
「僕にとっては『ヒロアカ』そのものがヒーローなのかもしれませんね」──『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』オールマイト役・三宅健太さんインタビュー
引退後も“役に立てる喜び”は忘れられなかったんじゃないか
──この10年近くで、オールマイトの捉え方に変化はありましたか?
三宅:彼はもともとが“無個性”だからこそ、できないことをやりたくなるピーキーさがあると思っています。そこはシーズンを重ねるごとに緑谷少年にも垣間見えたんじゃないかなと。そういう意味では、初期と比べて「正義」の見え方がだいぶ変わりましたし、完璧なヒーロー像からはちょっと外れた人物だなと思うようになりました。
あと、神野でワン・フォー・オールを燃やし尽くしてから緑谷少年を守り育てることに専念すると誓いましたが、ヒーローとして“役に立てる喜び”は忘れられなかったんじゃないかなって。その葛藤を、僕は演じるにあたってよく考えたところです。
──中身はちゃんと人間ということですね。
三宅:歯を食いしばって笑顔を見せているマッスルフォームみたいなものですよね。僕としては第3期くらいまでは完璧な象徴を演じましたが、第4期からは象徴を演じるのを辞めるようになって。そのおかげで“八木俊典”としての人物像が見えてきたのかなと思っています。
──ちなみに、最初はマッスルフォームとトゥルーフォームは明確に分けていたのでしょうか?
三宅:最初は少しだけ差別化を意識していました。特に、トゥルーフォームは内臓のダメージの影響で浅い呼吸になるようにしていたり。
でも近年はトゥルーフォームがメインになったことで、同じでもいいんじゃないかと思うようになりました。マッスルとトゥルーで性格が変わるわけでもないですし。ただ、トゥルーフォームはより人間的な弱さを演じないといけない難しさはありました。
──人間味のあるトゥルーフォームのほうが大変だったのですね。
三宅:難しかったですね。当初、音響監督から「あなたは頑張らないで」と言われていました。それは平和の象徴であることを説明すればするほどステレオタイプになってしまい、みんなが安心できなくなってしまうからなんですよね。
加えて、トゥルーは声を強く押し出せないのに芯の強さを表現しないといけなくて。特に第6期の壮絶な気迫のみで敵<ヴィラン>を退けるところなんて、一番大変だったかもしれないです。そういう意味でもトゥルーのほうが難しいかもしれません。
しかし、再びヒーローとしてのお仕事をいただいた以上は絶対に負けない気持ちで挑んでいます。
僕はオールマイトに怒っています
──オール・フォー・ワンを相手に奮戦しましたが、第162話では大ピンチを迎え、そこから爆豪に救われる展開となりました。
三宅:オールマイトはオールマイトなりに、死柄木のもとにオール・フォー・ワンをたどり着かせない使命で戦っているものの、僕は怒っています! 緑谷少年と死なないと約束したじゃないですか。それなのに……。もう、かっちゃんが間に合ったのは奇跡ですよ。
だからオールマイトに言いたいです、「あなたもみんなに生かされているんだよ」と。
──危うくサー・ナイトアイの言っていた通りになりそうでした。
三宅:本当にそうですね。かっちゃんはもちろん、かっちゃんを救ったエッジショットに感謝です。
──爆豪が助ける展開というのは驚きました。
三宅:正直、かっちゃんには申し訳ないとすら思っています。オールマイトはなんでもっとかっちゃんに目を向けなかったのかと。第7期でかっちゃんはサインが欲しかったと言っていましたけど、僕としては何枚でもあげたいです(笑)。
──(笑)。しかし、爆豪はもちろん、みんなが助けてくれたのはオールマイト自身がバトンをつなげてきたおかげでもあると思います。
三宅:そこはオールマイトが積み上げてきた結果ですね。過去に頑張ってきたからこそ緑谷少年やかっちゃんもヒーローになろうと思いましたから。改めて、ヒーローとしてではなく、人間として生かされたんだなって。本当に、いい意味で運命が捻じ曲げられました。
個人的にはサーとのシーンは走馬灯のような状態ということもあって、収録はかなり苦戦したことをよく覚えています。
──そこは八木俊典として演じたのでしょうか?
