この記事をかいた人

- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

吾峠呼世晴先生による漫画『鬼滅の刃』。家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹は鬼にされてしまった主人公・竈門炭治郎が、鬼を討伐する部隊・鬼殺隊に入隊し、鬼たちの祖である鬼舞辻無惨を倒すため奮闘する物語です。
本稿では十二鬼月 上弦の陸・獪岳(かいがく)の情報をまとめてお届け! 基本プロフィールや性格、血鬼術、生い立ち、鬼になった経緯、善逸との関係や演じている声優情報などを詳しく解説していきます。
善逸の兄弟子である獪岳は、師匠や善逸を裏切って鬼となる道を選び、非難される立場となりますが、その行動は全てが悪なのでしょうか。彼の取った行動についても改めて考えてみました。
※本稿は原作に沿って作成しており、ネタバレ要素が含まれますのでご注意ください。
人間時の名前:獪岳
誕生日:不明
年齢:不明
身長:167cm
体重:64kg
階級:十二鬼月 上弦の陸
以前は育手で元鳴柱・桑島慈悟郎の下で我妻善逸と共に剣技の腕を磨いていた獪岳。壱の型しか使えない善逸とは反対に、壱の型以外を習得している獪岳は技を血鬼術で強化しており、その斬撃はまるで黒い雷のようで、皮膚や肉をひび割れさせる威力があります。
なお、刀は獪岳の血肉によって作られたもの。日輪刀とそっくりのものを作っているようです。
善逸よりも先に桑島の弟子となり、剣士としてひたむきに修業を積んでいた獪岳。その努力の甲斐あって、桑島は獪岳と善逸の2人を共同で雷の呼吸の後継者としました。
しかしながら高い自尊心を持つ獪岳は、自分だけが特別に扱われないと気が済みません。弱音を吐いて修業から逃げてばかりの善逸のことは酷く見下して嫌っており、そんな善逸と自分を分け隔てなく大切にする桑島に対し不満を募らせていきます。
そこに追い打ちをかけるように、善逸と共同後継者とされたことで、尊敬していた桑島や弟弟子である善逸との溝は決定的なものになったようです。
親も家もない孤児だった獪岳。泥をすするほど貧しい生活を送っていましたが、鬼殺隊入隊前の悲鳴嶼の元に引き取られ、お寺で他の孤児たちとともに生活するように。
そんな中、獪岳はお寺のお金を盗んでしまい、そのことが他の子どもたちにバレて責められ、お寺を追い出されてしまいます。その日の夜、獪岳は鬼と遭遇し、自分が助かるために悲鳴嶼と他の子どもたちを鬼に喰わせると言い、寺に鬼を招き入れたのです。ちなみに、お金を盗んだ動機は明かされていません。
寺を出た後は、桑島の元でひたむきに修業に励み、大切に育てられていたものの、彼の心が満たされることはなく、むしろ善逸と同等に扱われることに不満を募らせていきます。
そして、鬼殺隊入隊後、任務先で不運にも上弦の壱・黒死牟と遭遇。当時の階級は不明ですが、一般隊士である獪岳と黒死牟の力の差は歴然であり、圧倒的強者を前にした彼に残された選択肢は、鬼になるか、死ぬかのふたつ。「生きてさえいればいつか勝てる」と信じて生きてきた獪岳は、鬼になる道を選んだのでした。
上弦の陸となったのは、前の上弦の陸である堕姫・妓夫太郎兄妹が討伐されたため。黒死牟の推薦もあり、今後の活躍を期待されて上弦となったようです。
善逸を嫌い、酷い態度を取る獪岳。それは弱音ばかり吐いて修業から逃げて回る善逸の態度そのものを良く思っていないというだけでなく、そんな善逸のことも自分と同じように桑島が大切に扱っていることが気に入らないというのも原因だと考えられます。
善逸も獪岳が自分を嫌っていることは十分わかっており、そんな獪岳のことを好きにはなれないものの、ひたむきに努力する姿勢を心から尊敬していました。鬼殺隊入隊以降も、手紙を書くなど兄弟子に歩み寄ろうとしていましたが、その気持ちが獪岳に届くことはありませんでした。
誰よりも特別視されることを求めていた獪岳。善逸からも桑島からも特別で大切な人として扱われていましたが、彼の心はついぞ満たされることはなかったようです。
【絶賛公開中】
— 鬼滅の刃公式 (@kimetsu_off) September 12, 2025
劇場版「鬼滅の刃」無限城編
第一章 猗窩座再来
本編映像を使用した
決戦CM第3弾~我妻善逸vs獪岳~
を公開しました。https://t.co/FnUyLOZmsu#鬼滅の刃 #無限城編 pic.twitter.com/9G0l7sur77
善逸から「心の中の幸せを入れる箱に穴が空いている」と評されていた獪岳ですが、一部のファンからは「愛着障害を患っているのでは?」という指摘も。
愛着障害とは乳幼児期に親や保護者との安定した愛着が築けなかった人が発症する精神障害のひとつです。発症すると、他者と上手くコミュニケーションが取れなかったり、対人関係を築くことが苦手になったりと生きづらさを感じることが多くなると言います。また、自尊心にも強い影響を及ぼすそうです。
愛着障害のある人は自尊心が低い傾向にあるそうですが、獪岳は逆に弩級の自尊心の持ち主。一見すると愛着障害とは違う傾向に見えますが、自尊心の度合いが異常であるという点では共通しています。
獪岳は親も家もない幼少期を過ごしており、特定の養育者と愛着関係が築けていたとは到底思えません。幼少期に必要な愛情が足りなかったために、他者(特に力を持った大人:悲鳴嶼→桑島→黒死牟)からの特別な愛情を絶えず求め続けてしまったのではないでしょうか。桑島の下でひたむきに努力をしていたのも、桑島に愛されたい一心だとしたら……その健気さに胸が痛んでしまいます。
自分だけを愛し、褒めてくれる大人がいない獪岳にとって自分を褒めてあげられるのは自分だけ。高すぎる自尊心は、愛着障害にもがき苦しみながらも懸命に生きる中で身に付いたものなのかもしれません。
獪岳は雷の呼吸の継承権を持ちながら鬼となった悪役として描かれています。彼が鬼になったことで師匠の桑島は自死してしまいました。善逸はそのことを激しく責めており、そうされるだけのことをしていることは確かです。
しかし、私は獪岳がすべて悪いとは言い切れないと思ってしまいます。なにせ彼が迫られたのは鬼になるか死ぬかの二択。黒死牟から生きて逃げられる可能性など万に一つもなく、そんな状況で師匠や仲間のためとはいえ死を選べる人がどれだけいるでしょうか。
善逸は「アンタが鬼になったせいで爺ちゃんは腹切って死んだ!!!」と獪岳を責めていますが、獪岳からしたら「アンタが死ねば桑島は自死せずに済んだ」と言われているのと同じこと。
獪岳が鬼になった状況を善逸が知っていたかは定かではありませんが、何にせよとてつもなく酷い責め方をしてしまっているのです。このことを踏まえると、この後に桑島を侮辱するような発言を繰り返しているのも、善逸の酷い𠮟責に対する反発に見えてきます。
最終的には師匠の仇討のように頸を斬られてしまった獪岳ですが、いつか生まれ変わって彼の心の箱が幸せで満ちることを願ってやみません。
獪岳を演じているのは細谷佳正さんです。2月10日生まれ、広島県出身。『テニスの王子様』の白石蔵ノ介役をはじめ、『進撃の巨人』のライナー・ブラウン役など数々の人気キャラクターを演じています。

1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。
