
春アニメ『MAO』主演・梶 裕貴さんが語る作品の見どころ|高橋留美子作品への想いと摩緒役の責任
『MAO』への愛情の深さがわかる丁寧な映像と節々に感じるアニメ表現の美学
──アフレコ収録中や休憩中の印象的なエピソードがあればお聞かせください。
梶:菜花役の川井田(夏海)さん、乙弥役の寺澤(百花)さんは、いわゆる若手・新人声優さんだと思うのですが、お二人とも“よくぞ見出したな”と驚くくらいにぴったりで、本当にお上手で。彼女たちを筆頭に、キャストの皆さんがすごくハマっているなというのは現場で感じていました。今後は百火役の下野さん、華紋役の豊永くんも登場しますし、他にも強烈な存在感を放つキャラクターがたくさん出てきます。皆さん作品愛が本当に強くて、『このシーン、アニメだとどういう表現になるのかな?』と常にウキウキ話していた現場でした。あ、忘れちゃいけないのが猫鬼の松山(鷹志)さん! とても優しく穏やかで、大好きなお方なのですが…そんな松山さんのことがちょっと嫌いになるぐらい、ぴったりで(笑)。
それから佐藤(照雄)監督が、ものすごく気遣いをしてくださる方で、毎週のように差し入れをご用意してくださって。旬の果物が確定であるんですよ(笑)。冬から春にかけての時期に頂戴した、見たこともないくらいに輝きを放っていたいちごが強く印象に残っています。みんなそれを楽しみにスタジオに通っているところもありましたね(笑)。音響監督の菊田(浩巳)さんは、僕がド新人の頃からお世話になっている大ベテランで、ほどよく現場の空気を締めてくださるお方。そんなお二人のそのバランスが心地よくて。
アフレコがスタートする前に菊田さんから、『梶さんの、ちょっと大人なお芝居を楽しみにしていますね』と言われ、若干プレッシャーにも感じていたのですが(笑)、終わる頃には『梶さんの摩緒、とても素敵でした』と言っていただけて、それがすごくうれしかったですね。
あと音響監督の菊田(浩巳)さんは、僕が新人の頃からお世話になっている方ですが、バシっとお芝居を締めてくださるので、僕ら役者は心地よかったです。また菊田さんの収録で、摩緒のような役を演じるのが初めてだったので、「梶さんのちょっと大人なお芝居を楽しみにしています」とおっしゃってくださって、収録が終わる頃には「梶さんの摩緒、素敵でしたね」と言っていただけたことがすごく嬉しかったです。
──アニメ本編映像をご覧になった感想をお聞かせください。
梶:まず純粋に『MAO』がアニメになっていることに感動しました。実は、アフレコ自体はすでに終わっており、最近になってようやく完成した映像を拝見したのですが、本当に感動的でしたね。アフレコ時から作品に対するリスペクト、愛情を感じる現場でしたが、色がついて音が入って動いている摩緒たちを見ると、あらためて感慨深い気持ちになりました。シンプルに、ものすごく質が高いアニメーションだなと感じております。
──『MAO』ファンでもある梶さんがそこまでおっしゃるほどのクオリティーなんですね。
梶:どのシーンも丁寧に作っていただいていますが、特にアクションシーンがすごくて。摩緒が刀を抜いて斬りかかる時の回転や剣さばき、刀を鞘に収める際の所作…優雅で美しい様子に、アニメ表現の美学が詰め込まれている気がして、あらためて『MAO』をアニメーションでお届けするということの意味や意義を強く感じましたね。
この作品は令和、大正、平安と3つの時代が舞台になっており、ヒロインである菜花が大正と令和を行き来することで物語が進行していくスタイルなのですが、もちろん平安時代のエピソードも、とても重要で。ミステリー描写の鍵となる回想シーンとして登場するので、そのあたりもご期待いただきたいですね。
それから、兼松(衆)さん作曲の劇伴が本当に素敵なんです。「和風」とひとくちに言っても、平安と大正では大きくイメージが違うじゃないですか。もちろん令和に至っては、いわゆる和風ではないわけで。そんな中、それらのバランスを絶妙にキープしながら、どの時代の魅力も「音」として表現してくださっていて、それが本当に素晴らしいんですよ。アニメ化が決まった時から「劇伴はどういう感じになるんだろう?」とワクワクしていたのですが、これ以上ないくらい見事にハマっていて感動しました。
梶さんがもしタイムスリップできるとしたらどの時代へ?
