
いちファンとして、いちばんこだわったのは「当時のファンに楽しんでもらうこと」ーー『アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-』大川貴大監督に聞いたメイキングドラマ【インタビュー】
なにも変わっていない。それを楽しんで欲しい
──当時楽しまれていたファンの方に楽しんで欲しいというお話がありました。一方で、まだ両作品を知らないお子さんも楽しめそうですよね。
大川:そうですね。特に今、プリティーシリーズだと『ひみつのアイプリ』がお子さんたちの間で人気が高いので、そういうきっかけで今回の作品を見るお子さんもいらっしゃると思います。ステージが満載なので、それを見ているだけでも楽しめるんじゃないかなと。
──衣装もすごくきらびやかですし。
大川:すっごくキラキラしていますよね。それに今でしたら配信で過去の放送も見られますから。エピソードは大量にあるので(笑)、楽しんでいただけるかなと。
──年齢層はどのあたりを意識していたんですか。
大川:当時子どもだったファンの方たちに向けた作品、というのが第一ではあったのですが……ただ、当時から両作品、ファン層はかなり広かったんですよね。そういう意味でも、今作が当時と違うのは、完全に子どもだけに向けたものじゃないというところではあるかもしれません。ただし「大人向けに作った」というわけではなく、当時の雰囲気や空気感をそのまま持ち込んで、懐かしさを感じてもらうことを大切にしているので、なにも変わっていないところを楽しんでもらいたいなと。そこは、あえてそういう作り方にしています。
──劇中、「キセキ」という言葉をあかり、らぁらが使う場面がありますが、監督自身がキセキを感じた瞬間というのはありましたか。
大川:もう何度も感じましたね。特に大きかったのは、人が集まってくれたことです。今回、作品のボリュームに対して制作期間は限られていましたし、今のご時世的にアニメ映画もたくさん公開されていて人材確保が難しいんじゃないかと最初は危惧していました。でも、業界の中にも当時から『アイカツ!』や『プリパラ』が好きだった方がたくさんいらして、当時のスタッフさんも含めて快く「ぜひ参加したい」と引き受けてくださった。結果的にスタッフがすぐ集まってくれて、「作品のパワーってすごいな」と感じました。
──大川監督のように、当時作品が好きだった方が業界に入ってきているというのもあるんでしょうか。
大川:それも大きいと思います。今回、タツノコプロさんCG班に、放送当時はまだ学生で、『アイカツ!』も『プリパラ』も両方好きで見ていたという女性スタッフの方がいて。その方がステージの衣装を決めるときなど、積極的に「このキャラならこれが似合うんじゃないですか」とどんどんアイデアを出してくださったんです。そういう熱意もうれしかったですね。
──SNSなどで情報が出るたびに大きな反響がありますが、ファンのリアクションを、監督はどのように受け止めていますか。
大川:純粋にうれしいですし、本当に皆さんが楽しんでくださっている様子や、当時を懐かしむ空気がすごく伝わってきます。情報が公開されるたびに、その反応を見るのが自分も楽しみです。
──先ほど「いちファンだったから」というお話もありましたが、だからこその喜びというのもありますか。
大川:やっぱりファンだったからこそ、「この情報はきっと驚いてくれるだろうな」とか「ここは喜んでくれるだろうな」というのが何となくわかるので、だから実際にそういう反応をいただけるとすごくうれしいですね。こんな言い方をしてしまうとあれなのですが、こういう作品なので「既存のステージを使い回しているのかな」と思われるかもしれませんが、全部新規のコラボステージなんです。
──しかも「この曲をこのメンバーで!?」という驚きがありました。
大川:本当にそうですね。やはり一番の見どころはステージです。あれだけ新ステージだらけだと、1回見ただけでは気づけないポイントもきっと多いんじゃないかなと。背景にも細かい演出がたくさん仕込まれているので、何度も楽しんでいただけたら嬉しいです。
──2026年3月21日(土)&22日(日)にはリアルでの 合同ライブも発表されました。映画の中でのコラボ曲が聴けるのかな……?と期待を寄せております。
大川:そうですね。先日リアルライブも発表されていて、そちらも楽しみにしていただけたらと思います。
「こういう前例ができたのは大きいかもしれない」
──今回のコラボレーションがアイドルアニメのシーンにおいて、どのような一歩になったと考えられていますか?
大川:アイドルアニメという大きなジャンル全体で考えると、一概には言えない部分もあるのですが……。実際に、映像にしてみるまでは自分たちもどうなるか想像できませんでした。でも実際にやってみたら、全然タイプが違うアニメでも、ステージに立てばアイドルとしての輝きは同じだと実感できたんです。これから先、もしかしたら他の作品ともこうしたコラボがあってもいいのかなと思いますけどね。ひとつこういう前例ができたのは大きいかもしれません。
──確かに、今後への期待が広がりますね。
大川:自分自身も他のアイドルアニメが好きなので、また別の場所でこうした企画が生まれたら楽しいだろうし、自分も見たいなって思います。
──最後に、大川監督から読者の方へ一言いただけたらと思います。
大川:今回は“融合空間”という特別な場所でステージが展開されます。『プリパラ』は観客も含めてみんながアイドルという世界観ですが、今回の客席にはそれに合わせて『アイカツ!』のスターライト学園の子たちが集まっていて、客席全体がまさにアイドルの空間になっているんです。当時、筐体などでアイドルとして楽しんでいた皆さんもたくさんいらっしゃると思うので、ぜひ自分を重ねるような気持ちで、「自分もアイドルなんだ」と感じながら、一体となってライブを盛り上げていただけたら嬉しいなと。
──『プリパラ』10周年のときに森脇監督たちにお話をうかがった時に、自分が入り込める作品という話をされていて。その時に、まさに参加型であること、そしていわゆるモブである女の子たち全員に名前があるというこだわりを伺いました。それで栄子(A子)が序盤に登場するっていう。
大川:ああ、なるほど! 「み~んなトモダチ!み~んなアイドル!」を掲げる『プリパラ』ならではのお話といいますか。でもまさにそれは今回の作品でも大切にしていることのひとつで。ひとりひとりのアイドルの力が集まって、キセキが生まれていくんです。
[インタビュー/逆井マリ]


















