三宅:八木です。もう助けられた瞬間はオールマイトではいられませんでしたし、むしろオールマイトでいることをやめようと思ったくらいです。
『ヒロアカ』そのものがヒーローなのかもしれない
──最後に、三宅さんにとって『ヒロアカ』はどんな存在ですか?
三宅:緑谷少年がNo.1ヒーローを目指す物語というのはもちろんですが、僕としてはオールマイト目線でヒーローを見つける物語でした。ただ、結局のところ「ヒーロー」について答えが見つからなかったんですよ。ヒーローとは強くてかっこよく、正義であればいいというわけではないですし……。
でも、おそらく最終話が放送される頃には自分にとってのヒーローが見つけられるのかなと。加えて、その頃には自分が生きていくうえでの新たな目標が見つかるのかなとも思っています。
そんな風に、声優として一歩踏み出すきっかけを与えてくれた作品です。そう考えると僕にとっては『ヒロアカ』そのものがヒーローなのかもしれませんね。
【取材 MoA】
TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』作品情報
僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON
2025年10月4日より毎週土曜夕方5:30放送中!
読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネット
※一部地域を除く

配信情報
TVアニメ1期~7期 各動画配信サービスで好評配信中!!
http://heroaca.com/onair/#ondemand
イントロダクション
コミックスシリーズの世界累計発行部数1億部を突破!10年に渡り「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載、堀越耕平による大人気コミックを原作としたTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』。
舞台は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性” を持つ世界。事故や災害、そして“個性”を悪用する犯罪者・敵<ヴィラン>から人々と社会を守る職業・ヒーローになることを目指し、雄英校に通う高校生・緑谷出久“デク”とそのクラスメイトたちの成長、戦い、友情のストーリーが繰り広げられていく!
そして通算8期目を数えるシリーズは、ついに【FINAL SEASON】として2025年10月より放送決定!!
ストーリー
超常能力“個性”を人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オール(OFA)を受け継いだ。
デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指し、ヒーロー科1年A組のクラスメイトたちと共に成長していく。
デクたちの雄英2年目の春。デクをはじめとするヒーローたちと、死柄木弔とオール・フォー・ワンの率いる敵<ヴィラン>はいよいよ最終決戦に突入し、日本各地で激しい戦いが繰り広げられる。
轟焦凍とエンデヴァー、そして荼毘=轟燈矢たち轟家の因縁、お茶子とトガの対峙は決着を見た。そしてついに、“個性”ワン・フォー・オールを全開にしたデクと、自身を乗っ取ろうとしたオール・フォー・ワンの意識を逆に取り込み完全に覚醒した死柄木。若返りで全盛期の力を取り戻したオール・フォー・ワン本体と、“無個性”ながらパワードスーツを纏った“アーマードオールマイト”。彼らの戦いが決着へ――!
果たして、デクの「僕たちが最高のヒーローになるまでの物語」はフィナーレで成し得るのか、それとも全てが崩壊するのか……!?
スタッフ
原作:堀越耕平(集英社 ジャンプコミックス刊)
総監督:長崎健司
監督:中山奈緒美
シリーズ構成:黒田洋介(スタジオオルフェ)
キャラクターデザイン:馬越嘉彦・小田嶋瞳
美術監督:池田繁美・丸山由紀子(アトリエムサ)
色彩設計:菊地和子(Wish)
撮影監督:澤 貴史
3DCG監督:安東容太
編集:坂本久美子
音響監督:三間雅文
音楽:林ゆうき
オープニングテーマ:「THE REVO」ポルノグラフィティ
エンディングテーマ:「I」BUMP OF CHICKEN
プロダクション・スーパーバイズ:ボンズ
アニメーション制作:ボンズフィルム
声の出演
緑谷出久:山下大輝
死柄木弔:内山昂輝
オールマイト:三宅健太
オール・フォー・ワン:大塚明夫/神谷浩史
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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会















