──ここで作品にちなんだ質問も。摩緒はカバンと刀(破軍星の太刀)をよく持ち歩いていますが、梶さんがいつも持ち歩いているものは何ですか?
梶:仕事道具でいうと、吹き替えの時に使う片耳用のイヤフォンです。吹き替え作品の現場では、原音を聞きながら、その声に合わせてお芝居をするので、アフレコ現場にはヘッドフォンが常備されているのですが、僕の場合、両耳が塞がってしまうと自分の声が聞こえにくくなってしまい、なんだかやりにくくて。なので、マイ片耳イヤフォンを常備しているんですよ。どこでも同じ感覚で演技ができるので、安心です!
──もし梶さんが違う時代にタイムスリップするとしたらどの時代に行きたいですか?
梶:回答を考えるうえで緒条件がすごく気になるのですが…まず希望の場所や時代は選べるものですか? また、元の場所には自分の意思で、何度でも戻れるのでしょうか? あと、その世界の自分を見ても死んだりませんか? 僕の面倒くさい性格としては、確認せざるを得ず…(笑)。
──かなり細かいですね(笑)。全部自由自在ということでお願いします。
梶:わかりました(笑)。それなら、ぜひいろいろな時代に行ってみたいですね。原始時代へタイムスリップして恐竜を見てみたいですし、縄文時代の生活も見てみたいし。あと平安時代に行って「古今和歌集」などの実物も見てみたい。いわゆる「まろ眉」も、僕らがイメージしているのと本当に同じなのかな、とか(笑)。
明治時代や大正時代には趣きもあるかと思いますが、同時に戦争の時代でもあるわけで、その時代の人たちがどう生きていたのか、とても興味があります。
最近ではAI技術を使って、モノクロ写真をカラー化できたりもしますが、どうしても白黒だったりセピアのイメージが強いじゃないですか。当然ですが、実際には今と変わらずカラフルな世界だったわけで…それをこの目で確かめてみたいですね。その時代の空気を肌で感じてみたい。
あとは、自分が子供時代を過ごした昭和末期から平成初期にも行ってみたいです。親になった今、自分がどう子供時代を過ごして、どう育ててもらっていたのかを見てみたくて。それから直近でいえば、自分の娘が今よりも小さい、まだ赤ちゃんだった頃をもう一度見たいですね。あの頃の娘に今、会いたい。…回答、全然絞れてなくてごめんなさい(笑)。
でも、それぞれの時代に行けるとしたら、役者として大きな武器になりそうですよね。体験に勝るものはないと思うので。摩緒役を演じている以上、平安と大正はマストで行ってみたいです。
──高橋先生の作品で好きな作品を挙げるとすれば?
梶:どれも好きなので選ぶのが難しいですけど……世代としては『犬夜叉』で、やはり中学生の頃にリアルタイムで観ていた作品の記憶は強いです。ただ、最初に認識したのは『らんま1/2』。再放送などで拝見していて、自分にとって初めて触れた留美子先生作品だったので、とても印象深いですね。
以降、様々なタイトルを拝読し、短編ならではの独特な世界観や、「人魚シリーズ」のような“心の闇”が詰まっている作品にも強く惹かれました。シリアスで少しダークなドラマはもちろん、ギャグパートにおける唯一無二のテンション感も魅力的ですし、作品ごとの振れ幅がとにかくすごくて。ありがたいことに『うる星やつら』にも出演させていただき、真逆の世界を体感したうえでの『MAO』だったのも、良い経験として活きていた気がします。
──今回『MAO』のアニメに携わったことで、改めて高橋先生のすごさを再発見、体感した部分はありますか?
