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- まりも
- ゾロとONE PIECEを偏愛するフリーライター。アニメ、推し活、恋愛、結婚、睡眠など、幅広く執筆しています。

※本記事には『ONE PIECE』最新話(第1170話)までのネタバレを含みます。コミックス派やアニメ派の方等、ジャンプ未読の方はご注意ください。
海賊王を目指し海へ出た主人公モンキー・D・ルフィとその仲間たちの活躍を描く、週刊少年ジャンプで連載中の漫画『ONE PIECE』(原作:尾田栄一郎氏)。
最新のエルバフ編では、天竜人のなかでも「五老星」に次いで位の高い戦闘集団「神の騎士団」や、その控えとなる「神の従刃」の実態が次々と明かされはじめています。
彼らはそれぞれ、世界の裏の王であるイム様と“契約”を結ぶことで、特別な力と地位を手にしているとのこと。
現在判明している情報をまとめつつ、読者の考察も交えながら五老星・神の騎士団・神の従刃各位がイム様と交わす“契約”について解説していきます。
イム様との契約には3つの段階があり、それぞれ「浅海契約」「深海契約」「深々海契約」と名前がついています。
五老星は、これらの契約について以下のように語っていました。
「“契約”には3段階ある 「浅海契約」はわずかな“結”だが」「「深海契約」「深々海契約」こそが この世に13人としか結ばれぬ 本物の “神” との契約者」(五老星/『ONE PIECE』第1167話より)
契約の内容についてはこのあとくわしく解説しますが、簡単に言えばどれもイム様からの“支配”と引き換えに“特別な力を与えてもらえる”もの。
「浅海契約」から順に契約内容が重くなり、与えられる力も変わっていきます。そのためか、深い契約になるほどそう簡単には締結できないないようです。ここは名前どおりでわかりやすいですね。
浅海契約を結ぶと、神の従刃の地位が与えられます。
神の従刃とは、神の騎士団の懐刀とされる存在。神の騎士団の正式メンバー候補、いわゆる見習いや練習生みたいなものというイメージが近いでしょうか。22年前〜15年前のハラルドや聖地時代のシャンクスがこれにあたります。エッグヘッド編で天竜人になる話を持ちかけられ、ガーリング聖の直属の部下となったヨーク(ベガパンクのサテライト)も、この浅海契約を結んだ可能性があるかもしれません。
浅海契約を結んだ者の左腕には、世界政府のマークをくずしたようなデザインのタトゥー(マーク)が出現。音楽記号の「コーダ」にも似た印で、これによって五芒星(アビス)の通り抜けが可能になります。
そして、“わずかな結”とされる浅海契約でも、イム様の能力圏内にいる限りは、その命令に逆らえなくなってしまいます。
「この「浅海契約」だけでも 奴の能力圏内では逆らえなくなる……!!」(シャンクス/『ONE PIECE』第1169話より)
逆に言えば距離さえとればどんな言動をとってもセーフなようで、シャンクスは聖地から離れた場所でハラルドに身分を明かしたり、ギャバンに聖地の実態を報告したりしていました。
ちなみに、ハラルドは浅海契約の間イム様の存在を知らされておらず、五老星から聖地への昇格許可および契約を持ちかけられていました。基本的に、浅海契約の段階でイム様の存在を知ることはできないようです。
深海契約を結ぶと、神の騎士団に昇格します。深海契約を結んだ神の騎士団とは、イム様お抱えの私兵団として暗躍する存在です。メンバー内には悪魔の実の能力者が複数おり、幾度でも再生する不死身の身体も相まって、麦わらの一味を圧倒するなど実力は相当なものと見受けられます。しかし、覇王色の覇気をまとった攻撃には弱いようで、ロジャー海賊団には何度もズタズタにされた過去がある様子。
過去から現在にかけて昇格などによる入れ替わりもありますが、シャムロック聖、軍子宮、ソマーズ聖、キリンガム聖、マッフィー宮、団長時代のガーリング聖、従刃から昇格後のハラルドなど多くのキャラクターが深海契約を締結しています。基本的には天竜人のみで構成されていますが、下界の者をスカウトすることもあるようです。現に、ハラルドや軍子(詳細は不明)のように生まれながらの天竜人ではない者も深海契約を結び、神の騎士団へメンバー入りを果たしています。
五老星の言葉を借りるならば、そんな深海契約は本物の “神” との契約者へとステップアップする段階。ということで、契約者はイム様から直々にみなぎる力と不死身の身体を与えられます。
また、五芒星(アビス)の通り抜けに必要な左腕のタトゥー(マーク)のデザインもすこし変わり、悪魔のツノのようなデザインが追加されます。さらに自身で五芒星(アビス)を作り出すことが可能になり、遠距離の移動も容易に。アウルスト城の五芒星(アビス)は、神の騎士団になったハラルドが生成したものでしょう。
「「神の騎士団」が契約で得るものは 「人間離れした筋力」と「不死の体」 遠距離の移動手段「五芒星の生成能力」」(シャンクス/『ONE PIECE』第1169話より)
圧倒的な身体能力と不死身を得る反面、どこにいてもイム様の支配が届き、命令に逆らえなくなるというのも深海契約の特徴です。
「そのかわりどこにいても“御大”の命令に背けず 奴の声はどこまでも届く…!!」(シャンクス/『ONE PIECE』第1169話より)
