
四季の代行者と護衛官、“八者八様”の想いを抱えた“人”の物語をじっくり噛みしめて、見守ってほしい──『春夏秋冬代行者 春の舞』花葉雛菊役・貫井柚佳さん×姫鷹さくら役・青山吉能さんインタビュー
スタッフからの心強い言葉を受け、自分たちのテンポで作り上げていった二人の空気感
──続いて、二人で掛け合いをする上で大切にしたことをお聞かせください。
青山:アニメのアフレコは普通、ボールド(キャラクターが喋っているタイミングを示すもの)にきっちり収めていくんですが、雛菊はゆっくりでしか言葉を伝えられないというのもあって、あまりボールドを意識しなくていいです、というお話が第1話のときにあって。「あとは絵が合わせるから!」という心強い言葉をいただきました。
貫井:そうしないとどうしても、雛菊が喋っている間にさくらの番が来てしまう、みたいなことがあるので。私たちのテンポで一緒に掛け合いをさせてくれて、ありがたかったです。
二人の関係性については、それぞれ抱えているものが違うなと。お互いに依存しているんですが、さくらは特に抱えている闇のパワーの発露がすごくて。見ていると二人とも抱きしめたくなります。
青山:「守りたい!」ってなるよね。
貫井:雛菊として、大好きなさくらのことをどうやって包み込んであげようかなと思います。お互い傷を負った者同士で、形は違いますが、二人で落ちていかないように支え合っているなと。キャッチボールができているとき、できていないとき両方ありますが、それも含めて二人の世界を作っていこうと思いました。雛菊の心を考えると同時に、それはさくらの心を考えることでもあるなと、アフレコに挑んでいました。
さくらは本当に闇のパワーがすごくて。そういった憎しみとかは普通ぶつけたくなる、声を前に出すことで表現したくなるところなんですが、青山さんはすごく静かに、けれど大胆に、凝縮して演じられているのがすごいなと思いました。
青山:その部分のディレクションも多かったです。しかも絵理子さんが身振り手振りで実際に見せてくださって。いつもほんわかされている絵理子さんが表現する憎しみの大きさがとんでもなくて、「受け取りました……!」と。本当にみんなで作っていった作品だと思います。
雛菊は「可愛い」という言葉だけにとどめたくない強さ、儚さ、絶望を秘めていて、でもちゃんと見目麗しくもあって。そんなあらゆるものを内包した声、お芝居って想像がつかなかったんですが、第1話で初めて声を聴いて、「ああ、これが雛菊だ」とすごく納得しました。
誰にも真似できない、本当に難しい役柄を真っすぐ演じていて、素晴らしいなと。なので、私はもし「最近の若手で、一番お芝居がいいなと思った人は?」と訊かれたら、「(大物プロデューサー風に)ああ……貫井かな」と答えます(笑)。とにかくそれくらい衝撃でした。
貫井:もったいなきお言葉……! 私のほうこそ、青山さんのお芝居が素晴らしいなと感動していました。さくらの力強さ、憎しみがないと生きていけない彼女の想いを凝縮して声を発せられていて。そういった場面が多い分、少しほんわかしたシーンになったときの温かさが心地よくて、そのコントラストも楽しかったです。
青山さんは普段、すごく背筋をしゃんとしていらっしゃるんですが、さくらの辛いシーンのお芝居をしているときは、そのときのさくらと同じように少し屈みながら演じられていて。
青山:現場でミキサーさんがマイクの高さを役者の身長に合わせてくださるんですが、それが段々、「いつも屈みながらやっているから」と私の身長より少し低くしてくださるようになって。改めて「アニメってワンチームなんだな」と感動しましたし、すごく嬉しかったです。
貫井:演じている後ろ姿がまさに「さくらだ!」と思って。普段の青山さんの雰囲気とは違う、背中にのしかかっているものを感じました。
春を求める少女・薺との出会いによって、二人が一歩を踏み出す
──第1話では、長い間テロ組織に囚われていた雛菊が帰還し、さくらと協力して大和国に10年ぶりの春を届けようと奮闘する姿が描かれます。お二人が特に印象に残っているシーンや、収録での思い出を教えてください。
青山:第1話からもうバスタオル必須です。収録していて、我々の間でティッシュが飛び交うくらい号泣していました(笑)。演者が泣いてどうするんだという話ですが、そのプロ意識が吹き飛ぶくらい良すぎて……!
特に、雛菊とさくらが出会う少女・薺(なずな)役の東山奈央さんのお芝居が本当に素晴らしかったです。
貫井:台詞が被ってしまう関係で別録りだったので、後ろから二人で東山さんのお芝居を見ていたんですが、泣きそうになって、音を立てないように必死でこらえて(笑)。終わった後に二人で「なんてお芝居をされているんですか……!」と駆け寄りました。
青山:「え~、泣いてるじゃん!」と驚かれました(笑)。「演じる」ということをまた一つ教えていただいたというか。「キャラクターの声を代弁できるのは自分しかいないんだ」と改めて気づかされました。
貫井:薺のおかげで、二人が心を動かされて、前に進むことができて。「季節をもたらす」という代行者の役目との向き合い方が見られるお話になっています。
青山:それぞれの季節にいいところもあれば、もたらす災いもある中で、春はやっぱり誰もが目指すところというか。「ここから始まる」ということが丁寧に描かれた第1話だと思います。
貫井:(取材時点では)音楽はまだ聴けていないんですが、きっと素敵だと思います。春の代行者としての力を使うシーンなど、完成映像が楽しみなシーンばかりで、とにかく盛りだくさんな内容になっています。
青山:製作サイドの並々ならぬ気合をアフレコが始まる前から感じていたので、自分たちも一層気合を入れて、全力で演じました。
──薺とのやり取りは、雛菊、さくらともに二人で話すときとはまた少し違った雰囲気が感じられました。
貫井:確かに。さくらは子供にも容赦ないというか。
青山:だって雛菊のこと以外はどうでもいいですから。「他者は危害を加えてくるもの」とすら思っているというか、警戒心みたいなものが常にある子だなと思います。とはいえ、薺は子供だし、段々「しょうがないな」というやり取りになっていきます。一方の雛菊は、子供と接するときはより優しくなるのがいいよね。
貫井:自分が子供のときに大人にやられたことが重くのしかかっている分、「子供を大切にしたい」という気持ちがあって。あとは子供の場合、怖がらずに接することができるのかなと思います。大人だと「何か目的があるのかもしれない」とかいろいろ考えてしまうので。
帰還してから初めて外の世界で話した子が薺で良かったなと思います。彼女によって、雛菊とさくらがわちゃわちゃするのも可愛かったです。
青山:ブチ切れまではいかずに、プリプリ怒っているさくらが可愛いなと。
貫井:言ってしまえば、3人ともまだ子供なので。束の間の温かい出会いだったのかなと思います。
青山:ここから、二人をはじめとした代行者主従たちの境遇が明らかになっていって、皆の心をえぐってくるシーンがたくさん出てくるので。私たちも同じくらい、えぐられながら演じています。
貫井:なので緊張感はもちろんあったんですが、皆さんの心遣いが温かい現場でした。
青山:暁先生も毎回お菓子を差し入れしてくださったりして。収録のたびに優しさを感じていました。
