梶:『MAO』は、体感としては95%シリアスな作風だと思うんです。もちろん留美子先生はギャグの天才でもありますけど、ここまでシリアスに振った作品でも、全世代を夢中にさせる力がある。その表現の幅広さを改めて感じました。
それに、今なお週刊連載を続けられていて、アニメ化までされているということ自体が、なによりの偉業だなと。これまでの作品すべてを経てきたからこその要素が『MAO』には詰まっていると思いますし、同時に、今だからこそ描けるものも散りばめられている。
あらゆる意味で、ますます壮大になっていく作品に、声優としてリアルタイムで関われていることが本当に嬉しいです。
深い人間ドラマや迫力のあるバトル、緻密な設定も張り巡らされた『MAO』を観て、ぜひ「るーみっくわーるど」の入口へ!
──『MAO』という作品の印象や魅力を感じる点をお聞かせください。
梶:小学生の頃に『犬夜叉』の連載が始まり、中学生のときにはアニメ放送を夢中で観ていた世代なので、"現代と過去を行き来しつつ、主人公とヒロインが宿命を背負い、ともに戦っていく"というドラマの骨格には、どこか通じるものを感じています。
ただ『MAO』は、過去といっても主な舞台は大正時代。そこに平安時代から続く呪いの物語が重なっていくというストーリーです。緻密で奥深く、とてもワクワクする構成ですよね。摩緒を中心とした主要人物たちの因縁や謎が少しずつ解き明かされていくミステリー性も大きな魅力のひとつだと思います。真実が段階的に明らかになっていく仕掛けが、次を追わずにはいられない引力になっているんですよね。さらに、令和の女子中学生である菜花のキャラクター性が興味深く、長い時間を生きてきた摩緒との価値観が交差する展開がたまりません。
文化や習慣の違いはあれど、二人が交流し関係を築いていく中で、その隔たりが少しずつ埋まっていく感じが絶妙で。その過程に宿る、広い意味での“愛”の描き方こそ、『MAO』ならではの魅力だろうなと感じています。
──アニメの見どころのご紹介とメッセージをお願いします。
梶:高橋留美子先生の描かれる壮大な世界観、漫画における些細なニュアンスを、丁寧にくみ取って形にしていただいる作品となっております。ですので、原作ファンの方にも絶対にご満足、ご納得いただける仕上がりになっているかと。またアニメ化を機に、初めて『MAO』に触れるという方にとっても、毎週続きが気になること間違いなしの展開ですので、まずは第1話の放送を、期待してお待ちいただければと思います。
しかもNHK総合さんで放送されるということで、ハードルなく日本全国の皆様にご視聴いただけますし、あるいは世界各国の方々にお届けできるチャンスも秘めています。ぜひ『MAO』を入口に、これまでの「るーみっくわーるど」にも触れてみてくださいね。
作品情報
あらすじ
令和を生きる中学生の少女、黄葉菜花(きばなのか)。幼い頃、家族と事故に巻き込まれ、自分だけが生き残った。
ある日、菜花が事故現場となった商店街の門をくぐると、
妖(あやかし)の蔓延(はびこ)る大正時代に迷い込んでしまう。
摩緒と出会った菜花は――
「おまえ、妖だろう。」
摩緒にそう告げられ、自身の異変に気付く菜花。
二人には、同じ“呪い”がかけられていた――!!
摩緒と菜花は、連鎖する“呪い”に立ち向かっていく!
高橋留美子の最新作『MAO』、待望のアニメ化!
没入型ダークファンタジー×時代(とき)を越えるタイムスリップミステリー、いよいよ開幕!
【それは、時代(とき)を喰らう“呪い”】
キャスト
原作/高橋留美子「MAO」(小学館「週刊少年サンデー」連載) (C)高橋留美子/小学館/「MAO」製作委員会


































