
「ここからは物語が一気に真相へ近づいていきます」──TVアニメ『【推しの子】第3期』黒川あかね役・石見舞菜香さん【連載インタビュー第3回】
「ずっと心が痛いです」
──第3期の物語を初めて読んだ時の第一印象を教えてください。
石見:『【推しの子】』は復讐の話以外にも、恋愛リアリティーショーや舞台の裏側など芸能界のリアルを描く、ある種のドキュメンタリー的な側面がある作品だと思っています。第3期ではバラエティ番組の裏側を描きつつ、復讐の物語もどんどん進んで真相に近づいていくので、全体的にシリアスなトーンが強いな、という印象がありました。
ルビーちゃんも色々なことを知って変わっていきますし、アクアくんも一度は復讐から解放されたものの、また(復讐を)選ばざるを得なくなる。物語が確実にクライマックスへ向かっていく、怒涛の展開だと思います。
──あかねと関係性の深い有馬かなとの印象的なシーンについてもお聞かせください。
石見:かなちゃんは今のあかねちゃんを作った根源的な存在なので、2期の過去編や『東京ブレイド(東ブレ)』の話が印象的でした。あかねちゃんが女優になったきっかけであり、プロファイリングができるようになったのも「かなちゃんのことを知りたい」という気持ちが始まりでしたから。
「どうしてかなちゃんはあんなことを言ったんだろう」と考えて心理学の本を読み始めたところから、すべてが始まっているんだと思います。かなちゃんが大好きで、信じているからこそ、行き過ぎてしまうところもあるんですけどね(笑)。
でも一緒にお芝居をすると、太陽みたいなかなちゃんを前にして「敵わないな」とも思ってしまう。それをお互いに対して想い合っている関係性が素敵だと思います。
──第3期では、そんな有馬かなが非常に辛い局面に立たされています。
石見:かなちゃんは不器用なだけで、本当に一生懸命で、仕事に貪欲で、責任感も強いんです。私も潘さんのお芝居を見ていて、すごく胸が痛くなりました。でも第3期はどのキャラクターも動揺したり、泣いたりする描写が増えていて……ずっと心が痛いです。
──アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
石見:とても和気あいあいとしていました。それぞれが自分の時間を過ごしていて、長く一緒にやってきたからこその安定感がある座組だなと思います。
──第3期のアフレコ現場で印象に残っているエピソードはありますか?
石見:第3期は大人組のキャラクターも増えましたが、同時に若手の役者さんが参加する機会も多くありました。あるとき、私と大塚さんが一番先輩になった現場があったのですが、後輩の方々がとても緊張されていて。でも「一番上が私たちだから、むしろ一番緊張しなくて大丈夫な場だよ」と(笑)。
第1期から参加しているメンバーであり一番先輩の立場として、第3期から加わってくれた若手のみなさんの成長を見守るような気持ちでした。それだけに新しい仲間たちの初々しい反応が新鮮でしたね。
──そんな『【推しの子】』第3期における、石見さんの“推しの子”を教えてください。
石見:えー! 難しいですね……! (少し考えて)第3期を見ていて「応援したいな」と感じたのはかなちゃんです。アクアくんのことで悩んだり、仕事の中での自分の居場所に迷ったりしながらも折れない。そんなかなちゃんらしい強さが見えるシーンが多かった印象です。一生懸命なのに空回りしてしまったり、想いがうまく伝わらなかったりするところも含めて共感できるなと思いました。……でも、一番の推しは誰かと言われるとやっぱり(鳴嶋)メルト(CV:前田誠二)くんかもしれません(笑)。
──石見さんが感じるメルトの魅力も教えてください!
石見:とにかく頑張り屋さんなところです。実は今までメルトくんのような雰囲気のキャラクターに惹かれることはあまりなかったんです。彼はお芝居に出会うまで、人生がかなりイージーだった……見た目も良くて、モテてきて、挫折を知らないタイプですよね。
お芝居で初めて挫折を味わったときも、別の道を選択することはできたのに、お芝居にちゃんと執着した。「自分が演じなければ、この役はもっと素晴らしいものになったかもしれない」という悔しさから努力を重ねて、ワンシーンだけに絞って格好良く決めたんです。ちやほやされるだけではない、本当の泥臭い魅力が詰まっていると思います。
あとは、シンプルに面白いところも好きですね(笑)。前田さんのお力でもあると思うのですが、演技下手なところが本当に面白くて。そのギャップが素敵だと思います。
メルトくんは元々、後先を考えずに発言してしまうタイプだと思うんです。自分主体で、素直で取り繕わないからこそ「別にカワイければ」と炎上もしてしまう。そういった過去の自分に苦しめられながら、それでもこのままで良しとせずに、変わることを選んだ……。そう考えると、作中で一番成長したキャラクターなんじゃないかと思います。
──ありがとうございます。最後に、第3期第8話以降の注目ポイントを教えてください。
石見:8話以降はもちろんフィクションなのですが、どこかリアリティを感じるかなちゃんの週刊誌のエピソードが描かれていきます。
復讐劇として楽しんでくださっている方も多いと思いますが、やはり芸能界のドキュメンタリーとしても知的好奇心をくすぐられるお話でもあるんですよね。
一つの作品でありながら何通りもの味わい方ができる、本当に奥行きのある作品だなと、TVアニメ第3期を通して改めて思いました。第1期、第2期とはまた違った雰囲気でお届けできると思いますし、ここからは物語が一気に真相へ近づいていきます。ぜひ最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
【インタビュー・編集:西澤駿太郎 撮影:胃の上心臓 文:柴山夕日】

