実際に深海契約を結んだハラルドや軍子の様子からすると、イム様の支配はまるで憑依のよう。突然自我を失い、肉体も脳もまるっとイム様に乗っ取られたような状態になります。ハラルドいわく、操られているのとは少し違い、思考そのものがイム様の影響を受ける感覚なのだそう。この仕組みは、ロックスが命を落とす原因となった「黒点支配(ドミ・リバーシ)」とほぼ同じだと考えられます。
「命令に逆らえない!?」「おれの考えも変わるのか!? あいつの命令によって…」(ハラルド/『ONE PIECE』第1169話より)
ハラルド「おそらく思考そのものが… 奴の影響を受け始めるんだ…」「自分を神とでも思い始める」(ハラルド/『ONE PIECE』第1170話より)
ときに、契約者の身体を借りてイム様が発言することもあるようです。
「ムーが見せてやる…!!!神の支配!!!」(軍子/『ONE PIECE』第1149話より)
本人の意思にかかわらず身体がイム様の思惑通り動いてしまう反面、自我を持って己で思考・発言できる時間もあるからこそ、この支配から逃れたいと感じても死ぬことは叶わないというジレンマがより恐ろしいですね。
三段階めの深々海契約は、五老星が結んでいる契約だと考えられます。
その詳細は語られていないものの、おそらく浅海契約・深海契約よりもさらに強い力を得られる内容だと予想されます。
五老星といえば「見た目が変わらない」ことが長年疑問視されていますよね。サターン聖にいたっては200年前からビジュアルが一定です。
つまり、深々海契約では、五芒星(アビス)の生成・移動能力や超能的な身体能力、不死にくわえて「不老」の能力が付与される可能性があります。
神の騎士団から五老星に昇格したガーリング聖は騎士団時代から数十年分しっかり年を重ねており、五老星入りを果たしたからといって若返ったわけではありません。このことから、深々海契約で得られる不老能力では、契約を結んだ時点から老いが止まるということなのでしょう。
一方、神の騎士団ながら50年以上ビジュアルが変わっていないと見受けられる軍子。彼女はなんらかの理由で、特別に深々海契約を結んでいるのかもしれません。
そして、五老星はそれぞれ「牛鬼」「以津真天」「封稀」「馬骨」「サンドワーム」と怪物に変身し戦闘を行いますが、これまでの描写でこれが悪魔の実の能力だと説明されたことはありません。この変身能力も、深々海契約の一環であると考えられます。
また、深々海契約ではほかの契約よりも得られる力が大きくなる反面、イム様の支配もさらに強まる可能性が高そうです。
深海契約の時点では、イム様の思考に影響されつつ、イム様の意と反する内容であっても己の思考や発言が可能な時間が残されています。深々海契約になると、こういった自我が完全になくなり、つねにイム様の思考どおりに言動するようになってしまうのではないかと予想する読者が多いようです。
そこで、一部考察では「五老星ももとはハラルドのようにどこかの国の王だった」「イムの支配に逆らえないだけで、本当は世界を良くしたい善良な人たちだったのでは」という意見も。
たしかに五老星にはそれぞれ、冷酷さのなかに“情”のようなものが垣間見えることがあります。たとえば、イム様からルルシア王国を消せと命じられ「ずいぶん人がいます」と発言したり、エッグヘッド編ではボニーをソルべ王国で静養させたいというくまの願いを聞き入れたり、独断で廃棄を命じられた“鉄の巨人”(エメト)の研究を許可し「アレは“未来”だ……!!」と発言したり。
こうして時折かすかな自我が顔を出すかのようにして、根っからの悪ではないと匂わせる点が、より強いイム様の支配を感じさせるのです。
そんな強固な契約が切れると、契約者はどうなるのか。契約段階や契約解除の理由にもよるかもしれませんが、すでに描かれた一例として、イム様の逆鱗に触れたサターン聖は与えられた不老不死などの能力を一気に失うかのようなスピードで即死しました。
まだ謎に包まれている部分も多いイム様との契約ですが、その内容は判明しているだけでもじゅうぶんに五老星や神の騎士団が持つ強さや恐るべき能力、イム様に絶対服従の理由がわかるものとなっています。
ちなみに、なぜイム様と契約できる人数がキリの悪い13人なのかは作中で明かされていませんが、“13”は昔から神や悪魔にまつわる不吉なイメージを持つ数字として有名です。
たとえば、イエス・キリストの「最後の晩餐」。晩餐には、イエスと12人の弟子がおり、13番目の席に座ったユダがイエスを裏切ったとされています。聖書では、悪魔(サタン)がユダに入ったと記載されていて、13という数字が裏切りや悪魔の象徴として定着したといいます。
そのほか、北欧神話にも「12人の神の祝宴に招かれざる13人目の客として火の神ロキが乱入した」という話があったり、テンプル騎士団が悪魔崇拝の罪を着せられた事件(1307年)が「13日の金曜日」だったために13が不吉な数字として定着したり……など。こういった「ロキ」「騎士団」といったワードが絡んでいるのも興味深いですね。
反対に、12は時間や星座などにも用いられる「完璧な数字」とされているそう。契約が深まるほどに、じつは契約者たちがイム様の悪魔的な支配に苦しんでいるのなら、いつかルフィたちが勝利してイム様が倒れたとき、使徒のような12人の契約者たちが支配から解放され善良な人間に戻るなんてこともあるのかもしれません。
[文/まりも]
