
『プリズム輪舞曲』原作者・神尾葉子さんインタビュー|「女性にとって決して楽な時代ではなかった1900年代の中で、一条院りりという女性がどんなふうに生きていくか、それを見守りながら描きました」
アフレコ収録現場では、声優のお芝居に感動して涙を流すことも
──今回の作品ではアフレコ収録には参加されましたか。
神尾:はい。
櫻井:神尾先生は、全20話のアフレコ収録の全ての回に参加してくれました。
──アフレコ収録について、感想をお聞かせください。
神尾:私は声優さんにあまり詳しくないんですけど、こんな私でも知っている声優さんばかりのキャストだったんです。こんなに素晴らしい方々が集まってくださったということにも、すごく感動しました。実際に立ち会ってみて、みなさんの演技が本当に素晴らしくて、すごくビックリしたんです。
例えば、種﨑敦美さんだったら、主人公のりりが泣くシーンがあるんですけど、収録現場のガラスの向こうで、種﨑さんのお芝居を見ているだけで、こちらも感動して涙を流してしまうことがありました。本当に素晴らしい演技をなさる方ばかりで、とてもありがたかったです。
──アフレコ収録で先生が演出されたことはありましたか。
神尾:全くないです。ただ、私がいることによって、「この感情とこの感情では、どちらかがいいですか」と最終的な判断を聞かれたら、「私はどちらかというと、こっちの感情ですね」というのはありましたけど、それ以外はなかったです。
──キャストはオーディションをして決められたのですか。
神尾:はい。私も含めて監督、櫻井さんなど、みなさんで「この方がいいんじゃないか」と話しました。
漫画を描く時に一番大切にしていることは、「自分が楽しんでいるか」ということ
──長く漫画家として生活をされていますが、漫画家にとって持ち続けているもの、必要なものはどんなことでしょうか。
神尾:まず漫画を描く時に一番大切にしていることは、「自分が楽しんでいるか」ということです。自分が楽しくないと、読者の方も楽しく感じてくれないんじゃないかと思っています。あとは、読者の方が読んで、次の日にちょっと楽しい気持ち、「次回が楽しみだな」と思っていただけるような、そういうものを常に描きたいなと思っています。
──『プリズム輪舞曲』という作品に触れて、ご自身の中で感じた変化や影響はどんなことでしょうか。
神尾:変化は、今まではずっと一人で作っていたので、大勢の方とお仕事をするというのが今回初めてで、例えば櫻井さんに「これ、どうしたらいいと思いますか」とか、今も相談しているんですけど、みなさんがいて、一人じゃないってすごくいいなと思いました。
櫻井:僕、驚いたんですよ。漫画家って、そうは言っても編集の方やアシスタントの方がいるので、もうちょっと集団で作ると思っていたら、基本は全部自分一人で考えていますと聞きました。
神尾:もちろんそうですね。
櫻井:それを聞いて、逆に驚いたんですよね。ずっとお一人で仕事をされてきた方だと、大勢の人と関わることがストレスに感じたりするんじゃないかと思いましたが、そんなことは先生から全く感じられなかったです。
神尾:本当にビックリするぐらい、みなさんと仲良くしていただきました。初めはコロナ禍だったので、マスクをしていて、みなさんの顔半分がずっとわからなかったんですよ(笑)。後半になって、アフレコ収録現場に通うあたりから、どんどん仲良くなっていって、もめることも一度もなかったですね。
櫻井:ないです。すごく良好な関係で、もうちょっと揉めてほしいぐらいでした(笑)。中澤さんもけっこう重鎮な監督ですけど、まず「神尾先生が何をやりたいか。どっちの方が合っているか。先生が決めてください」となるし、先生も「作品は監督のものですから、監督が決めてください。。自分が決めるのはおこがましいです」みたいな感じでした。
そういった謎の紳士と淑女の譲り合いがあって、「誰か、どっちか言ってくれ」みたいな流れになったりすると、「そんなこと言うんだったら、櫻井さんが決めてください」となってしまう。僕が「だったら、アニメーションプロデューサーの吉信さんが決めてよ」と、さらなる譲り合いになるんです(笑)。逆にそれぐらいお互いをリスペクトしていて、お互いの話を尊重して、相手がどう思うか決めようという現場でした。
神尾:(笑いながら)はい、そうです。
櫻井:ダビングやアフレコも多数決とまではいかないけど、テイク1、テイク2、テイク3の中で、どれがいいか決める時に、それも3票ずつ分かれたりする。そうすると、神尾先生が決めるという流れになるんだけど、神尾先生も「いや~、決められません」ということになって。最終的にはもちろん合意で決めていくんですけど、そういうプロセスがありました。あれだけのヒット作を飛ばした方ですから、天皇陛下みたいなイメージがあってもおかしくないんですけど、「こんなに謙虚な方なんだ」とビックリしました。
神尾:よくわからない世界に飛び込んだということもあるんですけど、みなさんにお任せしていました。ただ、私が思っている着地点と全然違うということが全くなくて、みなさん同じところに最終的に立っていたので、同じ気持ちで作っていけました。たぶん感覚がすごく似ていたりするところもあって、それは大変ありがたかったです。
──完成した作品をご覧になった感想をお聞かせください。
神尾:本当に映像も綺麗でしたし、声優さんの声で魂が入っているのが素晴らしくて、何も言うことがなくて、ただただたくさんの方に見ていただきたいという気持ちでいっぱいです。
──特にお好きなシーンやエピソードをお聞かせください。
神尾:私が特に好きなのは、17話から最終話までです。ちょっと特殊な演出があるんですが、それがすごく好きで、見ているみなさんにもビックしていただきたいなと思っています。
──作品を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
神尾:もうこれ以上ない、会心の作品です。私も含めたスタッフみなさんの全力で作った作品なので、ぜひたくさんの方に見ていただけたらと思っております。
──ありがとうございました!
[取材・文]宋 莉淑(ソン・リスク)
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