそのおもしろさが出ているのかなというのは、完成した楽曲を聴いて感じました。
──そんなお二人の初めてのコラボライブ「蒼井翔太 × 七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”」が、9月6日にKanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)で開催されます。どんなステージになるのでしょうか。
七海:「ドラマティックライブ」ということで、きっと歌だけではない何かも皆さんにお届けすることになると思います。私がライブや舞台に立つ時は、来てくれたお客さんに生きる活力をお届けできればといつも思っているので、今回のライブでも、心を動かすような何かを、『METEORA』の世界観を通して皆さんに伝えたいなと思います。
蒼井:このライブまでに皆さんが『METEORA』を手に取っていただいて、聴いて、見て、想像していただいたもの、その答え合わせプラス、知りたかったその先のものをお届けできるライブにできたらなと思います。もちろんライブなので歌は歌いますが、ひと味違ったライブの在り方に挑戦するので、僕たちのチャレンジをぜひ観に来ていただければと思います!
CD情報
【発売日】2025年8月27日
【価格】
初回限定盤:6,050円(税込)
通常盤:2,640円(税込)
≪収録内容≫
【CD】
1. CosmoS
作詞:atsuko 作曲:atsuko・KATSU 編曲:KATSU
2. Stella
作詞:小松レナ(Blue Bird's Nest) 作曲:3rd Productions 編曲:REO
3. 砂漠の花
作詞:Mio Aoyama(Blue Bird’s Nest) 作曲:ナカムラジュンキ(Blue Bird’s Nest)
編曲:日比野裕史(Blue Bird’s Nest)
4. ポラリス Covered by Shouta Aoi
作詞:Shogo 作曲:Shogo・加藤祐平
編曲:日比野裕史(Blue Bird's Nest) 原曲編曲:加藤祐平
5. give me ♡ me Covered by Hiroki Nanami
作詞:leonn(Blue Bird's Nest) 作曲:日比野裕史(Blue Bird's Nest)
Remix:渡辺徹(Blue Bird's Nest) 原曲編曲:日比野裕史×渡辺徹(Blue Bird's Nest)
【BD】※初回限定盤のみ
・Special Drama Movie
・「CosmoS」Music Video
・Making Movie ※約30分収録
-「CosmoS」Recording Day
-「METEORA」Still Photo Shooting
-「CosmoS」Music Video Shooting
蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”
<日時>
2025年9月6日(土)
昼公演 14:00開場/15:00開演
夜公演 18:00開場/19:00開演
<場所>
Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)
【席種・料金】
全席指定 ¥11,000(税込)
【チケット情報】
<一般発売>
[発売日] 8月23日(土)10:00~
[申込URL]
・チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/dramaticlive-meteora/
・イープラス:https://eplus.jp/meteora/
・ローソンチケット:https://l-tike.com/meteora
※お申し込みには各プレイガイド会員登録(無料)が必要です。
※先着での販売でございますので予定枚数に達し次第終了となります。
詳しくは特設サイトにてご確認ください。
https://aoi-nanami-meteora.com/







































